大阪走れ 自動運転車…大阪市が実験誘致へ
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2014年1月27日
読売新聞
ベイエリアを想定、米グーグル社と協議
ドライバーが運転操作を行わなくても目的地まで走る乗用車「自動運転車」の実用化を見据え、大阪市は、咲洲さきしまと夢洲ゆめしま、舞洲まいしまの三つの人工島などがある臨海部(ベイエリア)に開発企業を誘致する方針を決めた。この分野で先頭を走る米グーグル社と協議を進めており、公道実験の実施に向け、近く警察や国など関係機関と本格的な協議を始める。
グーグルの自動運転車は、全地球測位システム(GPS)で位置情報を把握しながら、レーダーやカメラで周囲の車や人、構造物などとの距離を確認。車載コンピューターがハンドルやブレーキなどを制御して走行する仕組みだ。米国内では公道での実験が始まっており、同社によると、約50万キロを無事故で走行した。
大阪市によると、グーグル側は、将来的に自動運転車を高齢者や障害者らの移動手段として使う事業を模索しているといい、高齢化が進む日本は魅力的なマーケットの一つとされる。
ベイエリアは南北に阪神高速道路が走り、舞洲軽飛行場跡は滑走路がテスト走行に使用可能。咲洲はニュータウンがあり、ロボット産業などの集積を目指す夢洲は、企業の連携が見込める利点がある。関西国際空港も近く、市都市計画局は「研究・開発に最適の場所」とアピールする。
昨年11月、市特別顧問で、米シリコンバレーで起業支援などを行う校條めんじょう浩氏が橋渡し役となり、市幹部らがグーグル本社(カリフォルニア州マウンテンビュー)を訪問。同社のプロジェクトリーダーに実験の受け入れ準備があることを伝え、今後も前向きに話し合いを続けることを約束した。グーグル側も「非常に興味がある」と好感触だったという。
市は現在、受け入れの課題などを国土交通省と相談しており、警察や阪神高速とも協議を進める予定。市都市計画局の川田均理事は「実現すれば、大阪経済にも大きな刺激になる。まずはベイエリアで試験走行を実現させ、ゆくゆくは御堂筋など市街地でも走らせることができれば」と話している。
競争激化 課題は法整備
自動運転車の開発は世界で進んでいる。
日本では昨年6月、自動運転システムの構築を盛り込んだ「日本再興戦略」を閣議決定した。同11月、安倍首相を助手席に乗せたトヨタ自動車、日産自動車、ホンダの自動運転車が国会周辺を試験走行。海外では、独メルセデス・ベンツなど大手メーカーが実用化を目指し、グーグルの参入もあって競争は激化しそうだ。
実現へのハードルは多く、一番は法整備。国土交通省によると昨年7月末現在、米国ではカリフォルニア州など3州1特別区で自動運転車の走行を法律で認め、ドイツでも試験走行が解禁されている。
日本では、車検に合格する車であれば「臨時運行許可番号標」(仮ナンバー)を付けて公道での試験走行が可能だが、「そもそも自動運転の存在を想定していない」(同省道路局)のが現状という。
また、人の手を借りず完全に自動化する「自動車型ロボット」を目指すのか、あくまでドライバーの「補助機能」にとどめるかもメーカー間で考え方が異なる。政府はこうした論点を踏まえながら、2020年代にまずは信号や交差点がない高速道路での試験走行を検討する。