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130年前のエンジン技術を蘇生 大幅燃費向上を達成したトヨタの“男気”

2014-05-19 03:45:34 | 自動車
130年前のエンジン技術を蘇生 大幅燃費向上を達成したトヨタの“男気”
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/snk20140518523.html へのリンク
2014年5月18日(日)13:37
(産経新聞)

 トヨタ自動車が、世界最高レベルの熱効率(燃やしたガソリンが動力に変換される割合)を実現した次世代エンジンを開発した。ハイブリッド車(HV)に用いてきた「アトキンソンサイクル」と呼ばれる効率のよい燃焼方式をベースに、不足するパワーを従来型エンジンで磨いた技術などで補い、10%以上の大幅な燃費向上を実現。4月に発売した小型車「パッソ」「ヴィッツ」を皮切りに、2015年までに計14モデルで導入する計画だ。課題だった小型車セグメントで競合他社を突き放すとともに、得意のHVにも応用してさらなる性能強化を図る。

 アトキンソンサイクルとは、霧状にしたガソリンと空気の混合気の圧縮比よりも膨張比を大きくして熱効率を改善する燃焼方式。技術自体は約130年前に確立していたが、熱効率を高めると出力が低下する欠点があり、長らく日の目を見なかった。最近は、トヨタがHV「プリウス」で用いているほか、ホンダも小型車「フィット」のHVなどで採用して低燃費化に成功している。

 トヨタの次世代エンジンは、ガソリンエンジン車でも出力を低下させずにアトキンソンサイクルを利用できる形に改良したのが特徴だ。出力低下を防ぐため圧縮比を高めると、ノッキング(異常燃焼)が発生しやすくなる。これを回避するため燃焼室内の排気効率を高めたり、新構造のウォータージャケットスペーサーでシリンダーの壁温を調整したりといった工夫を重ねた。また、新形状の吸気ポートは、エンジンのシリンダーに混合気を取り込む際、シリンダーのなかで特殊な気流を生み出して燃料が急速に燃えるように形を工夫し、熱効率の改善に貢献している。

 この結果、熱効率は従来型のガソリンエンジン(36%程度)を上回る最大38%まで向上。次世代エンジンを初搭載したパッソの場合、排気量1000ccモデルの燃費性能は、信号待ちなどでエンジンが自動停止するアイドリングストップ機能などと合わせ、従来型に比べ約3割改善し1リットル当たり27.6キロ。三菱自動車の小型車「ミラージュ」(27.2キロ)を抜き、HVと軽自動車を除くガソリンエンジン車で国内トップに立った。

 HVで独走態勢のトヨタに対し、競合他社はガソリンエンジンの改良で対抗、特に小型車ではトヨタを上回る燃費性能を実現してきた。トヨタは業績が好調とはいえ、低燃費の小型車に人気が集まる東南アジアなどでは販売が伸び悩んでいるのも事実だ。20年時点でも世界販売の7割をガソリン車が占め、HVは3割にとどまる見通しのなか、トヨタには「ガソリン車の燃費をさらによくしないと地球環境にもユーザーのニーズにも合わない」(開発担当者の山田哲主査)との危機感があった。

 ガソリンエンジンの低燃費化はこれまで、欧州メーカーなどが力を入れる直噴ターボを用いたダウンサイジングが主流になるとの見方が強かった。トヨタは燃料制御の最適化を図ることで、直噴ターボを用いなくても走行性能を犠牲にせず低燃費化を図ることに成功した。

 この次世代エンジン技術は、HVやディーゼルエンジン車にも応用する。特にHVはガソリン1リットル当たり40キロ台の燃費達成が今後の焦点となるが、トヨタ幹部は今回の技術革新で「射程圏に入ってきた」という。15年にも全面改良するHV「プリウス」で大台に到達する可能性が出てきた。(田辺裕晶)


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