http://news.goo.ne.jp/article/businessi/business/fbi20130103004.html
2013年1月4日(金)08:21
(フジサンケイビジネスアイ)
大手自動車各社が、自動ブレーキなどで追突事故や誤発進を防ぐ安全技術の新型車への導入を拡大している。
ダイハツ工業が昨年末に大幅改良した主力車「ムーヴ」に軽自動車として初めて衝突回避支援システムを搭載したほか、独フォルクスワーゲン(VW)は新型小型車「UP!(アップ)」の全クラスに同システムを標準装備するなど、低価格の車種にも採用が広がってきた。システムの普及が加速する中、今後は技術の高度化で差別化を狙う各社の開発競争が激しくなりそうだ。
ミリ波レーダーと車載カメラを使い、自動ブレーキで衝突事故を回避する技術の導入は、富士重工業が主力車「レガシィ」で先行。オプション装備での提供ながら、8割を超える装着率で消費者の高い支持を得たことから、昨年から多くのメーカーが追随した。
三菱自動車がスポーツ用多目的車(SUV)「アウトランダー」に搭載するなど、当初は国内大手が価格帯の高い中大型車で提供。続いて「為替差益を利用して安全装備を充実させた」(アウディジャパンの大喜多寛社長)という独アウディが昨年11月に一部改良したSUV「Q5」に装備するなど、円高も背景に輸入車にも同様の動きが広がった。
現在は「高齢者や女性が毎日乗る軽にこそ衝突安全技術が必要」(伊奈功一社長)との考えから、ダイハツが今後発売する新型車すべてに衝突回避支援システムを搭載する方針を打ち出すなど、技術提供の対象の価格帯や車種を問わなくなってきている。
ダイハツがムーヴに導入したシステムは、時速30キロ以下の低速域で働く自動ブレーキや、前方に障害物がある際の誤発進を防止するなどの機能を備えながら、割安なレーダー装置の利用で価格を5万円に抑えた。
これまで衝突回避支援システムの価格は約10万円が相場だったが、今後は搭載車種の拡大などで価格も下がる見込み。業界内で「アンチロックブレーキシステム(ABS)のように当たり前の装備になっていく」(日本自動車工業会)とみられている。
一方、こうした技術普及の進展に対応し、他社との差別化を図る動きも活発化している。トヨタ自動車は、昨年10月に投入した高級ブランド「レクサスLS」に、自車と対象物の相対速度が時速40キロ以下で作動する自動ブレーキ技術を搭載。大半のメーカーの技術が「30キロ以下」で作動する設定の中、「ひとクラス上の安全性能」(同社)をアピールした。
またホンダは時速60キロでの走行中に自動停止できる技術の実用化を目指しているほか、日産自動車はブレーキに加え、ハンドルも自動操作して衝突を防ぐ技術を開発中で、安全技術の高度化が新車開発の重要な争点になり始めている。(山沢義徳)