欲望という名の電車 テネシー・ウィリアムズ

2009-12-02 01:25:54 | 読書
■欲望という名の電車 テネシー・ウィリアムズ 新潮文庫

戯曲を読むのは、苦手とは言わないまでも得意ではない。
シェイクスピアを読むのは大変だったし、実は読んでいない戯曲もたくさんあります。
お芝居を先に観て読んだつもりになっていることも多い。

新潮文庫の「欲望という名の電車」は小田島雄志訳である。 シェイクスピアを翻訳した人だ。
私は小田島さんが東大の講師だった頃に同じ官舎に住んでいたことで、勝手に親しみを感じている。
その小田島さんも来年は80歳か・・・

「欲望という名の電車」はたいへん読みやすい戯曲だった。
シェイクスピアが400年前の世界を扱っているのに、テネシー・ウィリアムズはたかだか60年前。
ジェームス・ディーンの時代と重なる。

~~~~~~
南部の大農園に生まれ育ったステラは、今はニューオーリンズの下町で労働者階級に身を落として暮らしている。
夫のスタンリーは粗暴で無教養な男で、よく働き、酒をあおり、博打を打ち、そしてステラを愛していた。
ステラは二部屋しかない狭いアパートでスタンリーと暮らすことを、幸せだと感じていた。

そんな或る日、「欲望」という名の路面電車に乗って、姉のブランチがステラを訪ねてきた。
ステラの底辺の暮らしを目にしてブランチは驚きあきれ果てる。
しかしブランチ自身も文無しで故郷から逃げ出した身であった。 行き所がないブランチはステラ夫妻の家に居候をするしかない。

「掃き溜めに鶴」であるかのように振る舞うブランチをスタンリーは不快に思った。
金を持たない女は早く追い出すに限る。 妻のステラが姉のブランチに気を遣っていることも気に入らない。
(あの女には胡散臭いところがある)
スタンリーは、ブランチの身辺を洗い出すことにした。

スタンリーに、隠していた過去を暴かれて退路を断たれたブランチは、狂気の中に逃げ込むしかなかった。
「私はいつも見ず知らずのかたのご親切にすがって生きてきましたの」
医者と看護婦に付き添われてアパートから出て行くブランチの最後の台詞が、彼女の人生がどんなものであったのか示唆している。

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時代が全く異なるのにあの「風と共に去りぬ」を思い浮かべてしまうあたり、我が身の想像力のなさを感じました。

実は映画ではブランチ役は「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーなんです。
わたくしは映画は未だ見ていませんが、たしかに彼女ならブランチを演じきれるでしょう。
気丈と虚弱(ヴィヴィアンは若い頃から結核を患っていた)、このアンバランスが崖っぷちで生きるブランチを彷彿とさせるからです。

でも、わたくしは舞台演劇で見たいなぁ。


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2 コメント

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Unknown (joji)
2009-12-02 19:46:38
戯曲はハードル高そうですね。^^;
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☆jojiさんへ (デュエット)
2009-12-12 23:57:59
そうですね、でも今どきの戯曲なら大丈夫な感じがしました。
この欲望という名の電車もとても読みやすかったから。
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