佐藤家の人びと―「血脈」と私 佐藤愛子

2008-05-20 01:34:39 | 読書
佐藤愛子さんは大正12年(1923年)生まれだ。 すみれ叔母と同じ年に生まれている。
おん年85歳になられるのですね。

この本は本編「血脈」の特典ディスク・・・メイキング(舞台裏)にあたるもので、佐藤愛子が「血脈」を書き続けた13年間のエピソードや、いくつかの対談、家系図、佐藤家の写真帖が収められている。

■佐藤家の人びと―「血脈」と私 佐藤愛子 文春文庫 ¥533(税別)
実は、本編の「血脈」は上中下の上巻しか読んでいない。

母から、これは面白いからぜひ読むようにと勧められて、息もつかせぬ展開に巻き込まれるようにして上巻を読み上げた。

さて次を読もうとした時、母にどうだった?と尋ねたら、意外にも「読んでないのよ、中、下巻は・・・」と答えが返ってきた。
あらまあどうして?
なんか毒気に当てられたみたいになっちゃって、私には刺激が強すぎる。 もういいわ。
そういわれてみるとそんな気がしてくる。 わたしもなんとなく中巻、下巻に手をつけずにぐずぐずしていた。

そうこうしているうちに、その年(2003年)の秋、久世光彦の演出で「血脈」がテレビドラマ化された。 佐藤愛子の父、佐藤紅緑を緒形拳が、母親のシナを宮沢りえが演じたのだが、覚えていらっしゃるだろうか。
そのドラマを見たら、母もわたしも本を読み上げたような気になってしまった。

母はその冬から体調を崩し半年後には亡くなったこともあって、「血脈」のことはすっかり忘れていましたが、「佐藤家の人びと」を読んだら急に読む意欲が湧いてきました。 ドラマも悪くはないけれど、やはり原作のど迫力には遠く及ばない。



佐藤紅緑、サトウハチローをご存じだろうか。
わたしも佐藤紅緑は名前だけで作品は読んだことがないのだが、少年小説といえば佐藤紅緑の右に出るものはいない、それくらい有名な作家だった。 

その息子はサトウハチロー、詩人であり、さすがに私もこの小父さんは知っている。
ちいさい秋みつけた、お山の杉の子、わらいかわせみに話すなよ、うれしいひなまつり、これらの童謡の詩はハチローの作品だ。

佐藤紅緑とサトウハチローは、読者の心に沁みいる素晴らしい作品を作り出しているのに、実生活はそれとはうらはらの、火宅の人とでもいうのでしょうか、手に負えない人物だった。
紅緑は三人の妻を持っておびただしい数の子供をつくり、子供たちは誰もかもが問題児で、放蕩のかぎりをつくして早死にをした。 長生きしたのは中でも一番の放蕩息子だったハチローと佐藤愛子だけと言ってもいい。

そんな佐藤一族の栄光と衰亡を描いた「血脈」、そのメイキングが「佐藤家の人びと」であるから、メイキングを読んだだけでもかなりの充実感が味わえるだろう。
写真がたくさん入っているのもうれしい。



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