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落書き帳

内容は備忘録のため、解釈等含めて随時改変

エンジン技術_8 アクセル開度~エンジントルクマップ作成

2014年05月01日 | エンジン・自動車

スロットルバルブの「機能」だけに着目し

・WOTトルクカーブ

・スロットルバルブ仕様

・その他最小限のデータ

を用いて、アクセル開度~エンジントルクマップを作成する。

動機は単純で「作った事がないから作ってみる」

公表された実機データは見当たらないが、「こんな感じ」を描いた図なら書籍・特許等にある。

 

計算の根本は

「スロットル開口面積と吸気管(インマニ)負圧が決まれば、スロットル通過空気量=定常状態のエンジン吸入空気量が決まる」

だけ。

物理的にはこの順番で確定するワケではないが、↑を使うのが簡単。

「スロットル開口面積」には派閥がありそうだが、管路の中心軸に対する垂直投影面積を計算するだけ。CADでやりたければお好きにドーゾだが、スロットル形状をテキトーに単純化すれば電卓で十分。

 

前提 スッピン無過給ガソリンエンジン

・可変動弁なし

・EGRなし

・メカスロットル (スロットル+ISCV) 

電子スロットルの場合は、「アクセル直結特性」に相当

・回転一定の時、吸入空気量とトルクは線形とする 

高負荷でMBTがとれないことによる仮想MBTトルクからのトルクダウンは無視、λ>1(リーン)領域は無しとして空燃比の影響は無視する。理由は「それらしい似顔絵」を描くことが目的だから。

・回転一定の時、吸入空気量と吸気管絶対圧は線形とする

・暖機後、標準大気状態(100kPa,300K) ←半端数字は面倒なので「俺標準」 アバウトな事しかやらないのでこれで十分

 

等ブースト線が実際にどんな感じか?は

http://glanze.sakura.ne.jp/drive_chr.html

WOTトルクに対してほぼ等間隔で入る。イマドキの可変動弁、大量EGRはこうならない「独自形状」

「独自形状」の例

 

結果 

【無添加天然物】 好みの分かれる「味付け」一切無し

排気量2L 

スロットルΦ50mm イマドキはいくつなのか知らないがバカデカイのはキライなので計算上の数字は小さ目にする 他にも仮定が入るので定量性はそれなりと思われる

スロットル開度=アクセル開度~トルク特性 

中間開度(10~70°)は、最小限の脳内データを用いた机上計算値

最大値80°、最小値0°、燃料カットはテキトーな値

実機のマップは忘れたが大きな違和感はない。

「似顔絵」「相似形」を描いているのであって写真を撮っているのではない。

 

オマケ

むかしむかし、2L無過給でΦ60mmがゴロゴロあった。僅かなカタログ馬力に目がくらんだ+早開きで発進だけのドカーンがお好きな方がいた+大排気量仕様と部品共用化。排気量(吸気量)に見合わない大径は自動的に早開き特性になる。可変動弁標準化はず~っと後で低中速スカスカ。

リキがないものは何をやってもダメ 

② フツウにしておく

言いたい事はこれだけ。

非線形リンク式という調整手段があるが、スロットルにはリターンスプリングが必須で、リンク、ドラム形状等で開度特性を変えるとアクセルペダル踏力が変わる。遅開きにすると踏み始めが軽く、後半は重くなる。早開きの場合は逆。開度特性「だけ」を変えることはできず万能ではない。ここは電スロにしないと解決不可能。電スロにしても今度はISCVの機能を兼ねるので、わずかな最大出力差狙いの大径にするとアイドルの分解能が落ちる=制御性が悪くなる。賢者は最大kW、排気量相応のほどほどの径にする。

技術的に意味がありそうなのは

・車重に対して大排気量車の遅開き ギヤ比で帳尻合わせているから何もする必要なし、と言える部分もあるが結果的には大部分発進駆動力に振っている

・低開度域の駆動力操作性を向上させるための遅開き 雪道等

ぐらいでは。

高過給大型ディーゼル(フル電制コモンレール コレもDBW)では、発進性担保のため発進時(過給の立ち上がり回転以下の極低回転)は小開度で全負荷にする模様だが、ココで叩いているのは「ガソリンオラオラ発進推奨装置」で話の筋が違う。

「好み」「癖」「個人差」「道路環境」がかかわるので不特定多数による官能評価でもしないと評価はできない。

万人向け最大公約数は↑ 調整したければスイッチ入力でドライバーが選べるようにするしかない。

「正解」は存在しないが、アナタが感じる「正解」がアナタの「正解」

 

燃料カットの上のスロットル=0°の青線は、アクセル開度=0 で燃料を吹いている状態で、1000rpm付近以外は現実にはあまりないが、下り坂でごくわずかにアクセルに踏んでいる状態がほぼ相当する。普段は、アクセル放し⇔踏み込みの際、一瞬通過するだけ。0°の青線(燃料噴射中の最小トルク)はもっと下げたいところだが、このへんは燃焼限界に近い。(空気量過小+残留ガス率過多)

アイドル・負トルク域拡大図

トルコン付きATCVTでは関係ないが、エンジン回転を上げて極低アクセル開度で渋滞走行をするとギクシャクするのは「燃料カット⇔再噴射」のトルク段差による。二輪車はわかりやすい。

トルク=0Nmの線は、エアコン発電ATオイルポンプ等エンジン外部負荷無しの、空ぶかし、アイドルに相当。現実には外部負荷は常時あるが、上図は単純化するため「エンジン単体」の特性で書いている。

0°の青線を0Nmに合わせてしまうと(制御的には可能)空ぶかし回転不定になる。

「制御的には可能」の意味は、大昔からISCVでも電スロでも「各エンジン回転での最低空気量」を割り付けてあるから。1000rpmアクセル全閉で吸入空気量(大気圧換算)100L/minなら、何もしなければ2000rpmでも100L/minのままで、サイクルあたり空気量は半分になり失火する。何もしない代表がキャブレターの二輪車で、減速燃料カットがないのでスロットル全閉の減速中は失火でHC垂れ流し。

オマケ

エンジン外部負荷がある場合は、ISCVでアイドル空気量を持ち上げる。電スロの場合は電スロで実行。アイドルで例えばエアコン負荷が15Nm(@エンジン軸)あるから全回転全負荷トルク15Nm落ちと早とちりしないこと。負荷の形態は色々だが、発電、エアコンは定パワー要求に近い。アイドルで持ち上げた空気量(より正確には「開口面積」)はアイドル域の外(走行中)でもそのまま保持。略定パワーで補正がかかるので理にかなっている。負荷がある場合のアクセル開度~トルク特性は面倒なので止めておくが「形」が大きく崩れることはない。

最近は%表示流行だが、deg表示なのは、スロットルは約80°回転するので10°区切りが切りがいい。

業界用語で、アクセル1/8とかの表現があるが、1/10ではなく1/8なのは、スロットル10°区切りだから。米欧の「半端分数で表現する文化」の影響もあるかも?

 

・左下低パワー域は、何故定パワー特性に近いか?

「チョーク」が関係する。略1/3負荷以下では、流量が吸気管圧力と無関係になる。負圧を増やしても流量は増えない。大気圧=100kPaとすれば、臨界圧力比0.528を掛けて、吸気管絶対圧52.8kPa以下の領域。定開度=定空気量≒定パワー。1/3負荷以上では、例えば空気量を2倍にするには、開口面積を2倍にしても負圧が減るのでさらに開口面積を大きくしなければならない。

・中間開度では、上記の負圧~スロットル開口面積~流量特性と、

スロットル開度~スロットル開口面積(最初ゆるやかで3次曲線的に立ち上がる)

の掛け算。どちらも非線形。

・負荷が上がると、最大トルクの縮小コピー形に近くなる。絞りが弱くなるので、全開の形が反映されてくる。

・ざっくり言えば、全負荷空気量は回転数比例。20°の線を見ると絞られ方が回転によって違い、(結果だけを見れば)ほぼ直線で右下がりに入る。これより高開度は、30°では1000rpmに対して全く絞りにならないが他の回転では絞りになっている。開度を上げていくと、「全く絞りにならない回転」が高回転側に移る。

大量EGR、可変動弁、リーンバーンとかが入ると、スロットル~トルク特性が↑の「天然物」から崩れる。電スロが当たり前になったから話は簡単で、アクセル~トルク特性を「天然物」相当に置き換える。制御ロジックはごく単純に考えると

1 [アクセル開度、エンジン回転]→アクセル要求トルク マップを参照

2 電スロ、VVT、EGR、(空燃比)への指令 ()はリーン領域がある場合

 

kW表現 

離れて眺めれば、低開度域は 開度≒パワー 

変速機込で見れば、アクセル開度≒車両要求パワー

エンジン1000rpmで走行→20°も踏めばパワー(=トルク)頭打ち)→2000rpmにダウンシフト 30°も踏めば頭打ち→以下同様

低回転では30°以上はトルク感度がなく、高回転も40°以上はトルク感度が小さい。MTならダウンシフト要求サイン、ATCVTなら変速用が主用途。ダウンシフトして、高いrpmのkW線に乗り換える。

 

 

******必要spec データ*******

やり方はいろいろ考えられるが、脳内最小限データで済ませる。技術的には大昔から既知公知。

spec

・排気量 2L

・スロットルボア径 Φ50mm

・全開トルクカーブ

 

データ

・アイドル燃費 0.6L/h @700rpm   

←記憶あいまいだが結果オーライ アイドル空気量算出に必要 アイドル空気量が必要なのは、性能マップの「原点」にするため

・軸トルク0Nm(空ぶかし=無負荷)の吸気管絶対圧 27kPa  ざっくりと回転数によらず一定とする

ISCV(or電スロ)による各エンジン回転での最低空気量保持制御は、高回転ほどアクセル全閉時空気量(最低空気量)を大きくして吸気管絶対圧を所定(〇〇kPa)に保つ。〇〇kPa<27kPa(空ぶかし0Nm吸気管絶対圧)として空ぶかし0Nm吸入空気量>アクセル全閉吸入空気量にしないと空ぶかし回転が不定になりアクセルで空ぶかし回転が制御できなくなる。〇〇kPaは燃焼限界、オイル消費等で決まる。

・アイドル回転付近、例えば1000rpmの、無負荷全負荷の空気量比 6倍

・スロットル流量係数 0.8    (実流量=机上値*0.8 とする意) 「0.8」はテキトーな数字なので鵜呑みにするべからず。実スロットルで定常流試験(開度=開口面積と負圧を振る)をやらなければ定量値は出ないが実際にいくつなのかは知らん。ここが合っていないとマップ全体が過大/過小側にずれる。

あとは計算 ここは煩雑+読む気にならない+読んでも面白くないので省略。実データ(マップ)があれば終わりだが、なくてもソレっぽく逆算はできた。

単気筒エンジンでは、定性的にはともかく、定量的には合わないはずである。エンジン回転&スロットル開度一定でも、吸気管負圧の変動が大きく、スロットル部が定常絞り流れの前提条件が成り立たない。

 

後日memo アイドル燃費相場 

記憶があいまいでテキトーに書いたが、1985年の記事を見つけた。この時期ぐらいまでは、この程度の定量データは見つかる。

1985年 L4 1.5L  0.55~0.60L/h

              2L換算 0.73~0.80L/h 

可変動弁が標準になってアイドルのゼロオーバーラップ化による燃焼変動(最悪は失火)減+フリクション減で、20%削減(こんなもんじゃね?の脊髄反射がソース)と仮定

2L換算 0.58~0.64L/h

BSFCマップから推定する方法があって↓の0kW着地点がアイドル燃費。

エンジン技術_6 燃費の目玉(6) VC-T

排気量2Lイマドキ相場は0.6L/hとして、そう外れてはいない。