落書き帳

あまり触れられないことに触れる
内容は備忘録のため、誤解等含め随時改変

エンジン技術_10 いろいろ雑記帳

2015年06月29日 | エンジン・自動車

思いつくままの雑記帳

 

 

1 低中水温の燃料噴射適合方法(点火時期を含む)

暖機後は、サーモスタット+ラジエター+ラジエターファンで、エンジン水温80℃~100℃程度の範囲にある。当然例外はあり、低外気温ではここまで上がらないシーンが多い。サーモスタット開弁温度を上げても無駄な抵抗だが某社では「寒冷地向け」と称して開弁温度を上げていた例があった。有効なのは車両停止orそれに近い渋滞走行だけと思われる。低外気温時は無用のエンジンルーム通風を遮断しなければならない。燃料カットで山下りすると水温はどんどん下がる。世の製品は「機能保全」最優先で「最適温度に温調」は二の次。骨董品「グリルシャッター」の電制化の次に行き着くべきところは「カプセル化」で、某社限定にせずサッサとやっておくんなさいまし。

性能は水温80℃で代表するが(イマドキは90℃あたりにするべき?)、始動後しばらくはこれ以下で、燃料噴射(+点火時期)の適合が必要になる。この適合のやり方だが、某社では、現在のことは知らないが、

・エンジンのサーモスタットを抜く

・ポンプ+冷凍機で冷却水を強制循環させる。水温20℃の適合をするときは、エンジン水温が20℃になるように冷凍機を制御する。

適合作業中、エンジンは燃焼しっぱなし。フツウの神経の持ち主は、このやり方に疑問をもつ。水温20℃で始動したら、通常は水温は上がる方向にしか動かない。水温が異常に上がりにくい状態で、サーモスタット開故障状態に似ている。

このやり方では参考程度の結果にしかならない。水温は燃焼室周辺温度の代用特性としているのだが、水温に対して燃焼室周辺温度が高くなるのだ。冷却水強制循環を止めて(水温は上昇一途でボケっとしているとオーバーヒート)確認すると案の定適合結果は甘い。水温軸がずれてしまったのと同じで過渡補正噴射量を増やして再確認。

例えば、同じエンジン水温40℃でも、

外気20℃、水温20℃始動したときの40℃ と

外気0℃、水温0℃始動のときの40℃ では、要求が違うのでは?が疑問になるが、氷点下条件含めて確認すると

「水温だけで代表して問題なし」 PFIでの話で、他まで拡張して良いかは関知しない。

 

水温0℃付近まで下げて強制循環させると、一時的に圧縮もれを起こして半失火状態になる。「一時的」がポイントで、そのうち半失火は収まってしまう。サーモスタット付の車両状態でも、HLAのリークダウンが過小のとき、常温状態でも起きることがある。HC排出量に顕著に現れ、乗ってもわからないケースもある。この場合も症状は「一時的」で、そのうち収まってしまう。

始動後は、高温排気に高速で晒される排気弁が真っ先に伸びる。シリンダーヘッドは後から温度上昇する。この差が一番大きくなるのが始動即全開で、ソリッドの場合の弁すきま、HLAの場合のリークダウン特性は、弁の突き上げ(開きっぱなし)が起きないように決める。強制循環で水温が上がらない=シリンダーヘッド温度が異常に上がりにくいで、設計想定外の使い方をしている。

サーモスタット抜き+冷却水強制循環は、エンジン始動の実験ぐらいにしか使えない。

 

オマケ 「カプセル化」 2022年某社はディーゼルに拡大

乗用車系では初採用は2019年某社ガソリンで第一目的は燃焼音対策と推定。某社2019年技報を見ると「CPL」なる言葉が説明無しで出てくる。当方の「CPL」初見は1980’s末期でcylinder pressure level の略。字面を見るとPmaxのことか?と脊髄反射するがさにあらず。エンジンの音振の方言で筒内圧の特定周波数帯を拾ったバンドパススペクトルとキオクする。dP/dθ としておけば大ハズレはない。確実性不透明な制御用に追加デバイス付けるぐらいなら、カプセルの効果は確実。

 

 

 

2 冷機時の増量要求は定常要求か過渡要求か?

キャブレターは「チョーク弁」なるもので冷機時増量する。オートチョークでなければ手動のチョーク弁で動かす。二輪車では最近まで見かけた。

以下、PFIに限定する。←DIのコトは知らん

「始動時及び始動直後」は除外する。結論から言えば、

「定常要求も過渡要求もあるが、要求度合いから言えば、過渡>定常。過渡が間に合わないから定常で増量する側面が強い。」

過去を振り返ると、空燃比λ=1 F/B開始水温はどんどん下がっている。低温時排気規制強化だが、こんな感じか?一番厳しい米国向けで

1980   60℃

1990   40℃  ヒーター付O2センサ 活性温度以下ではO2センサは機能しない

2000  0~15℃

1990年代に「低温CO規制」(-7℃始動)が始まってその後他成分の規制も追加された。

「燃焼改善」のための空気流動制御弁追加等はあるが、やったことは

「過渡適合修正」が主

のはずで、過渡を間に合わせれば定常はなんとかなる側面が強い。チョーク弁を早く戻しすぎると「定常時は失火しない」のに「加速時は失火する」

「過渡適合修正」には制御ロジックの全面改変を含む。流行りのMBDなるモノは、エンジンがらみではこの辺がハシリで、馴染みのないモノがイロイロ混乱を招いたのを横目で見ていた。どこを変えれば何が変わるのか、作動・適合が設計意図通りなのか、初めて触れる者にはワカランのだ。PCが捨て値になって1人1台になる以前の話。

過渡時の気筒内空燃比応答の悪いキャブレター、Single Point Injectionでは加速リーン、減速リッチはどこまでもついて回る。気筒のはるか彼方で燃料供給するから途中の吸気管に溜め込んだ燃料が応答性を悪化させる。某Single Point Injectionでは「割り込み噴射〇〇発」なんてことを小耳に挟んだことがある。「割り込み〇〇発」の最中に減速すれば減速メチャ濃くなるがISCV全開とかで対策していたかは知らない。

ベースをリッチにすると「ツキ」が良くなると言う方がいるようだが、過渡が合っていないからそうなるだけで「燃料噴射系・制御系の過渡応答が悪い」「加速時失火エンジン」「過渡マッチングが×です」 

リッチにしたところで定常トルク差は数%で、定常トルク差を一発で検知するのは難しい。吸気弁が閉じた後は過渡/定常を区別しないで現象は理解可能。

 

 

 

3 予混合?拡散?微粒化?混合気形成?

「予混合」にしても定量的指標ではなく、定性的表現に過ぎないことに注意。「それなりにミクロなスケールで見て」「気体状態の燃料が空気中に拡散された状態・分布の偏りがない状態」とでも定義するのだろうか?

青炎=予混合、黄~赤炎(スス有)=拡散 程度が当方の認識だが、

PFI噴射燃料の吸気ポート壁面付着は100%悪者?

そうとも言い切れない面がある。直噴の「気筒内壁面付着」とごちゃ混ぜにしてはいけない。

暖機後の条件で、噴射タイミングは排気行程中に噴射終了で統一し

① シリンダヘッドにインジェクター設置と

② シリンダーヘッドからはるかに離して(例えば30cm) で性能比較。

100%壁面付着させる②は、

・ HC 全域①と同等かそれ以下

・ 全開トルク 2%アップ 某社の報告による

吸入空気量アップ(吸気冷却効果)で定量的に説明できる。ガソリン蒸気分子による吸気中新気(酸素)モル比減を吸気冷却による新気(酸素)密度増が上回る。仮定を設けて(この仮定はラフ過ぎて眉唾)電卓で計算するとこのぐらいの数字になる。

実際の伝熱形態(空気中で蒸発して直接吸気冷却、吸気管表面で蒸発して吸気管冷却→間接的に吸気冷却)はともかく、吸入空気量は上がる側になる。

②は①と比較して「より均質な予混合気」が形成されたと解釈できるが、「混合気形成」が改善されたからトルクアップしたのではなく、トルクアップは吸入空気量アップによる。

(暖機後に限れば)定常的に悪いところは何もないが、過渡時の気筒内空燃比がデタラメになるので、排気性能は関係ないレース用に(パワーブースター的に)使われるだけである。

キャブレター、Single Point Injection がダメなのは、燃料の気筒間分配と過渡性能。あの燃料供給位置では

「微粒化?したければすれば~」

いくら微粒化気化しようがHCは出る。ガソリンよりも圧倒的に気化性が高いLPGの液体噴射(各気筒噴射のPFI)でも話は似ている。吸気行程噴射をやるとHC排出量が顕著に悪化するのもガソリンと変わらず。

最近見かけたのが自技会845052。30年前の記事だが、当方の認識と同じ。

 

 

4 ロバスト設計の極致?4弁中心点火PFI

大量EGRとかリーンバーンとかを除外すれば、(極言すれば)誰が設計しても性能は同じである。「違うのだ」と言いたい人がいると思われるが眼に見えて違った記憶はない。違いが出るとすれば信頼性、耐久性、音振、ドラビリ、企画&味付け(どこへどう振るか)の類。

(誤)ペントルーフ燃焼室をだが

(正)フツウに設計すればペントルーフ燃焼室になる

大昔のVWは4弁ウエッジタイプ(排気弁が直立して排気側容積が大きい)だったが、フツウに戻っている。性能上の強い理由は無かった模様。排気側の容積を大きくすると耐ノック性で有利とかの話もあるが、圧倒的有利ならこの形式を固守するはず。

4弁中心点火の形式で実用上問題になるような設計をする方が難しく、全世界統一仕様になって久しい。ぶち回ししなければ2弁でいいとも言い切れず、排気弁面積が広い分排気開きを遅くできる→音、燃費、排気ターボ過給、全て有利になる。どこへどう振っても性能の取り代がある。本質は風通しを良くすることで、ぶち回しするかは企画の領域。取り代はデカイとも言えるし小さいとも言えるが結果的に全部4弁になったのは→速攻タダでできるネタなど落ちているワケがなく(ネタはいつでも尽きている)他ネタに比べれば¥だけなんとかすればノーリスクだから。商売上ネガ要素が皆無。

2弁は部品の空間的配置等が、どうとでも設計できる分ある意味始末が悪い。理由は不明だが、某2弁エンジンはセオリー・定石と正反対の設計になっていた。真因は?だが(作り変える事はできなかったが原因推定をされた方がいた)低負荷は燃焼変動大(更に大きくなると失火)のエンジンとなった。バルブオーバーラップ?~不正解です。4弁中心点火で類似事例を見た事がない。

PFI限定で狭い範囲の見聞を総合すると、

非中心点火では気筒容積、ボア径が大きくなると粗が目立つようになる。

4弁ではこんな器用な(皮肉です)ことをやろうとしてもできない。

この意味では直噴の現在の位置づけも同じで「テキトー設計は通用しない」「ロバスト性が劣る」

「研究」をイッパイやっていたはずだからそんな「定石外し」チョンボはありえんだろ~?この種の話は業界問わず古今どこでも転がっている。離れて眺めれば定石外しの欠点仕様だが、他に何かメリットがあったのかも。

 4弁中心点火を今後の標準と決断した某社の意思決定に他社は感謝せねばならぬ。どこかの新聞屋のマンセ~ではない。コスト→何とかする何とかなる、弁調整→ソリッドでも実質廃車まで不要、性能→欠点なし。2弁3弁4弁個別論議とサヨウナラ。

オマケ

マンセ~垂れ流し記事は「またかよ~」で、「話一割で聞いておけ」 分野問わず「〇×△マンセ~」のその後の方が重要で、マンセ~を列挙すれば片手ぐらいは誰でも思いつく。「〇×△その後」でググればいろいろ引っかかるのでゲスの娯楽に最適。引っかからないモノは関係者が「なかったこと」にしている、したがっているはずなので、ゲスな記者サンは1文字1円のコピペ記事なんかやめて取材ヨロシク~

 製造業は本質的に自転車操業で(売り上げが途絶えると金持ちと言われる会社でも即干上がる)→とにかく売れる時売れ!(=最低限投資分は回収しろ!)→いつもの必要悪(?)=広報戦略のご登場で、スポーツだ実用だハイメカだ。バカバカしいと思って眺めていたが(技術ヲタは本質をついていないものは無視する)、10年もすれば何も言わなくなった。そんな事は客は気にしていないし、言う方も馬鹿らしくなる。投資分の回収はとっくに終了済。

オマケ

ハイメカ云々と言わなくなった時期は、チェーン駆動化の時期と同じ。小ピッチのチェーンが製品化されて他社も一気にチェーン化。サプライヤーは言わずと知れたアソコのはず。「切れるかもしれない」から脱却できなかったタイミングベルトは退場。これ以前のチェーンではピッチが大きすぎで、シリンダヘッドを小型化したければ一段減速が必要で食指が湧かない。同時期に位相連続可変動弁系も一般化している。

個々の機構は守備範囲外だが、VVTの決定打になったのがベーン式で、ヘリカルスプライン式その他は駆逐された。全長も応答時間(目標位置への変換時間)も半分以下。

 

 

5 ガソリンエンジンの最低始動温度条件 何故-30℃?

ここまでやっておけば、人間の居住地域はほぼカバーできるのだが、

「可燃混合気が形成できるのは-30℃程度までだから」と言った方が正確。

-40℃になると、いくらドカ噴きしても可燃混合気が形成できない。微粒化云々も無力と断定。その温度の飽和蒸気圧で大筋は決まってしまう。エタノール系燃料の最低始動可能温度条件は飽和蒸気圧の低さに気化潜熱大が追い打ちをかけてガソリンよりもはるかに上になる。

-30℃ではフリクションが暖機後の数倍で、バッテリーとスターターが苦しいが、圧縮比フツウでクランキングできればエンジンは始動する。「適合」は「行き着くパターン」が大昔にわかっている。

 

 

6 圧縮比を上げては黙って下げる

今に始まったことではなく、調べてみれば過去30年でいくらでも例は見つかる。某社も黙って下げてきたが、

・超高圧縮比の【ブランド価値】(?)は、二番煎じ登場により色褪せた。(=これだけでは売りにならない)

・下げた方が実利が多い(性能、実態は知らないが不満不具合減)

賢明な選択である。騒ぐのはヲタだけで、売るときは黙っていればオシマイ。フツウの人は、「圧縮比?何それ?」

わずかな低中負荷までの】燃費ゲインなのに、無理上げするとデメリットが山ほどあるのだ。山ほどのデメリットが現在でも解決できていないから、無理上げ→黙って下げるを繰り返す。万事がそうだが、この辺の判断は白黒はっきりつく要素は少なくグレーゾーンが多いので、最終的には感覚、価値判断で決めることになる。

2018年現在、無過給DI+超高圧縮比をやっているのは2社、無過給PFI+超高圧縮比は1社。6年経過時点で続々追従しないのは技術力でも特許縛りでもない。盲目的にマンセ~できる技術ではなく、欠点もあるから。「超高圧縮比」の脳内定義は、「全負荷BEMP、BSFCでムリをしている」 「ムリをしている」は主観による。

古い古い古いカビが生えた記録のキオクによれば、某エンジンでは超短期間で2回ほど下げたことがあった模様。超短期間で下げたのは結果的に正解だったはず。

 

 

7 ノッキング

 

地球上の最後の一滴のガソリンを使い切るまで「解決」しないに一票。

「解決」の定義が問題だが、最低限の例 

RON=91 かつ  λ=1 【無過給圧縮比=15 で全域MBT可能】

←全負荷吸排気バルブタイミング(作動角&リフト含)はとにかく吸気量最大になるように全回転任意可変。便宜的に全回転充填効率100%を条件としてもよい。バルブタイミングだけでは100%に届かない回転域は吸気圧力を上げて対処。標準外気温度25℃まで吸気冷却は許可するがそれ以下への吸気冷却は禁止。逃げを打たれないように気筒容積=500cc Stroke/Bore≧1.0 としておく。

流行りの「14」と書かない理由=ヘソ曲がり+逃げを打たれないようにする。

最低rpmは1000rpm~。わざわざ書いたのは、昔は1000rpmから公称トルクを記載していたが、最近1000rpmをスルーして1500rpmから記載したトンデモ社を見かけたから。お次は2000rpmからにするの~?

現状は圧縮比10(充填効率=各回転フツウ)でもダメで、圧縮比9まで下げても低回転はまだ怪しい。これでも昔より随分とカイゼンされている(はず)。歯切れが悪いのは明示的公表データは皆無だからで、目玉~全負荷(λ=1)燃費率悪化5%(rpmは目玉中心rpm)、充填効率=フツウ、RON=91、PFIを条件とすれば30年前と比較して、実力圧縮比(目玉に対する全負荷燃費率メチャ悪を無視しない)は0.5程度上がっている感じはする。

現象としては大方捉えられていて致命傷回避への対策対応手法はあるので、ヲタとごく少数の研究者以外にはどうでもいい話になる。ノッキング改善、ノックフリーをコミットする業界人は存在しない。何かやって効果があれば使うだけ。

ノッキングをカイゼンしましたしましたと随分昔から小出しにいろいろ出てきているから全部足せば今頃ノックフリーでは?と思うのは勘違いで、特効薬はハイオクと直噴だけ。全開時の掃気(残留ガス低減)は

・空気がたくさん入る トルクは上がる側 残留ガス0同士として比較するとリタードロスは増える側(無過給で負荷を変えても0次近似的には圧縮温度は不変で圧縮圧力だけ変わる)

・掃気で燃焼室温度、圧縮温度は下がる 等シリンダ内空気量なら圧縮圧力は下がる  リタードロスは減る側

・残留ガス割合は減る リタードロスはどっちになるとも言えない 筒内ガス組成+圧力+温度+運転領域(rpmと負荷)がからむから

等々で、結果的に【トレースノックでの】トルクが上がる側になるのは大昔(圧縮比フツウ時代)からわかっている。空気が入った以上にトルクが増えていればリタードロスは減っていることになるが、高負荷域を発表しないのは圧縮比馬鹿ageにより全負荷リタードロス大で全負荷燃費率が目玉に対してメチャ悪のため。残留ガスの掃気→ノッキング改善に新規性はない。

無過給圧縮比フツウなら手を出してもそれほどオイシクはないが圧縮比馬鹿ageすると¥と占有空間に糸目をつけずに手を出す。結果は目玉を下げた代償でWOT BSFCとBEMPはホドホドにするのが精一杯。マンセ~は堕落の始まりで事実に沿った記述をする。

残留ガスがらみでおぼろげな記憶だが、むかしむかし某社で8ストローク運転(ECUプログラムをいじって燃料噴射を2回転1回→4回転1回に変更 残留ガス激減)の全開実験をやったらトレースノック点火時期は進んでリキ(図示有効圧)が出たという(当たり前の)結果を得ていたはずである。残留ガス激減分シリンダ内空気量は増えている。「エンジン吸入空気量」は直接計測可能だが、「8ストローク運転の燃焼サイクルのシリンダ内空気(新気)量」は直接計測できない。見かけの「エンジン吸入空気量」を揃えた実験結果と記憶。メカロス割合が約2倍、軸トルクは約半分になりBSFCは悪化、2stどころではない空気吹き抜け状態で実用性はない。無過給圧縮比フツウPFIでは少々儲かる程度で「やりたければやれば~」 圧縮比馬鹿ageDIで某社の宣伝通りになるのかは知らないが、無過給で8ストロークを越える掃気を実現したとか言い出したら明らかなウソ。

「当たり前の」に揶揄の意味はない。妄言妄想を排除するためには文句の出ようがない「当たり前の」実験が価値を持つ。

 

材料等含めて、資源全般について「なくなる」は正確さを欠く表現で「商業生産資源としては終息」が正確。「希少」になろうが「枯渇」しようが、動植物の絶滅とはワケが違う。探せば出てくるが、量と質と費用(コスト)は関知しない。廃鉱山のズリ山、沈殿池を漁れば超低品位なモノがいくらでも出る。

「リサイクルマンセ~」の意はない。事実を書いただけ。

燃料もいろいろ合成方法がある。。市販ガソリンですら、とうの大昔に合成燃料になっている。天然物を分留精製してオシマイではなく、化学的変換を経ている。天然物に対して原子間結合が変わっている。

「合成マンセ~」「合成費用タダ~」の意はない。事実を書いただけ。「¥〇〇〇/Lでできる」は前提条件が重要で、ここが変わればどうとでも変わる。イマの周辺条件が前提で、ここが激変すればゴミ箱行き。

 

オマケ コスト

ケチだが、コスト?ウルセエなあ・・・程度のことしか言わないが、第一公理を置く。

「工業製品のコストは材料費以下にはならない」

規模、アクセス自由度(誰でもアクセスできるか)はともかく、材料は何がしかのマーケットから購入する。価格交渉はあるにしろ、ゲロ安などありえない。度を超えた安値には、即刻現金が必要、ワケあり、領収書無し、付帯条件有、釣り(他に目的がある)、ぐらいは傍観者でも思いつく。

急激に価格低下した代表がマイクロプロセッサー等の小型半導体デバイスだが、材料費の負担が非常に小さいはずで、情報処理に質量はごく少量しか要らない。極限は1bitの記憶に電子1個で、一説によると可能らしい。

情報処理と同様の価格低下を材料費(質量)を要求する製品に期待するのは単なるバカ。(←本駄文の裏で動いているOSにより使い切れない財を成した方) 動力(パワー)を取り出すには手段手法に関係なく質量が要る。 〇×△マンセ~→速攻で材料費を計算。マンセ~プロパンガンダ期(税金GETが至上命令)が過ぎた頃に使用材料質量は公表される。傍観者の推定値と大差無しだったと記憶。

 

オマケ 貴金属 裏などとっていないうろ覚え 夢の中に出てきた話かな?

自動車屋は、 Pt、Pd、Rhの最大需要家。Rhは用途がほぼ触媒限定で価格変動が大きい+Rh抜きでのNOx処理は現状では不可能。質量あたり価格は最大の工業材料。触媒内製はほとんどのカイシャでやっている。内製部門は少々特殊な立ち位置のようで、研究部に「営業部長」とあだ名されるオジサンがいた。毎日のように探り入れ+売り込みに来る。

貴金属に関してはジャストインタイム(在庫ゼロ)はありえずそれなりの在庫をもつ。在庫コストは無視できるが在庫無しリスクは無視できない。「在庫」は「現物として所有」を必ずしも意味しない。

換金可能性の大きい(売却容易+換金コスト小)モノを持つと価格変動に乗じて儲けたくなるのはカイシャ=人間の性で、転売ヤーもどきをやる社がある。某社はPdの価格の読みを誤りとんでもない大損を出して購買担当重役の首が飛んだ。Pd触媒が流行りだした頃の話。中にはPd+RhのみでPtなし、なんてモノも存在した。極一部にPdオンリー触媒が存在したようだがNOx転換性能不十分につき「なかったことにして」サッサとヤ~メタ模様。

 

カイシャ=人間 の解説 

〇〇社と致しましては~と言われた時は、「誰だ?誰だ??誰だ???」と(口には出さずに)三唱する。カイシャは法律上「法人格」なるものをもつようだが、これは便宜上の扱いで実体はどこかの誰かである。バーチャルな「組織」なるものがモノを言ったり意思決定をしたりするワケがなく、個人として逃げを打つ場合の常套句。責任を持てない、責任能力がないなら黙っているか退場すればよし。「〇〇社と致しましては~」と言えるのは社長だけ。

 

オマケ 一番安い工業製品 ¥/kg

「無添加天然物」だろうが一切区別せず、世の「製品」「商品」は全て工業製品と考える。入手までの過程で、何らかのいわゆる「工業製品」が関与している。古典的〇次産業とかの分類だけでは実態をカバーしていない。

一番安いのは水道水で、上下コミコミで地域によるが

0.2~0.3 ¥/kg

程度。これ以下のモノは存在せず、タダでも引き取り手のない「ゴミ」「逆有償物」

 

再エネ、否定はしないがマンセ~はバカ。「再生可能」なる甘言にはウラがある。何がしかの形で有用な(¥になる)エネルギー(工学的にはエクセルギー)を取り出す、保存するには何がしかの設備が要る。燃料代タダでも設備が永遠に使えるワケがなく、使うだけノーメンテならわずかな時間でゴミ(負の価値をもつ逆有償物)になる。銭勘定すれば大損だがつい最近までチョウチン持ちだらけ。分かっていながら知っていながらやっていたか(煽らないと記事にならない=商業的価値を認められない=給料、原稿料等にならない)正気だったのか定かではないが、まともな議論がされるようになるまで30年はかかっている。

「設備」は「自然再生」するワケね~

2022年 国営放送【パネルの処分費ガー】 何を今更、使用済み=負価値になる新品には処分費1~2割上乗せ 難処理物(モノを買うときには最初に警戒すべし)は更に上乗せ 

2023年 史上最大の技術詐欺 アレが飽きずに沸いてきました これで何回めで何年先延ばしにした?  〇〇の話は毎度避けて通ります

ゲスはこの辺の事情は変わらないと予測。希望的予測ばかり流されるのは大本営発表プロパガンダの類だから。結果的に扇動が銭の原則に勝った試しがない。万年行事は何十年となく続いていて、「またかよ~」 ここは大昔の他人の意見の受け売りだが、外れたことがない。

材料、輸送、製造等含め、化石燃料代替がどこまで可能か、誰か検証したの?時が経てばモノは必ず機能性能その他が劣化するので常に製造更新廃棄が必要。税金ないしは類似の強制取立金を注ぎ込まないとすぐ失速するのは、根本的欠点を抱えている証拠。現状は寄生虫レベルで、化石燃料に寄生することで存在しており再エネだけでは経済的に自立できない。化石燃料の効能が大きすぎるとも言える。過去の遺産に乗っかって食いつぶしているから当然と言えば当然で、エコヲタはこのへんの事情の本質正体をえぐり出したら?成功すればハカセ号は取れるかも?だが誰もが分かり切った事実の再確認に終わり商売ネタにはならない気がする。1バレル何ドルになれば・・・は無意味な皮算用。燃料代だけが変わって他の周辺条件が不変とする皮算用で、イマの「付加価値」なるものの基盤となっているモノは何?と考えれば皮算用は・・・

 

昔、某社が「燃料の製造工程まで含め最小CO2排出になるオクタン価はRON=95」なる発表をしたことがある。コスト(価格ではない)には触れていなかったと記憶。客からすれば目先の銭効率以外はどうでもいい事で、

「RON=100入れれば、レギュラーの燃費スペシャル仕様に燃料代+動力性能で圧勝!」

ぐらいが作れないと振り向くことはない。オクタン価は石油業界の思惑(商売)がからむので、一筋縄ではいかないようである。欧州がRON=95だから日本もこうしろ!はノッキングに策なしのエンジン屋のマガママに過ぎず、例えば米国レギュラーは実質日本と同程度(強いて言えば+α)のオクタン価。¥/kmで儲からない限り聞く耳持たないのがフツウの人。

タダでオクタン価アップができるワケがなく、無過給ハイオク仕様(圧縮比&点火時期はハイオク前提)は¥/kmの取り代がないことは明白。WOT性能差はわずかで、レギュラー仕様(圧縮比&点火時期はレギュラー前提)を排気量アップでハイオク仕様と動力性能を揃えてもハイオク仕様は¥/kmで負ける。

有鉛ガソリン禁止~無鉛ハイオク出現の空白期の古文書はハイオク化を過大評価(マンセ~)していてビックリする。古文書時代と違うのは、各気筒独立噴射による気筒間空燃比ばらつき低減、空燃比精密制御、点火時期のマップ制御+ノックコントロールでアバウトな機械式点火時期制御の点火時期マージン(マージンには裏で気筒間空燃比ばらつき、点火時期自体の機械的ばらつきが含まれる)が全部なくなった。ピンポイント固定条件で評価すれば何も変わっていないが、大量に販売する(=使われ方が特定できない 市場ばらつき全てを把握できない)「製品」としてみた場合のハイオクレギュラーの性能差が縮小している。無過給に関しては「ハイオクマンセ~」は違和感がある。昔の「ハイオクマンセ~」には、ガソリン品質実力(オクタン価、その他性状)の影響も当然あるはずだが調べる気もその手段もないので横に置いておく。

と書いてwikiを見ると

1965年 JIS規格レギュラー最低RON 80→85

1986年 JIS規格レギュラー最低RON 85→89 

1987年 無鉛ハイオク発売開始

とあって古文書の「ハイオクマンセ~」もなんとなく納得できる。1986年のある日を境に最低オクタン価実力が85→89に上がることなどありえず(1986年を境にレギュラー仕様の圧縮比が急上昇した痕跡は全くない)

市場実力を追認する形でJIS規格を85→89

が実態のはず。

オクタン価アップ要求がある+四エチル鉛に代わるオクタン価アップの手段と生産設備が出揃ってレギュラーの実力は規格改定前に予め底上されていた。

と書いてから自技会875205を見たので引用する。

昭和61年12月4日、通産省は自動車ガソリン及び軽油にかかわるJISを12月1日付で改正する旨官報で公示した。これは現状においてJIS規格と品質実態がかい離するようになってきたことと、諸外国規格との整合性などを考慮したものである。出典:石油資料月報 vol31 No12(1986) p42

 

オマケ 点火時期ばらつき

むかしむかしはクランク角センサとは称しても、クランク角はカムからとっていた。ディスビに内蔵するのが最も安直でエンジン本体は無変更でできる。これは精度がイマイチ。クランク角センサが本当のクランク角センサ(クランク軸に信号プレートを直付)になったは、1990年代半ば以降。理由は米国OBD2の失火診断。特定気筒が失火するとその気筒の膨張行程の所要時間が延びる。特定クランク角を通過する所要時間を使って失火を判定するが、カム軸から取る方法ではチェーンorタイミングベルト分のアソビ、ディスビ内蔵なら駆動ギヤのバックラッシュが追い打ちをかけて精度不足。イマドキの点火時期は調整不要、ECUをいじらない限り変更は不可能。

オマケ 欧州のRON=95の勘ぐり(何も調べてない)

欧州=環境先進?はステレオタイプなエコ厨の見方で、排気規制強化が米日(*注)と比較して10年単位で遅れていた。1990年前後でも触媒無しで売れた国が結構あった。某社の略称は「欧州非排対」でイマドキのエコヲタなら発狂しそうな呼び名であった。EUROナントカ統一規制発足前で規制は国ごとに複雑怪奇。全容を把握していた人間はJPN OEM各社1~2名では?米日並の規制強化開始時期と無鉛ハイオク出現時期が重なっているので、この機会に実質最低RONを95に引き上げた?←業界圧力or業界協調

 *注 

JPN1978年規制は、「世界一厳しい」と言われたが、10年を経ずに実勢は逆転している。走行距離当たり排出量の規制値が揃ったのは、USA1994年型あたりと記憶するが

・走行モードが違い、JPNモードは低負荷走行。10モードは暖機終了後から測定開始で、冷機始動の11モードは始動後アイドル時間が長い(51秒)+規制値自体が緩い。

・耐久距離が長く、法規上も明文化されていた。JPNの耐久要件は30000km?で短い。

・市場サーベラーンスがある。EPA/ARBによる市場サーベランスは1979~、EPAによる規制オーバー車のリコール命令は1981~らしい。

等の違いで米国規制対応に主軸が移った。ガソリンでの話で、ディーゼルのこのへんの空気は知らない。

規制強化の「最終」は?健康影響の定量評価は不可能で、

「技術的に経済的に到達可能な極限」が答え。過去の功罪はさておき、一度決めると周辺情勢が変わっても見直しをしないor遅れるのは日本人の悪癖。

 

オマケ 

「現在のガソリンエンジンは、ハイオクガソリンを必要としない」 無鉛ハイオク出現時、某社取締役発言

発言の場、文脈は忘れた。意図も不明だが勝手に意訳すると、

・現在のガソリンエンジンは、無鉛レギューラーガソリンに適合した圧縮比、点火時期になっている→ハイオク入れても無意味

・クソ高そうな物売って余計な仕事増やすな!(当時の価格差がどうだったは忘れた)

舌の根も乾かぬ内、某社もターボエンジンは次々とハイオク指定に切り替え。ガソリン代以外はタダで2割パワーアップはオイシイ。

 

トレースノック点火時期は、ある外気温度等の条件でわずかにかすかにノッキングが出る状態である。某社では出力測定の標準条件とは異なり、点火時期設定環境条件はより厳しくしていた。△△℃、?mmHg H2Oだったとキオク。過去形なのはイマドキどうしているのかは知らんから。「条件厳しすぎるんじゃないの?」は当時のスケベ根性だったが厳しすぎることはなかった。ノックコントロール無しでしばらく乗り回した結果、

「まあいいところを突いている」 

冬場の晴れた日はノッキングしやすいとか(*注)、いろいろ考えるとあのぐらいにしておくのが賢明。昔のノックコントロール無し仕様は、トレースノック点火時期にセットできず◎°リタードさせてマージンとしていたが、あのぐらいで正解。無過給超高圧縮比、過給高BEMPにしたらどうなるか知るところではないが、環境条件、ガソリン性状(RON、MONは指標の1つにすぎない)、劣化、各種ばらつき等に対する「感度」が気になる。ノックリタード量最大値のモニタープログラム(ECUに常時最大値を上書きして記憶)を仕込んでおけば、開発中は「このぐらいならいいか」の判断ができる。山ほど売った後では役に立たない。

*注

本件、低外気温を甘く見て(無視して)標準外気温以下での点火時期適合手法、適合基準不良の可能性がある。標準外気温(通常25℃)以下では、無過給WOT吸入空気量はどんどん増える→全負荷ノッキングは(空気量だけから言えば)厳しくなる。-30℃になれば全負荷空気量は2割増える。点火時期マップの一番上(高負荷側)は、標準外気温の空気量最大値の点火時期で止めているものばかりだった気がする。標準外気温の全負荷点火時期=5°ならマップの負荷軸の一番上まで5°のまま。25℃と-30℃、等点火時期で全負荷ノッキングはどちらが厳しいのだろうか?吸気温度低下により(ノッキングは楽な側)吸入空気量=燃料噴射量アップ(ノッキングは厳しい側)の影響を全ての外気温度等の条件で上回る証拠があるなら文句はない。0次近似的には、

-30℃では 圧縮圧力:変わらず 圧縮温度:下がる → バンザーイ ♪

は早計で、外気温-30℃では無過給WOT吸入空気量=燃料噴射量=発熱量が2割増える。温度下がるから楽なのだ~は回転・負荷(吸入空気量)が同じという前提条件がある。

フツウの神経の持ち主は吸入空気量に対する特性を率直に延長するはずだが。低外気温のとき進角したければ、その要求を別演算して補正するのがマトモなやり方と思われ。イマドキは外気温(吸気温)センサは100%標準でこの辺をどうしているかは知らない。 

 

 

8 幻の「中央値品」 不毛な「中央値論議」?

工業製品には「バラツキ」なるものが付いて回る。某社の方言(?)が「中央値品」であった。

「中央値品」を寄こせ!と言うのは簡単で、試作票に「特性中央値品」と文学的に書くか「特性ばらつき規格の〇〇%以内」と書くだけ。

「中央値品」で思い出すのはINJとAFM。空燃比の話になるとついて回り

・合っている 合っていない

・中央値だ 中央値じゃない

を先住人は年がら年中やっていた。当方は別部署から移住間もない頃で、そんなに「中央値品」がお好きなら

「中央値品」「特性中央」と書いたブツを「中央値品」と定義し、マジックor電気ペンでじゃんじゃん書けばいいじゃん ♪

は冗談。

大上段風に言えば

① 全域性能マップ上での、市場の空燃比偏差が最小となるようにECUデータを設定する 

② サプライヤーは、規格に入っていればよしとするのではなく、規格中央値に平均値実力を近づけるように作り込む。この辺の実態・難易については知らない。

ユーザーの立場からすれば、燃料噴射系については「平均値」が合っていれば有難い。分布がランダムではなく例えば正規分布ならもっと有難い。

となるのだが、ゲスとしては「実力」も気になる。

「濃いの薄いの一生言ってろ~」(と口には出さずに)やったことは、

① AFM、INJのデータ(データ付きで納入)を、「リッチ」「リーン」「中央」でグループ分けし、INJは4気筒なので各4本揃える

② AFMリッチ+INJリッチ、AFMリーン+INJリーン、AFM中央+INJ中央 の組み合わせでデータ採り

結果は当然の結果が得られ、「中央値」を信用することにする。バカらしいと思うのは自由です。

後日担当が変わり、後任者はまた濃いの薄いのをやり出してROMをいじった模様。どちらが「正解」だったのかは闇の中。真相は市場が知る、では始まらないから何らかのルールの下で適合するのだが・・・(以下省略)

オマケ

AFM(熱線式)には部品単体特性だけではなく、「吸気系との組み合わせ」問題がある。↓はM社2014年資料。名称は「流量計」だが本質は「局所質量流量計」で [ 局所流速×局所密度 ] を計測している。

当時の某社ではどのような事情か知らないが、似たような車型(傍目にはエンジンルームの後ろだけが異なる商品でエンジンも類似)でも全てエンジンルーム内部レイアウトが異なり、吸気系は専用で互換性なし。吸気系違いに対応するAFM側の手段と思われるのが整流ハニカム。↑の数年後、部品担当者の机に転がっていたのを見かけ、B社サンプルとのこと。特異吸気系の某エンジン用にパクリの結果効果テキメン。AFM出力電圧がキレイになりウソ成分が乗らなくなる。ハニカム高さは10mmほどあったと記憶する。格子サイズは数mmで触媒担体ほど細かくはない。旧AFMに付いていた「虫よけ金網」はクソの役にも立たず。ハニカムは整流しているだけで脈動成分は正直に出る。脈動を殺すが同時に応答を悪くするのが従来のバイパス式AFM。

イマドキAFMはスロットインタイプになって素子+回路基板+コネクターだけになり「筒」がなくなっているので、このへんをどう対処しているのかは知らない。「AFM大カイゼンにより対処不要」or 「やるだけやったのでOEM責任で挿入部周辺はヨロシク」のどちらかが実態のはずだが前者は無理筋。

乗用車ディーゼルにAFMが付いたのは、1995年頃。当方のかかわりはゼロだが、ディーゼル部落が急拡大したのを覚えている。当時は副室式でBOSCH分配式噴射ポンプだが、規制強化のためと思われ。AFMが付く前のWOT黒煙は「標高〇m一品仕上げ」で、高地では100%黒煙モクモク 。噴射ポンプを再調整しない限りそうなる。

「平均値」「ばらつき」に対する要求は当然ながらモノ毎に異なる。ガソリンのオクタン価は「大きい分には無問題」「規格は要求下限値」なので、市場平均>規格値 になるのが正常な姿。

 

 

9 無過給で体積効率100% 市販車で最初に到達したのは何?

知る限りでは、2.3-16 (1986年) Kジェトロの空気計量プレート(機械的に直接燃料流量を制御)で吸気抵抗は不利ながら到達。「抵抗」と書くとクソ馬力愛好家は眼を剥きそうだが、パワーロスは「わずか」だったはず。エアクリーナーを外すと計量プレートが出現するが、爪先でわずかに触れる程度の力でも驚異的滑らかさで動く。キャブレターに見切りをつけた時期と重なり、各社お盛んに吸気ナントカsimulationの類をやっていたはず。数年で各社似たレベルに追い付いて10年後には無過給の「高出力版」が商品として無意味になり消滅。無過給ならタダ同然の排気量アップで ♡

「排気量アップはタダ」

「気筒数変えなきゃタダ同然」が共通認識で某社はそのように公言している。

むかしむかし某社取締役と兼坂弘氏の対談記事。

兼坂 「排気量アップはタダ」

取締役 「なんだかんだで高くなる」

このようなやりとりがあったはずである。高くなるとかウソつくな!が当時の所感で、ウソをついた理由は

「販価」

が頭の隅にあったのでは?売る側としてはこう言っておけば無難だがウソであることに変わりはない。

 

オマケ KジェトロとSingle Point Injection

Kジェトロは排気規制が緩かった+B社お膝元の欧州メーカー 日は採用例なし

Singe Point Injectionは米国発祥でキャブレーターをサックリ交換 JPNはPFIが先行して数年遅れで手を出して数年(1代限り)でヤ~メタ

JPNは目先の¥(インジェクタ―の本数が違うだけで他のデバイスはPFIと同等)に負けて中途半端である事は承知の上やった確信犯で、手を出さなかったカイシャは少数。キャブレターの欠点とPFIの欠点を合わせ持つ。何事にも欠点はあり欠点が許容できなくなればヤ~メタになるが、Singe Point Injection は担当者レベルでこうなることはわかっていた。それでも止めらないのが目先の¥とカイシャなる組織。過渡空燃比応答の悪さは解決できるワケがなく「ソコソコの¥でソコソコに作った」 クタビレルだけだから中途半端なモノは止めろ!に必ずしもならないのがカイシャなる組織と商売の論理。

 

 

10 いわゆる「研究開発費」

 「研究開発費〇〇〇〇」億とかの数字は会計上は十把一絡げで、質は問わないというか問いようがない。毎度おなじみの意匠変更も研究開発費でバンパー屋は最も型変更が多かったのでは?

某社では、

・工場試作前の予算(費用)は開発費で開発側が確保

・工場試作・生産移行の費用は開発側は関与せず(たぶん生産費用) 試作車を開発側が使いたければ別途予算を確保して台数を増やす

だったが、どの社も大同小異の扱いと思われ。開発側の人件費その他費用は、何をやっていようが「研究開発費」。新聞屋の万年行事は〇〇〇〇億マンセ~だが、100%マンセ~になるのは部門従業員の給料だけ。中身を知りたきゃイマドキはタダの特許を見よ。

オマケ むかしむかしの特許つぶし

当方は横目で見ていただけだが、某社が〇〇〇△△△△△△△なる特許を出願した。誰でも知っている部品で、小難しい話はない誰でも理解できる「アタリマエ特許」。「新規性あり+アタリマエ」が最強で、侵害を見つけるのは極めて容易。担当分野でも「コレのどこが特許なの?」で何度読んでも全く理解できない特許が世にはゴマンとあるが儲かるのは弁理士だけ。198X年、某社はマネしようとして潰しにかかるが「公知例」が見つからぬ。当時のことだから紙の山と格闘で、特許部は特許事務所に調査依頼。大昔の某国特許から公知例を見つけてきた。ど~やって見つけたのかイマでも???電子データベースぐらいはあっただろうが、明細書は全て「紙」だったと思われ。「マネ」した某社の部品は、基本機能は同じだが内部構成は違っていて性能はカイゼンされたとキオク。

クズ特許で儲かるのは弁理士だけとも言い切れず、

「これはクズ特許であるがこれにて公知とする 同等以下のクズクズ特許を出願して権利を主張するな」

の効用はある。審査請求されるのは、全出願の何%?

   

 

 

 

11 熱効率40%? 50%?

次期プリウス(2015)は、最大熱効率40%越えらしい。低位発熱量44MJ/kgで計算すると、熱効率40%=205g/kWh。直接的に計測できるのはg/kWh。熱効率%はここから計算で、T社が低位発熱量いくつで計算しているかは知らない。巨大上場会社が業者まがいのウソ発表をするとは思えないので信用すると、メインは(クルード)EGR増。これを可能にするため、いわゆる「ガス流動改善」「点火エネルギー増」。こんなものでこんなに上がるの?上がるとすればいわゆる「等容度」改善(点火後の圧力上昇波形、「燃焼重心」の改善 EGR下での急速燃焼 より高負荷高空気量まで点火時期MBT化)と、忘れがちなのが冷却損失のダウン。

160731追記

某所で見かけた某エンジンの数字を突き合わせると、熱効率36.2%=236g/kWh。T社の採っている低位発熱量=42.14MJ/kgの模様。熱効率40%は214g/kWh。205g/kWhは冗談だろうということで。

オマケ

「ガス流動改善」とあえてあいまいな書き方をした。「タンブル強化」と書かないのは、これは手段の一つであって目的(目標とするもの)ではない。最重要特性は、点火タイミング時点でどのような「混合気場」が得られているか?タンブル云々が流行りだしたのは30年ほど昔だが、誰も明示的には書かない事実は、

Bulk flowをうまく作ってやれば、制御バルブ等は不要で流量係数(出力低下)も無視できる。制御バルブを付けているカイシャが多いようだが優劣の個別論議はどうでもいい。要るなら付けるだけの話。

製品化されたのは最近のものが多いが(CFDの成果?)、タンブル流行創生期に気がついていた人間は多数いた思われる。イマドキはBulk Flowの向きを一点志向にするため吸気ポートは吸気弁まで一直線だが昔の吸気ポートはRを付けて曲がっていた。定常流量係数を上げようとするとこうなる+前例踏襲が根拠だが前例を打破するには根拠が要る。評価に値するシリンダヘッド(ノック特性=実際に燃焼させることが必須)はウオータージャケットの中子が必須で鋳物が面倒=高価で堂々巡りになる。市販品は量産対応生産技術で量産するから〇桁安い。網羅的に実機実験をしたカイシャはないと思われる。見通しのない状態で網羅的に実機実験をやると→何かを変えると何らかの変化がある・・・下手すると泥沼にはまる。元の方がマシだったなんてことになりかねない。

 

話が細かくなってくると、気になるのはエンジンで食っている電気代。エンジンで食っている電気代をエンジンダイナモ上でまかなう方法は、

① 実車相当 オルターネーター+バッテリー(エネルギー&電圧バファー用)付で、燃料ポンプとECU含めて自前でまかなう

② オルターネーターは付けるが空回り(負荷無し)で、エンジンで食う電気は完全別供給 

ウオーターポンプ駆動ベルト取り回しの関係で、オルタネーターを付けることが多い。台上実験専用新規部品を作ればオルタネーター不要だがバカらしいのでヤラナイ。

③ オルターネーター無し エンジンで食う電気は完全別供給

ハイブリッド用になれば③しか選択肢はなく、電動ウオーターポンプの消費電力は気になるところではある。

お次は50%らしいが、100%満額回答できると思っている関係者はいるわけがない。やると言わなければ永遠にやらない(禁煙とかダイエットとかと同じ話)+可能性は0ではない+50%と言えば大金とはいえないが予算が取れそう。まずは知恵+アイデア+観察眼+嗅覚+胆力、の問題。50%と言い出した人は、才子&策士に違いない。

と書いたものの、技術ヲタの立場を外れれば熱効率はどうでもいい話で、求めるは銭効率だけ。「コスパ」の「パ」は数値化困難な部分があるが、そこは感覚で¥換算するのは誰もが無意識のうちにやっている。「熱効率が悪いから〇〇は消滅した」は見方が一面的過ぎる。手段選択の当事者は(表向きは理由にするが)熱効率など気にしない。

  

 

13 要求に上限はない

燃費、排気、その他性能、信頼性、耐久性、ライフサイクルコスト等の要求に「上限」はない。例えば、何g/kWhにカイゼンしようがネンピ¥/kWh、¥/kmは永遠に【メチャ悪】なのだから、何回でも【メチャ悪】を連呼する。移動費用タダ~ 輸送費送料タダ~は高速代タダ~のプロパガンダと同じ。¥はどこからか持ってくる必要があるのでタダは速攻破綻する。耳障りが悪いから誰も言わないが、ネンピ¥/kWh、¥/kmは【メチャ悪】なのが歴史的にはフツウの状態。¥/kWh、¥/kmの「¥」は直接的燃料代だけではなくライフサイクルコスト。

¥/kWhと書いてみると、自動車用エンジンで発電したときの電気代を計算したくなる。

燃料代以外の費用は無視して燃料代だけでなんとかトントンになりそうなのは

自動車用途に課税される税金なしの軽油でディーゼルを200g/kWh程度で運転した場合(低パワー域はダメ)だけ。

 

「商売」は関心の外だが、ヲタ的な売るためのヒント→「新技術」は「オモチャ」にする。「どうせオモチャ」(disる意はない)なのだから、オモチャとして売る。マジメに銭勘定したら、当分売り手も買い手も元がとれるワケがない。

エレキはタダ~水素はタダ~に類する扇動も最近は流行らなくなった。「供給者」は誰もタダ同然で出します、余っていますとは言っていない。言っていたのはだ~れだ?いつものアソコでした。と書いたら2018年、み~んな忘れたと勘違いしたのか、再開しました。検証可能な時期にはナントカ編集長は消えています。

周りが良くなればそれ以上のモノを要求するのが世の常だが、種がないことには始まらない。口を開けてタナボタを待つのは誰にでもできるが、種を見つけて芽まで出すのは困難の塊。業務命令したところでロクな結果にならない。命令するご本人が種切れタナボタ待ちだから。