***** EPA2019 レギュラーガソリンターボエンジン×3台 *****
2019年公開分はT社2.5L(レギュラーガソリン NA)以外は
・2016 SKY-G 2.5L turbo EGR付き
・2016 HONDA 1.5L turbo
・2015 Ford 2.7L V6 turbo×2
全て「レギュラーガソリン仕様」+turbo
EPA公開データは、全てハイオク使用時、レギュラー使用時のデータを揃えている。
***** 1台目 US2016 SKY-G 2.5L Turbo *****
2016 Mazda CX9
「レギュラー仕様」だが「ハイオク入れればパワーアップするよ♡」の珍仕様。
Φ89.0×100mm 2.488L ε=10.5 DI+T/C 吸排気VVT cooled-EGR
169 kW @ 5000 RPM 68kW/L レギュラー使用時
186 kW @ 5000 RPM 74kW/L ハイオク使用時
420 Nm @ 2000 RPM BEMP=21.2bar
Tier2 Fuel ハイオクデータ (エタノール無し E0)
2016 Mazda 2.5L Turbo Skyactiv-G Engine Tier 2 Fuel – Test Data Package – Dated 03-13-19 (ZIP) (8 MB, March 2019)
Tier3 Fuel レギュラーデータ (エタノール10%vol E10)
2016 Mazda 2.5L Turbo Skyactiv-G Engine Tier 3 Fuel – Test Data Package – Dated 03-13-19 (ZIP) (9 MB, March 2019)
高負荷側のデータは
High Load Initial
High Load Final
の2種類があるが、全て「High Load Final」 を採用。「Final」は一般的な定常データと同質。
BSFCマップレギュラーE10
BSFCマップハイオクE0
2000rpm BSFC
ハイオク/レギュラーBSFC差の原因は点火時期のみ。
WOTでハイオク/レギュラーのBSFC/トルクが同じなのは点火時期(と空気量・過給圧)が同じだから。WOT点火時期を同じにする理由は関知しない。結果的にWOTでハイオク/レギュラーのトルクは揃うが(「制御」その他の事情により)オクタン価からは儲けうるハイオク時のBSFCは捨てている。
λ=1のままトレースノック設定にして、WOT=21barでハイオク/レギュラーを揃える。↑を眺める限りではなんとかできそうに見える。「なんとかできそう」の判断基準はどこかに書いた「λ=1領域のBSFCの傾斜」 ハイオクのWOT近傍の急傾斜はレギュラー用点火時期にリタードしている(加えて〇印は全負荷増量が入っている)からで判断に使えない。
WOT=21barで
レギュラー 290g/kWh
ハイオク 265g/kWh
になる。ハイオクWOT点火時期をトレースノック設定にしてWOTトルクを揃えた場合ハイオクは最大過給圧が下がる。
排気温度マップを眺めると、排気温度で増量域の察しがつく。本エンジンの外部EGRは排気温度低下が主目的で影響が重なる部分が多いが、自称「リッチもリタードもやっていない」SKY-G 2.0は外部EGR無し。リッチにすると等高線が大変形=地形が大変形する。等rpmで負荷を上げると排気温度が下がる点がある。λ=1かつEGR無しなら、0次近似的に等排気温度線は等パワー線になる。
【ベンチマーク帳】を用意する
最適燃費線上のkW/L~g/kWhグラフ。ディーゼルを除外した線の最低値を結んだ線が相場下限。
1988 OPELを残す理由は、
「全域性能で見て、何がどう変わったの?」
はいつでも闇の中だから。変化がゆっくりで1%の変化で「有意」なので30年スパンが必要。
↓は「全域性能」ではないが、運転点を最適燃費線に限定したときの全域性能になる。
気筒休止領域はグラフに記入しない。効く領域は狭いがやる理由は低kWの使用頻度+モード燃費(=カタログ燃費)の銭効率。「低kW域はエレキにお任せ」になるのか生暖かく眺める。
気筒休止効果は4barあたりまで。VWの240g/kWh等高線に気筒休止は影響しない。
「軽負荷だけに夢中」に一撃を加えたのが1997プリウスで、「軽負荷だけに夢中」時代はアイドルと5kW/L以下(ネンピの急傾斜領域)しかネンピの管理点はなく「目玉燃費率はシラネ」。夢中だった左端のBSFC急傾斜領域をHEVは切り捨てる。「切り捨てる」と書いたが使用頻度はゼロにはならず、「どこを重視するか」「短時間加速時の全負荷BEMPはバッテリーに任せるか」が違う。
フリクションをどこまで下げられるかは横に置いて、フリクションを下げていくと無負荷運転(アイドル)がどこかで成立しなくなる。ガソリンなら引っかかるのは燃焼安定性。アイドルは「大量内部EGR」で掃気もクソもない。外部EGR無しで「気筒内残留ガス率=実質EGR率」はアイドルで最大で、充填効率データ+仮定を設けて電卓で計算するとそれらしい数字が出る。吸排気弁のオーバーラップはゼロとする。「EGR率の計測値」と称するモノは、一般的にインマニCO2と排気CO2からの計算値で気筒内残留ガス分は考慮の外。
ダイナモで定回転運転を行い、空気量をどんどん絞っていけば無負荷運転(アイドル)の不成立点がわかる。エンジン軸トルク0Nm未満まで空気量を絞る。燃焼安定性がNGとなる時のダイナモ駆動トルクNm(正トルクでダイナモがエンジンを駆動している状態)=これだけフリクション下げるとアイドル運転不成立。
アイドル運転が成立していないのがガソリン2stで、アイドルは失火だらけ。回っているから「成立している」とするのはイマドキの考え方ではない。2st+直噴+HCCIで「アイドル失火だらけは解決できない」は見たことがあるが「解決した」は知らない。
【ベンチマーク帳】に US2016 SKY-G 2.5L turbo を記入
・λ=1 限界 50kW/L EGRで広げた
・20kW/L(無過給+α)まではターボの相場下限 cooled-EGR付 他ターボエンジンはEGR無し
・最適燃費線上BSFC ハイオク / レギュラー差は微小 差があるのは30~50kW/L 増量域に入ると差がなくなる
・300g/kWhとなるkW/Lに注目する 1988 OPELと同じ
運輸省届出 【全負荷諸元表】(1998にBSFC記載廃止)
***** 2台目 US2016 HONDA L15B 1.5L Turbo *****
2016 Civic 4D Touring
JPN向けエンジンと基本仕様は同一 出力トルクは大きい ()はJPNミニバン向け
87AKI 米国レギュラー仕様
Φ73.0×89.4mm 1.495L ε=10.6 DI+T/C 吸排気VVT
130 kW@6000rpm 86kW/L
(110kW@5500rpm 73kW/L)
219 Nm@1700-5500rpm BEMP=18.3bar
(203Nm@1600-5000rpm BEMP=17.1bar)
Tier2 Fuel ハイオクデータ (エタノール無し E0)
2016 Honda 1.5L L15B7 Engine Tier 2 Fuel - Test Data Package - Dated 02-04-19 (ZIP) (25 MB, February 2019)
Tier3 Fuel レギュラーデータ (エタノール10%vol E10)
2016 Honda 1.5L L15B7 Engine Tier 3 Fuel - Test Data Package - Dated 02-04-19 (ZIP) (25 MB, February 2019)
【ベンチマーク帳】に記入
高負荷側のデータは
High Load Initial
High Load Final
の2種類があるが、全て「High Load Final」 を採用。「Final」は一般的な定常データと同質。
・λ=1限界 45kW/L SKY-GはEGR入れて50kW/L
・最適燃費線上BSFC ハイオク / レギュラー差はSKY-Gより少々大きく見えるが雰囲気は似ている。BSFCで2%の差で、点火時期2~3°の差。 ハイオク / レギュラー差があるのは30~45kW/Lで増量域に入るとハイオク / レギュラー差がなくなる(SKY-Gと同じ)
・High Load Initial(踏み込み後の初期)と High Load Final(その後の定常) で増量域とその空燃比が異なる。初期はλ=1で逃げてもその後増量、定常に入ると更にリッチにする領域がある。45kW/Lをまたぐと定常BSFCは急激に悪くなる。
・300g/kWhとなるkW/Lに注目する 1988 OPELに負ける
運輸省届出 【全負荷諸元表】(1998にBSFC記載廃止)
***** 3台目 US2015 FORD 2.7L EcoBoost V6 *****
2015 F150 2WD
2.7L EcoBoost V6 2T/C 排気干渉がない
Φ83×83mm 2.699L ε=10.0
Turbocharged, direct injection, intake and exhaust cam phasing, integrated exhaust manifolds
325 hp @ 5750 RPM 242kW 90kW/L
375 lb-ft @ 3000 RPM 508Nm BEMP=23.6bar
Regular unleaded or E85 E85:エタノール85%volも対応のFFV 今回E85は不使用
FFV:企業平均燃費(CAFE)計算で優遇がある 設定車種もE85対応ガソリンスタンドも多くはない 詳細はググる
Tier2 Fuel ハイオクデータ (エタノール無し E0)
2015 Ford 2.7L EcoBoost V6 Engine Tier 2 Fuel HD1 – Test Data Package – Dated 11-27‐19 (ZIP) (4 MB, November 2019)
Tier3 Fuel レギュラーデータ (エタノール10%vol E10)
2015 Ford 2.7L EcoBoost V6 Engine Tier 3 Fuel HD1 – Test Data Package – Dated 11-27‐19 (ZIP) (4 MB, November 2019)
【ベンチマーク帳】に記入
高負荷側のデータは
High Load Initial
High Load Final
の2種類があるが、全て「High Load Final」 を採用。「Final」は一般的な定常データと同質。
・λ=1限界 45kW/L kW/Lに対しての増量率は最も少ない
・低kW/L域BSFCはビリ
・最適燃費線上BSFC ハイオク / レギュラー差 30~75kW/L超まで明確な差がついている。M社・H社はハイオク/レギュラーの差は小さく増量域に入ると差がなくなる。
・踏み込み直後は増量を減らしている。(制御内容・仕様はともかく結果的に)時間軸で目標空燃比を変える(前半薄め→苦しい後半は濃くする)のはH社と同じ。コレも骨董ネタで某社でも大昔から「仕様」として存在していた。
・300g/kWhとなるkW/Lに注目する ハイオク/レギュラー共、1988 OPELの右側を通る
運輸省届出 【全負荷諸元表】(1998にBSFC記載廃止)
FORD 2.7L ecoboostの特徴
3機種の【ベンチマーク帳】と【全負荷諸元表】を見比べる。
30kW/L(目玉の底近辺)まで、最適燃費線上のネンピはハイオク/レギュラーで、3機種とも差がつかない。負荷が低くレギュラーでMBTなのでこうなる。
F社は「レギュラー仕様」だが、ハイオク使用時は全域ハイオクbestの点火時期まで進めて目一杯性能を取りに行っている。結果はそのように見える。
M社、H社はここまでやっていない。明確なハイオク/レギュラー点火時期差があるのは低回転高負荷のみ。ハイオク使用時も、最適燃費線orWOTでは「ベース点火時期」(いわゆるマップ値)がレギュラーと同等でノックコントロールで「最終点火時期」が「結果的に」多少動くだけ。最適燃費線orWOTでハイオク/レギュラーで燃費差がつかない。
M社は「ハイオク入れればパワーアップするよ♡」 だが
F社はハイオク入れてもパワーアップは謳わない。ハイオク用最大kW公称値は存在せずEPAの台上実験でもWOTトルクはハイオク/レギュラーで同等。
ハイオク判定時は(常識とは逆で)過給圧を下げてWOTトルクをレギュラー使用時と合わせている。
点火時期はハイオク用に進めているのでBSFCは良くなる。
「レギュラー仕様」に対し、ハイオク判定時に積極的・全面的に点火時期を進めることはリスクが増える。
低回転だけ進めるカイシャがある背景は
① 低回転はハイオクマップを進めるリスクが少ない 低回転域のノックセンサによるノック判定は容易
② ハイオク/レギュラー性能差は低回転高負荷が最大 使用頻度が多い
③ ハイオクマップをレギュラーマップに対して進めた領域がないとハイオク/レギュラー判定はできない
④ ハイオク/レギュラー判定結果の「初期値」は(傍観者の脳内常識によれば)必然的に「ハイオク」で、エンジン始動後低負荷(ノック制御領域外)を保持したままrpmを上げる→高回転高負荷運転をやった場合に「高回転域のノック制御の自信の程度」が低ければ高回転域のハイオクマップをレギュラーマップに対して進めた設定にできない
M社の「ハイオク入れればパワーアップするよ♡」
ハイオク判定時に4000rpm以上の過給圧アップと高負荷点火時期進角で実施。
「オクタン価に応じて最適化」されていそうなのは
①2000rpm以下 WOTは除く
②最大kW付近
だけ。
カタログ燃費(¢/mile mile/gallon)とカタログ馬力は売り手側の立場では「最適化」されているが、「ハイオク最適点火時期」になっているのは↑だけ。高負荷域はオクタン価の差では全域点火時期を進められるが、大半の高負荷域はレギュラーと性能は変わらない。
「ハイオク入れればパワーアップするよ♡」は止められないらしく、M社には更に先例があったとキオクする。
「ハイオク入れればパワーアップするよ♡」領域のハイオクマップが進角しているかはビミョーだがデータをガン見した結果「進角している」ことにしておいた。全体の様子を眺めるだけなら↓↓の「充填効率~BEMP」で十分。
「全域λ=1」ならぬ「ハイオク/レギュラー全域best点火時期」 こちらの難易度は全域λ=1よりは低そうでF社はやっている。「やればできる」程度の話にも見える。100%やっている「ハイオク仕様エンジンのレギュラー判定時レギュラーマップ落とし」と技術的には同じ話。と書いたがキオクを掘り起こすとウラがありそう。
「ノック制御分」はベース点火時期(いわゆるマップ値)に対して進角側(>0)の値をとらずリタード側(≦0)だけの値をとると仮定すれば、ハイオク/レギュラー判定結果の「初期値」は必然的にハイオクとなる。ハイオク→レギュラーの判定・遷移はできるがレギュラー→ハイオクの判定・遷移は不可能。
判定結果を「どのような条件下で初期化するか」は「レギュラー仕様のターボ」に対しては裁量の余地がある。誰でも思いつくのは燃料レベルゲージの変化を見る。この種の小細工はスルーして、疑問点をmemoする。
「ハイオク仕様」なら、じゃんじゃん初期化すればいい。フツウはIGN KEY=OFF→ONで初期化していた。EPAがフツウに実験しているようだから、「レギュラー仕様のターボ」の判定結果も、IGN KEY=OFF→ONで初期化(ハイオクに)している模様。EPA実験は定常運転でレギュラーはレギュラー判定がいずれ入る。実車でフツウに運転すると低回転高負荷を通ればレギュラー判定。次回始動時はハイオクスタート。これの繰り返しと思われ技術的内容は「ハイオク仕様」と同じ。
IGN KEY=OFF→ON毎の遷移の頻度の違いはあり「レギュラー仕様」は頻度が増える。頻度が増えれば気になるのはノック音の発生で、ハイオク→レギュラー判定の際に(全ての系が設計・適合の前提条件を満たしている条件付きで)必ずハイオクマップの進角した部分を通過する。
ガラパゴス660cc RON91 PFI turboは、ハイオクマップ/レギュラーマップは全面で同じ値と思われる。ハイオク/レギュラー判定は実質無効。「ノック制御リタード分」の変化により、ハイオク入れれば時と場合により少々の性能変化はありうる。
Ford 2.7L ecoboostはエタノール85%のE85も対応のFFVで、
レギュラー、ハイオク、E85の全燃料・全域ベストにセットするのがお仕事。
FFVだから、何か追加センサがあるんだよ???
FFV用アルコールセンサなる物があってもなくてもノック制御と直接的関係はない。λ=1噴射量の違いは(E10はわずかな差で「ガソリン性状差」とみなせる範囲だがE85は大差)
空燃比(空気過剰率)F/Bで吸収→「学習値」として記憶
が標準の模様。
【難点満載】玉虫色無しの過給ガソリンエンジン仕様
客に判断材料を与えるのが売り手の仕事で、文芸的に字面をいじくったところで真実は変わらない。
無過給に触れない理由は、無過給ではハイオク/レギュラーの価格差に見合う性能差がフツウに見れば認められないから。いわゆる〇〇ー〇車とか¥¥¥車に残っているのは、小差しかつかないがフツウではない「常識」が通用しているからで、少々排気量アップすれば動力性能は変わらず税金を無視すれば銭効率はレギュラー勝ち。「常識」を決めているのはエンジン屋ではなく商品企画屋。シツコク書くが、「ハイオク仕様」にレギュラー入れれば無過給でも高確率で銭効率(動力性能含む)はレギュラーの負け。検証したけば「インプレ」はバイアス、先入観が付きやすいのでデータログ付でそれなりの長期継続する。
①「ハイオク仕様」「レギュラー仕様」の表看板に関係なく、ハイオク点火時期マップ、レギュラー点火時期マップは各々のbestにセット。できない理由が「ノック制御ガー」ならばサッサとカイゼンする。
②公称kW、公称トルクカーブはメーカーの裁量。ハイオク/レギュラー差をつけるかはメーカーの裁量。
③トルクカーブの調整は過給圧制御による。ハイオク/レギュラー差をつけるかはメーカーの裁量。
④「ハイオク指定」ならレギュラー入れればガタ落ちは分かり切った話で、客は非常事態用と認識することを前提にレギュラーの公称値記載はなし。「ハイオク指定」でも例えば無過給状態(W/G全開)ならレギュラーでフツウに走る適合は可能だが(低圧縮比の無過給エンジンになる)
「ハイオク→レギュラー判定」が成立するかは?
クソ馬力ハイオク指定仕様にレギュラー入れてフル加速すれば、レギュラー判定が入る前にサヨウナラ~ になるのかは知らない。
客の受け取り方は客の勝手で売り手の思惑は売り手の勝手だが、ハイオク/レギュラーbestにセット可能ならするのがお仕事で、水面下でくすぶっていそうな「ノック制御ガー」を無視すれば道具立ては揃っているように見えるが、イロイロ裏がありそう。
M社とH社の結果は、(ノック制御は一瞬かすっただけの)傍観者の脳内イメージと合う。「この程度ならできるんじゃない?」
F社の結果は「どうやればコレが成立するの?」〇〇年前なら調査の筆頭候補、と書いておく。
***** 2019公開 EPAデータ ターボエンジン×3機種 チラ裏 *****
横軸充填効率ηc、縦軸BEMPにしてみる。
エンジン技術_6 燃費の目玉(8) 2019年 EPA投下データ T社2.5L
に書いた内容と同じ。
Qa/rpm は、充填効率ηcと意味は同じで
・点火時期の負荷軸
・目標空燃比の負荷軸
になっていて、コレを横軸にすると見やすいモノもある。
BEMP~BSFCグラフとは異なり、空燃比の影響はトルクにわずかに現れるだけになり、大部分は裏に隠れてしまう。
λ=1領域でも、無過給の「点火時期リタード損失」以外にターボ過給にまつわるポンピングロスが上乗せされる。
リタードするとトルクが落ちるので、rpm~トルクマップで見ると「目標空燃比」は変えていないのにレギュラーでは余計に増量をかけているように見えたりする。リタードによるトルク落ちもフツウはrpm~トルクマップで見るので、rpm~(Qa/rpm)マップで見るよりも影響が拡大されて見える。等点火時期線がより大きく動く。
BEMP~BSFC
エンジン回転、エンジントルク、燃料流量 が元データ
充填効率~BEMP
エンジン回転、エンジントルク、燃料流量、排気λ が元データ
排気λを使うか使わないかの差だけで、読み取れるモノは似ている。
青:レギュラー使用時
赤:ハイオク使用時
λ=1領域は線で結んで、増量域は点データ。λ=1領域は、ここでは甘目に λ≧0.95 とした。NAの低中回転では、スロットル(アクセル)開度で λ=0.85 あたりにいきなり飛ばすのが常識だが、ターボでは連続的に増量率を変えるケースが多い。A/Fセンサが標準装備になったので連続的に変えるのは容易になった。
① 2015 Ford ecoboost 2.7L
排気λは左右バンクの平均値を用いる。
点火時期、過給圧の設定コンセプトがデータ上はっきりしている。ハイオク/レギュラー差の参考になる。他社はハイオク用に点火時期を進める領域が狭い。
1800~3000rpmの中間がないのは、隙間を埋めるようにデータを採っているので低負荷~全負荷までハイオク/レギュラーが揃ったデータがないためだが雰囲気は変わらない。
最高出力点付近では点火時期が同じになるが
①意図的にそうしている
②点火時期要求(トレースノック点)がそうなっている
のかは不明。rpmが上がると無過給のWOTトレースノック点火時期のハイオク/レギュラー差が詰まってくるのはほぼ事実だが
「ターボでどうなんだ?」
は知らん。「過給圧」のパラメーターがあるので、無過給WOTの特性を過給WOTにコピーするワケにはイカン。
①と②の複合で
「最高出力点では点火時期も過給圧も揃えておこう」
になったいうことにしておく。
② 2016 SKY-G 2.5L turbo
見比べると、1500~3000rpmでレギュラーの方が高トルクだが、理由は?のためスルー。?なところは他エンジンにもあるが、話の筋とカンケーないところはスルー。
←ご都合主義だが掘ったところで答えは出ない。面的に整合性があるか?が関心事。
ハイオク/レギュラーで明確な点火時期差があるのは2000rpmまで。その領域でもWOTでは点火時期を変えていない。最大過給圧を変えるのは「パワーアップするよ♡」領域(グラフでは4000、4500rpm)のみ。
③ 2016 Honda 1.5L turbo
F社とM社の中間的性格の過給圧&点火時期制御。
ハイオク判定時は過給圧を下げているのはF社と同じだがT/M保護が最優先でハイオク時のBSFCは二の次。
ハイオク/レギュラーで明確な点火時期差があるのは2500rpm以下。WOT点火時期マップは2500rpm以下でもM社と同様でハイオク用に進めていない模様。
過給圧はハイオク判定時に全域で下げている。
イマドキの「ノック制御ガー」事情がどうなのか知らないが(ガーガーは多数聞いたキオクがある)
センサ
むかし 共振型(センサ自体で周波数帯域を限定して信号処理の負担を減らす)
? 非共振型(意図的に周波数帯域を限定しない)
信号処理
デジタル処理化するには超高速サンプリングが必要で一般的エンジン制御(燃料噴射・点火)とは異質
・クランク角の入力 パルスエッジ入力→ハードタイマ(ハードカウンタ)処理 磁気センサはsin波出力でrpmが上がると出力電圧が上がるので波形整形回路(sin波→定電圧パルス)とセット
・燃料噴射・点火の出力 噴射量・タイミング演算はソフト処理→この量を〇〇〇(正式名称は知らんがいわゆる「レジスタ」)に書き込めば後はハード任せ(ハードタイマ・カウンタ処理) 点火出力(IGN COILの通電角制御を含む)も同じ
燃料噴射・点火で高速(最上位のリアルタイム性)を要する入出力部分はハード処理でA/D変換、ソフトによる処理は入力~出力の中間で介入するだけ。
古文書によるとノック制御の必要周波数帯域 5~20kHz
「サンプリング定理」によれば、元信号復元には2倍=40kHz以上の周波数が必要で周期は25μs=0.025msとなってビックリで、フツウは高速を要するAFMでもこの100倍程度のサンプリング周期とキオク。他センサは10msとキオクする。スロットルセンサは電スロ化の際にF/B性能を上げるために高速サンプリングに変えている。「基本周期」はここではキリよく10msとしたが、プロセッサの能力が許せばどうとでもできる部分なのでカイシャによって変わりうる。
ノック制御要求サンプリングレート40kHzは音声信号(音楽CD)と似た水準だが、昔のエンジン制御プロセッサに同居させるのは無理。
むかし ノックセンサ信号のデジタル直接処理は無理なので大部分アナログ回路で処理
199X 「デジタルノック」なるモノが登場 エンジン一般制御用とは別プロッセサで処理して通信で結果だけ渡す
2000? エンジン制御用プロセッサで直接処理
制御領域
~199X 4000rpm程度が上限
2000? 全回転域 某社ではこうだったとキオク
全域ハイオク/レギュラー ベストにセットしないorできないのは
「逃げを打った」
データを眺める限りではノック制御にまつわる制約は変わっていない。「自由自在にいかなる条件下でも最適制御ができるorやっている」は正確ではない。「最適」でない部分、カイゼンの意志がない部分は表に出さない。
「お前の認識は古すぎる イマドキはもっと賢くやってるのだ」との事実があれば公表されたし。今世紀中は「焼き直し」(どこかで見たようなモノ)以外を眼にしたことがない。
オマケ
2015年某エンジン 欧州仕様 ε=10.0 RON95
2016年 某車JPN向けにエンジン追加設定 ε=10.0 ハイオク仕様 CVTのみ
2018年 某車JPN向けFMC トルク、kWは↑と同じ ε=??? レギュラー仕様 6MT設定するもファイナル超絶ハイギヤード 約2100rpm@100km/h 圧縮比カタログに非掲載
g/kWhと低位発熱量非公表に続いて圧縮比カタログに非掲載 コレが頭出しと思われる
業界慣習・前例に従わずに数字を伏せる≒不都合な真実がある
修理書に圧縮比非掲載にするとは思えないので晒しage 新旧燃焼室容積晒しage 新旧ピストン部品番号晒しage 新旧ピストン冠面写真晒しage
3年の歳月がレギュラー対応を可能にした
リッチとリタードと過給圧アップ をやった。
ハード変更無しなら、RON95→91で中負荷~高負荷は必ずBSFCが悪くなる。営業圧力に負けて目先のカタログ¥/kmを取りに行った。
「レギュラー対応で公称値変わらず?ハードは変わっていないとすればリッチとリタードと過給圧アップ」
「RON95で最適燃費線はココで、RON91は必然的に低負荷側へ移動して負荷が上がるほどRON95に対しBSFCは悪くなる RON95→91で、2~3bar 最適燃費線が低負荷側に移動する」
「RON91のλ=1限界はせいぜいココ 19.5barのλ=1は無理だから全負荷増量復活」
「圧縮比カタログ諸元表に非掲載は第〇回の水面下閣議決定による 黙って下げるのに便利」
「モノ書きは餌で口封じ済で「圧縮比、リッチ、リタード、公称値」は禁句」
と詰問したくなるが利害関係者から表に出ることはない。
何をどうすればRON91で19.5barに届くんだ? ↑↑のUSAレギュラー3機種をイロイロ見比べればヒントは出てきて、もう一息〇〇して出来上がり。L4は排気干渉不利ですよ。USAレギュラーは(通説では)JPNレギュラーより若干オクタン価高いですよ。