落書き帳

あまり触れられないことに触れる
内容は備忘録のため、誤解等含め随時改変

エンジン技術_6 燃費の目玉(5) SKY-X VW1.5L T社2.5L

2017年09月17日 | エンジン・自動車

「全負荷はリキが出ればその他はどうでもEや」

 

ガソリンエンジンの「暗黙の了解事項」で、そうなる理由は全負荷(=WOT)は排気規制の枠外だから。

実害があるとかないとかは当方の守備範囲外。

 

ネタは、SKYACTIV-Xの全負荷域。軽負荷&HCCIはスルー。

L4  2L  140kW  230Nm  RON=95 クランク軸駆動S/C ε=16

MFi vol132 (2017/09)  シリンダセンター直噴 Cooled-EGR 吸排気VVT 燃焼圧センサ

電スロ後の吸気2分割とS/C、EGRの詳細関係は不明だが、「何でもできる」前提で書く。写真では判断できないが、フツウのS/Cバイパス弁と推定。

 

****以下ゲスの勘ぐり****

 

1 SKY-X  低中回転(~4000rpm)は全負荷均質λ=1が成立するか?  ←公式情報はないが、リーンブーストと仮定すると何も書くことはない

数少ない公表データ+推定を並べると↓

大トルクだけ宣伝する+BSFCマップ非公表=増量臭・オーバーブースト臭

がするモノは排除。全負荷増量、オーバーブーストをやるのは勝手だが技術水準の表現には不適切なので排除する。

過給機付きでイマドキ全負荷増量をやるとは思えないが、偶然か必然かは?だがSKY-Xも傾向線上には乗る。

SKY-X 2000rpm BSFCに数字+全負荷迄の線(赤線)を勝手に入れると↓ 

従来無過給エンジンの赤線矢印の意味は「この矢印の前後は増量域」 「前後」が赤線のどこまでに及ぶかは勝手に想像する。全ての無過給エンジンが同じことをやっているから似た形、似たようなBSFCになる。圧縮比、DI/PFI、ハイオク/レギュラー、バルタイ、EGR等、「どこをどう取りに行くか」が多少違うだけ。

 

圧縮比ε=16にする「だけ」では、SKY-Gより良くなることはない。

 

 

 

180224追記 

2016年 VW EA211 TSi evo RON95  

L4 1.5L ε=12.5 DI+TCI 吸排VVT 気筒休止 VNターボ(VG-T)

BSFCマップを拾った。

Downsized-boosted-gasoline-engines working-paper ICCT_27102016

P8より

↑は96kW版(64kW/L)で、BSFCを眺める限りは全域λ=1を達成しているように見える。全域公表データ=ベンチマーク。ウソかマコトかはともかく、どか~んと見せちゃった者の勝ち。 

従来型に対して、低中回転低負荷のBSFC改善は気筒休止、最大出力付近は増量カットによる。最大出力付近のBSFCを大幅に下げるには増量カット以外の手段はない。縦軸BEMP表示なので、排気量1.4→1.5L化はカンケーない。気筒容積アップは縦軸BEMPでの同一運転点における排気温度は上がる側でますますカンケーない。

「ライトサイジング」

なる 宣伝 or 商品最適化 or 妥協 は無視して別の部分をオモチャにする。

「技術」を見るならBEMP(bar)、kW/L以外の単位は不要で排気量は参考。「排気量選定は商品企画の重要技術である」百も承知です。

むかしむかしはBEMPは知ってはいるが日常言語ではなかったがイマドキはBEMP(bar)一本槍でNmは速攻bar換算。震源地は欧州あたりのコンサル屋と思われる。MEPは「レシプロエンジン方言」で方言単位は震源地流儀に従いbar。

何故増量カットできたのか?を知るのは中の人だけ。単独で劇的に排気温度を下げるネタはなく、「合わせ技」と思われる。「合わせ技」の中に「考え方」「判断基準」の部分もありそう。

と書いた後、↑を読むとP9に

「96kW版は全域λ=1」「最高排気温度880℃」

とある。排気温度は「排気弁出口」ではなく「タービン入口」のはずで、それでも低目な気がする。証拠のない思い込みなのでウダウダ書かない。

110kW版(73kW/L)では全域λ=1は無理筋で圧縮比を大幅に下げない限り苦しそう。110kW版があるから「全域λ=1」を公言しない、公言できないと勘ぐる。↑の著者はVWの中の人ではない。何かの団体、部品メーカー、エンジニアリング会社(請負屋・コンサル屋)等の模様。第三者でないと「全域λ=1」と発言できないのだ。この程度の出力差はなんとかなるワケがなく、わずかなパワーアップでも排気温度はモリモリ上がる。目一杯攻めた結果が↑の96kW版のBSFC。

JPN大型トラックの同一エンジン出力違いはECUのROM違い(過給圧違い)のみで作り分けしているらしい。「商売道具」用途なら要らん馬力に¥は出さない。ディーゼルならアリだがガソリンでは排気温度+ノッキング&プレイグが壁となって高出力版は増量とお友達になる。増量と縁を切るには、高出力版で全域λ=1にできるまで排気量アップするしかない。1.5L×(110kW/96kW)≒1.7L必要。排気量の作り分け、排気量の1.7L化をやりたくないからROMは分けて高出力版は増量する。排気量アップは軽負荷(低パワー)燃費が不利。ROMだけで仕様を分ければコストは最小。ECUハードとソフトを別部品として扱えば、ECUハードの部品番号は1つで済む。

2000年頃にはマイコン内蔵フラッシュメモリー(フラッシュROM)が当り前になり、ROM変更ごとき(とあえて言う)でECUハード丸ごとゴミ箱行きになるマイコン内蔵マスクROMはメデタク過去の遺物となった。マスクROMはチョンボのダメージと生産リードタイムが大きすぎる。あいまいな記憶によればリードタイムは2ヶ月。2週間とか2日ではない。ECUをリビルトする、いやできない・・・と小耳に挟んだことがある。結局どうしたのか、表面実装(だったはず)極小ピッチのチップを外して別チップを装着できたのかは知らない。ROMなんぞ外付けEPROM(容量と価格が論外だったEEPROMには非ず)でいいだろーと言いたくなるがサブ基板+EPROM分コストアップする。結果的に内蔵マスクROMと外付けEPROMのどっちがお得だったのかは闇の中。

最大出力点BSFCは1988年 OPEL C20XE 300g/kWh(56kW/L)から240g/kWh(64kW/L)まで下がった。1988年 OPELの数字は当時はビックリ物で、全負荷極力リーンセットの結果。「リーンセット」と書いたがここでは相対的な意味で当然のλ<1。BSFC 20%ダウン≒増量カット分と考えても数字上の辻褄は合う。ガソリンエンジンの全負荷BSFCの大筋はコレ。加えて低回転ほどノッキング(トレースノック点設定による損失)の影響が大きい+低回転ほど冷却損失が大きい。

96kW版に関しては「高速高負荷燃費が悪い」とdisるワケにはいかない。BSFCヲタは、最大出力点で240g/kWhを切れなければガラクタ+クソ馬力の烙印を押す。←ほとんど全てのガソリンエンジンが該当する。クソ馬力を排除すると小排気量車の動力性能が成立しない、販価がとれなくなる、売れなくなるぅ~ 中の人は脊髄反射をしそうだが、「暑苦しいのは嫌い」なだけの傍観者にはカンケーない。

 

180810追記 ゲスの勘ぐりはハズレ?

96kW版/110kW版の仕様が判明。自技会誌2018/08、p108。

動弁系は気筒休止付き 吸排気VVT

λ=1限界BEMPにVW110kW版を追加すると、相場上にある。最大出力点(排気温度が制約)はともかく、最大BEMPのλ=1は成立するはず。

自技会誌2018/08、p108には「110kW版のみ全域λ=1」とあるが、誤記or誤解と思われ。

①↑の96kW版のBSFCを眺める限りは全域λ=1

②排気温度の絶対値はともかく、限界排気温度差170℃と圧縮比差12.5→10.5で、110kW版の全域λ=1は何とかなるのでは?

③自技会誌記事の原典(らしきPDF タダで拾った)を斜め読みする限りは、「96kW版/110kW版とも全域λ=1」と読める記述をしている。

Careful configuration as a λ=1 concept means that both power variants offer consumption benefits across the entire engine map.

The TSI evo combustion process permits an air ratio of λ =1 with a maximum exhaust gas temperature of 880 °C across the entire map.

The conventional EGT with wastegate and electrical actuator is conceived for exhaust gas temperatures of up to 1050 °C, enabling λ=1 operation at all times here, too.

110kW版は「目玉の深さ」はフツウの結果になるが、73kW/Lまでλ=1はおそらく世界記録。

2015年、エンジン技術_6 燃費の目玉(2) 過給ガソリンエンジン「最大パワー点の増量無し一番乗りは誰になるか?」と書いたが、実質タッタ1年で出現した。技術(¥の話を含む)+クソ馬力の誘惑の壁の高さ(燃料代以外はタダ)を考えれば、「タッタの1年」 久々の黒船来襲。

泰平の眠りを覚ますλ=1、タッタ73kW/Lで夜も眠れず ♪

泰平の眠りを覚ます高温排気、タッタ1050℃で夜も眠れず ♪  

増量ヲタの過給ガソリンエンジン分類は以下とする。〇×ガー、商品力≒便益/費用にはカンケーない、とかの話はスルー。

 

松: 全域λ=1 増量無し

竹: λ≧0.9  従来の世間並 最大出力近傍のみ最低限の増量 これ以上増量すると排気温度は下がるが空気量を増やさない限りパワーアップしない 

梅: λ<0.9 排気温度を下げる→CO+HC+H2出し放題で出せるだけ~のクソ馬力 kW/Lで一発判定

全域λ=1達成は面倒だがヤ~メタは法規制はないので簡単で、動向は生暖かく眺める 。空燃比は汎用ツールで表示する義務があるが、λ=1領域を認証資料に書け!とは要求されていない(はず)

 

 

 

2 SKY-X  2000rpm 全負荷 【225g/kWh、13.6bar】 の皮算用 

 

全負荷は均質λ=1と仮定する。 ←公式情報はないが、リーンブーストと仮定すると何も書くことはない

比較のベースはSKY-Gの目玉の底 【225g/kWh、7.5bar】 SKY-Xは全負荷以外は見ず比較のベースにはしない

動作上・ハード上の差異を列挙  ↓はBSFC悪化 ↑はBSFC改善側に働くの意味

↓↓ S/C駆動パワー

↑  軸トルク(図示トルク)アップによるメカロス割合減 冷却損失も減る側

↑  ポンピングロス減 S/C駆動仕事の一部はクランク軸に回収される

[↑]  [ Cooled-EGR(リタードロス減 冷却損失減)] ←SKY-Gの目玉の底【225g/kWh、7.5bar】はMBTなので[]付き

[↑]  [ S/Cによる強制掃気(リタードロス減)] ←SKY-Gの目玉の底【225g/kWh、7.5bar】はMBTなので[]付き

? ディーゼル風シリンダセンター直噴

? 圧縮比 「基本骨格を変えない」条件下では、効かない領域に入っている HCCIのための圧縮比

 

S/C駆動ロスがあるので、全負荷リタードロスはSKY-G(λ=1)の10%(11.2bar)に対して大幅に下げなければ【225g/kWh、13.6bar】は出ない。

SKY-Gもリタードロスがなければ(MBTが取れれば=点火時期変更だけで)、

2000rpm全負荷λ=1で 【12.3bar(=11.2bar×1.1)、225g/kW/h】

になるということ。

目玉の底では内部EGR効果ガー、ポンピングロスガー、メカロス割合ガーとかのコマゴマしたことを言い出すとキリがないので目玉の底を横移動させるだけで済ませる。これが0次近似で、大泥棒は点火時期リタード、その他の雑魚は無視。雑魚3匹はBSFCに影響する方向は同じにならず打ち消す向き。

グラフに描くと

テキトーな絵だが、類似品を世間で見かけない理由は、

・超ハイオクタン燃料はクソ高い→ハンコ押してくれない→MBTまで点火時期を進めたデータは採れない(ハンコ要らずで燃料が入手できればこっそりやるが・・・)

・定性的には分かり切ったことなので誰も描かない+絵を描くと細かいところをゴチャゴチャ突っ込まれるのが面倒なので誰も描かない

むかしむかしの圧縮比フツウのレギュラー仕様にハイオク入れて点火時期を進めて全負荷λ=1にすれば、似た感じのBSFCカーブになる。BSFCマップに目玉はできず、全負荷を突き破った半目玉になる。圧縮比フツウ(できればフツウーαまで下げればよりはっきりする)なら、フツウのハイオク程度で「全負荷で最低BSFC」

わざわざデータを採らなくても、マトモなターボエンジンの無過給全負荷(ゼロブースト)より下のBSFCを見ればわかる。「マトモなターボエンジン」の脳内定義は「全負荷増量無し」(現状はせいぜい4000rpm止まりだが)。この程度の圧縮比で無過給λ=1なら、全負荷で最低BSFC。低回転がダメ?排気をスカスカに抜いてやって点火時期を進めれば、なんとかMBTらしくなると思われ。

無過給全域λ=1で、目玉の底から負荷を上げるとBSFCが悪化するのは点火時期リタードによる。無過給に限定したのは過給機駆動損失ガーを排除するためで、過給しても筋は同じ。超ハイオクタン燃料を使った実験結果は大昔の米国の研究者の実験があるらしいが、古文書を掘り出すまでもなく

・↑に列挙したように、状況証拠が揃いすぎている

・どこをどうほじくり返しても、説得力のある(第三者が検証可能な)ヘリクツなり証拠なりが皆無 BSFCが悪くなる理由がリタード以外にない

 

SKY-Xの「開発目標」は、全負荷リタードロス=0=MBT??? 達成すれば前代未聞。

2000rpm全負荷ではS/Cは掃気&EGRブースト(ノック特性改善)がメインで吸入空気量アップはオマケ、SKY-Xは全負荷ミラーサイクルではないとの仮定のもと、バルタイ(実圧縮比)は無視して(SKY-G λ=1全負荷と「同等」として)超アバウトに過給圧(より正確には新気密度・酸素密度)を皮算用する。要求過給機仕事(過給圧)の最小を見積もる。

SKY-G λ=1全負荷  MBT  12.3bar  225g/kWh

SKY-X λ=1全負荷 MBT   13.6bar  225g/kWh

13.6bar/12.3bar=1.1倍 の新気密度(酸素密度)アップ

+EGRブースト分 のS/C駆動仕事上乗せ(吸気量アップ)で足りる。

この最小限の過給機仕事で、結果的にS/C分ロスを吸収して225g/kWhが実現するか?は見積もりできないので省略。 ↑ に書いた損得関係比較(SKY-X全負荷とSKY-G目玉の底)に戻る。「SKY-G目玉の底に戻る」理由は、

SKY-G λ=1全負荷  MBT  12.3bar  225g/kWh

は不確定要素を含むから。データを取得して(超ハイオクタン燃料で点火時期をMBTまで進角して)尻尾を押さえない限り確定点にはならないが、

SKY-G λ=1全負荷  MBTはこの辺のはずだから、リタードロス≒0でないとSKY-XはS/C駆動の原資が出てこない。← 外堀は埋まった~意味するところは自由にご想像ください

未知数だらけだが、リタードロス≒0でないと均質λ=1で 225g/kWh(13.6bar)は出ない。

 

 

3  SKY-X  最大出力点 70kW/Lは均質λ=1か? ←公式情報はないが、リーンブーストと仮定すると何も書くことはない

BSFC MAPにg/kWhの数字、全負荷トルク、λ=1領域を勝手に入れると

SKY-Gの全負荷BSFCはウソで、「誰も見ていない真実」は、

エンジン技術_6 燃費の目玉(4) SKY-G EPAデータ

EPA実測値

http://glanze.sakura.ne.jp/skyactiv_g_2.html

190203 SKY-G 追加情報

エンジン技術_6 燃費の目玉(7) 2018年EPA投下データ SKY-G 

↑のSKY-GのBSFCマップは左上が全負荷を飛び出している=自らウソで~す、と宣言している。全てのガソリンエンジンが苦手な低回転高負荷があのBSFCになる、全負荷を飛び出して中負荷のBSFCを維持し続ける理由・技術内容を述べよ→何もありません。

SKY-Xが ε=16で70kW/Lまでλ=1なら、増量ヲタ的には「革命」

やればできる程度の話なのか、他に新ネタを仕込んでいるのかは?とあいまいになるのは、排気温度(高温側)が制約条件で排気温度の定量的な見積もりは無理+「排気温度限界規格」なるものは存在せず各社の考え方&判断で変わる。(社内基準は存在する)←要は「もてばイイ」で、どのような条件下で「もつようにするか」は各社の判断による。

T/Cに対してクランク軸駆動S/Cが排気温度、ノッキングで有利な要素は、

・排圧が低い→掃気が効きやすい→仮想MBTに近づけやすい(排気温度は下がる側)

・排圧が低い→排気弁を出た時点の既燃ガス膨張比が大きい(排気弁閉→開で圧力がより大きく下がるので排気弁を出た直後の排気温度は下がる側)

以前エンジン技術_11 過給エンジンの吸排気弁オーバーラップ中の掃気に書いたが、「掃気」をやるにしても際限なく吹き抜け新気量を増やすわけにはいかない。

・プラスCooled-EGR(EGRブースト)で何とかなるのかな~

仮に全負荷最大出力点でλ=1なら、1997年Prius(2015年の4代目まで継続)に次ぐ2例目。と書いたが実は

↑の2016年 VW EA211 1.5L 96kW版/110kW版が全域λ=1なので3例目。

 

 

4 【リーンブーストと仮定すると何も書くことはない】について

全域リーンブーストなら、ストイキ運転にまつわる問題点・制約がなくなる。排気温度がドカンと下がり、ディーゼルと似た水準になる。面倒なリーン⇔ストイキのSTEP的な切り替えもなくなる。排気温度が下がりすぎると触媒活性ガー問題になるが、ディーゼルとは異なり「ストイキ耐性がある」「昇温のためストイキにできる」とだけ書いておく。同一rpm&torqueで空燃比が変わると、EGR無し二次空気無しMBT前提ならストイキで排気温度は最大。

酸化触媒だけで済めばRh不要でコストダウンと思うのは早計で、冷機時がダメ。冷機ストイキ運転でNOxはモリモリ出る。

冷機→暖機の切り替えは1回なので、冷機ストイキ→暖機後リーンブーストの切り替えは簡単。多少ショックがあったとしても、ドライバー様へのお知らせ~で、アクセル開度ゼロ(燃料カット)の時に切り替えれば全くわからない。←大昔から「切り替え」の定石で新規性はない。燃料を吹いていないときに「モードチェンジ」「状態遷移」をする。

暖機後にストイキ領域があると、NOx出し放題をやらないbest仕様は、

A/F=14.7 ⇔ A/F=30 

を瞬時に切り替える必要がある。EGRを入れてもコマゴマした話を全スルーすれば、A/F=30がG/F=30(GはGas=AIR+EGRの意)になるだけ。AIRリーンかEGRリーンかの違いだけで、噴射量一定のまま空気量(+EGR量)をステップ的に切り替える必要があり、難易度大というか無理筋。「ツナギ」を滑らかにしてNOxを押さえる手段手法があるかは知らない。

(中間的A/Fの燃焼サイクルがあっても)排気の問題がなければ、4気筒運転のままリーン⇔ストイキをブースト、A/F、点火時期等でつないでオシマイ。と簡単に書いたがこれも超メンドクサイが中の人のお仕事なので省略。

「排気の問題がなければ」は要注意で、どういじくっても

ストイキ⇔均質λ≧2

の完璧step切り替えには劣る=有意差がある。

OEMの「問題なし」は、「ある国の規制をパスする=販売できる」以外の意味はない。

「完璧step切り替え」を実現してもO2ストレージ量管理の問題は残るが、ここはストイキエンジンの、

燃料カット → λ=1、エンジン始動 → λ=1

にまつわる話と同質。

「全負荷までリーンブースト(ストイキ領域無し)か?」は、排気(NOx)とBSFCとその他諸々の性能次第。とだけ書いてもツマラナイので思考の拠り所になる「Φ‐Tマップ」を載せる。実機データ以外ならこれ。ディーゼルに関しては無知だが、

Φ(=1/λ)は「局所Φ」、Tは「局所T」

「局所」がどのぐらいの空間スケールなのか?は速攻疑問に思うところだが、明示的なものは知らない。数値計算上の空間格子メッシュサイズをどうするとかは、計算テクニック上の話にだけに見える。

あまりに小さく、例えば原子分子スケールにとると、Φが不確定になり意味をなさない。

あまりに大きく、例えばシリンダ寸法にとると、Φ=供給Φで、ディーゼルはススが出ないことになり意味をなさない。

「空間スケール」は(幅が広すぎるが)この間のどこか。と書いたものの、デジタル的な「最適空間スケール」が1点だけ存在すると思うのは的外れ。ススとNOxに関して、「有用な情報」が、両極限から離れた中間部あたりの空間スケールをとると最大になる。←傍観者の勝手な解釈 

青線の領域内に「全燃焼空間」を「全燃焼期間」に渡って収める。←目標・指針で、実際に収められるかは別の話。ススとNOxを両立するには

・均質 ←不均一はススが悪くなる 「局所」でもストイキ~リッチ領域があると高温化でNOxが悪くなる

・2000K以下に押さえる←できるだけリーン エアリーンorEGRリーン 点火時期リタードは論外、と書いたが冷機始動後しばらくは当然のストイキ+リタード

図はディーゼルの特許からの引用だが、SKY-Xと直接の関係はない。

 

171108追記 

5 【全負荷 均質λ=1】について

BSFCヲタの関心事はBSFCと排気の成立性だけで、「火花点火火炎伝搬か」「圧縮自己着火か」はどうでもいい話。圧縮自己着火で問題になるのは、

・dP/dθ (要は騒音・不快音) 

ガソリンと軽油の違いは、

・自己着火性 

【火種無しで】温度圧力を上げていった場合ガソリンは自己着火しにくい、着火遅れが大きい。「燃えにくい」に非ずで前提条件を見るべし。

・ガソリンは予混合化に有利 揮発性大 粘性小

性能が出て製品として成立すれば燃焼形態はどうでもいい話で、圧縮自己着火でも

「ガソリン火花点火火炎伝搬でのMBT相当BSFC」

なら「MBT」と解釈する。

コレを狙っているような臭いがするが、どうなっているかはフタを開けてのお楽しみ。

ノッキングに対して「逃げを打った」ことになるが、BSFCとその他諸々が成立するなら文句はない。

 

番外 高応答エアサプライなる珍名称

「スーパーチャージャー」と書くと

「(クソ)馬力出てないじゃん!」

になるので、珍名称が発明された。速攻死語になると思われるが、死語になるまでの経過が重要。全ては2年後のデキ次第で、傍観者は生暖かく眺めることにする。

 

 

 

2019/12 mazda技報2019に落書き 数字は勝手に記入 

 

公称トルクカーブ (RON95)

 

SKY-Xのみならず、SKY-Gまで下がってor下げているじゃん!辛うじて序列は維持された。

 

1500rpmBSFC

2017年構想と見比べる限り「高負荷、全負荷A/Fリーンブースト」は断念(NOx)して中負荷から「EGRブースト」に切り換え。EGRブースト領域(グラフの「G/F lean」)は半端A/Fリーンにするorできる理由がなくストイキ断定。

技報には「火種部分は超リーンではない」と正直に書いてある。公称A/F=30を謳っても「均質」でない限りNOxとPM(GPF付き)と縁切りできず。「均質」は、「暖機後のPFI排気行程噴射相当の混合気形成」が最低条件と決めつける。SKY-Xは排気温度が高いからディーゼルには必須のフィルター再生制御が不要らしいが「リーン領域が狭い」の裏返し。

↓ 数字をガン見するべき性質のモノではないが、あえてガン見すると

「30じゃ中途半端じゃね?」

と読むのがフツウの人。ざっくり1/100に落とさなければ何らかのリーンNOx後処理系が必要。暖機後限定・軽負荷限定で1/10に落とせばEや~はJPN1978規制の話。

「A/Fリーン」上限はBEMP=5.7barでA/F=30かつEGR無しと仮定すればほぼ無過給状態。

2017年に引っ込めた「A/F=30 無過給2倍UP-sizing」はこの曲線の左半分に幻惑?されての事だったと仮定する。曲線左半分のBSFCを保持したままBEMPだけを(トルクだと思って)2倍にすれば得失がわかる。横軸方向に2倍にするだけ。

「A/F=30 無過給2倍UP-sizing」が対SKY-Xで勝てるのは↓の7.5bar以上。全負荷で最低BSFCになるのはBSFCヲタ好みだが軽負荷は全てに大敗。かようなエンジンで最適燃費線運転をやるとドラビリはクソ。max3000rpmに落とすならストイキ運転を肯定するがクソ馬力をやりたくなるから結局ブチ回す。行き着くところは中途半端で、提灯持ちが珍説を無批判でヨイショ→「なかったこと」にして霧散。

高負荷無し高回転無しのBSFCマップ

2500rpm以上の低負荷はS/C駆動損失がクッキリ。仮に2500rpmでリーン⇔ストイキに切り替えるだけならSKY-Gより悪くなることはない。S/C(ルーツブロア)は急加速できないから中rpm以上は軽負荷でもカットできず回しっぱなしにするのは大昔から定石。エンジンとの回転差が大きい状態でいきなりONするとS/C加速にエンジンパワーを食われてショックになる。低回転域は新規追加のアレをショック消しに使っているはずだが中回転以上では無力だった模様。

S/C作動は2017年構想3000rpm以上常時ON→2019年量産時は2500rpm以上常時ONに後退。S/Cバイパス弁全開で空気をかき混ぜるだけの状態でも無駄仕事になることは↓↓のEATON社の言い値通り。

↑↑に書いた 「SKY-X  2000rpm 全負荷 【225g/kWh、13.6bar】 の皮算用」は結果的に未達。

コレ↓にSKY-X記入は読者にお任せ。

横軸kW/Lでみれば、「ディーゼル以下BSFCで圧勝するのは△~〇kW/Lまで」

「圧勝」はエンジン屋の感覚で、フツウの人は

「色々やって(≒¥+重量+占有空間+故障リスク増と引き換えで)儲けはこれだけ?」

極低パワー域のみにディーゼルに勝つ領域がある。

「非公表領域=見せたくない=ベンチマーク水準に届かず、フツウorそれ以下」の公理はここでも正しそうで、公表領域の右端〇〇kW/Lでガソリンλ=1(T社2.5L以外はEGR無し)に対し旗色が怪しい。

最高出力点は「黙っている=増量あり」の業界不文律を適用。タービン通過(膨脹、放熱)による排気温度低下がない→ターボと比較すればA/Fセンサ、触媒に対して排気温度が高くなる。この点は無過給と同じで排気温度低下はEGR分だけ。

 

SKY-Gの大風呂敷は2010年

無過給 1500rpm 12bar 全負荷増量MBT妄想

だけとキオクする。9年後にS/C使っても届かない12bar @1500rpmで妄想確定。

SKY-Xは大風呂敷が過ぎたようだが

「まだまだ伸び代があるのだ」

の演説やっておくんなさいまし。

 

2021/06追記

webカタログを眺めると、EU仕様もいつからか

「圧縮比を上げては黙って下げる」

の慣例に従い、ε = 16.3 → 15.0 (=JPN仕様)に下げている。

「伸び代=圧縮比を下げること」どこかで聞いたような話。

 

****ゲスの勘ぐり終わり**** 

 

 

170924 T/CとS/CのBSFC比較

http://glanze.sakura.ne.jp/mahle_demo.html

元データは2009年EATON社。

見づらいBSFCマップでg/kWhの数字は読み取り困難だが、R/L線上に明記された運転点から小細工がバレる。小細工臭に釣られてガン見すると、

BSFC等高線

T/C  230  240  250  260  270  280  290  300

S/C         240  250  260          280  290  300  

←270g/kWhをこっそり抜いている 急傾斜を緩斜面に見せる詐欺的手法で「法面80%」を土地広告に極小フォントで書くようなモノ 小細工は万国共通の手法

排気量2L以外は不明、A/F&点火時期のマッチングは各々とってあるのかは不明だが、「自社製品に対して不利になることをするはずがない」との原則は頭の隅において、↓を眺める。

予想通り全域S/Cの負け。ポン付けするだけではT/Cに負けるのは当たり前とメーカーが自ら白状している。

T/Cの排圧ガーは【膨張行程終わりの気筒内圧力】(正確には排圧との圧力差)を100%【速度】に変換できないことによるT/Cの副作用で、「排圧を上げることでタービンを駆動している」と解釈するのはありがちな誤解。「排圧」ばかりガン見するから誤解が生まれるわけで、ガン見すべきは「気筒内圧力」

クランク軸駆動S/C駆動によるロス(軸出力損失)は全域T/Cに負ける。T/Cは領域によっては【膨張行程終わりの気筒内圧力】をクランク軸に+仕事として回収しているはずだが明示的なものは見たことがない。回収領域は狭い+回収量は少ない+リタード&増量損失の方が桁違いにデカイので言う気にならない?T/Cの排圧を下げる手段は転がってはいるが、¥がかかる、システムがややこしくなるで二の足を踏んでいるだけ。

無過給域はクラッチでS/C停止(エンジンが空気を吸えなくなるのでS/Cバイパス弁全開)、ターボのW/G全開なら無過給域のBSFCに差がつく要素はないが、↑は無過給域もS/Cを回している模様=空気をかき混ぜるだけの無駄仕事をしている。どのぐらい食っていそうか?は想像がつく。

EATON社の言い値ではSKY‐G用のS/C(新型の3葉)の最大過給圧は2.5bar。どこまで使うかはプーリー比次第で駆動ロス(効率)はどうだか知らないが、吸気温度上昇分+インタークーラー圧力損失を割り引くと全負荷リーンブーストは苦しげではある。

「外堀は更に埋まった」

と書いたあとの拾い物。自技会20095751で、2009年当時新型で2017年旧型の4葉。

ルーツブロア(コンプレッサー)単体効率なので

「ターボに効率で勝っている=軸出力損失で勝っている」

は早トチリ。S/CにしろT/Cにしろ、タダで駆動はできない。

 

 

 

自技会誌2018/09 

TOYOTA  A25A-FKS(コンベ) A25A-FXS(HEV) 熱効率マップ

 

2018 CAMRY owner's manual をコピペ。

Select octane rating 87 (Research Octane Number 91) or higher.

RON91で、「業界区分」としてはJPNレギュラーと同じ。

米国レギュラーのオクタン価「実力」は日本よりも若干高いとするのが通説のようである。某社では日本向けに対して圧縮比は変えないがわずかに点火時期を進めていた模様。21世紀初頭の話だが、小耳に挟んだだけなので詳細は知らない。この辺をどうするかは各社の個別判断。

「若干高い」がどの程度か?は

http://glanze.sakura.ne.jp/skyactiv_g.html

の下の方を読むと雰囲気はわかる。

 

コンベ/HEVの基本仕様は共通だがε=13/14は異なる。

コンベ用も2016/12プレス発表の熱効率マップ↓とは微妙に違って、公表領域が少々高負荷側に広がりトルクカーブも変わっている。

HEV用は初見で「高負荷BSFCネタ」の予定を「低負荷BSFCネタ」に変更する。HEVの熱効率マップは???モノ。

T社発表の熱効率%をg/kWh換算するには、下記マジックナンバー(2015年水面下の閣議決定)を用いる。

エンジン技術_6 燃費の目玉(2) 過給ガソリンエンジン

36.2%=236g/kWh 低位発熱量42.14MJ/kg

コンベ/HEVのBSFC(@2000rpm)を比較すると↓ VWは参考用

高負荷はそれらしく見えるが・・・

コンベ/HEVで、圧縮比ε=13/14以外にEGRの適合も違うらしいが、ここまで低負荷の差がつけられる?250g/kWh(BEMP=2bar)まで下げたのならばおそらく世界記録でとっくにドヤ顔しているはずだが。VW気筒休止で275g/kWh(BEMP=2bar)、M社2.5L気筒休止(@1500rpm)も275g/kWh付近。

↓はSKYACTIV-X (発売2年前の2017年) 

一般論では「ストイキEGRリーン(diluted が正確なのは承知だがフツウの日本人にはなじみのない表現)は等G/FのエアリーンにBSFCで負ける」 SKY-XのグラフにT社HEV用を重ね書きしてみよう~

A/F=30に相当するストイキEGR率は50%で、ストイキEGRで250g/kWh BEMP=2bar は世界新記録or珍記録。EGR率は「体積比、モル比」で、A/F、G/Fは「質量比」なので数字は単純にこうならないが省略。

T社HEV用2.5Lの熱効率%マップの低負荷域の数字をガン見するとスゴイことになっている 。800rpmの30Nm(BEMP=1.5bar)を比較する。

熱効率22% / 34%=0.65掛け、コンベ比で35%燃料消費削減!できるワケね~ HEV用は120Nm以下の1200→800rpmのBSFC悪化がなく等高線が左下がりのままで違和感アリ。低回転低負荷域で、等BEMPのままrpmを下げるほどBSFCが良くなる。事実ならば史上初の珍品でフツウはコンベ用のように左上がりになる。劇的に何かを変えない限り左上がりになる。

日常単位として全く使わない「熱効率%」でマップを作るから、チョンボがスルーされた。

250g/kWh(BEMP=2bar)までいかなる手段で下げたのかが明示されれば↑は撤回するが、そのようなモノが提示されたフシはない。HEV専用(最大出力は追わない)タンブル特化吸気ポートによる特盛りEGR(+点火系強化)がコンベとの差異らしいが

「コンベ比燃料消費35%削減 @800rpm 1.5bar」

を信じろと言う方がアホ。

mazda技報2019(SKY-X)に数字を勝手に記入↓ 250g/kWh @2bar で「ハイソウデスカ~」とはしない。

チョンボ無しと思われるコンベ用熱効率%マップをg/kWhのBSFCマップにすると

 

右側はスカスカなので能書きを入れ、λ=1限界は全負荷BEMP×0.95(テキトーな数字)、45kW/L(いくら広くてもここまで)で引いた。

全負荷トルクが記載されているのは1600rpm迄でそれ以下はテキトーに点線を入れたが、T社の公称値で1600rpm止まりってあったけ?800か1200rpmから記載していたはずだが。前例と変えるときにはウラがあると勘ぐるのがフツウの人で、思いつくのは、JIS等の標準条件に非ずの

超高圧縮比用特殊環境条件・性能測定時の継続時間時間条件(JISは20秒)

を発明したのでは?通過するだけだからEヤ~(AT専用の模様)、公称トルク無しだからEヤ~(ゴタゴタ言われない)→

三河ガソリン・軽油の「熱効率%計算における特殊低位発熱量」の発明をみれば「通過するだけだから1秒定格」の発明は簡単。1秒では定常性能の測定はできないが「1秒定格相当の吸気温度条件の発明」は簡単。

続きは、  エンジン技術_6 燃費の目玉(8) 2019年 EPA投下データ T社2.5L