落書き帳

あまり触れられないことに触れる
内容は備忘録のため、誤解等含め随時改変

エンジン技術_6 燃費の目玉(8) 2019年 EPA投下データ T社2.5L

2020年01月14日 | エンジン・自動車

2019年、EPAがデータを追加投下

https://www.epa.gov/vehicle-and-fuel-emissions-testing/benchmarking-advanced-low-emission-light-duty-vehicle-technology

 

飽きるまで続く自分用memo

・誰も見ていない真実 

・高負荷BSFC

・全負荷増量

・無過給超高圧縮比の実態

 

2018 Toyota Camry LE 2.5-liter, A25A-FKS 

Φ87.5×103.4mm 2.487L ε=13 DI+PFI  吸排VVT cooled-EGR

151 kW @ 6600 RPM

249 Nm @ 4800 RPM

Regular unleaded  要求RON≧91で、「レギュラー仕様」

 

Tier2 Fuel  ハイオクデータ (エタノール無し E0)

2018 Toyota 2.5L A25A-FKS Engine Tier 2 Fuel – Test Data Package – Dated 04‐08‐19 (ZIP) (32 MB,   April 2019)

Tier3 Fuel  レギュラーデータ (エタノール10%vol E10)

2018 Toyota 2.5L A25A-FKS Engine Tier 3 Fuel – Test Data Package – Dated 04‐08‐19 (ZIP) (31 MB,   April 2019)

 

 

1 高負荷域のデータ取得方法

2018年公開のSKY-G 2.0にはなかった(不十分だった)高負荷域データが公開された。

部分負荷から高アクセル開度までステップ的に踏み込み。踏み込み先アクセル開度は数水準に振っている。

EPAのSKY-Gデータ(2018年投下)はWOT SWEEPのトルクデータだけで高開度域の詳細データは無しだったが「宗旨変え」で

「よかれと思う方法でやる」

EPAのエンジン性能データ取得領域は時を経る毎に拡大して2019年公開分はほぼ全域にまで広がった。「宗旨替え」はEPAのメンバー間で何らかの議論があったはずで、全負荷域の扱いは「排気燃費測定モード」そのものに関連する。

最高出力点データはないが、

「採らなくても分かる」

「勝手に想像しろ」

で十分。米国では訴訟ネタになる。

 

 

2 高負荷域データ

excel シート名

Steady State         フツウの定常データ(高負荷以外)で、ほぼ全点λ=1

High Load Initial   踏み込み後、約1秒間 ほぼ全点増量域

High Load Final   踏み込み後、数秒経過以降 ほぼ全点増量域

踏み込み後のデータ取得時間ウインドウは、個別に調整している模様

「Final」の方は、フツウの定常データと同質。

 

データを回転~トルクマップにプロットしたモノに追記

レギュラーE10

ハイオクE0 

「WOT公称トルクカーブとの差異」については完全スルー。

レギュラー仕様(RON≧91要求)エンジンだが、レギュラー使用時は低回転高負荷のトルクばらつきが大きい。ばらつきの大きい領域は公称トルクがない領域(1600rpm未満)と一致する。

 

高負荷域データだけを拾ってみる。

レギュラーE10

 

 ハイオクE0

 

WOT近傍の空燃比はほとんどが(無過給の)常識内だが、何点かλ<0.7 の超リッチデータがある。

最もリッチなのはλ=0.632でA/F(E0換算)=9.3相当。

 

【推定1】 ノック判定→超リッチ化制御が作動

「実際にノッキングが起きてエンジンECUが正当なノック判定をして超リッチ化制御が正当に動いた」 のか

「ノッキングはしていないがエンジンECUが何らかの原因で【誤】ノック判定をして超リッチ化制御が誤作動したのか」

はわからない。

リアルワールドでの実車の作動頻度もわからない。エンジンダイナモと実車は【環境】がイコールではない。【環境】には(誇張すると)エンジンマウント系等のノックセンサ取り付け部位の「振動」にかかわるもの全て、ノックセンサ~エンジンECU間のハーネス等まで含む。ノックセンサ(圧電素子)は「電荷Q発生器」(電気屋用語は知らないが起電力e発生器に非ず)で、センサ~ECU間の静電容量がA/D変換値(基準電圧に対する相対電圧を出力 基準電圧はECU内の電源ICが作る)に影響する。

過去の見聞の範囲ではこのような制御はなかったとキオクするが、誰でも思いつく話ではある。

 

【推定2】 AFM空気量計測エラー λ<0.7は

[ 1500rpm、1750rpm ] × [ ACC=100%、ACC=80% ] に発生する。

ACC=70%     ブースト=95kPa λ=マトモ

ACC=80、100% ブースト=97kPa λ<0.7    バルタイ同じでスロットル開度(データ無し)違いだけ

[ 1350rpm ] 

ACC=70%     λ=マトモ

ACC=80%、100% λ=0.73でトルク落ち  

 

空燃比(噴射量)だけでこれだけトルク落ちするには不足で、

AFMが空気量を大きい側に誤計測(熱線式AFMは吸気脈動が苦手)→

空燃比超リッチ+点火時期mapが誤リタード(誤って高負荷側へずれる) 

EPAの台上実験に吸気系の加工があるかも? 加工はダメで取り回しは3次元で実車コピー

T社は「吸気脈動対策で低回転は電スロ半開き止め」の例があったはずで、知らないワケがない。

以下一部に誇張あり EPA台上実験=実車実力と仮定

【意見1】 こんなところはAT専用なら通過するだけだから定常空燃比はどうでもEのだ。「全開バカ」さんがウルサイからスロットルは全開にする。物理的なご利益は何もないが全開バカさんのご機嫌を優先する。

【意見2】 全開にしたところで空気量は変わらず空燃比と点火時期が狂うだけだから低回転のスロットルは半開き止めで十分。吸気騒音も下がることはあるが上がることはない。

 

エクセルデータをガン見すると、低回転高負荷域はアクセル開度大→エンジントルク大 に必ずしもなっていない。「これでいい」とは言わないが「こんなもんだ」が現実で、無過給で圧縮比を馬鹿上げすると低回転高負荷は安定性が乏しくなる。絶壁ノック特性+AFM誤差(点火時期マップの負荷軸の誤差)+ノック制御だが、台上点火時期固定運転(ノック制御=OFF)では表に出ないor出にくい。ここはグレーゾーンで、中の人は「政治的判断」を行う。データを眺めるだけで粗はイロイロ出てくるが、市場実車実力(客がNGとする問題が出るか)は別問題。

スッテプ的に部分負荷から行き先アクセル開度を振ってデーターを採っているので

「アクセルを開けていったときトルクの落ち込みがある」

を必ずしも意味しない。

 

 

4 高負荷域データまとめ+ゲスの勘ぐり

 ① 2000rpm BSFC T社言い値と比較

言い値は自技会誌2018/09 

右側のHEV用は低負荷がウソ臭いので無視する。熱効率%→g/kWh換算は2015年以降に適用の三河ガソリン固有値 42.14MJ/kg

エンジン技術_6 燃費の目玉(5) SKY-X VW1.5L T社2.5L

EPAデータのレギュラーE10のg/kWhは数字を×0.974倍したものを他と比較する。BSFCのモノサシはg/kWhで、数字はE0相当のg/kWhに正規化する。

エンジン技術_6 燃費の目玉(4) SKY-G EPAデータ

 

T社言い値とEPAデータの比較結果は↓

EPAデータの2000rpm高負荷の空燃比は常識無過給の常識(一声 λ≧0.8)の範囲内。

点でばらまいたデータは全て増量域、線で結んだ領域はλ=1。

・ハイオク入れればBSFCは言い値通り

・ハイオク入れても全負荷BSFCは従来常識程度の水準

・レギュラーのBSFCは低負荷、目玉の底は言い値通り

・レギュラーの高負荷BSFCはノックリタードにより言い値よりも悪化

 

② λ=1限界はヒイキ目に見て40kW/L 脳内ベンチマーク水準は45kW/Lのままで変更なし

 

③ T社2.5L 1600rpm未満の公称トルクがなくなった(記載しなくなった)のは、レギュラーの低回転WOT近傍は「無理がある」ためと思われる。前例と変えるときには必ずウラがある。

 

*** T社代理が回答  ***

レギュラー/ハイオク使用時の性能の差異は、

「1600rpm未満の高開度域トルクばらつきが大きい」だけです。

2000rpm以上の高開度域性能はレギュラー/ハイオク使用時とも同等です。

1600rpm未満の公称トルクは存在しません。公称する義務もありません。

「レギュラー仕様」に何ら問題はありません。

(レギュラー使用時はリタードで高負荷BSFCが公表値より悪化する件はスルー)

*** 代理回答終わり ***

 

熱効率%言い値の実態まとめ ↓の「最適燃費線上での言い値と比較」も参照

運輸省届出 【全負荷諸元表】(1998にBSFC記載廃止)

 

ハイオク~レギュラーの点火時期差をガン見

US 2014 SKY-G 2.0 (EGR無し)もハイオク~レギュラーの点火時期差とその領域は類似。似たことをやれば似た結果になる。

ハイオク/レギュラーマップの設定を推定する

λ=1高負荷でハイオク/レギュラーの差が大きい領域(2000rpm)でも増量すると差が詰まる?

WOT(増量域)でDI分担比70→100%としているので、増量だけの効果ではない。

λ=1全負荷のトルク/点火時期感度は

トルク6.7% / 点火時期5° = トルク1.34% / 点火時期1° 

EGRカット領域なのでSKY-Gの数字をコピーしたかのような結果。

 

再まとめ

① 最適燃費線より高負荷側のBSFCの言い値はハイオク入れなければ出ない

善意に解釈すると

T社台上実験で点火時期をトレースノック狙いの固定点火時期で運転をすればRON91で言い値通りのBSFCは出る。現実のノックコントロール+市場ばらつき(環境条件まで含む)を考えると、この点火時期はハイオクマップの設定になる。一番効くのがAFMの誤差で、点火時期マップの負荷軸がずれる。レギュラーマップの低回転高負荷は台上トレースノック点火時期よりもリタードした設定になる。ここは「絶壁ノック特性」領域であり

同じ文言の「トレースノック点火時期」でも

圧縮比フツウに対してECU設定上の意味・文脈が異なる。

真相は中の人のみ知る。

「絶壁ノック特性」は エンジン技術_6 燃費の目玉(6) VC-T の最後の方を参照。

某社では性能map測定時のノックコントロールの扱いは担当者の裁量であった。ノックコントロールの適合が終わっていなければ、ノックコントール無しで測定する。ノックコントロール作動状態で測定した記憶に乏しい。が、実車に「ノックリタード量最大値モニタープログラム」(Job周期で最大値を常時上書き更新してECUに記憶)を仕込んで

「この程度ならEか~」

「疑念を解消するため」やった事がある。

② 「レギュラー仕様」だが、ハイオク点火時期マップを持っていて切り替えている。ハイオク判定時はベース点火時期を進める。

走行中のエンジン動作はほとんど全て過渡状態で、「ノックコントロールF/B分」だけで低回転高負荷の要求点火時期差を吸収するのは無理。

③ WOT(当然の増量域)の性能のハイオク/レギュラー差は小さい。λ=1に対してハイオク/レギュラー差が小さくなるのは、

DI分担比 λ=1は70%→WOTは100%

とする効果も乗っており「増量」だけの効果ではない。

 

再びT社代理が主張します

目玉を掘りに掘って公約通りまで掘った。最適燃費線より高負荷側は「RON91トレースノック」固定点火時期ならRON91で公約通りのBSFCは出る。RON91の実験時の点火時期=生産ECUのハイオク点火時期マップが実情で、レギュラーマップ低回転高負荷は5°リタードが常態でも通過するだけの領域で実害なし。WOTは増量+DI分担比100%化でハイオクとの差を詰めた。8ATの勝利でもある。

 

思い付きを書き並べてみると、「誰も見ていない真実」には、ビミョーな問題が含まれていることがわかる。ビミョーな問題を説明しようとすると↑のごとく長い説明になる。フツウの人にはカンケーない話なので中の人は公言しない&できない。

BSFC&ドラビリヲタ用に

「ハイオク判定中ランプ」

を新設。←するワケね~けど邪魔なだけのecoランプよりヲタ好み この種の表示系があればソフト変更だけでok

エンジン始動時は使用ガソリンに関係なく必然的に毎回ハイオクスタート。レギュラー入れて低回転高負荷を通過すれば速攻レギュラー落ち。ハイオク比率変えて、どこまで上げれば常時レギュラー落ちせずにハイオク判定を継続できるか? 50%以上かと予想してみる。

EPAがフツウに実験できている模様なので、誰でも思いつく「レギュラー判定結果保持制御」はやっていないと推測。

 

最適燃費線上でT社言い値と比較

レギュラーE10 BSFCマップ 

ハイオクE0 BSFCマップ 

BSFCマップ等高線は「Initial」ではなく「Final」の方を参考にする。高負荷域の「等高線の荒れ」が少ない。

熱効率%の言い値をg/kWh表示にすると、「言い値があるのは左側のタッタこれだけ」

最適燃費線上での言い値との比較結果

2000rpmでの比較結果↑と似たことが言える。

・レギュラー/ハイオク共、T社言い値のある領域では言い値と同等。

・言い値のある領域を外れると、レギュラー/ハイオクは乖離する。 

 

レギュラー/ハイオクのBSFC乖離が2000rpm「縦割り」データより小さ目になっている。

前提(仮定)1 ハイオクマップ・レギュラーマップ、各々トレースノック点にセットされている

前提(仮定)2 ノックコントロールが適切に作動している

・目玉の底(谷筋)をなぞっているので2000rpm「縦割り」高負荷ほどのレギュラー/ハイオク差はつかない。

・中~高回転域は「トレースノック設定によるリタード損失」が低回転より少ない。ハイオク/レギュラーの点火時期絶対値だけを比較するのは無意味で、比較するのはトルクとBSFC。点火時期は結果であって目的ではない。トルク~点火時期感度が領域によって違うので点火時期は参考情報。

 

各rpmでのBEMP~BSFC 青:レギュラー 赤:ハイオク

高開度域は「High Load Final」 ヲタ的に全く参考にならない空燃比超リッチはプロットしない。超リッチが「実車市場実力」なのか「台上実験」に起因するのかは判断できない。   

 

 

 

***** US2018 T社2.5L EPAデータ チラ裏 *****

 

*** チラ裏1 アクセル開度~トルク特性 ***

味ガー

伸びガー

の文芸話に非ず。 

低負荷に違和感がある。アクセル=10%、4%ラインの「形」に注目。

中回転の低開度域(アクセル=10%、4%)ラインが右上がりになっている。

「天然物」はこんな感じ

こちらの単位は「deg」なので、80deg=100%(アクセル全開)に読み替える。

エンジン技術_8 アクセル開度~エンジントルクマップ作成

台上実験は定電圧(パターン電圧)をECUアクセルポジションセンサ端子に入れていると思われ。

ATCVT用エンジン(エンジンECU)はアクセル開度~エンジン軸トルク特性がMTとは違い、ISCでDレンジトルコン負荷分、オイルポンプ負荷分を常時乗せている(正確には「某社では常時乗せていた」)のでアクセル開度に対する低開度域のエンジン軸トルクはMTより若干大きくなるはずだが低負荷で等アクセル開度線が右上がりになるような影響はない。

EPAの台上実験でエンジンECUの「シフトレンジ認識状態」は不明。

「低負荷の等アクセル開度線の違和感」に関して考えられる原因は、

高回転低負荷は失火しやすい→

アクセル全閉時空気量を大きくする(最低空気量をエンジン回転に対して割り付ける アクセル直結メカスロはISCVで、電スロは電スロで実行)→

「燃料噴射中(燃料カットでない) かつ エンジン負トルク」の領域をなくしている。

このままの開度~トルク特性ではP or Nレンジで空ぶかし回転がアクセルで制御できなくなるが(等アクセル開度線が0Nm軸を右下がりに横切らないと空ぶかしrpmが不定になり制御できない)

・P or NレンジでISCのDレンジ トルコン負荷分、ATオイルポンプ負荷分を抜く。コレはフツウにやるが変化は微小で効かない。

・P or Nレンジ空ぶかし上限回転を3000rpm程度(等開度線が右上がりになる手前)とする。フツウのレブリミットより大幅に下げる。この制御を仮定するとEPAの台上実験はエンジンECUがDレンジ認識でないと不成立。

・P or Nレンジ空ぶかし時は点火時期をMBTよりリタードする。やりすぎると失火するので限度あり。この制御を仮定するとEPAの実験は台上実験はエンジンECUがDレンジ認識でないと不成立。EPA台上実験はアクセル開度=4%が最低負荷だが点火時期リタードの気配はなくMBT。

・高回転低負荷の失火対策ではなく他の要求(具体的に想定できないがドラビリ等)を仮定すると、P or Nレンジのアクセル~トルク特性を「天然物」に切り替える。

等の制御で対策していると思われ。

断定調で書くと

エンジンが苦手で車両として不要な領域(高回転極低負荷)は無くしました(?)

燃料カット ⇔ 再噴射の段差は増えるが継続的に使うのはヘンテコ運転時に限られる。

似た事例は某社で21世紀初頭に見かけた記憶がある。

 

エンジンECUの「認識状態」のことを書く理由は、エンジン単体実験でも通信ネットワークで車両側と接続しないとアレ付きのエンジンECUがイマドキはフツウで台上実験不可能。アレをクリアーしても来るべき車両側情報が来ないとエンジンECU自己診断NG→何らかのフェイルセーフ・バックアップ制御が入る懸念がある。

EPAエンジン台上実験のやり方のヒント

車両燃費評価におけるシミュレーションの活用と国際動向 - 交通安全環境研究所

EPA Test Data Packageの中にある図

メンドクサイことをしないとイマドキはエンジン単体台上実験(他社評価、第三者評価)は不可能。

 

↑を眺める限りでは、EPAの

・点火時期

・VVT位置

は、アナログ生電圧(パルス信号)を横取り→処理系に入れて計測しているように見える。非デジタル情報なので「アナログ生電圧」と書いたが、電圧の立ち上がりor立ち下がりタイミングだけが意味をもつパルス信号。

「処理系」と書くと簡単だがここが厄介で、何がしかの市販品がある?クランク・カム信号の「仕様」が各OEMで異なる。センサーは知る限りではホールICと磁気センサーの2種類がある。ホールICは内部に永久磁石が入っているが、センサーの外から眺めれば単なるスイッチとして動き電源は外部からとっているので、横取りすればそのまま定電圧パルス。磁気センサーは自身がsin波の起電力を発生してrpmが上がると起電力が上がるのでそのまま横取りはできず波形整形回路(sin波→定電圧矩形パルス ECUの中には必ず居てコレ経由でプロセッサに入る)を通す必要がある。クランク、カムのパルスがどのようなタイミングでどのように出るか?は各OEM、エンジン(主に気筒数)で異なる。横取り系は電流を食ってはダメで、高内部インピーダンスで電圧を眺めるだけ。

ECUの内部RAMを読めなければ信号を横取りして処理するしかない。各OEMのサービス用ツールは大抵の内部RAMは読めるが通信容量の制約で更新周期が長い。

昔のやり方は、信号電圧を超高速データロガーで紙に吐き出す。あっという間に「巻物」が段ボール一杯になる。

 

 

*** チラ裏2 充填効率(体積効率)試算 ***

 

横軸吸入空気量、縦軸BEMPにしてみる。

↑ はλ=1に限定して描いてあるが、λ<1に拡張する。

「吸入空気量」は「充填効率」で表現して排気量の影響を排除

充填効率の基準環境は、101.3kPa 25℃(298K) とする。

後日調べるとISO/JIS標準は100kPaらしいが面倒なので再計算はしない。イロイロ調べると

全圧100kPa、乾燥空気分圧99kPa、水蒸気分圧1kPa、298K

が正確な模様。

EPA実験は、Ann Arborの標高により気圧は約98kPa、温度は約25℃。

手元の日本語の古本に充填効率の基準温度は20℃と説明無しで書いてあるが違和感ありで旧DINの基準温度では? DIN基準にする意味がワカランがドイツ語の本を丸写しと思われ。と書いてwikiを見ると20℃と書いてあって同じ古本の丸写しと思われる。エンジンがらみのISO/JIS基準温度は25℃なので25℃で計算。「20℃」は全く聞いた記憶がない。

充填効率%=[ Qa(gram/sec) / エンジンrpm ] × [ 120 / ρ0 / 排気量L ] ×100

ρ0:充填効率基準空気密度 1.185 (gram/L) 数字はテキトー

Qaは燃料流量(Fuel Meter Flow)と排気λ(Exhaust Lambda)から計算  

λ=1 A/Fは E0を14.7とすればE10は14.7×0.974 

線で結んだ領域はλ=1 点データは増量域

脳内相場は、100Nm/L (BEMP=4π bar)は充填効率100% 

λ=1領域に限定して

ηcに対しBEMPが大きい→BSFCが良い と読める。精度はそれなりと思われるが未検証。

 

 

US2014 SKY-G 2.0 でもやってみる。

本エンジンデータシートには

Inlet Air Flow (g/s) 空気流量計使用か?

の欄があるが無視して燃料流量と排気λから計算。低空気量域の計測値が過小で、空燃比を計算すると過小値になる 。他との相互関係から見て、信頼できないと判断したデータは無視する。

それらしい結果になる。コレだけを見てOEM毎の差異を語りたい方は他所でどうぞ。やっていることの「筋」は同じだから大同小異で外部EGRの有無だけが違い。

どこをどう叩くと、無過給1500rpm 12bar (2010年M社プレゼン)が出てくる? 

ε=14で「常識」の全負荷増量を行い

充填効率≒100%かつMBTを達成すれば・・・の皮算用。

mazda技報2012の「1500rpm O/L=90°で掃気」はコレと思われるが、実際にやったかor継続できたかは?

無過給 12bar @1500rpm は実績皆無の皮算用なので

「充填効率100%ではない 95%ぐらいだ」

「MBTまで行かなくても、MBT - α 位でイケる」

とかの話はここではどうでもいい。無過給で12bar @1500rpm 出れば世界新記録。

ここで計算した「充填効率」は「エンジン吸入空気量Qa」がベースなので、「新気の排気側への吹き抜け」があっても充填効率に含まれる。「新気の排気側への吹き抜けを考慮したシリンダ内新気充填効率」は4stでは通常は意識されない+計測が面倒なので計測しない。

エンジン技術_11 過給エンジンの吸排気弁オーバーラップ中の掃気

@1500rpmで、T社もM社も充填効率80%位で「手を打っている」 VVLを使えば作動角を最適化できて少々上げることはできるかも知れないが、ε=13とか14では4-2-1排気でも力不足で「ノックリタードで充填効率上げてもムダ」 

2019年 SKY-X RON95 公称値 

ε=16.3 DI+S/C強制掃気+EGRで 11.4bar @1500rpmが限界 

2017年SKY-X構想は12.5bar @1500rpmで

「一度では懲りないから二度やる」

 

可変圧縮比で高負荷圧縮比下げたところで無過給では中途半端で排気量アップの圧勝→ターボでクソ馬力を出してダウンサイズ効果と販価をとる。

圧縮比を下げてターボ過給すれば

λ=1 @1500rpm 充填効率100%で12barは楽勝。12barは当然の過給域。

エンジン技術_6 燃費の目玉(9) 2019年 EPA投下データ ターボエンジン3機種