落書き帳

あまり触れられないことに触れる
内容は備忘録のため、誤解等含め随時改変

エンジン技術_6 燃費の目玉(2) 過給ガソリンエンジン

2015年08月15日 | エンジン・自動車

MFi Vol 106 2015/07 過給ガソリンエンジンBSFC

 

1 AudiのBSFCマップ


この種のエンジンのBSFCマップが一般人が容易に入手可能な形で公開されたのは初では?

L4 1.984L Φ82.5×92.8mm  DI+TCI λ=1領域は想像で勝手に記入

左 170kW ε=9.6 

右 140kW ε=11.7 早閉じミラー 

20世紀仕様【 PFI+turbo 】の全域BSFCマップは、過去に公表されたことはない。

・最大出力点 450g/kWh以上

・最小燃費率 300g/kWh程度 BSFCマップ中の最小値(目玉の底)のことで、全負荷(=WOT)の最小値に非ず 

としておけば大ハズレはない。メチャ悪要素maxは2Lの6気筒ターボで、メチャ悪横綱はグラフの圏外。

最適燃費線とハイギヤード化は常套手段で聞き飽きたから「エンジンって結局どうなの?」の答え ↓ 

4000rpm以下は全負荷増量無しの模様。とあいまいな書き方になるのは、最近は触媒前(エンジン側)センサーはO2センサーではなくA/Fセンサーが標準で連続的にフィードバック可能で、燃費率マップだけでは判断しづらいため。O2センサーではストイキから実際にどれだけ離れているかわからない→吸入空気量だけから燃料増量するが吸入空気量と燃料噴射量の誤差を見込んで多めに増量をかけないと全負荷増量ではなく全負荷減量になる個体が出現する心配をしなくてはならぬ(フル加速すると失速する)→燃費率マップだけで増量域がはっきりわかった。

A/Fセンサー採用の動機は増量域の精密フィードバックではなく【部分負荷の】排気対策。偏差がわかれば「触媒出口λ=1制御」に対して偏差低減・精度向上手段になる。主たる効能はいわゆる過渡時で、OPEN制御(エンジン始動・燃料カット)⇔ CLOSE制御 触媒出口λ=1 F/Bの切り替え等。「触媒出口λ=1制御」の最終(本来)目的は「O2ストレージ量管理」

排気対策目的なら車両原価予算がゲットできる。「触媒貴金属量〇g低減効果がある A/Fセンサを付ければトータルで最安」とかの能書きをつける。

前O2センサー+学習制御?低スロットル開度なら文句はない。現在主流のLジェトロでは4気筒の低回転全開が難ありだった。「難あり」だったのは空気量計測がデタラメになるからで、デタラメ情報をマップ的に補正するのは大昔からやっているが、この「補正」は全環境条件、個体ばらつき等に対して妥当・ロバストでしょうか???と?だらけなのは見切り発車した記憶が多いから。

「学習」が「有用・有効なもの」になるには前提条件がある。

と過去形ばかりなのはイマのことは知らないから。某社技報2013年の技術紹介がユーザーから見て掛け値無しの「本物」と仮定すれば、解決に30年を要した問題でいろいろ根が深かったのだ。キオクによると

最初期はバイパス通路無し、白金線むき出しの構成で応答性良好→

4気筒は脈動ガー 6気筒では無問題でも4気筒では問題が顕在化 バイパスで対策して応答性は悪化 気筒数問わず汚れによる特性経時劣化ガー は素子その他で対策 応答性これまた悪化→

逆流検知式の黒船来襲 震源地は巨大戦艦B社?応答性使い勝手は史上最高だが耐汚損性ガー→

歴史を逆戻り→

このままではマズイということでいろいろ対策 内蔵センサ情報を多重通信で出力する機能追加 ←2013年ココ

ユーザー=OEMがしてきたことは簡単で、低回転全開は使い勝手が悪いから致命的不具合にならないように、不本意ながらテキトーに(ないしは適切に)誤魔化すだけである。低回転全開は1つの例で、最近は可変動弁で何でもアリでLジェトロは吸気脈動が苦手。某社(1社に非ずで複数社)では止むなく電スロを半開きで止めて対策していた模様。全開馬鹿は眼を剥きそうだが、低回転ではトルク(=吸入空気量)は全く変わらない。

 

過給圧の立ち上がり部分が悪いのは、

・ノッキング制約による点火時期リタード リタードロスが大きい

ここは痛し痒しで、高実圧縮比(長吸気実ストローク)のまま吸気量を稼ぎターボラグと低速トルクを儲けているはずだが点火時期リタードで【膨張行程終わり気筒内圧力】が(リタード無しに対して)自動的に高くなる。(リタード無しに対して)供給熱量が同じで外部仕事Wout、実膨張比共下がっているから必然的にこうなる。→ターボラグの短縮、過給圧立ち上がり域のブーストアップには何がしかの貢献をしている。「何がしか」の意味は、吸入空気量に対するトルクはリタードで下がっているがターボrpmの立ち上がりは早くなる。トータルでは前者が効いて「加速Gで見たときのターボラグ」は増大する気がするが定量的解析は見たことがない。誤解と混乱の元になるので「熱エネルギー」「排気エネルギー」「温度」とは一切書かない。

0次近似的に、点火時期リタードは圧縮比ダウンと等価。圧縮比を下げて共連れで膨張比を下げるとPmax、Tmaxは下がるが【膨張行程終わり】のP、Tは大きくなる。低圧縮比のP-V膨張線、T-V膨張線は、高圧縮比の場合より必ず上側になる。ミラーでもリタードすれば共連れで膨張比が下がるので同じ話。

エンジン技術_7 P-V線図

ε=9.6 が70kW/Lまでλ=1、ε=11.7が65kW/Lまでλ=1 排気温度限界は同じとしても高圧縮比が狭くなるのはMBTからのリタードロスが大きいため。膨張比効果はリタードで帳消し以下になる。BEMP=20bar付近で240g/kWhの領域を比べるとε=11.7が狭い。低中BEMPは良いが高BEMPは悪くなる。ε=11.7は「燃費メチャ悪領域が出現しようが少しでもパワーアップしたい」とのスケベ根性を封印してメチャ悪の一歩手前で寸止めしている。

↓比較マップを見れば、圧縮比を上げると

・目玉が深くなり、BSFC最小値は良くなる

・目玉の中心が低負荷側に移動する

・低負荷中負荷は良くなるが高負荷は悪くなる

が読み取れる。

 

 

2  TOYOTA 8NR-FTS

L4  1.196L  Φ71.5×74.5mm   ε=10.0    DI+TCI  RON95

85kW/5200-5600rpm (71kW/L)  185Nm/1500-4000rpm  (BEMP=19.4bar)

最小燃費率236g/kWh 半端な数字になるのは、マップ中に引ける等高線は240g/kWhまでで、236g/kWhはマップ中に1箇所しかない。フツウの表現をすれば目玉燃費率240g/kWh。

最高速195km/hに対し190km/hまでストイキ→要求パワーは速度の三乗に比例なので、

最大出力71kW/Lの (190/195)^3=0.925掛けまでストイキ 65kW/Lまでストイキで、AUDI (ε=11.7) 並。目玉燃費率では負ける。気筒容積が小さいので目玉燃費率は不利。ノッキングは有利、排気温度は有利。

 

オマケ

λ=1ヲタ(増量ヲタ)のモノサシはkm/hではなくkW/L。2007年発売の毎年クソ馬力アップした3.8Lエンジン(PFI)のλ=1 限界kW/L(6速200km/hは入るらしい)を概算する。最大kW/L、最高速km/h、「200km/h」があれば十分。

[最大kW/L]×[200/最高速]^3 =ハイソウデスカ~ kW/L 

クソ馬力は易し、λ=1拡大は難し。クソ馬力アップが止まったのは、これ以上リッチにできないところまで行き着いたとするのがフツウの解釈。

とwikiだけ見て書くとメーカー広告が釣れた。 

見るべきモノは何もないが「新商品」には恒例行事の広報圧力がかかる→常套手段の小細工頼み。1990年のT社とやっていることは同類。

エンジン技術_6 燃費の目玉 過去の総括

T社は0kgm軸をオフセットしてかさ上げしたが、17年後にN社は0rpmから正トルクを発生する大発明で「EV並み」 上半分の左半分は1000rpm左へ間延び。グラフの上下で座標軸が異なる異次元座標。

小細工を矯正しグラフ化 走行抵抗は「駆動系伝達効率(4WD)込み」

ここでの注目点は200km/h前後の走行抵抗とλ=1限界kW/Lだけ。それ以外の走行抵抗は超テキトー。

・RON98指定で ε=9.0に下げてもPFIでは15bar以上のλ=1設定は不可能 無過給に対して圧縮比を下げた分でλ=1限界BEMPを上げた、という今更のお話

15bar以上は(誇張した表現をすると)λ=1のまま過給圧を上げてもトレースノック点火時期がリタードするのでトルクが上がらなくなる。増量以外のトルクを上げる手段がない。「誇張した表現をすると」と書いたのは、製品として世の不特定多数に販売するには「安定性」が重要だから。データ上「絶壁ピンポイント」で成立するように見えても「絶壁の形」が少々変わるだけでアウトでサヨウナラ~

・3000rpmで早々にλ=1限界線が右下に折れるのは排気温度限界 後はkW/Lと共連れでどんどんリッチにして限界温度内に収める

・λ=1限界は40kW/L 1988 OPELと同水準で「自然吸気エンジン並み」 最大出力96kW/Lのタッタ40% 「排気量上げたので200km/hまでλ=1に収まりました」と広報資料に書くワケにはイカン 

・RON98でもPFIではこの程度が限界で、PFI+RON91でターボエンジンは大盤振る舞い増量をしないと成立しない 税金ディスカウント目的の過小排気量【RON91+PFI】ガラパゴスターボ車は全て該当

と読むのがイマドキの人。

λ=1限界kW/Lの超簡易計算値 [最大kW/L]×[200/最高速]^3 

が40kW/Lを大幅に下回るのは、超高車速域(フツウは走行抵抗の大部分が空気抵抗)でもエンジン要求パワーkWが車速の3乗(2次以下の項なし)から大幅に外れているから。空気抵抗(N)以外の走行抵抗 (N) がデカイ+4WD伝達効率が悪い。

Cd=0.27と最高速と最高出力情報を足せばエンジン要求パワー(4WD伝達効率込み)はムリヤリ概算できる。Cd×Aはそれなりだから走行抵抗2次項の立ち上がりは緩いが・・・

 

イマドキDI+TCIが無過給に対してλ=1領域(kW/L)が広い主因は、排気温度限界を高くしているから。断片的情報を総合すると[1000℃-α ] 前後。排気温度測定位置は【排気弁を出た直後】の温度とする。

タービン通過後の排気温度は無過給より低くなるので高温対策は不要。信頼性等の「考え方」「判断」は各社異なる模様で、ある程度の幅がある。無過給なら排気温度限界900℃程度で、各社似た水準の模様。

耐熱性のネックになる部品はもう1つあって、触媒前O2センサ(A/Fセンサ)。ヒーター無しO2センサ(小型二輪では今でも主流)でも最低1本は信号線を出す必要がありここが弱点になる。ターボ付はタービン後に配置がフツウのはずで、高温問題は緩くなる。触媒昇温は苦しいが、W/G全開+直噴成層+点火時期メチャリタード(始動直後を除けば筒内平均空燃比はλ=1だが点火タイミング時点の点火プラグ周辺はλ<1 点火時期は当然のATDC)でなんとかする。と書いたがこれによってPMが盛大に出る模様。→ターボ迄の耐熱性をなんとかすれば排気対策部品の耐熱性はクリアーできる。

後知恵でアタリマエのことのように書いたが、無過給に対して排気温度限界を明確に上げてきたのはここ10年以内の話のはずで(水冷エキマニ出現はいつ?)、震源地は明らかにドイツ勢。 

「排気温度」は、排気弁を出た直後、一般的なエキマニ付ならシリンダーヘッド出口近傍の温度のことが多いが、ターボ付はターボ入口温度(エキマニ分で温度はより下がる)で代表することも多く必ずしも統一されていない。「公称」排気温度の数字だけ追っても実態は把握できない。シリンダーヘッドビルトインエキマニ(水冷)では耐熱性のネックになるエキマニ(無冷却)がなくなり高温限界は有利。(排気弁出口排気温度をより高くできる) 

 

オマケ

排気温度限界と過給に関して、むかしむかし

「排気温度限界が問題にならない領域ではクランク軸駆動S/CのBSFCは悪いが、排気温度限界が問題になる領域ではT/CよりS/Cの方がBSFCは良い」

とのご託宣を聞いた記憶がある。

①S/C仕様 当時のことだから小容量の床下触媒のみで排気はスカスカに抜ける→排圧(静圧)は低い

②T/C仕様 排圧(静圧)は高い

排気の速度(【マクロ】運動エネルギー分)も問題になるがここでは無視する。

膨張行程終わり→排気で、T/Cの方がシリンダ内ガスの膨張比が小さい→排気温度は高くなる。

他にS/Cのメリットとしては

排圧が低い→高温残留ガスが少ない→リタードロス減、点火時期がMBTに近づく

クランク軸駆動S/Cが出てきては消えるのは、ターボラグの解消、低速トルクアップにメリットが限られ、他はほとんど全てT/Cに負けるから。「排気量アップした方がマシ」に対しての、メリットデメリットが総合的にどうなるかの話。排気温度問題は他の手段手法でカイゼンされてきている。

「ターボラグ解消」「低速トルクアップ」にしても、S/Cを回し放しにしない限り、(クラッチでON-OFFするタイプでは)S/C加速にパワーを食われるので定常トルクカーブの額面通りには受け取れない。

上記は昔話がベースなのでPFIで、DIならば燃料の排気への吹き抜けがないので定量的なメリットは大きくなりそうだが話の大筋に変わりはない

エンジン技術_6 燃費の目玉(5) SKY-X VW1.5L T社2.5L

 

 

151030 博士のエンジン手帳3 P153 

Ford L3 997cc Φ71.9×81.9mm

ハイオク指定(多分RON95)でBEMP=20bar 4000rpm(66.7kW/L)までストイキ。

このλ=1領域はいかなる条件でも保証されるワケがなく、ノック判定すれば増量、高水温になれば増量、インタークーラー後の吸気温度が上がれば増量・・・等々は想像がつく。「実用上問題ない範囲か?」は、路上走行でモニターしてみるのが一番。データログ採りはイマドキはタダ同然で可能。

Fordのこの例に限らず、λ=0.9で止めている例が他にもあるようだ。スケベ根性の持ち主としてはもっと増量してもっとパワーアップしたくなる。この領域では「増量したからパワーアップする」のではなく

【増量すると排気温度が下がって排気温度限界に対して余裕ができるので、更に空気量を増やしてパワーアップできる】

 

 

【T社玉虫色熱効率%の実態】

2015  L4 1.2L DI+TCI MFi Vol106 2015/07 P49

36.2% =236g/kWh =42.14MJ/kg低位発熱量  

T社公表熱効率%を42.14MJ/kgでg/kWh換算した数字【】↓ に違和感はない。

2015  L4  1.5L  PFI  NA CVT専用  38%  【225g/kWh】   新型車発表会の目玉等高線の数字

2015  L4 1.8L  PFI  NA HV専用  40%  【214g/kWh】 大量EGR 点火系強化+吸気ポート変更

2009  L4  1.8L  PFI  NA HV専用  38.5% 【222g/kW/h】  EGR追加 ↓参照

2009年SAE Paperの220g/kWh等高線どっかーんは勇み足でピンポイント222g/kWhが量産実力らしい。この程度はわずかなセッティング変更(EGR、点火時期、VVT)でも簡単に変わる。

↓「Prius 2009 bsfc map」の釣果

 

160910追記

2015  1GD-FTV 2.8Lディーゼル 44% 【194g/kWh】  自技会誌2016/09 p75のBSFCマップ(g/kWh表示)の等高線最少値は195g/kWh。  ディーゼルも低位発熱量42.14MJ/kgを使っている模様。

 

自技会誌 2016年6月号 p11に8NR-FTSの熱効率%マップがある。記事中の「36.2%」とMFi Vol 106 の236g/kWh(「36.2%」の記述もあり)を突き合わせると、低位発熱量42.14MJ/kgを計算上採用している。「この数字はマップ中に1箇所しかない」との勘ぐりは当たり。λ=1領域も概略↑に書いた通り。

「熱効率40%」と言い出した時期から宗旨替え(数字替え)に走った臭いがする。低位発熱量10500kcal/kgあたりが昔から馴染みのある数字で、44MJ/kgと42.14MJ/kgでは4.2%もの差になる。低位発熱量の「真値」はともかく、時の経過と共に低位発熱量が4.2%下がってg/kWhが4.2%悪くなったような感覚は当方には皆無。石油系液体燃料(エタノール等の含酸素混ぜ物無し)を使う限りは、スペック、技術内容なりのg/kWhを昔もイマも示す。

熱効率34%=251g/kWhなので、250g/kWhのラインをAudi ε=11.7のマップと重ね書き。

181013追記

自技会論文集が無償公開となった。

20164162記載のBSFCマップ(g/kWh表示)

 

 

λ=1を前提とすれば、

過給圧アップ→燃費無視してメチャリタードでノッキングを逃げても膨張行程ガス温高温化でエンジン熱負荷増 リタードするとTmaxは下がるが(NOxは減る)ダラダラ高温が続くので熱負荷は増える(発熱量同じで外部仕事になる分が減る)→ 排気温度も上がる

全負荷BSFC悪化と熱負荷(エンジン方言では、仕事にならない無駄かつ邪魔な受熱の意)増は裏表の関係で、例えばBSFC=250g/kWh(BEMP=20bar)を過給圧アップ+燃費は無視のリタードだけでBEMP=25bar は成立しない。

スケベ根性出してオーバーブースト?毎度の骨董品発掘で、昔よりセンサー、アクチュエーターは増えている。水温が高くない(エンジンが熱を溜め込んでいない)、外気温が高くない、車速が高い(インタークーラー冷却が効く)等の条件を絞れば可能だろうがヤバくなったら即増量→オーバーブースト中止。やりたければやれば~程度の話。

BEMP=20barクラスはこの程度で、燃費率マップはまあ見せられる水準。BEMP=25barクラスの高負荷メチャ悪ぶりは想像がつくし、みっともないから公表しない。

傍観者の楽しみは、最大パワー点の増量無し一番乗りは誰になるか?黙って止めることはありえない(燃料代以外はタダでパワーアップ→法規制されない限り止めない)のでドヤ顔で公表される。

三元触媒+過給機付で増量してパワーアップは技術ヲタには興味のない話で、λ=1限界は現状「ハイオクかつ直噴」で、65kW/L。乗用車用ディーゼルにはこれを越える出力のものがあるが最大出力域でもリーンバーンなので排気温度限界には(まだまだ)縛られないはず。

 

ドヤ顔するに足る実力か?は実測調査が必要。

昔は他社エンジン調査はごく一般的にどこのカイシャでもやっていた。エンジンを車両から降ろす→エンジンダイナモにエンジンECU+ハーネス込で載せる。ほぼこれだけで性能マップの測定はできた。「ほぼ」が何かって?皆様ご存じのアレ。

ECU間通信が一般的になると(特にCAN+電スロがデファクト標準化した2000年以降)これだけではエンジンがまともに動くか怪しくなる。CANはマルチマスターでECU間に親子関係はなくどのデータを自ECUが拾うかは自由。ネットワーク上の全ECUを疑う必要があり、何箇所も擬似信号ないしはダミー信号を入れるとかの面倒な技巧が要るかもしれない、と考えた瞬間やる気が失せる。

「面倒な技巧」の一例

車両燃費評価におけるシミュレーションの活用と国際動向 - 交通安全環境研究所

ドヤ顔実力調査計画

2018年度  http://www.jari.or.jp/Portals/0/images/research/AICE_2018.pdf

2017年度 http://www.jari.or.jp/Portals/0/images/research/AICE_2017.pdf

2016年度 http://www.jari.or.jp/tabid/521/Default.aspx

2015年度 http://www.jari.or.jp/Portals/0/images/research/AICE_BM.pdf

 

 

160731追記 

2020/01 ベンチマーク水準修正 Honda技報の等高線無し玉虫色BSFCマップは無視 

【ハイオク】について

日本国内向けにレギュラーガソリン仕様ターボエンジンがいくつかあるが当然の性能低下の例。

Honda技報 (2016/04)

L15B  L4  Φ73.0×89.4mm  1.495L  ε=10.6  DI+TCI   RON91 

203Nm(1600-5000rpm)=17.1bar  110kW (5500rpm)=73.6kW/L

1500rpm WOTはλ=1だがBSFCは300g/kWhを切る程度。ネンピガーガーうるさいご時世でタッタ数%のトルクアップのためにドカンと大盤振る舞いする無過給の全負荷増量の虚しさを正直に書いている。掃気を示すP-V線図も記載ありだが、排気弁開を思い切り遅くしているので(←L4の宿命の排気干渉を逃げるため)シリンダー内圧の落ちが遅く余計な左回りループが付いている。トータルでクランク軸に回収できているかは怪しくなる。P-V線図がlog-logスケールであることに注意。グラフの右、上に行くほどベキ乗でスケールがでかくなる。

グラフ上排気弁開区間は約230°でフツウ(四輪用はざっくり240°)よりも狭い。ブローダウンタイミングを極端に遅らせて次気筒排気からの排気干渉を逃げてO/L中に掃気するために必然的に狭くなる。排気弁可変リフト(可変作動角・カム山切り替え)にしたくなるが費用対効果でヤラナイ。

と書いたず~っと後に自技会誌2012/04をたまたま見たら畑村耕一氏の解説記事があって↑の内容が書いてあった。排気クソ詰まりCAM&EVO遅らせ→O/L中掃気&4気筒の排気干渉回避は2012年時点で欧州震源地の標準手法の模様。

Honda L15Bのλ=1領域は、技報の等高線無し玉虫色マップは無視してUSA仕様のEPAデータを参照 45kW/L

エンジン技術_6 燃費の目玉(9) 2019年 EPA投下データ ターボエンジン3機種

EPAデータ(USAレギュラー仕様)と ↑ 技報等高線無し玉虫色BSFCマップ(JPNレギュラー仕様)を見比べる。

RON91+DIではλ=1限界は17barあたりで、

・JPN仕様(ミニバン)はソコで寸止めしてBSFCメチャ悪領域を回避

・USA仕様(セダン)はとにかく出せるだけ~のBSFCメチャ悪領域付き

と読む。

 

ベンチマーク水準 λ=1限界まとめ 

公表BSFCマップから推定した結果を並べる。これを「明らかに」突破→増量と断定。オーバーブーストも「増量」の範疇に入れる。性能測定上の吸気温、水温等の条件下で、ある程度定常的に(JIS規格上は20秒以上)オーバーブースト運転はできるのだろうが、「それなりの頻度、確率」で消滅する運転点だから「オーバーブースト」を名乗る。技術評価には不適切な玉虫色運転点はここでは認めない。

RON95   DI TCI  ε≧10      65kW/L  BEMP=20bar/4000rpm  高圧縮比程キツイ  

RON91   DI TCI  ε=10.5   50kW/L  2016年 SKY-G 2.5T  EGR付 EPAデータ有り  EGR無しは45kW/L

RON98? DI  NA ε=11.8    45kW/L 2007年 T社V6    

RON91    PFI  NA           40kW/L  2009年prius  

RON91+DI+NAは40~45kW/Lあたり?と想像できる。

① 無過給ではレギュラーハイオクの差は大してつかない。「過給圧」なるオクタン価が最もダイレクトに効くパラメーターがない。

② ハイオクベンチマーク水準で比較して、約30%以上(0.7掛け以下)の過給ダウンサイジング(排気量ダウン)は、大パワー域燃費が無過給に対して負ける。増量すればBSFCは急激悪化で、30%以上のダウンサイジングは低中パワー域の燃費に振っている。

③ RON91+DI+TCI も、RON≧95仕様と同様に無過給に対して排気温度限界はそれなりに上げているはずだがλ=1限界は無過給と大差がつかない。ノッキングの壁(トレースノック設定の制約)に阻まれて同一kW/Lに対して排気温度が高いためと思われ。オクタン価が性能に与える影響は当然ながら非線形かつ運転領域(充填効率とrpm)で異なり、RON91では「排気温度限界の上げ甲斐がない」 

と断定調で書いたがウラはとっていない。

 

2017年(発売2年前) SKYACTIV-X 広報資料より

MZRは圧縮比フツウのPFIで、低回転しか差がつかない。SKY-Gの1500rpm以下の「WOT実力」は?がつく。 

エンジン技術_6 燃費の目玉(4) SKY-G EPAデータ

エンジン技術_6 燃費の目玉(7) 2018年EPA投下データ SKY-G 

圧縮比を思い切り上げればそれなりの差がつくと「言っている」ようだが過給時ほどの差はつかない。言い値には排気系の違い(排気規制の違いで触媒仕様等が異なる)が含まれる臭いがする。オクタン価だけの差異と読むのは違和感アリ。圧縮比とオクタン価以外にも変動要素があり、¥/kmで儲からない限りスルーされる。

公称値=真実と仮定したとき、脳内イメージは

低回転 オクタン価の差=トレースノック点火時期の差 空気量は二の次

中~高回転 トレースノック点火時期の差=MBTがとれないことによるハイオク/レギュラー差が低回転と比較すれば小さくなる 無過給のWOTはそんなモノでハイオク/レギュラー差は空気量の差で点火時期は二の次

4-2-1排気系のスバラシキチューニングと「最適圧縮比=14」で、お前のイメージとは違う特異現象があるのだ

と言いたい方は一生継続すべし。

←こうなると宗教で、「未検証or検証不可能な特異現象」を持ち出す ススが1粒でもピストンに付着すると「最適圧縮比14.000・・・」から外れますょ

 

この種のお経は忘れた頃に湧く。前回のお経は1987年、某社1による

最適ボアストローク教、最適コンロッド長(連棹比)教、できたと言い張る「ストイキ教」←実際はリッチ

MotorFan 1987年8月号 毒舌その45 参照

上記specを変えると種々の特性が「ゆるやかに」変わることは当時でも既知の話。お経に有用な技術的知見は何もなく教祖はお経を一方的に唱えて・・・(以下省略)

「教祖」の実態は雇われ人で、広報圧力の下「実体のない優れたサムシングがあるかのようにもったいぶって見せかける」のはこれがハシリと思われる。広報資料の小細工、「技報」に目盛り無しグラフが出現するのも似たような時期。

某社2が他社に突出する形で似たことをやりだすのは略25年後で、み~んな↑を忘れたと勘違い。知っているor言われれば思い出す人間は万の単位で生存中。エンジンで¥を貰っている人間のうち一割程度は、

「リッチもリタードもやっていないはウソ」

と疑う。「一割」は担当業務・専門分野がある中での感覚的数字。食い扶持がエンジンがらみのサプライヤー等全て含めてこんな感じだろう。「こだわったからやっていない」が大ウソで「こだわる」程度でリッチとリタードを止められるなら大昔に誰かがやっている。EPAデータによって中途半端ながら「ウソである」は実証済み。「実証」が中途半端で終わっているのは、EPAの技術者の「立場上の意図」による。

リッチを止める→無過給DIで45kW/L以下に最大出力を落とす 低中回転のWOTトルクを数%落とす

リタードを止める→無過給DIで圧縮比を8以下に下げる 「8」はテキトーな数字でここではどうでもいい

その後、EPAの技術者の「立場上の意図」は「なかったこと」になったので、後発のT社2.5Lは「リッチもリタードもやっている」が明示された。

エンジン技術_6 燃費の目玉(8) 2019年 EPA投下データ T社2.5L

SKY-Gに関してのM社の功績は、畑村耕一氏の言葉を借りれば

「新技術」は何もない 誰もやろうとしなかったが、やったらできた

(製品化に致命的な問題はない「であろう」ことを示した)

ことだが、「やったらできた」と広報資料に書くワケにはイカン。

「であろう」なのは、客が判断する話だから。傍観者は判断できない+決めつけを書くべきではない。

 

「お経はウソ」 元OEM芸人は肩書きがなくなればタダの人なので実名省略

***1987年、某社1による前回のお経 MotorFan 1987年8月号 毒舌その45 一部引用***

酒井教授:〇〇さんは秘密の最適ボア・ストローク比があるとおっしゃるが、実はこれはどうでもよい値なのではないか。ピストンスピード20m/sにするなら、ストローク50mmで12000rpmというだけの話ではないのか?このあたりの「わかる」説明を××技術研究所の△△博士にお願いしたい。

△△:ボアストローク比と連棹比の組み合わせに最適値がある。

酒井教授:如何でしょうか、皆さん。私は結局わからないのですが、皆様にはおわかり頂いたことと期待して、このセッションを・・・。終。

***引用終わり***

 

 

「高圧縮比程キツイ」 増量、オーバーブーストの疑いのなさそうな機種のみ

圧縮比1アップ当たり、6%BEMPダウンの傾向が読める。

 

無過給でも似た傾向で、

・圧縮比馬鹿上げ無し 目玉~λ=1全負荷のBSFC悪化が数%

・全負荷増量無し

・RON91、PFI

で比較すると圧縮比1アップ当たり、6%程度BEMPダウン。傾向が表に出やすいノッキングに対して不利な仕様で比較する。

 

無過給の「公称圧縮比~BEMPダウン」の程度の推定法は、

①基準はPrius 1.8L  全負荷BSFC(λ=1)/目玉BSFC 230/220=1.05  公称圧縮比=13.0 だが「馬鹿上げ」に該当しない

②圧縮比馬鹿上げ無しPFIの吊るし仕様のBEMPを用意 全負荷増量分数%を差し引いたBEMPを「λ=1全負荷」とする。可変動弁で無理上げしている臭いがすれば(トルコンストール回転の2000rpmあたりに多い)更に無理上げ分をテキトーに差し引く

①と②を比較すれば、圧縮比~全負荷BEMP(BSFCメチャ悪無し λ=1)の傾向がわかる。

検討例

 

全負荷増量無しでトルクは×0.95 とした。

公称値を全部並べる→これは無理上げ、これは〇〇、と次々に脱落して残ったモノが↑ 「やっている」モノは異臭がするが判断は主観による

「吸気VVTのみ」も共通。カイシャは非T社。 

ここで基準にするのは低速域で、中高速域で合わないのは、ノッキング制約(トレースノック設定によるリタード損失)が低速域よりは緩いので「空気を入れた者勝ち」になるためと思われ。

 

「圧縮比1当たり6%BEMP落ち」が、単純に「実圧縮比」だけで説明がつくわけではない。

機械圧縮比 ε=10→13 で、等実圧縮比にするための吸入空気量=(10 - 1) / (13 - 1)=0.75倍で25%落とす必要あり。

吸入空気量を25%落とすと軸トルクはそれ以上の比率で落ちるはず。軸トルク0Nmでも空気量はゼロではなく、無負荷空気量分のオフセットがある。

実績ではε=10→13 で軸トルクはここまで落ちずに、18%落ち程度。何故か?は考察ネタ。〇〇〇が重要因子じゃね?ともったいぶっておく。言われればアタリマエに聞こえるが

・究極ボアストロークと連棹比

・最適圧縮比14.000・・・

この種の即スルー旧教と同類に非ず。

 

1988年 OPEL C20XE のBSFCマップに40kW/Lの線を引く。このへんから増量しているであろうことは270g/kWh等高線の形から伺われる。λ=1のままなら、等高線は上に丸く広がるはずで、他に「形」が急に変わる理由が見当たらない。

大元の出典はMTZ(ドイツの雑誌)で、BSFC実力は?と思ったら、超高圧縮比、DI、BEMP大幅低下許容、最高rpm大幅ダウン等のない吊るし仕様の原点。燃料噴射+点火時期は電子制御で触媒付き。いわゆる可変デバイス以外の要素は全て入っている。低中速トルクはイマドキの吊るし相場より大幅に低いがこれは可変動弁分。

Φ86×86mm PFI ε=10.5  

RON≧95要求は確実で「ソース」不要。RON91+PFIでε=10.5では低回転高負荷メチャ悪になる。低回転BEMPガタ落ち+300g/kWh簡単に突破。この時期にRON91でε=10.5まで圧縮比を上げた例は記憶にない。

床下触媒のみの構成で、排気温度要求はきつくない+高速燃費要求で、当時から40kW/Lまでλ=1を確保。ちなみに同時期のエキマニ直下触媒仕様(法規上の排気性能耐久距離が長い米国向け)は20kW/L以下だった。高温耐久性に不安があったため排気燃費モードをカバーする最低限の領域を外れると増量。最高出力点はターボ並のドカ噴きでCOは2桁%。

等高線の形から、4000rpm以下は空気量では増量せずスロットル開度だけで増量するのは明らか。各回転で最小燃費率点は80%負荷程度で常識的だがその上の等高線が思い切り上に寄っている。全負荷付近の線が詰まっていて、240g/kWhの等高線を見ればはっきりしている。欧州車に多かったと記憶。むかしむかし、無過給の低中回転なのに吸入空気量で増量をかけると「基準書」に書いてあって(例えばBoost=-50~-100mmHg 当たり障りがなく無難な内容)これだとわずかな踏み込みで増量に入ってしまう。こんなものイラネ、アクセル7/8までλ=1、その他のマージン排除で長期比較した結果、3%ほど有意にネンピupした記憶がある。昔はマージンがあちこちにあったからできた話で、イマドキは不可能と思われる。

いわゆる「可変デバイス」一切無しのスッピン構成なので、〇×の全負荷BSFCはウソでは?等の検討(お遊び)のベースに適。2010年某社の絵をオモチャとする。

 

***以下お遊び***

・Current Gasoline のBSFCカーブの底~全負荷悪化がわずか5% 全負荷は相場よりBEMPが低い→全負荷増量のポイントはカットしてテキストボックスの矢印で隠している。

2017年(発売2年前) SKYACTIV-X 広報資料

・無過給 1500rpmでBEMP=12bar 世界記録達成!? 資料の日付2010/11/10

・BEMP=12barは妄想で11.25barが公言値 妄想失敗のツケはリタードにしわ寄せ 

・10barがλ=1の最大トルク 10bar以上が不自然なのは妄想全開トルク12barによる

・BSFCカーブの底~全負荷に違和感アリ。増量するとトルクは出るがBSFCは急激悪化でBSFCの底から一定傾斜の悪化になることはなく釣り針型が必然で、可変動弁により全負荷は【より実圧縮比の高い別エンジン】なのでBSFCの急激悪化は更なる必然。

・12barに何か根拠があったとすると【全負荷増量時における直噴の荒技】でもやっていた?増量してもMBTが取れればあのくらいのBEMP、BSFCは出る。→荒技は結局ダメ 

・BSFC最小値      7bar  225g/kWh

・λ=1 上限トルク    10bar  250g/kWh  谷底に対し実圧縮比は高い。アクセル→バルタイ、スロットルを並行で動かす。

・増量付全負荷公言値 11.25bar [286g/kWh] 増量+更にバルタイ変更で吸気量(=実圧縮比)アップ、出せるだけ出す。

・増量付全負荷妄想値@MBT 12bar 268g/kWh MBT妄想が妄想に終わったツケをリタードにしわ寄せすると↑

数字チェック

・BSFC最小点~λ=1上限トルクBSFC 1.1倍 

・λ=1上限トルク~全負荷増量付トルク 1.13倍 常識的には増量だけで上がる数字ではない。バルタイも変わっている。圧縮比を[馬鹿-α] 程度に上げると増量→点火進角効果が大きくなるのかλ=1に対し8%程度トルクアップしたデータをチラ見したことはあるがチラ見しただけなのでごちゃごちゃ書かない。フツウは5%程度。5%だ8%だにこだわるのはバカらしい話で、増量%をトルクアップ%が越えることは絶対にない→増量すればBSFCは必ず悪化。

・λ=1上限トルクBSFC~全負荷BSFC 1.14倍 相場より多いが、バルタイで実圧縮比が変わっている。全負荷極力リーンセットでこの程度に抑えた。安定寄り(ばらつきが心配)なら12.5~12、A/Fセンサー等でばらつきが無視できると判断すれば13。圧縮比フツウならA/F=12以下は明確に下り坂になるので排気温度限界に引っかかる高回転域以外は使わない。

空燃比とトルク感度(多分2000rpm程度) エンジン仕様と運転領域と点火時期(固定orトレースノック)の記載がないので出典は省略。単位と数字を見れば大昔データだが、圧縮比フツウ無過給なら「高負荷・等吸入空気量のトレースノック点火時期」と解釈して大ハズレor違和感はない。

 

絵の違和感を消す

・販売開始時の世間並全負荷BEMPを確保。

・全負荷BSFCは従来常識程度=30年間変わっていない水準に抑えたらしい。

全負荷直前までλ=1で燃費優先、全負荷はアクセル開度でスイッチ的にバルタイ変更+増量でトルク優先は大昔から常套手段。

***お遊び終わり***

  

 高負荷域のスロットル増量動作とBSFCカーブとの関係 2000rpm程度の低回転

 

160814追記

・1988 OPEL C20XE

・2015 AUDI EA888 Gen.3B   L4 2L RON≧95 は共通【ドヤ顔】

フリクションガーと業界挙げてワメキ続けて少なくとも30年、実際どれだけ下がったのかは闇の中だが

 

「闇の中」を暴いて商売するのはコンサル屋で、↓はHONDA技報2017/04から引用。目盛り無しでは商売にならぬ。

評価油温は昔は80℃ イマドキは90℃らしい

ふた昔前の公表データ(排気量フツウの4気筒)と比べると↓ 

カイシャ名(複数)は時効につき省略で公表データ=マシな部類と解釈。おそらく全データともモータリング法。

 

最近のDI無過給でも1988年ベンチマークに対して

・低中負荷BSFCを下げた

・低中速トルクを上げた

までで全負荷BSFCは下がっていない。過給ならダウンスピードでメカロスを儲けるポテンシャルはあるが無過給では無理。等パワートルクカーブ化すれば実用動力性能は同等のまま最高出力を下げることが可能。Audiのトルクカーブは、4000→6000までほぼ等パワーのまま回していてパッと見では不思議に見える。5000にダウンスピードすればメカロスが儲かるが、6000/4000=段間比1.5まで対応ということ。CVTならピークパワーで一点切りも可能だが、どこにでも「伸びガー」さんはいて無意味に回したがる。「伸びガー」の実体が「加速度」ではなく「音」だとすればウルサイだけ。

 

オマケ

今までRON91、RON95、RON98と無意識に書いてきた。国内レギュラーで言えば、JIS規格上の最低RONは89で、91なる数字は規格上は出てこない。規格=ビタ1ccでも下回るモノがあってはならぬの意味なので、マトモなガソリン屋は絶対に下回るモノが出ないようにする→実勢と規格はある程度解離する。OEM各社に「燃料屋」がいて、世界中の燃料性状を継続的に調査していた。

どの社もRON91と書くのは、RON91で圧縮比、点火時期をとっておけばネンピとノッキングリスクのバランスで「まあ妥当」と判断しているから。