落書き帳

あまり触れられないことに触れる
内容は備忘録のため、誤解等含め随時改変

エンジン技術_6 燃費の目玉(3) 二輪車間連

2016年04月20日 | エンジン・自動車

二輪車の「UP-sizingコンセプト」 

2004/12 山海堂 エンジンテクノロジー誌 「二輪エンジンの技術展望」 が元情報。

小型【過小排気量】二輪車の燃費アップには、排気量大幅アップ+最高回転大幅ダウン+最大出力据え置き+ロングストローク化が必須との主張。排気量を思い切り上げて回転数を思い切り下げれば疲労が極端に減ることにも言及している。

やるのは速攻タダ同然で可能だが、障壁は技術問題以前の

最大出力区分ではなく排気量区分の免許、車検制度、保険、税金等の「政治問題」

 

と書いたがメーカー側は単なる「被害者」でもない。

一例として、110ccでも125ccでも原価は変わらないが110ccは

「安い!」の演出材料になっている。「序列」は他の部分でつければイイとするのがフツウの思考。「売り手(の一部である企画販売部門)の論理が見え透いた格付け用排気量は誰の利益になるの?」とするのがフツウの人だが、

「最適化しました」

なる決まり文句以外を中の人は口には出してはイケナイ。

排気量アップすればHC排出量は自動的にタダで減って排気対策手段になる。この程度の排気量アップはタダで可能なので、何%減るとかはここではどうでもいい。元々動力性能に余裕がなく、125ccかつ軽量(何kgとするかは読者にお任せ)が公道実用下限動力性能で「格付け用排気量」に技術的合理性はない。「企画販売技術」「利益最大化技術」「シェア拡大技術」は他所でどうぞ。

 

 

CVT付小型二輪車の常用エンジン回転数は四輪とは全く逆で、4000rpm以下はオマケ、4000rpm以上が常用域。アイドル1500rpm~4000rpmは、普段は通過するだけで居座ることはない。

数字一例、アイドル1500rpm、クラッチOFF→ON 2500rpm、ON→OFF 2000rpm。クラッチのON⇔OFFにヒスが付くのは、クラッチ自身のヒスではなくドリブン側(セカンダリ)プーリーにクラッチが付いているためで、変速比の影響。コースト(スロットル全閉)クラッチON→OFF点では変速比は最LowよりもHigh側になる。ちょっとアクセル開ければ4000rpm超。4000rpm以下に居座るのは減速(PFIなら燃料カット)と、極低速の定速登坂のみ。MTでも大同小異。要求パワーに対して圧倒的にトルク不足。小気筒数による振動・トルク変動問題、エンジン体積重量増を無視すれば(無視できれば)、思い切り排気量アップ、気筒容積アップ、回転数ダウンをすべきなのだ。

オマケ

二輪は最Highで最高速が出るギヤ比セッティングがほとんどである。最Highを巡航用にしたものもあるが、これをやろうとすると一番問題になるのが振動。加速性能の余裕がある大排気量車でも振動でシフトアップorアクセル開できない。振動対策をする領域はあからさまに60km/h定地が最Highで走行できるところまで。速度(エンジン回転)を下げるか、負荷を上げるかすればたちまち振動の嵐。昔の四輪と同じ。

250ccスクーターでも一次バランサー付の車種がある。乗る機会があったが、このクラスに付き物だった「発進ドカドカガタガタ感」がほぼ皆無になっている。200kgに迫る車重の効果なのか一次バランサーの効果なのかクラッチなのか駆動系なのかエンジンマウント系なのかは知らない。トルク変動(4st単気筒は回転0.5次)と一次振動(アンバランス振動)は一般人には区別困難。空ぶかし(駆動系を遮断したニュートラルまたはクラッチ切り状態)ならアンバランス振動と100%は言い切れない。トルク変動による回転変動があれば回転慣性の反力がアンバランス振動と一緒に乗ってくる。

二輪車のアイドル回転は1000rpm以下のものは珍しい。小型車は1500rpm以上が一般的。四輪車の2倍だが、理由は

・高回転でクソ馬力を絞り出すためバルブオーバーラップが大きい

・低回転は使わない(パワー要求 小排気量車)+使えない(振動 大排気量車)

・少気筒数

 

元情報記事の内容をピックアップ

 

5.5kW/8000rpm →5.5kW/4000rpm (排気量2倍 195cc ロングストローク 最高回転半分の低回転専用化設計)  最高速80km/h程度 公道実用下限レベル動力性能

目玉燃費率250g/kWhは二輪用では驚異的数字。単気筒容積が大きい四輪用でもこれに届かないものはいくらでもある。過去形か現在進行形かは実務家はご存知。

BSFCは↓

横軸kW、rpm一定なので注意。Original Engine 300cm3は100cm3(正確には97cm3)の誤記。

グラフ上の表示最大kWでBSFC悪化がないことから、グラフに表示している範囲ではλ=1。

記事中では特に触れられていないが、この排気量でkW据え置き排気量2倍rpm半分のUP-sizingをやるなら、全域λ=1以外の選択はない。排気量枠で出せるだけ出すクソ馬力とは縁が切れて、排気温度制約に引っかかることもない。最大出力点で巡航しても、λ=1ならばそれなりのkm/Lは黙ってついてくる。小型二輪車では、最大出力点=常用域。

増量してトルクアップするのと、λ=1でトルク落ち分排気量アップするのと走行燃費はどっちが得か?目くそ鼻くそ程度の差で、増量域を多用すれば有意に悪くなる。排気性能は言うまでもなく明らかで、こんな時こそ政治の出番。「kW別・排気量無差別級」に一本化するのか現行排気量枠と併存させるのかはともかく、kW別・排気量無差別級は全開CO規制を実施。0.5%以下。「増量してトルクアップ」はイマドキは技術と言えない。「ナントカモード」と称してドライバー入力スイッチで排気量不足非力エンジンにセコセコ増量+点火時期進角させるなら排気量アップすべし。←車種消滅と同時にこっそり消滅したけどアレの法規適合性ってどーなの?排気モードで入らなければお咎め無し?

軸トルク、メカロス特性は↓ 元グラフはkWだがNmに換算。軸トルクに対しメカロス割合が大幅に下がる。メカロスはモータリング法による測定と思われるが、メカロス+軸トルク=図示トルクなので、図示トルクに対するメカロス割合が下がる。

 

同一著者によるフリーアクセス論文を貼る。UP-sizing以外に内容いろいろ。

http://mitizane.ll.chiba-u.jp/metadb/up/thesis/2009_053.pdf 

 

 

160910追記

二輪用エンジンのBSFCマップは全く見たことがない。気筒数不明(おそらく単気筒)385ccの4stのBSFC曲線を貼る。一緒に出ている2st直噴250ccのBSFCはえらく良いが、このBSFCでの製品化(Euro4対応)は無理。エンジン技術_4 三元触媒・O2センサ

 

排気量による免許、保険、税金の区分を廃止し、出力区分に改めれば、実用燃費70~80km/Lは簡単に実現できる。EUの免許区分は、かなりこの考えを取り入れている模様。現状の二輪車では、非現実的低速+低加速走行をしない限り不可能で、よくても50km/L程度に留まる。小型二輪車では、四輪車でいまだにお好きな方がいる【軽負荷だけに夢中】は無意味で、目玉燃費率、全負荷燃費率、高負荷燃費率が全てである。実走行中のrpmとスロットル開度から想像はつく。コマゴマした話は全スルーして超ざっくり言えば、目玉燃費率350g/kWh ÷ 目玉燃費率250g/kWh = 1.4倍、50km/L→70km/Lで数字上の辻褄は合う。四輪車用の目玉250g/kWh→225g/kWhに下げても目玉だけから言えば250/225=1.11倍、四輪車は「軽負荷のマジック」がデカイが小型二輪車の目玉を250g/kWhに下げるのは今となっては(エンジン単体で言えば)実質タダ同然で達成可能で、目玉燃費率なりの車両燃費は黙って付いてくる。こなれた部品をうまく使えばできる話で、排気量2倍、rpm半分、kW据え置きが前提。クソ馬力へのスケベ根性を出した時点で元の木阿弥。

記事中では触れられていないが、技術課題と思われるのは重量と体積と低回転故の振動。重量はrpmダウンを最大限生かした専用設計で稼ぎ、車両の使い勝手をスポイルしない為に極力低重心化する。重心が高くなると、体感重量はメチャメチャ増える。慣性力による回転一次振動はrpmダウンで下がるが振動伝達(トルク変動を含む)は厳しくなる。トータルでどうなるかは知らない。

二輪車の燃費向上に有意に貢献したのは、

・電子制御燃料噴射(減速燃料カット+点火時期の可変化・マップ化)

・O2センサによるλ=1フィードバック マージンを見込んだ空燃比のリッチセッティング排除

λ>1側は空燃比がトルクその他にダイレクトに効くからここに突入しないように誰がやってもリッチセッティングしたくなる←国内向けはJPN2006・2007(H18・19)規制対応以前はPFI仕様でもO2センサ無しがゴロゴロある。コスト削減だが、実用ネンピは悪くなることはあっても良くなることはない。「輸出向けのみ採用」の注記がソレで、こんな物いちいち有り無し分けるな!は客の本音。間接経費で飛んでしまうような額では?

だけである。これで体感実用燃費は1割ぐらい伸びた感じがするが、現状の延長ではこれで終わり。

 

・ HCCI 

 2スト 気流噴射式の直噴にしても高負荷のNOxがダメ

・ 直噴 

 小気筒容積では論外

・ 可変動弁 

  動力性能に余裕があるとは言えない125cc、250ccでクソ馬力絞り出したければどうぞ

・ エレキハイブリッド 

 車重小+走行抵抗の大部分が空気抵抗の二輪では回生効果小 バッテリーの重量とスペースが論外

・アイドルストップ 

クソ高い小容量バッテリー+マトモな充電量管理無し(充電量管理には電流センサが必須だが二輪は付いていない)+巨大放熱フィンECUで空間占領するISGイラネ。フツウの発電機+スターターで十分。

やればバッテリー寿命は必ず縮み伸びることはない。フツウの鉛酸バッテリーは(Liイオンとは違い)常時満充電に近い状態で使うのが経験則的に好ましいはず。「充電制御」なる(カタログ)燃費稼ぎのない四輪車は14V程度の定電圧を常時かけっぱなしだが「過充電」とは言わない。電気負荷を最小限にした状態でフツウに走行すればエンジン始動以外はバッテリー持ち出しはない。鉛酸バッテリーの「充電制御(電流センサ必須)」が流行り出したのは20世紀終盤だが「(カタログ)燃費向上」が目的で「バッテリー寿命延長」は一言も聞いたことがない。

(カタログ)の意味は「カタログ燃費に寄与しないのであれば絶対にやらない」 充電量上限張り付きによる不要発電負荷の排除と減速時の回収。

 

以上四輪の流行りものは全部不要。「免許+保険+税金+道路交通法上の規制」区分を排気量→出力に改めるだけで100km/Lにも手が届くと言っている。

記事は特に50cc原付を槍玉にあげているわけではないが、50ccを叩いておく。免許制度故、今となっては50ccは排気量不足の技術的に歪んだ奇形=国内以外市場無しで、遅い+短寿命+ウルサイ の三重苦。白バイの餌になるので四重苦、四輪に抜かれまくりで危険極まりなく五重苦。砂利道だらけの遠い過去ならともかく道路環境が圧倒的に良くなった+四輪車の動力性能が底上げされた+排気対策で4st化を余儀なくされ大幅パワーダウンした今では役目を終えた。幹線道路を通らない極短距離移動、万年渋滞道路でしか使えない。

遅いのに燃費は125ccに負ける。常用出力=ぶち回し前提の最大出力なのは50ccだけで、速度相応のまともな燃費が出るわけがない。リアルワールドでの排気性能も怪しいが走行距離が短いからお目こぼしか。極端なのがピザ屋三輪で、1ccでも排気量アップすると税金自賠責免許は250cc扱いになる。常時フルパワー走行で燃費+音+耐久性メチャ悪。125ccに換装すれば実質タダで全て解決。125ccフルパワー仕様を載せると足周りがついてこない→フレーム剛性・強度アップ、大径タイヤ化、車体肥大化を安易にやると、筋は違うが250ccスクーターが辿った道と同じ。人間と荷物の占有空間以外は全て邪魔者、デチューンして発進と中間加速に振る。

某日追記

【1ccでも排気量アップすると税金自賠責免許は250cc扱いになる】

より正確には

【トレッド幅430mm超の場合】が前段につく。この条件は2014年のY社「隣接3都市」の日本発売にあたり、追加されたとキオクする。詳細は他所の方にお任せする。

 

オマケ 小排気量二輪車の排気性能デタラメの臭いがする件

日本:125cc以下、EU:150cc以下の区分でHCの規制値g/kmが緩い。HC(未燃分)は気筒容積が小さい程増える。排気モードでのネンピは小排気量の方が良いが実用ネンピはモードネンピほどの差はつかない。125cc以下なら、見通しの良い幹線道路なら発進加速は常時全開。全負荷増量などやっていたら規制値に入る気がしないが走行モードはお目こぼしがあって、車種区分(最高速、最高出力、排気量)毎に異なる。WMTCモード移行は2013年以降の新規受検車で無意味な日本専用二輪車モードとはサヨウナラ。(受験の手間=コストを増やすだけの代物) 他の無意味な日本専用規制と決別した例は騒音規制。日本専用規制のためCVTのチューニングを変えていた。「平成13年騒音規制対応」は騒音規制車速領域でCVTのLow側の使用にリミットをかけているのでその領域は不自然に加速がトロイ。機械式CVT(トルクカム+ウエイトローラー)だから変速特性は自由自在にはならず、騒音規制車速の前後に不自然領域は広がっている。実路上の実騒音低下に対して有効性がなく、海外基準に統一したのが「平成26年騒音規制」。

 

51~90ccの半端排気量(黄色ナンバー 4stでは非力で市場無し)も存在意義がなくなり排気規制強化(平成19年規制 新型車071001~輸入車・継続生産車080901~)を機に全て消滅した。原付二種の免許取得容易化の政治活動は、メーカー&ユーザー側から見て当然の動き。車重は大して50ccと変わらず(人間のサイズは変わらずそれなりの大きさのものをそれなりの速度で動けるようにするとそれなりの重量になる)、フツウの流れにはなんとか乗れる。高速域はともかく、二輪車は発進加速で四輪を引き離したい。せっつかれるのは最高に気分が悪く、最低125ccはないと実用性がない。

ダウンサイズと称して某車(海外向け)の排気量を125→110ccにわざわざ下げた変な例外があるが、意図が理解しかねる。110ccの方が「安い」とか妄言をのたまう方がいるようだが、costは排気量に関連する部分だけに限定すると、この程度の変化ならば同じである。costはそろばんで計算できる。チマチマした仕様違いを作ると型費その他がのしかかる。priceは売り手が最大利益を狙って付けるだけのこと。チマチマした「改良」「最適化」を謳ったところで排気量に技術的必然性はゼロだから行く末は知れている。ゴミのような排気量差で価格差の臭いがするのは何故?「取れるところから取っている」「安い!の演出材料=排気量以外の部分でヤスモノにしている」とするのがフツウの思考。穴が少々デカイだけで高くなると考えるのはバカ。

 

UP-sizingによる燃費向上をまがりなりにも達成したのが某シリーズ。669cc(2012~)は米国の関税対策に過ぎず(700cc超が関税の課税対象)ネンピは745cc(2014~)に体感上も若干劣る。(745ccはバランサー変更+ハイギヤード化) 特定製品についてマンセ~とかdisるのは、いくらでもあるのでそちらにお任せする。MT、DCT共、掛け値無しに実用30km/Lを達成。(情けないことに)このクラスでは驚異的数字。「実用30km/L」の内容については、取り回しの重い大型二輪で「渋滞市街地燃費が悪い」と言うのは「目的外使用」なので自由に想像されたし。

 

二輪車JPN2016(H28)排気規制は、新型車2016/10/1~、継続販売車2017/9/1~だが、2017年3月現在50ccだけは対応車種が皆無。国内と欧州の一部にしか存在しない特異商品で、モデル統合、大幅廃止の布石。欧州の50ccも免許制度がらみ。「50ccはなにをやるにも限界がある」は大部分は本音だが、一部は本音ではない。「金をかければできるがやる気はしない」が本音。排気対策コストで、価格が125cc超→誰も買わない。排気測定走行モードは50ccも125ccも同じで(どちらもClass1区分)km/Lは同水準で排ガス量(質はここでは問わない)は同水準。車重は50cc専用設計ならば若干軽いが50ccは[rpm×負荷率] が2倍になる+気筒容積が小さいから触媒無しでのHC排出量は元々多い。排気対策コストは同等以下にはならない。

50ccの逃げ道はあって、最高速を50km/h以下に下げれば規制強化を回避できるが、誰かやるかな~?現状最高速が何km/hかは微妙なところ。メーター読みは高下駄を履いているのでアテにならず。某社は高精度GPS計測によると非車検対象は1割ピッタリ上乗せ。50km/hリミッター付けてオシマイか?と思うのは早計で、馬力を余らせたままでリミッターに当てっぱなしにすると燃料噴射↔燃料カットの繰り返しで触媒溶損を心配せねばならぬ。ヒスをでかくするとか、燃料カット↔再噴射のパターンを工夫するとか、ここまではタダだが100%安心かは?燃料噴射↔燃料カットの繰り返しが常態となれば排気性能以前の話。点火時期リタードでも排気温度が上がる+やりすぎると失火するから話の筋は似たり寄ったり。電スロで絞れば100%安心だがここまで¥をかけて特異な規格のためだけにやる意味はない。明らかに最高速50km/h以下と思われるのはアレだけで(最High+最高出力点rpmで50km/h以下)、2017/9/1以降も継続販売と予想。

WMTCの自工会資料は言葉遣いがデタラメでどうとでもとれる玉虫色文書。クラス分けの表に「および」なる表現が出てくる。「及び」「並びに」は法律屋用語のようで、半可通が書いたようである。ここで使うと、文学(修辞法の類)には興味無しの人間には、意味がどうとでもとれる。国交省文書は「かつ」でくくった一意に解釈できる表現になっている。

https://www.mlit.go.jp/common/001094623.pdf

 

170901(JPN2016規制全車対応日)追記

バタバタと生産終了が発表されているが、最高速50km/h以下のアレは型式2**に変更されてJPN2016(H28)規制対応となり継続販売。エバポとOBD1はやるだけで、排気がらみはJPN2006(H18)と同じ規制値で排気測定は二輪車モードを継続適用。WMTCモード燃費は排気測定データの副産物なので記載はなく、30km/h定地燃費のみを記載。

 規制未対応(型式 J**  E**)でカタログ落ちしていない車種は、在庫販売でしのいでそのうちモデルチェンジ(型式変更) or 在庫が終了したらこっそりカタログ落ち。二輪は前回規制対応時もこの辺がアバウトだったと記憶。

直接関係ないが、某車はJPN2016(H28)規制対応したにもかかわらずweb上の諸元表に60km/h定地燃費(28.7km/L)だけ記載してWMTCモード燃費の記載がない。WMTCはこっそり目立たない「環境仕様」にだけ載せている。16.2km/Lというスバラシイ数字なので小細工したと勘ぐる。クラス3-2(最高速140km/h以上)のWMTCモード燃費は実用燃費より悪くなるのがフツウ。 モード最高速はグラフ読み125km/hで、四輪車WLTCのような日本独自「100km/h以下」のお目こぼしはない。←受験の手間(コスト)を増やすだけの代物

 

 

JPN2020 規制関連

二輪車排気対策システムの変遷 コマゴマした差異は無視して大筋だけ

表の内容に対していくつか例外があるが

2006時点で小型車はO2センサの有無は対応が分かれてカイシャ毎に特徴があるようだが2016時点で全車有りになっている。2006時点で少数キャブレターが残ったが2016時点で消滅して行き着くところは同じ。

 

二輪車排気規制値の変遷 

個別対応時期(排気量毎、継続販売車の規制対応期限)は省略

走行モード、HOT START / COLD START が変わっているので数字の時系列での単純比較はできない。

WMTCのクラス区分はヤヤコシイので、見やすくなるようにアバウトに排気量で分けた。

JPNの規制値には、何故か伝統的に「最大規制値」があるが無視して「平均規制値」だけ記載。EU等、海外の数字とはコレでないと比較できない。

1998規制と対応内容で二輪車(小型車)の特徴がわかる。二次空気で減るのはHCとCOでNOxは減らない。四輪車の場合は触媒無しでは HC≦NOx になるが二輪車(小型車)は逆転して「HCがNOxの10倍」 四輪車の「≦」の意味は「10倍も違うことはない」 イマドキはアテにならないが、LA4(25℃ start)で「多くてNOxがHCの2倍程度」だったとキオクする。

キオクmemo 1988年データ US仕様 排気量≧2.0L PFI+EGR 25℃始動 LA4

触媒無し(エンジンout)複数社を調査した相場下限

HC 1.5g/mile (某4気筒 某6気筒) NOx  2g/mile (某4気筒)

コレより低いモノはなかった

背景

・二輪は気筒容積が小さいのでHC排出量大

・二輪はキャブレターの場合減速燃料カットがないので減速中は失火してHC垂れ流し

・二輪は水冷でも燃焼室周辺・気筒内の壁面温度管理がアバウト 機能維持が最優先で、水冷でもラジエターはオマケ程度のサイズで実質は空冷寄り 機能限界まで温度を上げられない?

 

JPN2016規制 50cc以下(原付一種)に排気規制強化対応免除の例外があった

50cc以下 かつ 最高速50km/h以下(欧州のモペット相当)は排気規制の強化は免除されてJPN2006規制のまま据え置き。エバポとOBD1の免除はなく要対応。最高速50km/h以下なのはモペットを全く連想できないアレだけだが、JPN2016規制に対応して継続販売している。

 

JPN2020規制 

2019/2/15付 国交省リリース 二輪車排気規制強化 

リリースを読む限り50ccに対する例外はない。2016排気規制強化を免除された某車は2006→(2016は免除)→2020の排気規制一段飛ばしを要求される。

2019/10/3付 国交省リリース 二輪車OBD2対応

50cc以下は全車OBD2対応免除 傍観者にはやればできそうに見えるが「免除」とするのがフシギで、EU規制(EURO5)はどーなっている?

結論 

次回「50cc審判の日」は、2025年10月31日 50ccのJPN2020排気規制対応期限日

たぶん工場出荷日基準で、この日限りでJPN2020規制未対応車は出荷できなくなるから審判結果待ち。

 

2022年、マトモな技術情報が出るようになった。何事も検索ワードを選ばないとゴミ記事ばかり釣れる。

「50ccでは触媒昇温が遅すぎ」

触媒活性温度は一声300℃としておこうか。

コレは致命的で、気筒と排気系の 表面積 / 体積 が大きいから誰が設計してもこうなる。

 

2023/12 50cc(原付一種)の審判結果 「4kW以下 かつ 125cc以下」に規格変更 

4÷0.125 = 32kW/L これなら全域λ=1は可能

この期に及んでも全負荷増量を続けるのか、生暖かく眺める。

全負荷増量をやっているかの判定は簡単で、[ 公式文書で明示的に触れない、黙っている ] = やっている

四輪OEM芸人が広報話術により口先でウソをついた事例は複数あるが、↑が外れた事例は皆無。

「規格に起因する発展性のない奇形技術の排除」「アメとムチ」の原則により、全域λ=1を構造要件、認可条件に追加すべし。

と書いて思いつくのは、

OBD2は対応するの?

51~125ccは、2022/11時点で触媒診断(触媒後にO2センサの追設が必要)以外全車対応済み。ECUハード、ハーネス等は出力4kW区分で分ける必要はなくコストアップ無し。4kW→クソ馬力アップ改造防止対応費用と触媒診断を除くコストアップ要素はなく「4kW以下だからOBD2対応免除」とする合理的理由はない。

全域λ=1の監視はOBD2対応すれば、タダ同然の汎用ツールで可能。

 

 

オマケ

「新型車」「継続販売車」の型式認可上の定義は知らないが、2020/12/01以降も

・コレ誰が見ても新型車だよね

・ボアスト全く変わってるから、「新エンジン」で新規受験だよね

と思われる車両がJPN2016規制対応のまま(型式2**)いくつか発表発売されている。

当方が確認した限りでは、2021/03 発表が最も遅い。

JPN2020規制対応の日付は「型式認可日期限」で、

「JPN2016規制対応認可を出すのは、2020/11/30 まで」

と思えば納得がいく。いつ発表発売するかはメーカー裁量で、次回バタバタと変更が入るのは、継続販売車のJPN2020規制対応期限 2022/11~になる。この辺は、

・JPN市場は台数少ない→EU等と仕様を揃えとけ→早期にJPN2020規制対応

・数はわずかだが、ウケ狙いのJPN専用新型車はJPN2016規制対応のまま売り出し 止める継続するの選択肢を残す

・JPN市場の台数がソコソコ見込める→2020/11/30までにJPN2016規制対応認可をとっておき、JPN2020規制対応を約2年後まで遅らせてコストダウン

がからんでいると思われる。

51cc以上の場合

EURO5規制       新型車 2020/1/1~  継続販売車 2021/1/1~

JPN2020規制 新型車 2020/12/1~ 継続販売車 2022/11/1~

JPN2020規制対応義務化の時期が1~2年遅い。