合言葉は、ボスコーン!

甘く切なく綴ってアン畜生なる彼方。SFと映画そして時々の成人向け漫画で日々精進なるや

井戸の中よりこんにちは

2006-06-30 01:16:48 | Weblog
引き続き。

J・ティプトリー・ジュニア 「故郷から10000光年」   ☆☆☆☆(☆)

ハヤカワSFとしての発刊順では最初に当たるこの短編集の場合、「老いたる霊長類~」と比べるとバリエーション豊かでバランス良く、どれも楽しめた。
中でも個人的に最高傑作だと思っているのは、表題にニュアンスを一部分拝借されている「故郷へ歩いた男」だなぁ。いやもう、これ読んでて体のそこら中を電気が走った。読み終えた後、思わず「ほぅ」と大きく息吐いたほど、とにかく痺れまくり。
発想もさる事ながら、一つの些細な起点から一気に話が拡がって加速していく快感と究極のラスト、感嘆すら覚えるほどの絶妙な技巧がね、もうね、ヤバイ。この話だけで本価格の840円の元が取れたといっていいくらいだ。
次点には「苦痛志向」と「我らなりに、テラよ、奉じるは君だけ」がくるかなぁ。もちろん他の作品も甲乙つけ難い出来なのですが。
あと、最後の締めとして「ビームしておくれ、ふるさとへ」がきますが、これはあまりにも切ない。あまりにも哀しすぎるお話。ティプトリーの、ひどく愚かな種族としての人間への凍てつくような冷徹の眼差しと、心のどこか片隅に秘めた愛惜がない交ぜになった作品としても、涙流すしかない傑作。これだけは思わず心の中で呻いてしまった。



次は「星ぼしの荒野より」をやる予定。


ついでで一つ。
ガラスの艦隊 ギャグアニメのごとく…
第一話で心をアイアンクローされて尚且つ来週の放送が楽しみで仕方が無いという方は必見。


追記。「苦痛思考」じゃなくて「苦痛指向」でした。てなわけで訂正。

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2 コメント

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Unknown (doriheko)
2006-07-01 23:35:50
ルネッサンスSFという新たなジャンルを開いたガラ艦に拍手。しかしまぁ、予想もつかない方向から入ってくる「超」描写はコーヒー飲んでいる時に見ると大変な事になるから困る。



理性がいろいろ弾けちゃったアニメとしてはマジ最強。
うっわぁ (海月)
2006-06-30 18:34:21
超絶に頭が悪くなるな、それ。



しかし、超世界の出来事なら全ては納得だね!



オリハルコンまで出てくると思わなかったけどさ!