廃除(ハイジョ)制度についてご説明します。
廃除とは、簡単に言えば、「私の相続人からお前を完全に排除する」という事です。
ポイントは4つです。
①廃除事由の存在(民法892条)
②排除対象にできる推定相続人(相続人候補者)
③遺言による廃除
④家庭裁判所への請求
①廃除事由の存在(民法892条)
何の理由もなく廃除制度を使う事は出来ません。
それなりの理由があるからこそ、「私の相続人からお前を完全に排除する」という意思に法的効果が認められます。
この「それなりの理由」が、廃除事由です。
・被相続人に対する虐待があった。
・被相続人に対する重大な侮辱があった。
・推定相続人に重大な非行があった。
実際に廃除が認められた例は、次のとおりです。
親が子を廃除しました。
「子が、老齢で病床にある親を屋根裏に押し込め、生活費も渡さず、暴力を振い、『死んじまえ』と暴言を吐く等した。」
・・・最低ですね。
②排除対象にできる推定相続人
第一順位相続(子)・第二順位相続(親等の直系尊属)・配偶者です。
つまり、第三順位相続(兄弟姉妹)は、相続関係から排除できません。
「できません」というより、「する必要がない」と表現した方が正確です。
理由は、廃除制度が、「私の相続人からお前を完全に排除する」ことを目的にしているからです。
詳しく言うと、「完全に」という点と遺留分制度(当事務所HP)との関係です。
ざっくりなご説明ですが…
遺留分とは、一定の相続人の相続権を一定割合で保障するという考えを実現するための制度です。
遺言によって特定の誰かに財産全部を相続させたとしましょう。
この場合、遺言があることによって相続できなくなった相続人だって、相続に対する期待権を有していたはずです。
それを遺留分として、少しだけ保障してあげますという事が、遺留分制度の目的です。
そして、第三順位相続である兄弟姉妹には、この遺留分がありません。
したがって、「私の相続人からお前を完全に排除する」のならば、廃除制度を使うのではなく、遺言書を作成すれば良いのです。
以上により、廃除制度で排除対象に出来るのは、上記の3パターンとされました。
③遺言による廃除
遺言書による廃除もできます。
遺言書に、「お前を廃除する」と書けば、自分の相続人から特定の相続人を排除できます。
この場合、廃除の効力は、遺言者が死亡した時に発生します(民法893条)。
したがって、対象とされた推定相続人は、自分のために相続が開始したと思った瞬間に、廃除により相続権が無くなります。
④家庭裁判所への請求
廃除の手続は、家庭裁判所に対して請求して行います。
これは、遺言書を使った廃除の場合でも同様です。
この場合には、遺言執行者が家庭裁判所へ請求します。
遺言によらない場合には、被相続人(上記①の例で言うなら親)が自ら、家庭裁判所に請求をします。
ちなみに、廃除の取消も可能ですが、やはり、家庭裁判所へ請求します。
…「相続人って誰なのよ⑦(相続欠格しています)」につづく。
廃除とは、簡単に言えば、「私の相続人からお前を完全に排除する」という事です。
ポイントは4つです。
①廃除事由の存在(民法892条)
②排除対象にできる推定相続人(相続人候補者)
③遺言による廃除
④家庭裁判所への請求
①廃除事由の存在(民法892条)
何の理由もなく廃除制度を使う事は出来ません。
それなりの理由があるからこそ、「私の相続人からお前を完全に排除する」という意思に法的効果が認められます。
この「それなりの理由」が、廃除事由です。
・被相続人に対する虐待があった。
・被相続人に対する重大な侮辱があった。
・推定相続人に重大な非行があった。
実際に廃除が認められた例は、次のとおりです。
親が子を廃除しました。
「子が、老齢で病床にある親を屋根裏に押し込め、生活費も渡さず、暴力を振い、『死んじまえ』と暴言を吐く等した。」
・・・最低ですね。
②排除対象にできる推定相続人
第一順位相続(子)・第二順位相続(親等の直系尊属)・配偶者です。
つまり、第三順位相続(兄弟姉妹)は、相続関係から排除できません。
「できません」というより、「する必要がない」と表現した方が正確です。
理由は、廃除制度が、「私の相続人からお前を完全に排除する」ことを目的にしているからです。
詳しく言うと、「完全に」という点と遺留分制度(当事務所HP)との関係です。
ざっくりなご説明ですが…
遺留分とは、一定の相続人の相続権を一定割合で保障するという考えを実現するための制度です。
遺言によって特定の誰かに財産全部を相続させたとしましょう。
この場合、遺言があることによって相続できなくなった相続人だって、相続に対する期待権を有していたはずです。
それを遺留分として、少しだけ保障してあげますという事が、遺留分制度の目的です。
そして、第三順位相続である兄弟姉妹には、この遺留分がありません。
したがって、「私の相続人からお前を完全に排除する」のならば、廃除制度を使うのではなく、遺言書を作成すれば良いのです。
以上により、廃除制度で排除対象に出来るのは、上記の3パターンとされました。
③遺言による廃除
遺言書による廃除もできます。
遺言書に、「お前を廃除する」と書けば、自分の相続人から特定の相続人を排除できます。
この場合、廃除の効力は、遺言者が死亡した時に発生します(民法893条)。
したがって、対象とされた推定相続人は、自分のために相続が開始したと思った瞬間に、廃除により相続権が無くなります。
④家庭裁判所への請求
廃除の手続は、家庭裁判所に対して請求して行います。
これは、遺言書を使った廃除の場合でも同様です。
この場合には、遺言執行者が家庭裁判所へ請求します。
遺言によらない場合には、被相続人(上記①の例で言うなら親)が自ら、家庭裁判所に請求をします。
ちなみに、廃除の取消も可能ですが、やはり、家庭裁判所へ請求します。
…「相続人って誰なのよ⑦(相続欠格しています)」につづく。