寺子屋ぶろぐ

日記から身近な法律問題の解説まで。

相続人も大変です②‐1(相続を放棄する)

2010年06月11日 | 相続制度

民法939条
「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」

いきなり条文ですが、これは、相続放棄の効力について定めています。
今回は、相続放棄の効力についてのご説明です。

という訳で。
相続放棄をすれば、ハナッから相続人ではなくなります。
したがって、被相続人の遺産を、そのプラス・マイナスを問わずに、一切承継しません。

ただし、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に手続を取る必要があります。

また、代襲相続の対象ではありません。
したがって、自分が相続放棄をした事により、自分の子どもが相続権を取得する事にはなりません。
これは、相続放棄によって、自分の相続権そのものがフッ飛んでしまうからです。

更に、注意点があります。
具体例でご説明します。

AB夫婦の間に、子CDが居ました。
ここで、Aが亡くなりました。
相続人は、BとCDです(配偶者別格+第一順位相続)。
Aには負債は無く、ある程度まとまったプラスの遺産がありました。
そこで、CとDは、その遺産をB一人に相続させてあげようと考えました。

その手段として、CとDが、Aの相続を放棄するという手続をとりました…。

これは、マズイです。
CとDが取るべき手段は、Bと共に、遺産分割協議をする事です。

次回、この点につき、詳しくご説明します。

…「相続人も大変です②‐2(相続を放棄する)」につづく。