口語が、口を閉じる。 どうして? 口論では、口を開かない。なぜなら幸福と快楽のちがいが分からない。その境界で主語になる。去年はじめて穫れたたグレープフルーツのように口を開けて大きく息をする。それで十分。同僚たちは形容詞が大キライ。バルカン史の授業ではタルノヴォ派のヤギたちが気持ちよく朝日に頭突きしている図を表示して。自分も気持ちよくなって。主体とは、不可解な客体に向かう、光の速度に他ならない。まだ教師、じゃない若いかの女が教壇の下で綴る、文体が、口を開く。