四国山地の奥に住んでいたころは、テレビの民放チャンネルはわずかしかなく、ラジオも電波があまり届かず、本屋さんも映画館もないという生活でした。学校の先輩たちから聞くにっかつロマンポルノの話題にわくわくどきどきしていましたが、先輩たちの知識も断片的で、私はどうにかしてこの手の映画が見たいものだと、そればかり考えておりました。
やがて父の転勤で引っ越すことになり、初めて土讃線に乗りました。汽車は深い山の中を走ります。私はうとうとして夢を見ました。私の乗った汽車は真っ暗な空中を飛んでいるのです。私の目の前には黒づくめの服を着た、髪の長い美しいお姉さんが座っています。お姉さんは私に言いました。「あとは一人で行くのよ、哲郎。」
私は大阪の○○市に住むことになりました。やはり大阪にいた若い叔父のところに遊びにいくと、「すっかり大きくなったな。なかなか男前になったじゃないか。」と喜んでくれました。帰り際に叔父は、「何かお土産をやろう。何がいいかな。そうだ。」と言って、重たいダンボール箱を出してきました。中には雑誌 EIGA NO TOMO がぎっしり詰まっていました。この箱を自転車の荷台にくくりつけて帰るときの、天にも昇るような心地と言ったら。
それからは部屋に鍵をかけて閉じこもり、一日中、夜も目覚めている限り、にっかつの世界に浸りました。未亡人もの、看護婦もの、痴漢電車シリーズ。王侯貴族になったとしても、これほどの満足が味わえるでしょうか。そんなころ夢を見ました。梅田のHデパートにいるのです。エレベーターのドアが開くと、上品なエレベーターガールのお姉さんが、ちょっと恥ずかしそうに微笑んで目で私を招き入れました。かなり短かいワンピースの制服です。ドアが閉まって二人きりになると、お姉さんは私に密着してきて、鏡を見せてくれるのです。そこには美しいチアガールたちに囲まれてちやほやされている若い男が映っていました。「どうですか?楽しそうでしょう?」今度は鏡の反対側の面を見せてくれました。「こっちはどう?うふふ。」お姉さんが私のほほにキスをしてくれたところで目が覚めました。
それでも当時の私は不信心で、夢の意味もあまり考えもしませんでした。そして、年頃になれば私もきれいになる、セーラー服の似合う女子高生になって、××××で××××されたり、白衣の似合う看護婦さんになって××××に××××××××されたりするんだわなどと、そんなことばかり考えていたのです。考えの足りないことでした。
やがて父の転勤で引っ越すことになり、初めて土讃線に乗りました。汽車は深い山の中を走ります。私はうとうとして夢を見ました。私の乗った汽車は真っ暗な空中を飛んでいるのです。私の目の前には黒づくめの服を着た、髪の長い美しいお姉さんが座っています。お姉さんは私に言いました。「あとは一人で行くのよ、哲郎。」
私は大阪の○○市に住むことになりました。やはり大阪にいた若い叔父のところに遊びにいくと、「すっかり大きくなったな。なかなか男前になったじゃないか。」と喜んでくれました。帰り際に叔父は、「何かお土産をやろう。何がいいかな。そうだ。」と言って、重たいダンボール箱を出してきました。中には雑誌 EIGA NO TOMO がぎっしり詰まっていました。この箱を自転車の荷台にくくりつけて帰るときの、天にも昇るような心地と言ったら。
それからは部屋に鍵をかけて閉じこもり、一日中、夜も目覚めている限り、にっかつの世界に浸りました。未亡人もの、看護婦もの、痴漢電車シリーズ。王侯貴族になったとしても、これほどの満足が味わえるでしょうか。そんなころ夢を見ました。梅田のHデパートにいるのです。エレベーターのドアが開くと、上品なエレベーターガールのお姉さんが、ちょっと恥ずかしそうに微笑んで目で私を招き入れました。かなり短かいワンピースの制服です。ドアが閉まって二人きりになると、お姉さんは私に密着してきて、鏡を見せてくれるのです。そこには美しいチアガールたちに囲まれてちやほやされている若い男が映っていました。「どうですか?楽しそうでしょう?」今度は鏡の反対側の面を見せてくれました。「こっちはどう?うふふ。」お姉さんが私のほほにキスをしてくれたところで目が覚めました。
それでも当時の私は不信心で、夢の意味もあまり考えもしませんでした。そして、年頃になれば私もきれいになる、セーラー服の似合う女子高生になって、××××で××××されたり、白衣の似合う看護婦さんになって××××に××××××××されたりするんだわなどと、そんなことばかり考えていたのです。考えの足りないことでした。