ヨハン先生のドイツ語フランス語三昧

ドイツ語、フランス語をはじめて学ぶ人からブラシュ・アプしたいと思っている人まで、楽しく、しっかり身につくブログです

フランス語の文章構造の基本を理解しよう (39) 会話に使われる成句

2014-06-08 00:28:17 | フランス語文章構造の基本
さて、これまでフランス語の文章構造の基本として見てきた形は、書道で言えば、楷書の世界でしょうか。
でも、実際の会話には前回の省略語も平気で顔を出してきます。草書のような世界でしょうか。

ヨハンがスイスでフランス語学校に通っていた時にお世話になったB&Bのオーナーは、このあとパリに行く予定だとヨハンが言うと、「スイス人はゆっくりしゃべるけど、パリに言ったらこんなもんじゃないよ、早口だよ」と脅かしてくれました。

ただでさえ、単語は黙字だらけで、ou 「あるいは」 と où 「どこ」 と aout 「八月」、salle 「ホール」 と sale 「汚い」、saint 「聖なる」 と sain 「健康な」 と sein「 乳房」 が発音上区別がつかないだけでなく、リエゾン、アンシェーヌマン、エリジオンと発音の短い単語が鎖のようにつながって早口でしゃべられます。

それが言葉の草書体だと思うと前途は多難、楷書を一通り習って、やっとウォーミングアップが終わったところ、これからが本当の学習スタートと言えなくもありません。

でも、それを日常話しているフランス語ネイティブの立場から考えると、やはり合理的な理由に基づいて、相手に伝えやすくしようと工夫している結果の話し言葉に思われます。簡略な、省略された言い回しだからと言って若者言葉と簡単に片づけられないのです。

前回アップしたヒアリング・テストでも、質問の形がすべて疑問詞を最後にしていました。

Où habitez-vous ? と聞くよりは
Vous habitez où ? と最後をしっかり発音する方が、相手には伝わりやすいことは間違いないと思われます

ただでさえ早口なんですから、
Où est-ce que vous habitez ? なんて舌を噛みそうな言い方はしてられない、ってな感じでしょうか

先生をいちいち professeur なんて言わなくても prof で、ちゃんと伝わるし ( そう言えば、以前の学生たちは「パンキョー」って言ってたし )
バカロレアなんて、まどろっこしい言い方する奴は「バカ」じゃないか、ってなもんでしょ

そんなことから、少し草書のフランス語を見ておくことにいたしましょう


否定の形

基本は  ne と pas で両脇からしっかり挟む、ということですが、動詞を省略してしまったら、ne の出番はありません
pas だけで立派に否定形を作ります

Pas question !
論外 ! だめだめ、だめよ



〇 pas だけで否定する形あれこれ

Je crois pas. 
そうは思わない

C’est pas vrai.
 /  Pas possible ! 
まさか

Pas vrai ? 
そうでしょう ?

Pas encore. 
まだだ

Pas du tout. 
全然

Absolument pas. 
絶対違うよ

Pas tellement. 
それほどでも

Pas de chance ! 
ついてないや

Pas d’histoire ! 
ぐずぐず言うな

Pas de blagues !
冗談いうな

Pas sûr. 
どうかな、わからないな

Si on allait se baigner ? – Pourquoi pas.
泳ぎに行こうか ? – いいね
 ( 英語の why not ですね )

Tu viens ou pas ?
来るのか来ないのか ?

Il est menteur comme pas un.
彼は他の誰よりも嘘つきだ




〇 personne 「誰も~ない」、rien 「何も~ない」、jamais 「決して~ない」などすでに否定の意味をもつ言葉は pas なしで使われます

Personne n’est venu. 
誰も来なかった

Il n’y a personne dans le jardin. 
庭には誰もいない

Ce n’est la faute de personne.
それは誰のせいでもない

Je n’y suis pour personne. 
誰が来てもいないと言ってくれ

On ne sait jamais ! 
一体どうなることか

Cela ( ça ) ne sert à rien. 
それは何の役にも立たない

On n’a besoin de rien. 
必要なものは何もない

Ça ne fait rien. 
構いませんよ

Ce n’est rien. 
何でもありませんよ

De rien. 
どういたしまして

Je n’y suis pour rien. 
それは私に関係ない
(私のせいじゃない)

Rien n’y fait. 
なにをしても無駄だ

C’est mieux que rien.
ないよりましだ

Il n’en est rien.
実はそうではない



2009年7月9日著者撮影



à+名詞が y、 de+名詞が en に代わる不変化(代名)詞の問題 (「フランス語の文章構造の基本を理解しよう (18)  le、en、y」参照)

これも必ずしも前出する特定の語に代えて使われるばかりでなくて、会話などでは成句としてすでに組み込まれて出てくることがあります。


成句で出てくる y と en

〇 y

Allez-y ! 
さあ、やりなさい

Allons-y !
さあ、やろう

Viens-y !
 / Venez-y !
やれるものならやってみろ

Ça y est. 
うまくいった

On y va ? 
さあ、行こうか

Ah ! J’y suis.
ああ、わかった

Vous y êtes.
その通り、あたり~

Vous y êtes ?
用意はいいですか?

Mais, j’y pense. 
そうそう思い出した

Tu n’y penses pas ! 
まさかあ

Je n’y peux rien. 
私にはどうにもできない

Il s’y entend.
彼はそのことに明るい

Je voudrais ( bien ) vous y voir !
あなたが私の立場にあったとしても似たようなことになったと思いますよ

Comme vous y allez !
まあまあ落ち着いて

Vous y allez un peu fort !
ちょっと大げさだよ

Il y va fort !
やりすぎだ



〇 en

Ne t’en fais pas ! 
心配するな

On en mangerait ! 
食べてしまいたいほど素敵だ

J’en doute. 
どうかな

Je m’en doutais bien. 
どうせそんなことだろうと思ってた

J’en suis sûr ! 
自信があるんだ
 (絶対だよ)

Tu m’en veux ? 
私のこと怒ってる ?

Je m’en voudrais ! 
それはごめんだ

Vous m’en direz tant. 
よく言いますね

Il s’en va.
彼は行ってしまう

Je m’en vais, c’est le moment.
さあ帰ろう、もう時間だ

Son père s’en est allé.
彼(女)の父は世を去った

Avec ce produit, cette tache s’en ira.
この製品を使えばそのしみも抜けるだろう

Il en a vu dans sa vie.
彼は人生でいろんなつらい経験をしてきた



2003年12月26日著者撮影



最後に代名動詞です
以下のサンプルはいずれも簡潔で、しかもしっかりと意味を伝える形です。でも、知っていないと意味がつかめないで「ん ?」となってしまいますから、覚えておくことにしましょう

〇 代名動詞の成句

Ça ne se fait pas ! 
そんなことはするものではない

Ça ne se fait plus.
それはもう時代遅れだ

Ça se voit. 
見ればわかるよ

Ça se mange ? 
これ食べられますか

Ça se pourrait. 
そうかもしれないな


[ Cela ] s’entend.
もちろんさ

Il se fait nuit.
夜になる





ça  はとても便利な言葉で、困った時に救援に駆けつけてくれるありがたい助っ人です

Pourquoi ça ?
どうしてさ

Comment ça ?
どうやってさ


と覚えちゃいましょう