ヨハン先生のドイツ語フランス語三昧

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フランス語の文章構造の基本を理解しよう (36) 時制のまとめ ―パート1

2014-06-01 21:36:48 | フランス語文章構造の基本
時制のまとめ ―パート1

フランス語の動詞の活用を複雑に感じさせる原因はどこにあるのでしょうか
どう頭を整理していけばよいのでしょう
時制と活用パターンの多さを前にたじろいでしまっていては底なし沼に陥るばかりで、そこから抜け出すことはできません
学習のエネルギーを集中させて効率よく、しかもしっかりと全体を展望できるような視点を作ることが不可欠です

それには次の点を押さえておくことです

(1) フランス語では未来が単独時制のグループに組み込まれていること (単純未来形)

(2) フランス語には書き言葉専用の形があること

フランス語独特の条件法、接続法だけが問題を複雑化しているわけではないのです

次に、話法について頭を整理します

フランス語の話法は、
事実、客観世界を述べる「直説法」 ―(イ)
仮定、願望を表現する「条件法」 ―(ロ)
誰かの言説を伝言する形の「間接話法」 ―(ハ)
誰かの頭の中にある主観世界を動詞の形として表現する「接続法」 ―(ニ)
に分けられます 

「命令法」はこのテーマにおいて頭を混乱させる原因ではないので外します

これらの(イ)~(ニ)の分類から、先ず、書き言葉専用の時制 (2) を除いた時制について、単独時制か複合時制かで頭を整理すると、

単独時制
次の5つ ―A
直説法・現在、半過去、単純未来
条件法・現在
接続法・現在

複合時制
次の 5つ ―B 
直説法・複合過去(いわゆる現在完了)、大過去(いわゆる過去完了)、前未来(いわゆる未来完了)
条件法・過去
接続法・過去

に分類、整理できます

したがって、語尾変化そのもののパターンで習熟しておかなくてはならない単独時制は上記 (A) の5つの時制に絞ることができます

条件法、接続法というフランス語独特の単独時制は直説法の主文に直結して従属節内に登場してくる形なので、(ハ)と(ニ)を分離してしまわないことが大切です

残る5つの時制 (B)  は複合形なので、助動詞について習熟しておれば間違える心配はありません


次に、書き言葉のグループ (2) に戻って同じく分類すると

単独時制2つ ―(C)
直説法・単純過去、接続法・半過去

複合時制2つ ―(D)
直説法・大過去、接続法・大過去

となります

ここでも、語尾変化そのもののパターンで習熟しておかなくてはならない単独時制は上記 (C) の2つです




グループ分けに従って、いくつかの動詞をサンプルに練習してみることにしましょう

être と avoir は必須中の必須動詞なのでパーフェクトに覚えておく必要があります

その他は規則動詞の代表 donner と finir
不規則動詞としては aller、faire に3つの助動詞 devoir、pouvoir、vouloir、そして非人称動詞 falloir と、当面重要な不規則動詞の代表として prendre、mettre、dire、savoir、venir、voir
これら合計16の動詞にさしあたり目標を絞ってしまえば覚えるエネルギーをなえさせることなく練習できるはずです

そしてその他の不規則動詞も覚えなくてはならない細かな点があっても、活用地図全体の見取り図をつくる上での練習では、それらについても、なかにすでにある程度の位置づけができているはずですから、具体的には出てきた都度個別に対応していくというということで十分です


サンプル
Aグループの5つの時制
直説法・現在、半過去、単純未来// 条件法・現在、接続法・現在

être
je suis、j’étais、je serai// serais、je sois
avoir
j’ai、j’avais、j’aurai// j’aurais、j’aie

donner
je donne、je donnais、je donnerai// donnerais、je donne
finir
je finis、je finissais、je finirai// finirais、je finisse

aller
je vais、j’allais、j’irai// j’irais、j’aille
faire
je fais、je faisais、je ferai// ferais、je fasse

devoir
je dois、je devais、je devrai// devrais、je doive
pouvoir
je peux、je pouvais、je pourrai// pourrais、je puisse
vouloir
je veux、je voulais、je voudrai// voudrais、je veuille

prendre
je prends、je prenais、je prendrai// prendrais、je prenne
mettre
je mets、je mettais、je mettrai// mettrais、je mette
dire
je dis、je disais、je dirai// dirais、je dise
savoir
je sais、je savais、je saurai// saurais、je sache
venir
je viens、je venais、je viendrai// viendrais、je vienne
voir
je vois、je voyais、je verrai// verrais、je voie


フランス語キー配列でこれらを発音しながら10回もタイプ練習していけば、だんだん頭になじんできて、いざというときにもすっと形がアウトプットされるようになります

タイプの手が止まる場所、活用形がすんなり出てこない個所は頭になじんでいない証拠です。重点的に頭に叩き込みましょう

一通りできるようになったら、同じく次に主語を tu に代えて、この練習を繰り返します
これを順次主語を il、nous、vous、ils に代えていきます

重要な非人称動詞 falloir については、主語 il の練習で仲間に加えます

il faut、il fallait、il faudra// il faudrait、il faille

一日に長時間このことに割くと、頭に拒否抗体がつくられてしまいかねないので、自分が心地よくできる時間で切り上げましょうね

これでAグループの練習は終了です


〇 次にCグループですが、2つの形だけなので、加速度的に練習がはかどるはずです

Cグループ (書き言葉)
直説法・単純過去、接続法・半過去

être
je fus、je fusse
avoir
j’eus、j’eusse

donner
je donnai、je donnasse
finir
je finis、je finisse

aller
j’allai、j’allasse
faire
je fis、je fisse

devoir
je dus、je dusse
pouvoir
je pus、je pusse
vouloir
je voulus、je voulusse

prendre
je pris、je prisse
mettre
je mis、je misse
dire
je dis、je disse
savoir
je sus、je susse
venir
je vins、je vinsse
voir
je vis、je visse

一通りできるようになったら、同じく次に主語を tu に代えて、この練習を繰り返します
これを順次主語を il、nous、vous、ils に代えていきます

重要な非人称動詞 falloir については、主語 il の練習で仲間に加えます

il fallut、il fallût


〇 これらのAグループ、Cグループの練習を通じて、残るすべての複合時制 BグループとDグループは、練習済みとなった助動詞 être と avoir の活用に、本動詞の方は過去分詞にして足していくだけなので、自動的に練習済みの状態が達成されています

サンプル

Bグループ 
直説法・複合過去(いわゆる現在完了)、大過去(いわゆる過去完了)、前未来(いわゆる未来完了)、条件法・過去、接続法・過去

( ~に次の過去分詞を足す : été、eu、donné、fini、fait、dû、pu、voulu、pris、mis、dit、su、vu )
j’ai ~、j’avais ~、j’aurai// j’aurais ~、j’aie ~

( ~に次の過去分詞を足す : allé(e)、venu(e))
je suis ~、j’étais ~、je serai// serais ~、je sois ~


一通りできるようになったら、同じく次に主語を tu に代えて、この練習を繰り返します
これを順次主語を il、nous、vous、ils に代えていきます

重要な非人称動詞 falloir については、主語 il の練習で仲間に加える ( 過去分詞は fallu )

il a  ~、il avait  ~、il aura// aurait  ~、il aie  ~


Dグループ
直説法・大過去、接続法・大過去

( ~に次の過去分詞を足す : été、eu、donné、fini、fait、dû、pu、voulu、pris、mis、dit、su、vu )
j’avais ~、j’eusse ~

( ~に次の過去分詞を足す : allé(e)、venu(e))
J’étais ~、je fusse  ~


一通りできるようになったら、同じく次に主語を tu に代えて、この練習を繰り返します
これを順次主語を il、nous、vous、ils に代えていきます

重要な非人称動詞 falloir については、主語 il の練習で仲間に加えます

il avait  ~、il eût  ~



従来型の活用練習、たとえば
je donne
tu donnes
il donne
nous donnons
vous donnez
ils donnent
は活用に迷いが生じたときに基本に立ち返る上で必要です (今回絞りこんだ16の動詞についてはAグループ、Cグループの時制を何度も練習して習熟しておきます)
しかしその練習だけで終了としてしまうと、時制間の横のつながりが把握できないので、いったん縦型の練習から脱却して、横軸の練習を加えることで、フランス語の時制の全体像をつかんでおくことも重要だと言うことです。

そして練習のターゲットを絞ること、これが大切です (欲張る必要はありません)

〇 必ず声に出しながら、タイプで打って、耳と指を使って記憶させていくことがこうした練習で最も大切な点です

オー・マイ・ガツ ! それでも、まったく時間がかかります
でも、先に進むためには欠かせないプロセスです