雨戸
1
路地に立って人を待っていた
すると 家の窓があき
ひとが顔を出した
目が合った
わたしは後ろを向いた
ニ三歩離れた
そのとたん 雨戸を閉める音がした
背中をえぐられるような大きな音がした
2 短歌
雨戸しめ今日へ別れを告げていく
閉ざした闇を
置き去りにして
戸の外に桜花散る
夜の間の乱れしこころ
知れるごとくに
痛む夜も明けたるを知り
雨戸開け
今日の痛みの小(ち)さきを祈る
3
冬は四時にしめた
春になったので五時にしめる
夏は六時にしめるだろう
あたりにひびく音を立てて
―さあ、夜が来ましたよ、町のひとたち
魂のことを思い出して自分を取り戻す時間です
心をしずめ人生の意味など考えてみませんか
朝の六時 あたらしい扉をあけるまでのひと時
●ご訪問ありがとうございます。
我が家の雨戸はがたつきが出てきているので、閉めるときに音がガラガラと出ます。その音を気にしながらも、閉め終わると、「ああ、一日が終わるなあ」という静かな気持ちが湧いてきます。