祈りを、うたにこめて

祈りうた(日向ぼっこ  ものわすれ)

ものわすれ

 

忘れないようにメモするぞと買った手帳が

数えたら五冊 もしかしたら六冊

持ち歩く手帳が日替わりだから

昨日のメモが探せない

 

ボールペンは数えられない

息子がくれたものだけ必死で探す

あとはそのつど買って 

失くす

 

記憶はいったい

どのあたりから抜けていくのか

艶のない額を叩いてみたら

まだコツコツとは音するのだが



目玉焼きをひとつ焼く朝

自分の分

顔洗いに行ってるうちに忘れてしまう

 

目玉焼きをふたつ焼く朝

妻とわたしの分

ガス台の前に立って見ている

 

物忘れがまだ

自分だけのことで済んでいる

焦げた目玉焼きを食べながら何となくありがたいと思う

 

●ご訪問ありがとうございます。

 昔は自慢できた記憶力だったのに、と思う方々は少なくないかもしれません。三歩歩いたら忘れてしまう、という笑い話がリアルなものになってきたのは、数年前のことです。いまは、振り向いたら忘れてしまった、というようなことさえあります。
 かつて「認知症」にかかった祖母を介護したことがあります。「寄り添う」と口では言えますが、それほど易しいことではないと知りました。

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