goo blog サービス終了のお知らせ 

優駿の凪ぎわたる眼や霜の朝

2014-01-27 20:40:00 | 空見屋のスマホで絶句


今年が午年だからというわけではないけれど、今日の下野新聞に出ていた馬の話題から始めさせてください。

東日本大震災以後の福島県南相馬市。原発事故により国の避難指示で馬たちも置き去りにされていた。

多くの馬が餓死する中、生き残った馬を避難させ、世話を続ける馬主もいた。そのなかに地方競馬で一勝もできず引退した牡馬が。名をミラーズクエストという。

震災時のケガがもとで、生殖器が痛々しく腫れ上がっていた。原発事故による放射能汚染に翻弄される人間の都合で、数奇な運命をたどるミラーズクエスト。

その’被災馬’を撮り続けた若き映画監督の作品が『祭の馬』。ドバイ国際映画祭アジア・アフリカ・ドキュメンタリー部門グランプリ受賞の、松林要樹さんがその人だ。1979年福岡県生まれの俊英。

ドキュメンタリーの後半は、徐々に回復するミラーズクエストの躍動美が描かれる。そして、地元で千年以上の歴史を持つ神事、「相馬野馬追(そうまのまおい)」の神馬として・・。

監督の狙いは?終盤のシーンに「見た人が一生忘れない」強烈なメッセージを残すこと。彼は言う「生物で唯一火を扱い、その先で原発を生んだ’人間の業’を、馬が背負わされたような気がした。人間や馬は、放射能と共存できないというイメージを打ち出したかったのだ」と。



優駿の凪ぎわたる眼や霜の朝 青萄



この句は「まつやま俳句ポスト365」兼題/霜(1/24結果発表)夏井いつき選の「地」に選ばれました↓

「優駿」とは【すぐれた競走馬】ですね。その馬の「目」を「凪ぎわたる」と表現したところが素晴らしい!「馬」の濡れたように光る黒い目が、生き生きと描写されています。「凪ぎわたる目」は、優しさの中にある躍動感を思わせます。「霜」の降りた馬場に出ていく「優駿」の表情。「や」の詠嘆の後にひろがる「霜の朝」という時間と空間のなんと清々しいことでしょう。


選評の詳細はこちらから見られます☆★





コメント    この記事についてブログを書く
« 小散歩deしばり地蔵に遇う | トップ | 小散歩de二宮尊徳の二宮掘へ »

空見屋のスマホで絶句」カテゴリの最新記事