アメリカは鬼だった(笑)

 

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米財務省が米銀とＢＤＡの取引を正式禁止、北朝鮮の凍結資産請求に道
［ワシントン　１４日　ロイター］

米財務省は１４日、北朝鮮関連資金が凍結されているマカオのバンコ・デルタ・アジア（ＢＤＡ）銀行について、米金融機関との取引を正式に禁止することを明らかにした。これにより、北朝鮮による凍結資産の請求に道が開かれる。

財務省は「今回の措置は３０日で発効し、すべての米金融機関に対しＢＤＡのコルレス口座の維持を禁じ、ＢＤＡが直接・間接的に米金融システムにアクセスすることを防ぐ」とした。

北朝鮮は資産凍結解除を核交渉の条件としており、今回の措置で８００万─１２００万ドルとみられる資産について、マカオ当局による凍結解除が可能となる。 

 http://today.reuters.co.jp/news/articlenews.aspx?type=worldNews&storyID=2007-03-15T061512Z_01_NOOTR_RTRJONC_0_JAPAN-251200-1.xml 
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この記事のポイントは二つ

①BDAはアメリカと取引できない
②その替わり北朝鮮は一部の資産を取り返せるかもしれない。

マスコミがそのどちらにポイントを置くかで，記事の内容が正反対に映るようになります。

 【米国】資金洗浄疑惑のマカオの銀行BDAと、米国銀行の取引禁止方針　
核問題にも影響か [03/14]  
http://japanese.yna.co.kr/service/article_view.asp?NEws_id=2007031400020088

【北朝鮮問題】ＢＤＡ凍結口座の処理、米がマカオ政府に全面委任　
事実上全面解除を容認か [03/13]
http://www.asahi.com/international/update/0313/013.html 

どうでしょうか。随分ニュアンスが違いますよね。

ここでもう少し詳しく考えてみましょう。なぜ，報道機関で①と②のような差が出るのか。

①については，この件を正確にとらえた報道
②については，表向き，北朝鮮向け，或いは馬鹿マスコミ報道の典型例です。

馬鹿マスコミはこのようにこの件を捉えています。

●アメリカは北朝鮮に譲歩した。
●実際に，マカオの件から手を引いた
●アメリカとの取引禁止についてはスルー（天然？）
●あとは，マカオ政府と交渉してくれ，とアメリカは言っている＝金が金正日の下に戻ってくる
●金正日マンセー

実際は
●ＢＤＡでの北朝鮮マネーロンダリングについて最終判断を下した。
●それは，アメリカの法律にのっとって粛々と処理した。
●結果はクロ
●従って，ＢＤＡのアメリカとの取引を禁止する
●金正日口座の中身については，アメリカがとやかく言うことではないので，マカオに一任する（責任をマカオにかぶせた，ということ）

ということです。 表現を変えてみましょう。

①アメリカは北朝鮮に譲歩したのではありません。そういう風に見せかけているか，もしくはマスコミのミスリード。

②制裁解除ではない。制裁の最終判断と呼ぶべきもの。まず，アメリカがなぜ外国企業のＢＤＡに口出しできたかというと，ＢＤＡがアメリカ企業と取引していたから，アメリカの法律に基づいてＢＤＡの金正日口座を押さえることができました。しかし，いつまでも押さえることはできません。結果が出れば，おのずと結論を出す必要があります。その時期を六者会談とあわせたのでしょう。

③金正日口座の行方はマカオ政府に一任。基本的には外国金融機関です。アメリカに強制力がないのでしょう。単なる法律的な問題。しかし，この問題をマカオ政府に押し付けたとも言えます。

で，こっからが最大のポイント。

④アメリカは制裁を解除していない。むしろ，チェックメイトしている。

銀行がアメリカと取引を禁止されるということは，その銀行は信用を失ったことになります。少なくとも為替取引きはできません。破綻する可能性が高い。

確かに，北朝鮮は，２４００万ドルのうちいくばくかを取り返すことができるかもしれない。取り返す前に銀行が破綻するかもしれない。

それは問題ではなく，最大の問題は，北朝鮮は次の口座探しが難しくなることです。

正常な金融機関なら金正日口座などおそろしくて開くことができないでしょう。そういう制裁をアメリカは全世界の金融機関に見せつけたわけです。

口座がなければ，金正日は現金取引することになりますが， 北朝鮮と現金取引するなどというチャレンジャーがどの程度いるのかは私にはわかりません。

⑤名目上は制裁終了です。北朝鮮の要望には応えた，次はあんたの番だよ，というわけです。

アメリカは北朝鮮に対してへたれたと思っていましたが，ちゃんと筋を通してきました。やり口は，企業舎弟やくざ。


なお，以上は２ｃｈの意見を非常に参考にしていますが，マスコミはほぼ，制裁解除，という意見に流れているように見受けられます（１６日朝の時点）。少なくとも見出しは，ほぼ制裁解除一色です。

そして，肝心のＢＤＡのアメリカとの取引禁止についてきちんと解説しているマスコミは私の目には産経のみ。国内のマスコミしか見てないと，次の記事は理解できないでしょう。中国はアメリカが何をしたかよくわかっているわけです。

６カ国協議進展に考慮を＝米決定に「強い遺憾」－中国
時事通信
 http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2007031500797

ＢＤＡ問題、米中摩擦に発展も＝ヒル次官補、火消しに躍起
時事通信
 http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2007031501030

日本政府の談話もあります。日本政府が以下のように述べても，国内マスコミしか見ていないと，「日本政府焦ってる？」という印象をもちますが，いろいろな報道に接していれば，別段普通のコメントです。

【北朝鮮問題】「想定内」「影響はない」　
米の対北制裁緩和に日本政府は冷静 [03/15] 
http://ime.nu/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070315-00000137-jij-int 

それにしても，これほど２ｃｈとマスコミとの見解が違うというのは珍しいのではないでしょうか。勿論，２ｃｈのほうが精度が高いと思います。

実は，私は一度この投稿を１６日の午前中にアップしました。しかし，あまりに２ｃｈとマスコミの意見が食い違うので，少し様子を見ようと投稿を下げてしまいました。すると，途端にインターネットがつかえなくなり，１７日の朝まで待たなくてはなりませんでした。

１日待ったことになりますが，あまり代わり映えしてませんでした。

先日の日豪安保宣言の報道姿勢でも感じましたが，日本には頼りになるマスコミが本当に少ない，ということです。


まあ，独自の道を歩む相変わらずかましてくれる次のような政府もいます。アメリカのようなやくざ政府もいれば，このようなへたれもいる，世の中いろいろです。

【韓国】政府、「現金禁止」原則破り北の要求に４０万ドル支援 
（中央日報 2007.03.12 12:02:49）
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=85382&servcode=500§code=500  

マスコミの日豪宣言のスルーっぷりは見事ですが，こんなのもあります。

【社説】疑問が先立つ日豪安保共同宣言
－首相の説明とは裏腹に中国を意識しているのは明らかだ [3/15] 
ソース:高知新聞 
http://ime.nu/www.kochinews.co.jp/0703/070315editor.htm 

どうも，中国を擁護したいようなのですが，その前に何が言いたいのかよくわかりません。社説レベルでこれだと，高知県が文化最果ての場所だということがよくわかります。竜馬も草葉の陰で泣いていることでしょう。

もっとも，私の生まれたところは中日新聞が非常に強い所。または朝日新聞。泣けてきます。