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天皇陛下のメモに対する素朴な疑問

2006-07-21 | 日本の情勢

●素朴な疑問●

A級戦犯はいわば前天皇の身代わりです。そのことは陛下ご自身もよく認識されていたでしょう。本来なら東条英機のかわりにご自身が絞首刑にあうはずでした。ご自身が無条件降伏を受諾するにあたり,全責任を負おうとされたことはいろいろな証言でわかっています。陛下がA級戦犯の靖国合祀に対して不快に思われることはちょっと考えにくい。


●靖国問題は日本のマスコミが作り上げた●

そもそも,A級戦犯が靖国に合祀されるとき,反対した人はいたのか?国会の前回一致をもって彼らの名誉回復がなされたのではないのか?国際法的には,サンフランシスコ条約をもってして,彼らの罪は消えたのではないのか?

靖国問題は,朝日新聞とのマッチポンプで出てきたものです。朝日新聞が中国へ行って「A級戦犯が靖国に祭られています。そこへ日本の首相が参拝するのはおかしくないですか?」と問題提起したわけです。そういわれれば,中国としては「おかしい」といわざるを得ません。それを日本国内で大々的に報道したのです。

通常なら,そんなことを他国にいわれる筋合いではない,で片付いたはずです。ところが,日本国内はマスコミを始め国民の大多数も中国が大好きでした。尊敬している,と言ってもいいような雰囲気です。その中国様が声を荒げたのですから,「確かに日本政府がおかしい」とみんな考えたのでしょう。そのときから日本の首相は参拝をしなくなりました。


●日本の第2の戦後●

この辺りは,従軍慰安婦問題や教科書問題と構図がまったく同じです。敵はむしろ日本国内にいました。そして,中国や韓国は戦争に関して日本を責めれば簡単に日本からぶったくれることに気づいたのです。ここから日本の第2の戦後が始まりました。

90年代はまさに暗黒の時代です。宮沢喜一,河野洋平,村山富市は代表的な戦犯です(個人的には河野洋平が一番情けないと思っています)。

それを断ち切り始めたのが,小泉首相です。小泉首相は極右とか言われてますが,単純に世の中を普通の考え方に戻そうとしただけ。

その「普通の考え方」というのが少し前までは難しかったわけです。国民が中国大好きでしたから。ちょっとでも「普通の考え方」を話すと,「妄言」ということで国際問題化し,その閣僚は袋叩きにあってみんな辞めていったのです。


●日本人の意識の変化●

ところが,いつからかわかりませんが,風が変わりはじめました。中国や韓国はおかしいぞ,と思う人たちが増えてきたのです。小泉首相は現在,世界でもっともカリスマ的で進歩的なトップとして世界中から評価されています。もちろん,小泉首相の資質は偉大ですが,それを支えたのが国民の意識の変化です。

それを最初に認識したのが,江沢民の日本反日遊説。このときの日本人の怒り方は近年無かったものです。これが劉小平や周恩来ならみんなありがたくご高説を賜ったかもしれません。しかし,江沢民は日本人の反感を買いました。日本人の意識の変化とともに,江沢民の政治家としての器量の問題ともいえます。


●世界も意識が変化した?●

この日本人の意識の変化に中国は敏感に反応したようですが,まだ実感として自分たちのものにできていなかったのでしょう。反日の軌道修正ができずに,あの去年の反日暴動を迎えます。

これが世界に与えた影響に中国はびっくりしました。世界中のマスコミが中国を責めました。よもや中国が責められるとは思っていなかったのでしょう(私もそうでしたが)。そのとき,中国がG8に参画することが検討されていました。ところが,この事件で中国の後進国ぶりが明らかとなり,G8の話は白紙化されました。


●靖国たたきが両刃の剣に●

中国とっては,靖国問題を騒ぐだけで,国内的には反日で統治できますし,日本に対しては,モグラたたきをできるわけです。とてもおいしいかったわけです。

ところが,21世紀に入ってから,日本国内や世界の雰囲気が変わってきました。

中国国内向けとして,靖国のことを言い立てないわけにはいきません。しかし,日本に対してはそれが反対に作用するようになってきました。靖国問題はすでに中国にとっては非常に重荷になってきたのです。

もうひとつは経済的なダメージです。

中国の最大の関心事は経済の繁栄。国内統治のため,東アジアの覇権のため,そして何よりも自分たち自身の繁栄のため。

中国には13億のほとんど無限のような市場がある,といいますが,それは嘘。日本と同程度の購買力のある中国人は1000万人くらいではないかといわれています。中国の繁栄は,現状においては,外資を呼び込み,外国から技術と部品を輸入し,それを組み立てて外国に売ること。少なくとも,日本の企業で,中国国内の市場を目当てにして成功している企業はないのではないか,と思っています(このとこは現在中国でがんばっている人たちのプログを読めば明らかです)。

従って,中国が外国,特にアメリカと日本の経済力を無視しては成り立っていかないことは,中国人自身よく理解しているのだと思います。靖国で騒ぐ⇒日本が怒る(またはおびえる)⇒中国への投資が減る,は中国にとっては非常に困るわけです。

で,現在は表面的には靖国に反対しながら,裏でなんとか対日の修復を図ろうとしているようです。反日に振れすぎた振り子を少し戻したいわけです。せめて日中の首脳が話し合えるような環境が欲しいわけです。(この辺りは中国はさすが実利的です。韓国とは違います。ちなみに韓国はまだ孤立路線です。)

中国の方向転換の一例

【北京=杉山祐之】中国の武大偉・外務次官は4日、北京を訪問中の船田元・自民党衆院議員と会談し、靖国神社参拝問題で、「首相、外相、官房長官以外の閣僚、国会議員の参拝は、好ましくはないが、中日関係への影響は最小限に抑えられる」と述べた。

 首相ら3ポストを除く閣僚の靖国参拝については、日中関係発展の重大な障害とは見なさないとの姿勢を示したものだ。中国側が、閣僚の靖国参拝で、事実上の一部容認とも受け取れる柔軟な姿勢を打ち出すのは異例。


●メモは本当か,それとも陰謀か?●

そうした中での天皇メモ騒ぎ。しかも,8月15日の一ヶ月前。背景におかしなものがあるとかんぐる人がたくさんいることでしょう。これは日経の飛ばしか。国内左翼のあがきか。

韓国はこの騒ぎにすぐ反応しました。彼らに脳みそはありませんので,例によって脊髄反応です。まあ,どうでもよろしい。勝手に自滅してください。

中国はこの件に関して報道が遅れています。報道官のコメントが出ましたが,内容もおとなしい感じがします。私は,中国は靖国で騒いで欲しくないのだと思います。ただでさえ,靖国問題を沈静化したがっているふしがあるのに,今回は前天皇を騒ぎに引き込んでしまいました。天皇をだしに使った場合,日本国内の反応は非常にセンサティブになります。中国にとってはまさしく諸刃の剣になりかねません。そう判断してもおかしくありません。

今後の成り行きに注目ですが,この問題はおそらく迷宮化するのではないでしょうか。非常にあやふやです。事の真相を明らかにすることは困難でしょうし,明らかにするとやばい人たちがたくさんいます。

で,小泉首相は8月15日に靖国を参拝するでしょうか。私はぜひ参拝して欲しいと願っています。



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