タイ国経済概況(2020年10月)

1.景気動向
(1)タイ中央銀行は9月23日、タイの2020年の経済成長率を6月時点の▲8.1%から▲7.8%へ上方修正した。2021年については+5.0%から+3.6%に下方修正している。また、世界銀行は同月29日、EAST ASIA AND THE PACIFIC ECONOMIC UPDATE(東アジア・大洋州地域の経済見通し2020年10月版)を発表。これによれば、タイの2020年の経済成長率は基調シナリオで▲8.3%、下振れた場合には▲10.4%。2021年については、前者が+4.9%、後者が+3.5%としている。なお、ASEAN新興国(シンガポール・ブルネイを除く8ヵ国)の2020年の経済成長率予測(単純平均)は、基調シナリオで▲2.6%、下振れた場合には▲4.1%としている。

(2)タイ工業連盟(FTI)が9月17日に発表した8月の自動車生産台数は、前年同月比▲29.5%の11.7万台だった。16ヵ月連続の前年同月比マイナスだが、5ヵ月ぶりに10万台の大台に達した。内訳は国内向けが同▲20.7%の6.6万台、輸出向けが同▲38.3%の5.1万台。1~8月の累計生産台数は、前年同期比▲42.1%の81.3万台となった。また、8月の国内販売台数は前年同月比▲14.8%の6.9万台、輸出台数は同▲29.6%の5.7万台。1~8月の累計国内販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲32.9%の44.8万台、同▲36.8%の45.8万台だった。

(3)FTIが9月17日に発表した8月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲14.7%の17.0万台だった。内訳は完成車(CBU)が同▲11.9%の13.8万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲25.1%の3.2万台。1~8月の累計生産台数は、前年同期比▲28.0%の119.1万台となった。また、8月の国内販売台数は前年同月比▲4.1%の14.3万台、輸出台数は同▲21.8%の6.0万台。1~8月の累計国内販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲15.1%の101.2万台、同▲29.2%の45.5万台となっている。


2.投資動向
(1)タイ商務省は輸出入管理法に基づき、428品目の電子廃棄物の輸入を全面的に禁止することを決定した。9月14日付で官報に布告が掲示され、翌15日に施行となった。電気・電子部品やプリント基板等の廃棄物が禁輸の対象。タイではすでに2018年より、中国の廃棄物輸入規制に伴う輸入量急増を受け、天然資源・環境省が電子廃棄物と廃プラスチックの輸入を原則禁止していた。

(2)ASEAN加盟国間で、9月20日から認定輸出者(Certified Exporter: CE)が自ら原産地証明書を作成することが可能となる、ASEAN地域自己証明制度(ASEAN-Wide Self Certification:AWSC)が正式に導入された。原産地証明の手続を簡素化する制度として、企業活動や域内貿易の活性化が期待される。なお、AWSCを活用するにはASEAN各国の当局よりCEの認可を受ける必要がある。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2020年8月末の金融機関預金残高は22兆1,687億バーツ(前年同月比+10.6%)、貸金残高は25兆5,778億バーツ(同+3.5%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(9月の回顧)
9月のバーツ金利は4年を起点に短いゾーンは小幅金利上昇、長いゾーンは金利低下と長短金利差が縮小。タイ政策金利に下げ余地があまりない一方で、タイ国内での政治懸念、欧州を中心とした新型コロナ感染の再拡大およびそれに伴う再ロックダウンへの懸念、米追加経済対策を巡る先行き不透明感等、内外でのリスクの台頭が背景。月初、プリディ氏が在任26日にして突如辞任を表明したことでタイ国内政治への懸念が高まりタイSET株価指数は下落、ドルバーツは上昇となったが、追加経済対策に関してはプラユット首相が主導しており大きな影響はないであろうとの見方もあったことから債券市場への影響は限定的であった。その後、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る懸念の再燃や米株安でリスクセンチメントが悪化、米金利が低下するとバーツ長期金利もこれに伴い低下。さらにタイ航空の更生手続を裁判所が受理との報道でタイSET株価指数が下落し、タイ国債が買われバーツ金利は一段と低下。中旬に開催された米公開市場委員会(FOMC)ではフォワードガイダンスが強化され、またパウエル議長が先行きに関して慎重な見方を示したことで米株下落、米金利上昇となった。これを受けてバーツ金利も長期を中心に小幅上昇。23日に開催されたタイ中銀金融政策委員会(MPC)では事前予想通り政策金利は0.50%に据え置かれた。一方、景気見通しについては、今年の経済成長率を▲7.8%と上方修正の一方で、来年の成長率見通しを+3.6%と下方修正。外国人観光客の受け入れの遅れが主な要因とした。しかし、予想の範囲内であったことから相場への影響は限定的であった。月末にかけても欧州を中心とした新型コロナ感染再拡大、米追加経済対策の行方等、懸念材料はあったがバーツ金利の反応は限定的で膠着推移となった。タイ10年物国債利回りは1.39%台、同5年物利回りは0.87%台とそれぞれ前月末対比では0.11%、0.05%低下、同2年物利回りは0.02%上昇となった。

(2)(10月の展望)
新型コロナ感染の再拡大が懸念されていたところ、トランプ米大統領および共和党上院議員数名の新型コロナ陽性が判明し、米政治への懸念が台頭している。タイ国内で反政府活動が継続していることには一定の注意は必要ながら、経済に大きな影響を与えるレベルにはまだ達していないことや、次期財務大臣が指名されたことは安心材料。タイ中銀の利下げ余地が限定的であることは相場変動を小さくしているが、特に長期金利は米金利に連動しやすいことから、大統領選を来月に控えた米国の情勢には留意が必要。

〈為替動向〉
(1)(9月の回顧)
9月のドルバーツ相場は上昇。財務相の突然の辞任や反政府活動の継続といったタイ内政問題、米追加経済対策を巡る協議に妥結の見通しが立たないこと、欧州を中心とした新型コロナ感染拡大およびそれに伴う再ロックダウンの可能性等、リスク材料が目白押しとなったことが主な背景。月初、前月末からのドル軟調地合いでドルバーツは一時30.9台半ばと約1ヵ月ぶりに31割れとなったが、プリディ氏が就任26日にして財務相辞任を表明し、タイ政治への懸念からドルバーツは反転上昇。さらに、101日ぶりに新型コロナの市中感染が確認されたことが拍車をかけてドルバーツは一気に31.4台半ばまで上昇。一方、8月タイ消費者物価指数が前年同月比▲0.50%とマイナス圏ながら予想を上回る結果となったことがドルバーツの重しとなり、上昇幅を縮める局面もあった。中旬には、欧州中央銀行(ECB)メンバーの一部が欧州圏景気見通しに自信を深めているとの報道を受けリスクセンチメントが改善したことで、ドルバーツも反落に転じた。タイ航空の更生手続を裁判所が受理との報道で株安となるとドルバーツも再び上昇に転じたが、良好な中国経済指標を受けて人民元が買われるとほかのアジア通貨と同様にバーツも買われ、ドルバーツは下落。中旬に開催された米FOMCでは、フォワードガイダンスの修正が行われたことでハト派的にとらえられたが、反対も2名いたことで内部での議論は分かれている印象も与えた。想定よりもハト派的であった米FOMCやタイ国内での大規模デモが激化しなかったこと、および1,060億ドル規模の予算案が議会通過したことでドルバーツは一段と下落し、再び30.9台半ばまで下落。23日に開催されたタイ中銀MPCでは事前予想通り政策金利は現行の0.50%維持が決定された。経済成長率見通しに関して、今年は▲7.8%(前回予想は▲8.1%)、来年は+3.6%(同+5.0%)と修正。その後、欧州での新型コロナ感染拡大およびそれに伴う再ロックダウンへの警戒、米追加経済対策を巡る協議の行方への懸念等からドルバーツは一時31.7台半ばまで急騰。月末にかけては実需フローに押され31.6台後半でクローズ。

(2)(10月の展望)
欧州を中心に新型コロナ感染拡大がかつて以上の勢いで広がっていることからロックダウン再導入への懸念が台頭しているところに、今月初めにはトランプ米大統領および共和党上院議員数名の新型コロナ感染が判明。米大統領選を来月に控える中での報道であっただけに米政治への懸念も広がっている。米政治リスクへの見方はドル高、ドル安で分かれているがいずれにしてもインパクトが出る可能性があるので注意が必要。


5.政治動向、その他
(1)タイ政府は10月5日付の官報で、同月1日付で財務相にアーコム元運輸相が任命されたと発表。8月に新閣僚として就任したプリディー前財務相は、9月2日付で同ポストを辞職していた。アーコム新財務相は国家経済社会開発委員会(NESDC)長官等を経て、2014年に発足した軍事政権で運輸相を務めた経歴を持つ。

(2)タイ政府は9月29日付で、タイ全土を対象とした非常事態宣言の適用を10月31日まで延長する旨を官報に掲載した。非常事態宣言の延長は6度目。



(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。

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タイ国経済概況(2020年9月)

1.景気動向
(1)国家経済社会開発委員会(NESDC)は8月17日、2020年第2四半期の経済成長率を前年同期比▲12.2%と発表した。内訳を見ると、輸出が同▲28.3%(物品輸出:同▲15.9%、サービス輸出:同▲70.4%)、輸入が同▲23.3%(物品輸入:同▲19.3%、サービス輸入:同▲37.9%)、民間消費と民間投資はそれぞれ、同▲6.6%、同▲15.0%でともに減少。一方で、政府支出と政府投資はそれぞれ、同+1.4%、同+12.5%でともに増加した。産業別では、農業が同▲3.2%、製造業が同▲14.0%、サービスが同▲12.3%。産業別の詳細においても、建設(+7.4%)等を除き軒並みマイナスとなった。また同日、NESDCは同期の失業率を2.0%と発表。失業率はここ数年、1%前後で推移しており、大幅な悪化となった。

(2)タイ工業連盟(FTI)が8月20日に発表した7月の自動車生産台数は、前年同月比▲47.7%の8.9万台だった。15ヵ月連続で前年同月比マイナスとなった一方で、前月比では5月以降プラスが続いている。内訳は国内向けが同▲48.0%の4.6万台、輸出向けが同▲47.4%の4.4万台。1~7月の累計生産台数は、前年同期比▲43.8%の69.5万台となった。また、7月の国内販売台数は前年同月比▲24.8%の5.9万台、輸出台数は同▲39.7%の5.0万台。1~7月の累計国内販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲35.9%の38.8万台、同▲37.7%の40.0万台だった。

(3)FTIが8月20日に発表した7月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲26.9%の14.4万台だった。前年同月比マイナスながら、前月比では+60.6%と大幅プラスとなった。内訳は完成車(CBU)が同▲23.7%の11.9万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲38.7%の2.5万台。1~7月の累計生産台数は、前年同期比▲29.8%の102.2万台となった。また、7月の国内販売台数は前年同月比▲7.9%の13.7万台、輸出台数は同▲40.1%の3.9万台だった。


2.投資動向
(1)タイ国投資委員会(BOI)が発表した投資統計によれば、上半期(1~6月)の新規投資申請件数は前年同期比+7%の754件、申請金額は同▲17%の1,589億バーツだった。このうちタイ政府が誘致を強化している重点産業への申請が金額ベースで52%を占め、中でもBOIが4月に新たな奨励策を発表していた医療産業については、申請件数が同2.7倍の52件、申請金額も同2.2倍の131億バーツと大幅に増加。また、海外直接投資(FDI)は新規申請件数が同+5%の459件、申請金額は同▲34%の759億バーツであった。国・地域別では日本が申請件数99件、申請金額226億バーツで最多だったが、申請金額は同▲45%落ち込んだ。

(2)バンコク日本人商工会議所(JCC)は8月28日、2020年度賃金労務実態調査の概要を発表。2020年の賃上率(中央値)は製造・非製造業ともに4.0%、2019年度の賞与(中央値)は製造業が3.4ヵ月、非製造業が2.5ヵ月であった。なお、本調査は4月13日調査票発送、5月22日締切のため新型コロナウイルスのその後の影響については反映していない。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると2020年7月末の金融機関預金残高は22兆1,735億バーツ(前年同月比+11.2%)、貸金残高は25兆5,699億バーツ(同+3.8%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(8月の回顧)
8月のバーツ金利は長期を中心に上昇。米国をはじめグローバルに、新型コロナ対策として財政支出が拡大していることによる債券の需給懸念やタイ政治不安等が背景。前月の米連邦公開市場委員会(FOMC)がハト派的に捉えられたことから米金利が低下地合いとなっていた中、月初バーツ金利も弱含んで推移。5日に開催されたタイ中銀金融政策委員会(MPC)では事前予想通り政策金利は現行の0.50%で据え置かれた。景気に関してはロックダウンの緩和で経済に回復の兆しが出ていると指摘した一方、経済活動が新型コロナ前の水準に戻るまでには少なくとも2年かかると指摘。政策金利については、過去と比べても近隣諸国と比較してもすでに非常に低くもはや主役ではないとしたが、緊急時には有している手段を活用する用意があるとした。またトランプ米大統領が中国の一部アプリが関わる取引を禁止する大統領令に署名したほか、香港のキャリー・ラム行政長官らに米政権が制裁を科すことを発表。中国はこれを受けて米国当局者や共和党議員等に制裁を科すと報復を発表し、米中の対立激化への懸念が高まった。一方、米国で追加経済対策の協議が難航していた中、トランプ米大統領が失業保険追加給付延長措置を含む大統領令に署名したことで米金利が上昇となった。これを受けてバーツ金利も上昇した。その後発表されたタイ第2四半期GDPが前年同期比12.2%減と予想ほどは落ち込まなかったとはいえ、アジア通貨危機以来の落ち込みを示したことで、バーツ金利は一時小幅下落となった。しかし、タイ国内で2014年のクーデター以降最大規模となるデモが行われた後、デモに関わった人権派弁護士が逮捕される等、反政府デモの活発化やタイ政治への懸念等からバーツ金利は上昇となった。さらに米FOMC議事要旨でイールドカーブ・コントロール(YCC:長短金利操作)の導入に消極的であることが明らかになったことで、米金利が上昇したことに伴いバーツ金利も上昇。ジャクソンホールでの年次シンポジウムでは、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が平均インフレ率目標の導入を示唆した。この直後、米金利は低下したが消化後には上昇に転じたことでバーツ金利も上昇。タイ10年物国債利回りは1.50%台、同5年物利回りは0.92%台とそれぞれ前月末対比では0.24%、0.14%上昇、同2年物利回りは0.09%上昇となった。

(2)(9月の展望)
今月初めにプリディー氏が財務相在任わずか26日で突然辞任を表明。タイの政治、経済への不安が高まったものの内閣改造後の追加経済対策はプラユット首相が主導権を握っていることから、財務大臣交代が財政政策に与える影響は基本的には限定的と考えられるが、不在期間が長期化すると政策の決定・執行に影響があることには留意が必要。また、特に長期金利は米金利に連動しやすいことから米金利動向にも注意が必要。今月は15~16日に米FOMC、23日にタイ中銀MPCの開催が予定されている。

〈為替動向〉
(1)(8月の回顧)
8月のドルバーツ相場は上下するも結果的には小幅下落。米FOMC議事録でYCCの導入に消極的であることが明らかとなったことや、タイ国内ではアジア通貨危機以来となるGDP成長率の落ち込みと経済が不調となっている中、2014年のクーデター以降最大規模の反政府デモが行われ、また反政府集会が活発化していったこと等でドルバーツが上昇する局面もあった。しかし、ジャクソンホールでのパウエル米FRB議長の講演で平均インフレ率目標の導入が示唆されたことで米金利が長期間にわたって低金利となるであろうとの見方となり、再びドル安の流れとなりドルバーツは月間では小幅下落となった。月初、ドルバーツは31.2台でオープン。前月の米FOMCがハト派的に受け止められた流れや米国での新型コロナ感染拡大に歯止めがかからない一方、米議会で追加経済対策が難航したことでドル安が継続しドルバーツは一時31割れに。5日に開催されたタイ中銀MPCでは事前予想通り政策金利は据え置きが決定された。景気に関してはロックダウンの緩和で経済に回復の兆しが出ているとの指摘の一方で、経済活動が新型コロナ流行前の水準に戻るまでに少なくとも2年かかるとした。またバーツ高が景気回復に水を差す可能性に懸念を示し、必要な措置を講じる方針を示したことで警戒感が出たことや、米中対立激化への懸念でドルバーツは上昇。反政府デモが活発化しタイ政治への懸念が台頭したことや、タイ第2四半期GDPが前年同期比12.2%減とアジア通貨危機以来の落ち込みを示したことで、ドルバーツは一段と上昇し一時31.6台に。しかし輸出勢のバーツ買いフローも相応にあったことから一巡後は反落。月末近くに開催されたジャクソンホールでの年次シンポジウムでの、パウエル米FRB議長の講演をきっかけにドル売りとなりドルバーツは下落し、31割れを試すも失敗。その後は印中の地政学リスク等から反転し31.1台でクローズ。

(2)(9月の展望)
今月初めにプリディー氏が財務相就任後わずか26日で辞任したことを受けて、タイ政治、経済への不安が高まり足元ドルバーツは上昇。内閣改造後、追加経済対策はプラユット首相が主導権を握っていることから、財務大臣交代が財政政策に与える影響は基本的には限定的と考えられるが、不在期間が長期化すると政策の決定・執行に影響があることには留意が必要。今月は15~16日に米FOMC、23日にタイ中銀MPCの開催が予定されている。


5.政治動向、その他
(1)7月にソムキット氏をはじめとする閣僚が辞任したことを受け、8月12日、新閣僚が正式に就任、プラユット改造内閣が発足した。以前から外務相を務めるドーン大臣も副首相を兼務することとなり、副首相は6名に増えた。しかしながら9月1日、財務相に就任していたプリディー氏が辞任を表明、同月2日付で辞職した。
(2)タイ政府は8月25日の閣議にて、付加価値税(VAT)の税率7%の適用期間について、期限となっている今年の9月末よりさらに1年延長することを承認した。VATの税率は法律で10%と定められているものの、長らく暫定税率7%が適用されており、10%への移行は先送りされ続けている。
(3)タイ政府は8月28日付で、タイ全土を対象とした非常事態宣言の適用を9月30日まで延長する旨を官報に掲載した。非常事態宣言の延長は5度目となる。


(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。


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タイ国経済概況(2020年8月)

1.景気動向
(1)タイ中央銀行(BOT)は7月31日に6月の経済報告書を発表。引き続き多くの経済指標はマイナスであるが、タイおよび諸外国のロックダウン緩和による経済活動の復帰を受け、前月と比べるとマイナス幅が改善した指標も見受けられる。輸出、民間消費、民間投資、工業生産指数が低調だった一方、政府支出は経常支出・資本支出ともに拡大した。観光産業は、外国人旅行者が4月よりゼロとなっている影響で引き続き低迷。輸出は前年同月比▲24.6%の160.7億米ドル、輸入は同▲18.2%の137.5億米ドルであった。また、消費者物価指数(CPI)は同▲1.57%、コアCPIは同▲0.05%だった。なお、BOTは7月8日に向こう一年のCPI上昇率が平均▲0.9%となる見込みを発表している。

(2)タイ工業連盟(FTI)が7月23日に発表した6月の自動車生産台数は、前年同月比▲58.5%の7.2万台だった。14ヵ月連続のマイナスながら、多くのメーカーが生産を休止していた4月の2.5万台、5月の5.6万台からは増加した。内訳は国内向けが同▲67.4%の2.9万台、輸出向けが同▲49.2%の4.3万台。上半期(1~6月)の累計生産台数は、前年同期比▲43.1%の60.6万台となった。また、6月の国内販売台数は前年同月比▲32.6%の5.8万台、輸出台数は同▲48.7%の5.0万台。上半期(1~6月)の累計国内販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲37.3%の32.9万台、同▲37.4%の35.1万台だった。

(3)FTIが7月23日に発表した6月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲56.1%の9.0万台だった。内訳は完成車(CBU)が同▲52.1%の7.6万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲69.7%の1.4万台。上半期(1~6月)の累計生産台数は、前年同期比▲30.3%の87.7万台。また、6月の国内販売台数は前年同月比▲16.9%の12.5万台、輸出台数は同▲52.8%の4.0万台だった。


2.投資動向
(1)7月24日、タイ国鉄(SRT)はドンムアン、スワンナプーム、ウタパオの3空港を連結させる高速鉄道建設プロジェクトの、第2期区間開発に関する事業説明会を開催した。第2期では、ウタパオ空港のある東部ラヨン県からカンボジア国境と接するトラート県までの190キロメートル区間を時速250キロの高速鉄道で結ぶ計画。総事業費の試算額は1,017億バーツで、2028年の開業を目指しPPP(官民連携)方式での開発が検討されていること等が説明された。第1期区間にあたるドンムアン空港からウタパオ空港までの建設・運行に関しては、昨年10月に地場大手財閥のCPグループが主導するコンソーシアム、「イースタン・ハイスピード・レール・リンキング・スリー・エアポーツ」が受注している。

(2)7月9日、茂木外務大臣およびベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外務大臣が共同議長を務めた第13回日メコン外相会議がテレビ会議にて開催され、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage:UHC)達成および経済の一体的強化のための日メコン協力に関する共同議長声明」が採択された。各国は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを支払い可能な費用で受けられる状態を指すUHCの重要性を改めて確認した。また日本はメコン諸国に対して感染症対策能力の強化、ASEAN感染症対策センター設立への支援、経済の強靭化支援を通じて新型コロナウイルスとの闘いを後押ししていく旨を伝えた。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2020年6月末時点の金融機関預金残高は22兆30億バーツ(前年同月比+10.4%)、貸金残高は25兆4,943億バーツ(同+3.8%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(7月の回顧)
7月のバーツ金利は5年を起点に長期金利が小幅上昇、短期金利は小幅低下となった。米国で一部ロックダウンが再導入となったことや米中対立激化等から米長期金利が低下した一方で、8月タイ中銀金融政策委員会(MPC)では政策金利の据え置きが見込まれていたことが主な背景。月初、米中の景気回復期待がバーツ金利を押し上げていたところに発表された6月タイ消費者物価指数(CPI)が、前年同月比1.57%低下と前月の3.44%低下から大幅に改善が見られたことからバーツ金利は上昇。その後発表された米経済指標が堅調な結果となりリスクセンチメントが一段と改善、これを受けてタイ10年物国債利回りは一時1.41%台まで上昇した。プラユット首相が内閣改造を9~10月に行う考えを明らかにしたことで政局リスクが意識されSET株価指数が下落、バーツ金利も下落となった。米国内で新型コロナウイルス感染再拡大が懸念されていた中、カリフォルニア州が一部ロックダウン措置を再導入し米金利低下となるとバーツ金利も低下。中旬、タイ中銀は新型コロナ前の水準にタイ経済が戻るのは2022年以降になる可能性があるが、現行の政策金利がゼロに引き下げられる可能性は低いとの見解を示した。またその際、マティ・タイ中銀副総裁はイールドカーブ・コントロール(YCC:長短金利操作)を検討しているが、流動性が潤沢なため量的緩和を実施しても景気回復に寄与しない可能性があると述べた。その後、ソムキット副首相以下、ウッタマ財務相を含む数名の閣僚が辞任したことでタイ経済・財政政策への懸念が強まり、バーツ金利は一段と低下。月後半、ワクチン開発で良好な結果を得たとの報道や欧州連合(EU)首脳会談で、7,500億ユーロの復興基金設立合意に達したことでリスク回避が弱まりバーツ金利も多少上昇する局面も。しかし米国が在米中国総領事館の閉鎖を命じ、中国が報復措置を取ったことで米中間の緊張が高まり、再びリスク回避姿勢が強まりバーツ金利は低下に転じた。米連邦公開市場委員会(FOMC)では、事前予想通り政策金利は現状の0~0.25%で据え置かれたが、声明で新型コロナ感染拡大の影響からの回復に向けてあらゆる手段を尽くすとし、必要な限り政策金利をゼロ近辺に留めると改めて表明したことや、米第2四半期GDPが統計開始以来最大の落ち込みを記録したこともバーツ金利を押し下げた。月末にかけてもトランプ米大統領の11月大統領選延期発言等が材料視されバーツ金利は低下し、タイ10年物国債利回りは1.26%台、同5年物利回りは0.78%台とそれぞれ前月末対比では0.01%、0.04%低下となったが、同2年物利回りは0.01%上昇となった。なお、9月末で任期満了となるウィラタイ・タイ中銀総裁の後任にセタプット氏が内定。同氏は現タイ中銀MPCメンバーで首相の経済顧問も務める。

(2)(8月の展望)
今月5日に開催されたタイ中銀MPCでは事前予想通り政策金利は0.50%で据え置かれ、景気に関しては6月で底を打ったが、回復には少なくとも2年はかかるとの見方が示された。新型コロナ動向、米中対立など外部環境は依然不透明であることに加え、タイ国内政治動向にも注意が必要。

〈為替動向〉
(1)(7月の回顧)
7月のドルバーツ相場は小幅上昇。前月リスク選好の戻りでバーツ高が進行していたが、7月に入って以降、米国をはじめとした新型コロナ感染の再拡大が見られたことや米中対立激化への懸念といったリスク回避の動きが強まる等、前月までの動きがいったん反転。月末にかけてはドル売りとなりドルバーツは上昇分の大半を失った。月初、ドルバーツは30.9台でオープン。米国や中国の景気回復期待の一方で米中対立激化が懸念されていた中、メルボルンでロックダウンが再導入されたことを受けてドルバーツは上昇。プラユット首相が内閣改造を9~10月に行うとの考えを示したこともバーツの逆風となった。その後、米カリフォルニア州でも一部ロックダウンが再導入されたことでドルバーツは一段と上昇し31.6台に。中旬、ソムキット副首相をはじめとした閣僚4名が辞任したことで、経済政策への懸念が台頭。米国での新型コロナ感染拡大、EU首脳会議での復興基金が合意に至らないこと等でドルバーツは一段と上昇し一時31.8台半ばを回復。しかし戻り売り圧力も相応にあり31.8台定着とはならず、さらにワクチン開発で良好な結果が出たとの報道や、EU首脳会議で復興基金が総額7,500億ユーロで合意に至ったことでリスクセンチメントが改善しドルバーツは下落。下旬には、米政府が在米中国総領事館の閉鎖を要請、中国も報復措置を取ったことやタイ6月貿易統計で輸出が前年比23%減まで落ち込んだこと等でドルバーツ上昇の局面もあったが、米国内での新型コロナ感染拡大およびそれに伴う景気への懸念や米FOMCのハト派的スタンス、米第2四半期GDPが統計開始以来最大の落ち込みを示したこと等からドル売りの流れとなりドルバーツは下落。月末にはトランプ米大統領が11月に予定されている大統領選延期を示唆したことでドルバーツは一段と軟化し、31.2割れでクローズ。

(2)(8月の展望)
今月5日に開催されたタイ中銀MPCでは政策金利は事前予想通り据え置きとなった。声明文では、タイ国内でのロックダウンの緩和やグローバルで経済活動が徐々に回復していることからタイ経済も徐々に回復、しかしながら、経済活動が新型コロナ前の水準に戻るまでに少なくとも2年はかかると指摘。米国内で新型コロナ感染拡大に歯止めがかからないことや米中対立の激化への懸念がむしろドル売りを誘発していること、また先月のEU首脳会議での復興基金設立合意によるリスクセンチメントの改善はドルバーツの上値を押さえる要因。一方で、新型コロナ感染は予断を許さないことや今後のタイ政治動向には一定の注意が必要。


5.政治動向、その他
(1)7月12日、タイ政府は新型コロナウイルス感染拡大による経済支援策を官報に公示、即日施行となり、歳入法典に基づき一定の条件を満たした事業者は月額賃金が1.5万バーツ以下の従業員の、賃金の3倍の金額を経費計上することが可能となった。2019年9月30日までに終了した会計年度の売上が5億バーツ以下で、従業員数が200名以下であること。また、2020年の4~7月の各月末の社会保険加入従業員数が同年3月末から下回っていないこと等が条件として挙げられている。

(2)タイ政府は7月31日付で非常事態令第9条に基づく決定事項(第13号)を官報に掲載し、タイ全土を対象とした非常事態宣言の適用を8月31日まで延長する旨を発表した。


(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。


情報提供:
三井住友銀行バンコック支店 SBCS CO., LTD.

                                                 
 
 
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タイ国経済概況(2020年7月)

1.景気動向
(1)タイ中央銀行(BOT)は6月24日、2020年の経済成長率が▲8.1%になるとの予測を発表。新型コロナウイルスによる影響の深刻さが増したとして、3月時点の▲5.3%から下方修正した。同様に、商業・興行・金融合同常任委員会(JSCCIB)は7月1日、予測をこれまでの▲3.0~▲5.0%から▲5.0~▲8.0%へと引き下げた。タイの2020年経済成長率について、6月18日にはアジア開発銀行(ADB)が▲6.5%、24日には国際通貨基金(IMF)が▲7.7%、さらに30日に世界銀行が▲5.0%との予測を発表している。

(2)盤谷日本人商工会議所(JCC)は6月30日、会員企業を対象に行った2020年上期景気動向調査の結果を発表した。業況感を示すDI(Diffusion Index)は、2019年下期が▲24、2020年上期(見通し)が▲69、2020年下期(見通し)が▲44となり、1971年の調査開始以来35年ぶりの落ち込みとなった。2020年上期は新型コロナウイルス感染拡大によりタイ経済、世界経済ともに減速しDIは全業種でマイナスを示したものの、下期はマイナス幅が縮小する見込み。

(3)タイ工業連盟(FTI)が6月18日に発表した5月の自動車生産台数は、前年同月比▲69.1%の5.6万台だった。前年同月マイナスは13ヵ月連続だが、前月比では2.3倍に増えた。内訳は国内向けが同▲76.9%の2.0万台、輸出向けが同▲61.9%の3.6万台。1~5月の累計生産台数は、前年同期比▲40.2%の53.4万台となった。また、5月の国内販売台数は前年同月比▲54.1%の4.0万台、輸出台数は同▲68.6%の3.0万台。1~5月の累計国内販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲38.2%の27.1万台、同▲35.0%の30.1万台となっている。

(4)FTIが6月18日に発表した5月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲62.4%の7.9万台だった。内訳は完成車(CBU)が同▲60.7%の6.7万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲69.5%の1.2万台。1~5月の累計生産台数は、前年同期比▲25.3%の78.8万台。また、5月の国内販売台数は前年同月比▲39.5%の9.7万台、輸出台数は同▲62.6%の2.7万台だった。


2.投資動向
(1)タイ商業省が発表した5月の貿易統計によれば、輸出額は前年同月比▲22.4%、輸入額も同▲34.4%となり、輸出入ともにおよそ11年ぶりの大幅下落となった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気悪化により、中国を除く主要輸出先の需要が落ち込んだことが主な要因。輸出を仕向地別でみると、首位の中国が同+15.2%の29.1億米ドル、アメリカが同▲17.3%の21.7億米ドル、日本が同▲23.9%の16.1億米ドルだった。主要品目別に見ると、缶詰類等の加工食品の需要増が寄与し、農水畜産品・加工品が同+2.5%となった。一方で工業製品は、自動車・部品(同▲56.6%)、電子製品・部品(同▲14.6%)、電気製品・部品(同▲31.7%)といった品目が低調で、全体で同▲27.0%の大幅減となった。

(2)タイ投資委員会(BOI)は6月17日、農業分野の投資条件や恩典を「BCG(バイオ、サーキュラー<循環>、グリーン)モデル」に基づき修正したことを発表。技術とイノベーションの活用を促進し、付加価値と生産性の向上を目指す。新しく奨励事業に加わった植物工場は、高品質な農産品の安定的な生産に貢献するとして、投資恩典として5年間の法人所得税免除が付与される。またペットフード、動物飼料、野菜・果物・花・農業廃棄物由来製品等の包装および保管といった、テクノロジーの導入や持続可能な開発を促す事業に対する恩典も修正された。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2020年5月末時点の金融機関預金残高は22兆448億バーツ(前年同月比+10.2%)、貸金残高は25兆4,271億バーツ(同+3.6%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(6月の回顧)
6月のバーツ金利は経済活動再開への期待から5年以降の長期金利が小幅上昇した一方、政策金利は当面据え置かれるとの見方で5年未満では金利低下。特に2年、3年での金利低下が顕著であった。月初、前月末のトランプ米大統領の会見にて香港に対する優遇措置の撤廃を指示したものの、米中通商合意に関しては維持される見通しとなったことで安心感が広がったことや、世界景気の早期回復期待が台頭したこと等から長期金利を中心に金利上昇。そういった中発表されたタイ5月消費者物価指数は前年同月比3.44%低下、コア指数もわずか同0.01%上昇と2009年7月以来の落ち込みとなったが、楽観的な見方が支配的でタイSET指数も1,400台を回復したことでバーツ金利は一段と上昇。9~10日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)でイールドカーブ・コントロール(YCC:長短金利操作)が議論されるとの思惑でドル長期金利が低下すると、バーツ長期金利もこれに伴い低下。YCCについては、米FOMCで議論されたが効果については疑問となり今回の導入は見送られた。また、今後の政策金利見通しが2022年末まで現状維持の見通しが示された。これを受けてバーツ中期金利が小幅低下した一方で長期金利は小幅反発。その後、米連邦準備制度理事会(FRB)が新型コロナウイルス対策の社債買い入れ開始を表明したことでリスク選好が高まり、タイSET指数上昇、バーツ金利は長期を中心に上昇となった。24日のタイ中銀金融政策委員会(MPC)では大方の予想通り政策金利は0.50%に据え置きとなったが、経済見通しは大幅に下方修正となった。これを受けてバーツ中長期金利は低下。月末にかけても小幅バーツ金利低下となり、タイ10年物国債利回りは1.28%台、同5年物利回りは0.82%台とそれぞれ前月末対比では0.04%、0.01%上昇となったが、同2年物は0.11%低下した。

(2)(7月の展望)
先月は経済活動再開への期待の一方で政策金利が当面据え置かれるとの見方となり、長期金利が上昇の一方で中短期金利が低下し長短金利差が拡大した。タイ国内ではロックダウン緩和が順調に進み経済活動も再開しているが、世界的には感染第2波への警戒が強まっている。そういった中、今後の感染状況とともに経済指標を確認していく時間帯になると考える。今月は28~29日に米FOMC開催が予定されており、引き続きYCCの議論が注目される。

〈為替動向〉
(1)(6月の回顧)
6月のドルバーツ相場は3ヵ月連続で続落。中国の香港国家安全法制定を巡っての米中関係、新型コロナウイルス感染の再拡大といったものへの懸念はあるが、タイでは新型コロナ感染抑制に成功してロックダウン緩和が順調に進んでいったことや、世界的にも経済活動が再開となっていったことからリスクセンチメントが改善したことでバーツ買いが進行した。月初、ドルバーツは31.8台前半でオープン。前月末のトランプ米大統領の会見にて香港に対する優遇措置の撤廃を指示したものの、米中通商合意に関しては維持される見通しとなったことで安心感が広がったことや、世界景気の早期回復期待が台頭したことからドルバーツは下落、さらに欧州中央銀行(ECB)が新型コロナ危機対応プログラムを予想以上に拡大したことでドルバーツは一段と下落し、31.50を割り込んだ。その間、タイ中銀はバーツの上昇はタイ経済と一致していない可能性があり、バーツ高が国内経済に一段の影響を及ぼさないように必要な措置を講じる用意があると表明。夜間外出禁止令の解除を含めたロックダウン緩和第4弾の導入が検討との報道や、米FOMCで政策金利を2022年末まで現行のまま維持する見込みが示されたこと等からドルバーツは続落し、31割れに。これを受けてウッタマ財務相はバーツ相場が景気回復の障害にならないよう動向を注視するようタイ中銀に要請した一方、タイ中銀は足元のバーツ高進行はドル安によるもので域内通貨の値動きと整合的とした。その後、米国で新型コロナ感染の第2波の兆候があること等で株が大幅に下落しリスクオフとなったことや、朝鮮半島情勢や印中での軍事衝突といった地政学リスクの台頭でドルバーツは31.2台まで反発。その後、新型コロナ感染拡大への警戒が続いた一方、タイ国内では感染抑制に成功しており市中感染ゼロで推移していることからさらなるロックダウン解除への期待も強く、双方の要因が綱引きとなりながらも徐々に上値の重い展開に。24日に開催されたタイ中銀MPCでは、政策金利は現状維持が決定され経済見通しは軒並み大幅下方修正となった。ただし、予想の範囲内であったことからドルバーツ相場への影響は限定的であった。その後もドルバーツは31を挟んでの攻防が続いたが、ロックダウン緩和第5弾の決定等が重しとなり30.9台でクローズとなった。

(7月の展望)
(2)先月は中旬に新型コロナウイルス感染拡大への懸念、地政学リスクの台頭でリスクオフとなりドルバーツも反発する局面があったが、タイ国内での感染抑制成功でロックダウン解除が順調に進んだこともありドルバーツは下落となった。今月は新型コロナ感染拡大の状況およびロックダウン緩和後の経済指標の確認をしていく時間帯になるものと考える。今月28~29日に米FOMCの開催が予定されている。


5.政治動向、その他
(1)タイ政府は6月30日、タイ全土を対象とした非常事態宣言の適用を7月31日まで延長する旨を発表。非常事態令第9条に基づく決定事項(第11号・第12号)を官報に掲載し、経済活動の規制緩和第5弾として7月1日から学校や各種施設の再開を許可したほか、タイに越境入国できる対象者や条件を公表した。


(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。

情報提供:
三井住友銀行バンコック支店 SBCS CO., LTD.


 
 
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新型コロナウイルスに関するお知らせ(非常事態宣言の延長及び規制緩和の発表について)

仏暦2548年非常事態における統治に関する勅令(非常事態令)


【主要部分の日本語仮訳】


9条に基づく決定事項(11)

326日付のタイ王国全土を対象とした非常事態宣言の発令、および3 目となる731日までの同宣言の適用期間の延長に関し、非常事態令第9 および仏暦2534年国家行政規則法第11条に基づき、首相は一般的な決定 事項、および全ての当局職員の行動規則として、次のとおり発表する。


1 学校、教育機関、大学等における学習および教育の再開

教育省、高等教育・科学・研究・イノベーション省、もしくは関係機関によ る状況に応じた定めに従い、学校、教育機関、大学の施設を学習、教育、もしくは研修のために使用することを認める。施設の責任者は、感染の危険性を認識し、生徒の安全と感染予防を重視し、当局が定める感染予防措置について、規則と制 度の整備を含め、事前の準備と実施を行う。


2 各種施設および活動の再開

612日付決定事項第10号で定めた施設および活動の緩和を継続する。但し、これまで定められてきた条件、日時、感染予防措置、規則および制度に従 うものとする。例えば、競争や競技の中継放送における無観客試合、テレビ番組、 映画および映像の撮影に加わる人数の制限、劇場、映画館、もしくは各種活動に おける着席位置の隔離等である。緩和や再開の許可が与えられた以外の感染の危険性のある、以下に掲げる施 設や活動に関しては、感染予防措置を実施する準備が整ったところから再開を 可能とする。但し、定められた規則や制度といった条件、当局の助言や法令およ び関連法規に従い感染予防措置を行わなければならない。

(1)百貨店、デパート、コミュニティモール、商品展示場、会議場、もしくは イベント会場は、上限を22時とし、それぞれの施設で定める時間での営業を認める。コンビニエンスストア、スーパーマーケット、もしくは類似する販売施設は、それぞれの施設で定める時間での営業を認める。

(2)レクリエーション施設および類似のサービスを提供する施設、パブ、バー、 カラオケについては、上限を24時とし、それぞれの施設に関する法令が定める 通常の営業時間での、営業再開を認める。食堂、フードセンター、ホテル、レストランにおける、24時以降の食事と一 般的な飲料の提供を認める。他方、24時以降のアルコール、およびアルコールを含む飲料の提供は認められない。

(3)ゲームセンター、およびインターネット屋については、営業時間を制限し つつ、これを認める。

(4)個室付浴場、喫茶室については、法令が定める営業時間での営業再開を認 める。闘牛、闘鶏、闘魚、もしくは類似する競技施設は、活動を未だ認めない。


3 すべての宗教における行事および儀式の実施

宗教上もしくは慣例的に重要な日における、いかなる宗教施設における宗教行事および儀式についても、当局が定める感染予防措置も含め、各宗教を所掌す る機関の措置、活動基準、もしくは助言に則しつつ、かかる宗教施設の管理責任 者の判断に委ねる。


4 公共交通機関

教育機関および各種施設の再開後、移動における混雑が予想されることから、人々の便宜のため、すべての公共交通機関は、感染予防ために当局が定める規則 および制度に則し、乗客への対応に努める。


5 ロジスティクスに限る王国への越境入国の緩和 国境貿易、経済への影響の緩和と促進のため、各県の感染症委員会の同意が得られた各県知事に対し、越境入国地点、検問所、もしくは所掌地域内の通過場所 の再開を認める。但し、商品および必要に応じた物資の輸出入に限る。また、当 局が定める感染予防措置を実施すると共に、法令、規則、条件を厳格に遵守する ものとする。


6 感染症予防措置

上述の施設および活動の責任者は、利用者および参加者の感染予防として以下を実施する。

(1)検温、もしくは気管支系疾病の症状のスクリーニングの実施

(2)衛生用マスク、もしくは布マスクの着用

(3)1メートル以上の物理的距離の確保、および参加者数の制限による混雑の 回避

(4)石鹸、アルコール・ジェル、もしくは消毒液による手の洗浄場所の設置

(5)活動後、もしくは使用後の、肌のふれた場所の清掃感染予防の担当係官は、感染の疑いが生じた場合に更なる検査を可能とするための行動を追跡するアプリケーションの使用に関し、指示および決定を行う ことが出来るものとする。


7 感染予防と規律維持 上述の施設および活動の責任者は、バンコク都知事、各県知事、もしくは当局の助言、条件、日時に則し、規則および制度を含む、感染症予防の基準を策定する。


上述の施設および活動の責任者、所有者もしくは管理者の実施について監督権限を有する当局者や職員は、当局が定めた規律や制度の履行を含む感染防止 措置を遵守するための調査を行う権限を有する。仮に感染拡大のリスクがある 行為が判明すれば、右当局者や職員は、勧告、警告、制止、もしくは管理義務を 有する事業者に責任をとらせるための期間を定め、施設の責任者、所有者もしくは管理者による感染拡大防止措置を改善させる権限を付与する。また、仏暦2558年感染症法に基づいて権限を有する者に対し、右当局者や職員が所掌する 場所における一時的な施設の閉鎖、および違反に対する処罰について提案する 権限を有する。

バンコク都知事、もしくは各県知事が一時的な閉鎖を指示してある施設で、施設の所有者、管理責任者が当局の定める措置を遵守し、規則や制度を策定した場合、バンコク都知事、もしくは各県知事は、上述の施設の再開を命ずることが出来る。


8 調整

上記の実施において官民いずれにおいて問題が生じる場合でも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)問題解決センターの中央調整部門の責任者であるタイ国家安全保障会議事務局長官を委員長とするCOVID-19感染拡大防止措置緩和検討特別委員会に協議せしめる。



以上の内容は、仏暦2563(西暦2020)71日以降適用される。


仏暦2563630

プラユット・チャンオーチャー 陸軍大将

首相



(問い合わせ先) 

在タイ日本国大使館領事部 

電話:(66-2207-8500696-3000 

FAX:(66-2207-8511 

所在地177 Witthayu Road, Lumphini, Pathum Wan, Bangkok 10330 

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仏暦2548年非常事態における統治に関する勅令(非常事態令)

【主要部分の日本語仮訳】 


9条に基づく決定事項(12)


326日付のタイ王国全土を対象とした非常事態宣言の発令、および3度目となる731日までの同宣言の適用期間の延長に関し、非常事態令第9 および仏暦2534年国家行政規則法第11条に基づき、首相は一般的な決定事項、および全ての当局職員の行動規則として、次のとおり発表する。


1 王国への越境入国

325日付の決定事項第1号の第3項「王国への越境入国の閉鎖」を無効とし、以下の内容に差し替える。

航空機、船舶、車両、その他いかなる乗り物を利用した、もしくは、空路、 水路、ないしは陸路のいずれかによる王国への越境入国に関しては、これを行うことが出来る。但し、感染症予防のための措置および入国者数の制限の実施、そ して、以下に定める入国者に対するスクリーニングのための当局者の能力、そし て、隔離、保護もしくは観察のための施設の設置の点から、首相、もしくは入管 法、航空法、感染症法によって権限を付与された当局者が定める条件、日時、規則に従わなければならない。

(1)タイ国籍を保持する者

(2)首相により規制が免除された者,もしくは非常事態状況の解決の責任者に より定められ,許可され,もしくは招待された者。この場合,条件および期間が 別途定められる場合がある。

(3)外交使節団,領事団,国際機関もしくはタイ国内で活動する外国政府ない しは政府機関の代表またはその他の国際機関に所属する個人でタイ外務省が必 要性に応じて許可を与えた者,またこれらの配偶者,両親,子息。

(4)必要な商品の運送業者。但し,用務の終了後は速やかに出国せしめる。

(5)王国への出入国の期日が明確に定まった乗務員及び運行従事者。

(6)タイ国籍を保持しない者で,タイ国籍を有する者の配偶者,両親もしくは 子息。

(7)タイ国籍を保持しない者で,有効な王国の居住証明書もしくは王国に居住 する許可を得ている者。

(8)タイ国籍を保持しない者で,有効な労働許可を保持している,または法令 によって王国での労働が許可されている者,またこれらの配偶者や子息。

(9)タイ当局から認定されているタイ国内の教育機関に通学する,タイ国籍を 保持しない生徒および学生,またこれらの両親もしくは保護者。但し、私立学校に関する法律に基づく非公式学校、もしくは同様な形態の私立の教育機関を除 く。

(10)タイ国籍を保持しない者で,タイ国内で医療を受ける必要のある者およ び付き添いの者。ただし,これにはCOVID-19の治療は該当しない。

(11)タイ国籍を保持しない者で,外国との特別な合意事項(special arrangement)に則して王国へ入国することが許可された者。 


2 王国への越境入国者に対する感染予防措置

当局係官、もしくは感染予防担当者は、越境入国者に対し、当局が定める条件、日時、規則を厳格に遵守させるものとする。また、当局係官、もしくは感染予防 担当者は、当局が定める場所、時間、もしくは入国時の検査のための隔離、保護、 ないしは観察に関し、または、感染の疑いが生じた場合に更なる検査を可能とす るための行動を追跡するアプリケーションの使用に関し、渡航ないしは越境入 国の条件について指示および決定を行うことが出来るものとする。



以上の内容は、仏暦2563(西暦2020)71日以降適用される。


仏暦2563630

プラユット・チャンオーチャー 陸軍大将

首相



(問い合わせ先) 

在タイ日本国大使館領事部 

電話:(66-2207-8500696-3000 

FAX:(66-2207-8511 

所在地177 Witthayu Road, Lumphini, Pathum Wan, Bangkok 10330 

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新型コロナウイルスに関するお知らせ(タイ政府による規制緩和:6月15日から)

【主要部分の日本語仮訳】

「仏暦2548年非常事態における統治に関する勅令」(非常事態令)第9条に基づく決定事項(第10号)


3月26日付のタイ王国全土を対象とした非常事態宣言の発令,および6月1日から6月30日まで同宣言の適用を延長した件に関し,非常事態令第9条および仏暦2534年国家行政規則法第11条に基づき,首相は一般的な決定事項,および全ての当局職員の行動規則として,次のとおり発表する。


第1項 外出禁止の解除

国民の日常生活への影響を緩和するため,新型コロナウィルス感染症(COVID-19)を理由としたタイ王国全土における外出禁止の措置を,6月14日23時以降,解除する。


第2項 学校及び教育機関の施設使用の緩和

仏暦2563年(西暦2020年)教育年度の始業準備のために5月29日付の決定事項第9号において許可した教育,試験,もしくは研修についての学校及び教育機関の施設使用の緩和に加え,インターナショナル・スクール,外国の教育課程の大学,私立学校に関する法律に基づく非公式学校,国境警備警察が運営する学校,および生徒数が120名を超えない学校に関しても,学習,授業や研修のための施設使用を認める。

ただし,学校および教育機関,もしくは職員の業務に責任を持つ者は,感染の危険性を認識し,生徒の安全を重視し,当局が定めた感染予防措置,様々な規則や制度の実施について,当局からの勧告も含めて,厳格に履行しなければならない。

上記で定めた学校,教育施設,大学等の運営について,状況に応じ,教育省,高等教育省および文化省等の関係当局に然るべく従うものとする。


第3項 一部活動の実施を可能にする緩和

5月1日付決定事項第6号,5月15日付決定事項第7号,5月29日付決定事項第9号で定めた,人々の利便性向上と一部の活動を促進するため,当局が規定した様々な規則や制度を含む感染予防対策を実施の下,バンコク都知事および各県知事が仏暦2558年感染症法と仏暦2563年5月1日付決定事項第5項に基づき一時的に閉鎖ないし中止してきた施設ないし活動について,タイ王国全土において,以下の一部の施設の営業および活動の実施を,任意でかつ準備が整っている場合に限り追加的に認める。


(1)経済的・生活上の活動

(ア)会議,研修,セミナー,展覧会,商品の展示,宴会,式典,公演,芸術,演奏,コンサート,もしくはホテル,劇場,会議室,会議場,商品展示場,映画館,ないしはその他の施設で行われる活動について,その実施を認める。


(イ)食堂,フードセンター,ホテル,レストラン,もしくは法律によりアルコールの提供が認められた場所における,関係法令で定められた営業時間内でのアルコール,もしくはアルコールを含む飲料の消費を認める。ただし,消費を喚起するような活動は許容されない。

レクリエーション施設および類似のサービスを提供する施設,パブ,バー,カラオケについては,活動を未だ認めない。


(ウ)託児所,保育所,幼稚園,幼児用教育施設,高齢者施設,介護施設,高齢者用宿泊施設,もしくは幼児ないし高齢者向け福祉施設については,デイケアに限り,活動の再開を認める。これらの活動の再開は,感染症の危険性が高い活動であり,あくまで例外的措置である。


(エ)教育向け科学施設,科学公園,科学および文化センター


(オ)テレビ番組,映画・映像の撮影については,出演者,撮影関係者の合計人数が150名を超えない範囲で,また,50名までの観客の入場を含め,これを認める。


(2)運動や健康増進,レクリエーションに関する活動

(ア)健康増進施設内での,サウナ,薬草サウナ,公共的サウナ,もしくはフェイシャル・マッサージの実施,スパ,もしくはタイ古式マッサージの施設について,営業を認める。


(イ)公園,集会場,公共の活動場所,もしくは屋外のスポーツ競技場における集団での運動について,これを認める。


(ウ)ウォーターパーク,児童公園,遊技場の営業を認める。ただし,ボール・ハウスやエアー遊具等,一時的に設置された遊具,もしくは肌が多く触れる遊具は児童への感染の危険性があるため除外する。


(エ)競技,もしくはあらゆる種目のスポーツの指導のための競技場,もしくは運動用の施設を認める。ただし,闘牛,闘鶏,闘魚,もしくは類似する競技施設は,活動を未だ認めない。

これらの活動や施設は,競争の実施およびテレビないしはその他の各種メディアでの中継を認める。ただし,競技主催者は,競技場内に観客を入れてはならない他,当局が定める手続きおよび方法に従わなければならない。


(オ)デパート,ショッピングセンター,コミュニティモール内の,法令によって許可されたゲーム機やコインゲームについて,営業を認める。


第4項 県境を越えた公共交通機関

県境を越えた移動の制限が緩和されたことに伴い,あらゆる種類(移動経路が固定された車両,エアコン付車両,バン,鉄道,もしくは航空機)の公共交通機関において,待合場所の整備,距離をおいた座席,および乗客数の制限等が当局が定める感染症予防の措置に適合的になるよう,当局者は事業者を指導する。


第5項 感染症予防と規律維持

上記第2項および第3項の施設の責任者,所有者もしくは管理者は,バンコク都知事,各県知事ないしは当局の定めた勧告,条件,時間を含む感染症防止基準に基づく諸措置について責任を負う。

第2項の施設の利用及び第3項の施設の責任者,所有者もしくは管理者の実施について監督権限を有する当局者や職員は,当局が定めた規律や制度の履行を含む感染防止措置を遵守するための調査を行う権限を付与する。仮に感染拡大のリスクがある行為が判明すれば,右当局者や職員は,勧告,警告,制止,もしくは管理義務を有する事業者に責任をとらせるための期間を定め,施設の責任者,所有者もしくは管理者による感染拡大防止措置を改善させる権限を付与する。また,仏暦2558年感染症法に基づいて権限を有する者に対し,右当局者や職員が所掌する場所における一時的な施設の閉鎖について提案する権限を付与する。


第6項 特定の施設や活動が本決定事項に定められた項目に含まれているか否かに疑義が生じる場合,新型コロナウィルス感染症(COVID-19)問題解決センターの中央調整部門の責任者であるタイ国家安全保障会議事務局長官を委員長とするCOVID-19感染拡大防止措置緩和検討特別委員会に協議せしめる。


以上の内容は,仏暦2563年(西暦2020年)6月15日以降適用される。


仏暦2563年6月12日 

プラユット・チャンオーチャー 陸軍大将 首相


・官報原文(タイ語)

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タイ国経済概況(2020年6月)

1.景気動向
(1)国家経済社会開発委員会(NESDC)は5月18日、2020年第1四半期の経済成長率(速報値)を発表。新型コロナウイルス感染拡大による世界経済の後退や貿易量の減少、干ばつ等が影響し、前年同期比▲1.8%であった。2020年通年の予測については前年比▲5.0~▲6.0%と、2月時の予測値である同+1.5~+2.5%から大幅に下方修正した。また、タイ中央銀行が同月29日に発表した4月単月の経済報告書によれば、タイ経済はさらに減速。新型コロナウイルス感染対策に伴う入国制限を受け、同月の外国人旅行客数はゼロであった。

(2)タイ工業連盟(FTI)が5月20日に発表した4月の自動車生産台数は、前年同月比▲83.6%の2.5万台だった。メーカーの大半が生産を休止していたことから大幅な減少となった。前年同月マイナスは12ヵ月連続。内訳は国内向けが同▲85.4%の1.1万台、輸出向けが同▲81.8%の1.4万台。1~4月の累計生産台数は、前年同期比▲32.8%の47.8万台となった。また、4月の国内販売台数は前年同月比▲65.0%の3.0万台、輸出台数は同▲69.7%の2.0万台。1~4月の累計国内販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲34.2%の23.0万台、同▲26.3%の27.0万台となっている。

(3)FTIが5月20日に発表した4月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲50.9%の8.3万台だった。内訳は完成車(CBU)が同▲53.1%の6.4万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲42.3%の2.0万台。1~4月の累計生産台数は、前年同期比▲16.0%の70.9万台。また、4月の国内販売台数は前年同月比▲34.5%の7.9万台、輸出台数は同▲43.3%の3.3万台だった。


2.投資動向
(1)タイ投資委員会(BOI)が発表した投資申請統計によれば、2020年第1四半期の新規申請額は前年同期比▲44%の714億バーツで、申請件数は同+3%の378件であった。国・地域別の海外直接投資額では日本が同▲72%ながら74億バーツと最大で、次いで中国が65億バーツ、香港が35億バーツで続いた。またBOIは、5月21日付で新型コロナウイルス感染拡大による影響緩和策を布告。プロジェクトによって義務付けられている完全操業申請期限やISO9002等の取得期限がそれぞれ延長となった。

(2)プラユット首相を議長とする26人の委員から構成される、国家第5世代通信規格(5G)委員会が5月13日に発足した。デジタル経済社会省が事務局となり、5Gサービス推進を図る。5G周波数は民間大手3社および国営2社が獲得しており、今年中に本格的な5Gサービスの開始が期待されている。また国家放送通信委員会(NBTC)は、5G導入に伴うインフラ環境の向上によりタイへの長期滞在を希望する外国人の在宅勤務需要を取り込む狙いから、タイを在宅勤務のハブとする計画を5G委員会に提案する。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2020年4月末時点の金融機関預金残高は21兆9,708億バーツ(前年同月比+9.7%)、貸金残高は25兆4,406億バーツ(同+4.6%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(5月の回顧)
5月のバーツ金利は、20日のタイ中銀金融政策委員会(MPC)での利下げで短中期では金利低下となったが、長期金利は月末にかけてリスク選好の戻りで小幅反発となった。月初公表されたタイ4月消費者物価指数が約11年ぶりの水準となる前年比2.99%となったことや、次回MPCでの利下げを織り込んでバーツ金利は全年限で金利低下。中旬に発表されたタイ第1四半期GDPが前年比1.8%減となったが、事前予想ほど落ち込まなかったこともありバーツ金利への影響は限定的であった。20日に開催されたタイ中銀MPCでは大方の予想通り0.25%の利下げが決定され、政策金利は0.50%と史上最低金利を更新。一方で、4対3とぎりぎりの採決であったことから政策余地の乏しい中での利下げに対しては一枚岩ではないことが垣間見られた。22日開幕となった中国の全人代では香港に対する国家安全法の導入に関しての議論が注目された。これに対しては、トランプ米大統領が導入となった場合には極めて強硬に対応すると発言したことでリスク選好が後退。また同日発表されたタイ4月貿易統計では予想に反して輸出が前年比2.1%増となったが、金相場上昇を背景とした金製品の輸出が急増したことが背景であり、金を除いたベースでは10.3%減であった。これらを受けてタイSET指数は下落、バーツ金利は低下となった。その後、各国・各地でのロックダウン措置の緩和に伴う経済活動再開やワクチン開発への期待でリスク選好が戻りバーツ長期金利が上昇。28日に閉幕した全人代では、香港国家安全法の制定方針が圧倒的多数で採択されたことでリスク選好は再び後退となりバーツ金利は小幅低下し、タイ10年物国債利回りは1.24%台、同5年物利回りは0.81%台とそれぞれ前月末対比では0.03%上昇、0.10%下落となった。

(2)(6月の展望)
先月は経済活動再開やワクチン開発への期待が先行し世界的に株価上昇となった中、タイSET指数も上昇、バーツ長期金利は利下げはあったものの小幅上昇となった。足元の楽観論は期待先行で醸成されており、今後確認されていく経済データや米中をはじめとした主要国動向には注意が必要。今月は9~10日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、24日にタイ中銀MPCの開催が予定されている。

〈為替動向〉
(1)(5月の回顧)
5月のドルバーツ相場は続落。新型コロナウイルス発生源を巡って米中の対立激化への懸念はくすぶるが、経済活動再開やワクチン開発への期待からリスク選好度が回復し世界的に株価が上昇、これを受けてアジア通貨買いとなった中バーツ買いも継続。月初、前月からのバーツ高の流れの中ドルバーツは32.3台でオープン後、タイ4月消費者物価指数が前年比2.99%低下と約11年ぶりに大幅悪化したことでドルバーツは32.4台後半まで上昇したが、米中の通商担当トップが電話会談を計画との報道に人民元が反応を示すと、ドルバーツもこれに伴い下落に転じた。さらに米国でのマイナス金利導入の可能性をマーケットが織り込み始めたことや、ロックダウンの解除への期待からドルバーツは軟調に推移。タイ政府のコロナ対策が評価され、海外投資家のタイ債券購入等でドルバーツは一段と下落。中旬に発表されたタイ第1四半期GDPが前年比1.8%減となったが事前予想ほど落ち込まなかったところに、新型コロナウイルスのワクチン開発への期待でリスクセンチメントが改善。ドルバーツも32を割り込んで下落。20日のタイ中銀MPCでは4対3で0.25%の利下げが決定され、政策金利は0.50%と史上最低金利を更新。しかし、利下げは大方の予想通りであったことからドルバーツの反応は限定的であった。22日より開催となった中国全人代では香港に対する国家安全法導入に関しての議論が注目されたが、トランプ米大統領が導入となった場合にはきわめて強硬に対応するとけん制したことで米中間の緊張が高まった。一方、同日発表されたタイ4月貿易統計では事前予想に反して輸出が前年比2.1%増となった。金相場の上昇を背景に金輸出が前年の12倍まで伸びたことが背景ながら、金を除いたベースでは10.3%減であった。これを受けてドルバーツも小幅上昇し一時32台を回復。しかし、日本や欧州での経済活動再開や中国の景気刺激策への期待が勝り、リスクセンチメントがすぐに改善されたことでドルバーツは再び下落。全人代では上述の香港国家安全法の制定方針が圧倒的多数で採決された。これを受けてトランプ米大統領が中国について記者会見を行う予定との報道でリスク選好は後退するも、月末の輸出勢のドル売りフローで上値が抑えられドルバーツは31.8台前半でクローズ。

(2)(6月の展望)
先月は米中問題をはじめとした懸念材料はあったものの楽観ムードが勝り、ほぼ一本調子でドルバーツは下落となった。今月からさらに多くの国や地域でロックダウンの解除もしくは緩和が続くことから、経済活動再開への期待が継続するものと予想される。ただし、経済活動再開に伴っての第2波への懸念、米中問題、欧州でもコロナウイルス復興基金案に対して必ずしも一枚岩でなく難航しそうなこと等、懸念材料は多くあることには要注意。なお、9~10日に米FOMC、24日にタイ中銀MPCが予定されている。


5.政治動向、その他
(1)タイ政府は個人情報保護法の複数の条項について、適用時期を延長する勅令を5月19日に閣議決定。本法案の実質的な適用は2021年5月31日より後となった。本件措置は、新型コロナウイルスの流行ならびに政府機関および民間企業への準備期間に配慮したもの。なお、個人情報保護法は2019年5月に施行され、今年5月27日から適用の予定であった。

(2)タイ政府は5月29日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う非常事態令第9条に基づく決定事項(第9号)を官報に掲載し、6月1日以降の夜間の外出禁止時間帯を23時~翌3時に短縮した(以前は23時~翌4時)。また同日より経済活動の規制緩和第3弾として、展示会場や映画館、タイ古式マッサージ等の営業再開を許可した。


(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。


情報提供:
三井住友銀行バンコック支店 SBCS CO., LTD.



 
 
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新型コロナウイルスに関するお知らせ(タイ政府による規制緩和:6月1日から)

【主要部分の日本語仮訳】

「仏暦2548年非常事態における統治に関する勅令」(非常事態令)第9条に基づく決定事項(第9号)


仏暦2563年3月26日付のタイ王国全土を対象とした非常事態宣言の発令及び仏暦2563年6月1日から仏暦2563年6月30日まで同宣言の適用を延長した件に関し,非常事態令第9条及び仏暦2534年国家行政規則法第11条に基づき,首相は一般的な決定事項及び全ての当局職員の行動規則として,次のとおり発表する。



第1項 外出の禁止

タイ王国全土において23時から翌朝3時までの間の外出を禁止し,仏暦2563年4月10日付決定事項第3号に基づく外出禁止の例外規定の適用を継続する。

23時以前に出発地の県を出発し翌3時以降に目的地の県に到着する乗客や物資を輸送する公共輸送関係者を含む乗客及び乗り物は,外出禁止時間における県境をまたいだ移動をすることができる。



第2項 学校及び教育機関の施設使用の緩和

2563教育年度の第1期の始業の準備のため,教育,研修,会議のためもしくは試験や人物選考のための学校及び教育機関の施設使用を以下のとおり段階的に緩和する。


(1)職業訓練,芸術,スポーツ(ただし規制が緩和され活動を行えるスポーツの分野に限る)分野の私立学校に関する法律に基づく非公式学校の授業や研修のための施設の使用。ただし,教室あたりの生徒数,持続可能な教育形式の準備と能力,様々な施設と場所の整備を感染防止措置に沿う形で考慮すること。


(2)会議,試験,選考,15日を超えない短期研修,もしくは類似の業務のための学校及び教育機関の施設の使用。


上記(1)及び(2)における学校及び教育機関の業務に責任を持つ者は,当局が定めた感染防止措置,様々な規律や制度の実施につき,当局からの勧告も含めて,厳格に履行しなければならない。



第3項 一部活動の実施を可能にする緩和

仏暦2563年5月1日付決定事項第6号及び仏暦2563年5月14日付決定事項第7号で定めた人々の利便性向上と一部の活動を促進するため,当局が規定した様々な規則や制度を含む疾病予防対策を実施の下,バンコク都知事及び各県知事が仏暦2558年感染症法と仏暦2563年5月1日付決定事項第5号に基づき一時的に閉鎖ないし中止してきた場所ないし活動について,タイ王国全土において以下の一部の活動の実施を,任意でかつ準備が整っている場合,追加的に可能とする。


(1)経済的・生活上の活動

(ア)百貨店,ショッピングセンター,コミュニティーモールは21時00分まで営業可能とする。

(イ)商品展示場,会議場及び展覧会場は,会議,商品の展示及び展覧会の実施のため開場を認める。ただし,使用面積は20,000平方メートルを超えない活動とし,21時00分まで実施可能とする。

上記につき,競争,販売促進活動,もしくは人々を密集させる機会がある活動は避ける。

(ウ)仏教のお守りや仏像販売場は,人々を密集させる機会がある活動は避けた上で営業可能とする。

(エ)男性向け及び女性向けのエステ,美容院及び理髪店は営業を許可する。ただし,1人当たりの施術時間が2時間を超えてはならず,店内で待機する人がいてはならない。

(オ)児童・就学前児童学習センターは,職員による打ち合わせや昼食の配布業務に必要な限りで開業できる。施設は当局が定めた感染防止措置に基づく準備を実施するものとする。


(2)運動や健康増進,レクリエーションに関する活動

(ア)美容医療クリニック,美容増進施設,入れ墨や身体の一部に針を刺す施設。

(イ)健康増進施設,スパ,タイ古式マッサージ施設(サウナ,薬草サウナ及び顔付近の施術は避ける),フットマッサージ。ただし,入浴施設,個室付き浴場は除く。

(ウ)フィットネス場は,営業を可能とする。ただし,集団も含む人数制限を実施し,あらゆる形式のサウナは除く。

(エ)ムエタイ練習場,ジム及びムエタイジムは,対戦相手のいないシャドーボクシング,ミット打ちに限り営業を認める。ただし,競争を行ってはならず,観客を有してはならない。

(オ)スポーツ競技場は,運動またはサッカー,フットサル,バスケットボール及びバレーボール等のスポーツ種目の練習に限り,営業を認める。ただし,競争を行ってはならず,スポーツ競技場付近にいる活動参加者(選手は含まない)は10人を超えてはならない。

(カ)ボーリング場,スケート・ローラーブレード場及び類似の遊戯のための場は,運動または練習目的に限り営業を可能とする。

(キ)ダンス場及びダンス教室。

(ク)ジェットスキー,カイトサーフィン,バナナボート型遊具等の水上スポーツや活動のための池は営業を可能とする。ただし,競争を行ってはならず,遊具の数と敷地の規模に応じて人数の制限を行うこと。

(ケ)映画館や劇場は,営業を可能とする。ただし,参加者が200人を超えてはならない。劇場については,この最初の期間においては,まずはリケー(※劇の一種),ラムタット(※即興歌の一種)あるいはその他の地域芸能の上演に限り認める。音楽やコンサート,参加者間の距離の維持や感染拡大に関するリスクが生まれる可能性がある活動は避けること。

(コ)動物園や動物展示場は,営業を可能とする。ただし,集合的に展示するエリアについては参加者の人数を制限すること。



第4項 感染症予防と規律維持

上記第2項及び第3項の施設の責任者,所有者あるいは管理者は,バンコク都知事,各県知事あるいは当局の定めた勧告,条件,時間を含む感染症防止措置に基づく措置について責任を負う義務がある。

職員・従業員は,第2項の施設の利用及び第3項の施設の所有者または管理者の実施について,当局が定めた規律や制度の実行を含む感染防止措置に従わせるため調査を行う権限を持つ。仮に感染拡大のリスクがある行為が判明すれば,職員・従業員は勧告,警告,制止あるいは義務を有する者に責任を取らせるために期間を定め,施設の所有者または管理者に感染拡大防止措置のために改善させる権限を持つ。仏暦2558年感染症法に基づいて,責任を取るエリアについて一時的に施設を閉鎖するよう権限を有する者に提案することもできる。

バンコク都知事や各県知事が仏暦2558年感染症法に基づき一時的に施設の閉鎖を命じていた場合,施設の責任者,所有者あるいは管理者が,当局が定めた規則や様々な規律や制度に沿って実施しているときには,バンコク都知事または各県知事は,場合に応じて上記の施設の使用を命じることができる。



第5項 県境をまたいだ移動の緩和

県境をまたいだ移動を中止または抑制するこれまでの政府の勧告について,関係者からの評価から,本措置は感染者数と感染拡大を管理することができる一要素であるとの評価を得ていることが判明したが,いずれにせよ,人々が従来どおりの生活に近い状態で生活を送ることが出来るようにし,また経済活動を促進するため,県境をまたいだ移動を緩和することは適切であると思われる。外国からの渡航者を含む人々は,当局が定めた感染防止措置や様々な制度や規則に従う必要があり,特に交通が混み合っているときや特殊な事情がある際は,渡航者は不便かつ負担を強いられるかもしれない。これにつき,仮に渡航者が感染者または病原体保有者であることが疑われると判明した場合,職員・従業員は,感染症関連法に基づいて,感染拡大防止のため渡航者に隔離または観察下に置くように命ずる権限がある。



第6項 施設や活動が本決定事項に定められた項目に含まれているかどうかについて問題がある場合には,COVID-19問題解決センター(CCSA)中央調整局の長であるタイ国家安全保障会議事務局長を委員長とする,COVID-19感染拡大防止措置緩和検討特別委員会に協議せしめる。



第7項 地位や任務を利用して自らを名乗り,または職員・従業員であると詐称して,金銭,財産,利益を不当に要求,受領あるいは受領することを容認すること,隔離や観察下に置くための民間施設の利用から不当な利益を得ようとすること,他者を感染省関連法や非常事態における統治に関する法律に基づいて発出された決定事項に反するように仕向けるよう図ること,違反者を立件しないことで金銭,財産もしくは見返りの利益要求をして不当に任務を行わないことは,当然のことながら法律違反である。上記の被害者は,タイ王国全土の内務省行政公正センターまたは首相府に所在するCCSAに通報することができる。



以上の内容は,仏暦2563年(西暦2020年)6月1日以降適用される。


仏暦2563年5月29日

プラユット・チャンオーチャー 陸軍大将 首相



・官報原文(タイ語)

http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2563/E/126/T_0044.PDF



(問い合わせ先) 

在タイ日本国大使館領事部 

電話:(66-2207-8500696-3000 

FAX:(66-2207-8511 

所在地177 Witthayu Road, Lumphini, Pathum Wan, Bangkok 10330 

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タイ国経済概況(2020年5月)


1.景気動向
(1)タイ中央銀行は3月25日、2020年の経済成長率予測を前年比▲5.3%に、商業・興行・金融合同常任委員会(JSCCIB)は5月7日に同▲3.0~▲5.0%へと下方修正した。また、タイ中銀が4月30日に発表した3月単月の経済報告書によれば、新型コロナウイルス感染対策に伴う各種活動規制があらゆる経済活動に影響を及ぼし、中でも観光業は外国人観光客数が前年同月比▲76.4%の81.9万人、観光収入も同▲77.6%の395億バーツと大きく減少した。輸出額は同▲2.2%であった一方、輸入額は中国のロックダウン措置が緩和されたことで原材料等が増加に転じ、同+4.4%となった。

(2)タイ工業連盟(FTI)が4月23日に発表した3月の自動車生産台数は、前年同月比▲26.2%の14.7万台だった。前年同月マイナスは11ヵ月連続。内訳は国内向けが同▲35.3%の6.1万台、輸出向けが同▲17.8%の8.5万台。1~3月の累計生産台数は、前年同期比▲19.2%の45.4万台となった。また、同月の国内販売台数は前年同月比▲41.7%の6.0万台、輸出台数は同▲23.7%の9.0万台だった。1~3月の累計国内販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲24.1%の20.0万台、同▲16.5%の25.0万台となっている。

(3)FTIが4月23日に発表した3月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲18.5%の19.5万台だった。内訳は完成車(CBU)が同▲18.0%の15.0万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲19.9%の4.4万台。1~3月の累計生産台数は、前年同期比▲8.1%の62.0万台。また、同月の国内販売台数は前年同月比+12.5%の14.7万台、輸出台数は同▲17.3%の8.2万台だった。


2.投資動向
(1)タイ政府は4月19日、「通信を利用した会議に関する勅令(仏暦2563年、西暦2020年)」を官報に公示した。本勅令により参加者がタイ国外にいる場合においても、通信を利用して株主総会および取締役会等の会議に参加できるようになった。なお、通信を利用した会議は、デジタル経済社会省の告示(仏暦2557年、西暦2014年12月4日)のセキュリティ基準に準拠する必要があり、同省の公式ウェブサイトにてガイドラインが公開されている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、民間企業の間では定時株主総会の実施が困難になるといった問題が生じていた。

(2)タイ投資委員会(BOI)は4月13日、新型コロナウイルス対策に伴い需要が増加した、医療機器等の生産投資を促進する新たな奨励策を決定した。対象となるのは医療機器、医療機器部品、医療用品の原材料となる不繊布、診断・検査キット、医薬品およびその有効成分の生産事業で、3年間の法人税50%減免恩典が追加で付与される。2020年6月30日までの申請と、同年12月末までの生産開始、売上の計上が条件であり、加えて2020~2021年の間は生産量の50%以上をタイ国内向けに出荷する必要がある。また、医療機器等を生産する既存事業についても、生産拡大のための機械等の輸入関税を免除する。2020年9月までの申請と、同年内の輸入が条件。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2020年3月末時点の金融機関預金残高は21兆6,014億バーツ(前年同月比+8.4%)、貸金残高は25兆2,841億バーツ(同+4.1%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(4月の回顧)
4月のバーツ金利はすべての年限で大きく低下。新型コロナウイルス感染拡大による景気後退懸念で追加利下げへの期待が継続していること等が主な背景。月初、前月末に米連邦準備制度理事会(FRB)が流動性供給の強化策を発表したが、流動性への需要は依然強くタイ国債も換金売りは止まらずバーツ金利は上昇。その後、原油が減産期待で大反発したことでリスクセンチメントが和らいだことや、ソムキット副首相が新しい経済刺激策について述べたこと等で、バーツ金利は大幅に低下。その後、タイ政府は1.9兆バーツ規模の経済対策第3弾を閣議決定し、タイ中銀は0.4兆バーツを金融安定化、0.5兆バーツを中小企業向け低利融資に供給すると発表。これを受けてバーツ金利は一段と低下。中旬に米FRBが最大2.3兆ドルの新たな融資提供措置を発表したことを受け、マーケットの緊張が一層和らぎバーツ金利も緩やかに低下。下旬、原油先物価格が史上初となるマイナス圏に陥ったことでリスクセンチメントが悪化。その直後に発表されたタイ3月貿易統計で輸出が予想に反して堅調な結果となったが、バーツ金利は一段と低下。原油先物価格が反発しプラス圏を回復したことや、予想に反してタイ貿易統計が好調であったこと、タイでの新規感染者数が抑制されていることで行動規制の一部緩和への期待が高まりタイSET指数が上昇。これを受けてバーツ金利も一旦反発も、タイ景気への警戒感および追加緩和期待は根強くすぐに反落となった。月末にかけては緩やかな金利低下が続き、タイ国債10年物利回りは1.21%台、同5年物利回りは0.91%台と前月末対比それぞれ0.26%、0.17%と大幅低下。3ヵ月物は0.50%台と0.25%金利低下。

(2)(5月の展望)
先月初はまだマーケットのボラティリティが高く、流動性確保のパニック的な売りが見られたが、各国の中銀の緩和、流動性供給策が徐々に奏功したことや新型コロナウイルス治療薬への期待、一部の国での経済活動再開などでマーケットは落ち着いてきた。ただし、タイ中銀の指摘の通りここ1ヵ月でマーケットは落ち着いてきているが、まだ完全には戻っていないことには留意。今後はコロナ動向もさることながら各国の経済指標を確認する時間帯となるものと考える。タイ国内では18日の第1四半期GDP発表、20日のタイ中銀金融政策委員会(MPC)が注目される。

〈為替動向〉
(1)(4月の回顧)
4月のドルバーツ相場は下落。各国中銀・政府が積極的に政策を打ち出したことでマーケットが徐々に落ち着いてきたことや、一部の国・地域で経済活動再開が検討されたこと等でリスクセンチメントが改善しバーツが買い戻された。月初、トランプ米大統領が新型コロナウイルスとの戦いで非常に厳しい2週間になると述べたことで世界景気への懸念が一層強まり、ドルバーツは一時33.1台後半と直近高値を更新。その後、欧米の一部地域で新型コロナウイルス感染による死者数の増加ペースが鈍化したことや、タイ政府が経済対策第3弾を閣議決定したことが好感されドルバーツも32台で上値重く推移。中旬に発表されたタイ3月消費者信頼感指数が調査開始以来の低水準となり再びバーツ売りに。その後、米FRBが新たな融資提供措置を発表したことでドルバーツも30.6台後半まで下落したが、新型コロナウイルスによる経済への影響への懸念は根強く小反発。中国の3月貿易統計が予想ほど落ち込まなかった一方で、米経済指標が軒並み悪化しドルバーツは下落。さらに新型コロナウイルス治療薬「レムデシビル」や米経済活動再開への期待でドルバーツは一段と弱含んだ。下旬、タイ3月貿易統計で輸出が予想外に堅調であったことが好感されバーツ買いに。原油先物が史上初のマイナス圏に陥りタイSET指数を含むアジア株が全面安とリスクセンチメントは悪化したが、ドルバーツは大きな方向感を見せることなくレンジ内での推移に留まった。原油先物がプラス圏を回復するとドルバーツも緩やかに下落を続け一時32.3割れに。しかし、「レムデシビル」が臨床試験で有効性を示せなかったとの報道や、一部アジアでのロックダウン延長が嫌気されアジア株が全般に軟化するとドルバーツも反発。29日に発表された米第1四半期GDPがリーマンショック直後以来の水準まで大幅に落ち込み、米連邦公開市場委員会(FOMC)でも予想通り政策金利は現状維持、景気認識は厳しい見方となったが、「レムデシビル」の治験で前向きなデータが得られたと伝わったことでリスクセンチメントが改善し、ドルバーツも再び下落し32.3台半ばでクローズ。

(2)(5月の展望)
先月は各国中銀の積極的な緩和策の効果や新型コロナウイルス治療薬への期待、一部の国・地域で経済活動再開に向けて動き出したこと等でリスク選好度が回復しバーツの買戻しが見られた。また、タイ国内での新規感染者数が減少してきていること、政府の大型経済対策等もバーツ買いの追い風になった。ただし足元出てきている各国の経済指標は極めて厳しく、経済活動が再開されたとしてもすぐに以前の水準に戻れるわけではないことを考えると、マーケットはやや楽観に傾きすぎているように感じられる。今後発表される主要国、アジア各国の経済指標には要注目。なお、今月タイでは18日に第1四半期GDP、20日にタイ中銀MPCが予定されている。


5.政治動向、その他
(1)タイ政府は4月15日の閣議にて、2021年度(2020年10月~2021年9月)予算案を再編成する計画を承認。各省庁に予算の見直しが命じられた。新型コロナウイルス感染拡大に対応する財源を確保できるよう、原則として投資支出を50%、経常支出を25%削減し、緊急時に備えて中央予算に組み込む。同年度予算は歳出3兆3,000億バーツ、歳入2兆7,770億バーツ、財政赤字5,230億バーツで承認されている。

(2)タイ政府は4月28日の閣議にて、非常事態宣言および夜間外出禁止令の期間を5月末まで延長することを決定した。プラユット首相は流行の第2波の発生を抑えるため、感染リスクや感染の拡大状況に応じて段階的に制限を緩和する方向で検討していると説明した。5月3日よりタイ全土を対象に一部サービス業の再開が承認され、条件付きではあるものの飲食店(イートイン)や理髪店などが営業を再開している。



(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。


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タイ国経済概況(2020年3月)


1.景気動向
(1)タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は2月17日、2019年第4四半期の経済成長率が前年同期比+1.6%、通年の経済成長率が前年比+2.4%であったと発表。米中貿易摩擦やバーツ高による輸出の不振、干ばつ、20年度予算案成立の遅れ等により、2019年の経済成長率は過去5年間で最低の伸びとなったと説明した。2020年の経済成長率については、2019年11月時点の予測である+2.7~3.7%から、+1.5~2.5%へと引き下げた。また、タイ商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)は3月3日、2020年の経済成長率予測について、2月時点の+2.0〜2.5%から+1.5〜2.0%へ下方修正を行った。同委員会は、政府が各種の企業支援を準備しているものの、新型コロナウイルス感染の影響は観光業に加え、企業のサプライチェーンにも及ぶとの見解を示した。

(2)タイ工業連盟(FTI)が2月20日に発表した1月の自動車生産台数は、前年同月比▲13.0%の15.6万台で、9ヵ月連続でマイナスとなった。内訳は国内向けが同▲9.5%の7.1万台、輸出向けが同▲15.7%の8.5万台。また、同月の国内販売台数は同▲8.2%の7.2万台、輸出台数は同▲20.0%の6.5万台だった。輸出台数のマイナスは7ヵ月連続。仕向地別では中東のみプラスを維持した。FTIは2020年通年の生産見通しについて、2019年比▲0.7%の200万台に据え置いた。

(3)FTIが2月20日に発表した1月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲4.0%の21.0万台だった。内訳は完成車(CBU)が同▲2.1%の16.3万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲10.0%の4.6万台。また、同月の国内販売台数は同▲2.4%の14.5万台だった。輸出台数は同▲0.7%の7.8万台で、10ヵ月ぶりに前年同月を割り込んだ。


2.投資動向
(1)タイ投資委員会(BOI)は2月6日、大型案件から草の根経済振興事業まで投資を誘致する、複数の投資促進策を承認した。中でも大型プロジェクト向け税務恩典は、2019年9月に承認された投資促進策「タイランド・プラス」を補足する内容のもの。基本恩典で5~8年の法人税免除恩典を得られる事業に対し、企業が2020年末までに5億バーツ以上、もしくは2021年末までに10億バーツ以上の投資を実行する場合、追加で5年間の法人税50%軽減を得られる。申請受付期限は2020年12月30日まで。

(2)バンコク日本人商工会議所(JCC)は2月4日、タイ国日系企業景気動向調査の結果を発表。2019年下半期(2019年7~12月)の景況感を示す業況判断指数(DI:業況の改善を見込む企業の割合から悪化とみる企業の割合を差し引いた値)の見通しは▲38と、洪水のあった2011年下半期以来の大幅なマイナスとなった。業種別では自動車産業を含む「輸送用機械」が▲78と最低値で、製造業(▲49)は非製造業(▲28)よりも景況感が低水準となった。また、2020年上半期のDI見通しは▲18と、2019年下半期よりも改善が見られるものの、調査の実施時期は2019年11月1日~12月3日であり新型コロナウイルス感染の影響は加味されていない。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2020年1月末時点の貸金残高は24兆9,228億バーツ(同+3.4%)増加。金融機関預金残高は2月末時点で未発表。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(2月の回顧)
2月のバーツ金利はコロナウィルス感染拡大を背景に金利低下が継続。月初、中国人民銀行が大量の流動性供給を行い市場の安定化を図ったことで、バーツ金利も中長期金利は小幅上昇。5日に開催されたタイ中銀金融政策委員会(MPC)では全会一致で利下げが決定され、政策金利は史上最低となる1%になった。利下げそのものは事前にある程度織り込みが進んでいたことから、すべての年限で金利低下となるもその幅は限定的。その後、シンガポール政府が新型コロナウイルス感染への警戒レベルをSARSの際と同水準となる上から2番目に引き上げることを発表したことで、リスク回避姿勢が強まりバーツ金利も一段と低下。新型コロナウイルスの新規感染者数が減少に転じたことを手掛かりに、バーツ金利は一旦反発したが、その翌日には中国で感染者数・死者数ともに急増したことで再びリスクセンチメントが悪化し、低下。17日に発表されたタイ2019年第4四半期経済成長率は予想を下回る1.6%増、通年でも2.4%増と5年ぶりの低成長となった。また今年の経済成長率見通しも大幅に下方修正されたことを受けてバーツ金利は一段と低下。なお、今年第1四半期の経済成長率は前期比マイナスとなる可能性があるが、第2四半期は持ち直してプラス成長に回帰する見込みとなり、テクニカルリセッションには陥らないとの見通しも示された。新型コロナウイルス感染が中国本土以外でも急増し、日米欧の主要先進国の株が軒並み大暴落となった。月末にかけては、米国内での感染拡大の可能性への懸念やそれを受けての米早期利下げ観測が台頭したもののバーツ金利は小幅反発。タイ国債10年物利回りは1.08%台、同5年物利回りは0.87%台と前月末対比それぞれ0.22%、0.26%と大幅低下となった。

(2)(3月の展望)
今月3日、米連邦準備制度理事会(FRB)が新型コロナウイルス感染によるリスクへの対応として、リーマンショック直後の2008年10月以来となる緊急利下げ(0.50%)を実施。今月は17~18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、25日にタイ中銀MPCが予定されている。FOMCに対しては追加利下げへの期待があるほか、タイ中銀MPCでの利下げも期待されている。引き続き、新型コロナウイルス感染の影響、各国の株価動向、各国政府・中銀の対応が注目される。

〈為替動向〉
(1)(2月の回顧)
2月のドルバーツ相場は新型コロナウィルス感染拡大を背景に上昇。月初ドルバーツは31.2あたりでオープンしたが、中国人民銀行が大量に流動性供給を行い、市場の安定化を図ったことから一旦調整し、一時30.9台に。5日に開催されたタイ中銀MPCでは全会一致で利下げが決定され、政策金利は史上最低となる1%になった。新型コロナウイルス感染の拡大、予算執行の遅れ、干ばつが多くの企業と雇用に悪影響を及ぼし、今年のタイ経済成長率が従来予想を下回る見通しとなったことが主な背景。利下げを受けてドルバーツは31.2台半ばまで上昇したが、新型コロナウイルス感染に効果のある新薬開発との一部報道でドルバーツは再び30.9台に押し戻された。その後、シンガポール政府が新型コロナウイルス感染への警戒レベルをSARSと同水準に引き上げると発表したことで、シンガポールドルにともないバーツも売られドルバーツは31.3台に急騰。17日に発表されたタイ2019年第4四半期経済成長率は予想を下回る1.6%増、通年では2.4%増と5年ぶりの低成長に。また今年の経済成長率見通しは1.5~2.5%と昨年11月時点の2.7~3.7%から大幅に引き下げられた。新型コロナウイルスの感染が中国本土以外でも拡大したことから、リスク回避の動きが強まりドルバーツは上昇。さらに日米欧と主要先進国の株が大暴落となったことで、リスク回避の動きが強まったことからドルバーツは31.9台まで上昇。しかし、その後は米国でも感染が広がる可能性が指摘されたことや、早期の米利下げ期待の台頭でドルバーツは押し戻され31.5台でクローズ。

(2)(3月の展望)
今月3日、米FRBが新型コロナウイルス感染によるリスクへの対応として、リーマンショック直後の2008年10月以来となる緊急利下げ(0.50%)を実施。今月は17~18日に米FOMC、25日にタイ中銀MPCが予定されている。FOMCに対しては追加利下げへの期待があるほか、タイ中銀MPCでの利下げも期待されている。引き続き、新型コロナウイルス感染の影響、各国の株価動向、各国政府・中銀の対応が注目される。


5.政治動向、その他
(1)2020年度(2019年10月~2020年9月)予算案がワチラロンコン国王の承認を得て、2月26日付で官報にて掲示、執行可能となった。2020年度の歳出は3兆2,000億バーツで、歳入が2兆7,310億バーツ、財政赤字は4,690億バーツ。同予算案は当初から国会での審議が遅れており、予算年度開始から大幅に遅れての成立となった。

(2)タイ憲法裁判所は2月21日、野党第二党の新未来党に解党を命じる判断を下した。また、タナトーン党首ら党幹部16名の政治活動を10年間禁止した。選挙管理委員会が、新未来党がタナトーン党首から結党時に1億9,100万バーツの融資を受けたのは違法であるとして、解党を申し立てていた。これに対してタイ憲法裁判所は、タナトーン党首から新未来党への資金提供は政党法に違反すると判断。同党は同日付で解党となった。3月8日、同党の後継となる前進党が結成され、下院議員55名が参加。2019年3月の総選挙にて新未来党が獲得した81議席を下回るものの、野党では第二党の議席数となっている。



(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。

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タイ国経済概況(2020年2月)


1.景気動向
(1)タイ中央銀行は1月31日に、2019年12月の経済報告書を発表。タイ経済は引き続き減速傾向にあるものの、やや改善がみられた。前年同月比マイナスの指数が引き続き目立つものの、マイナス幅は収縮した。民間消費指数は前年同月比+2.1%、耐久財が不振であったがサービス消費が拡大。輸出は同▲1.7%で、前月の同▲7.7%と比べると改善。この要因について同報告書は、中国等からのタイへの生産移管が寄与し、電化製品とハード・ディスク・ドライブの輸出が増加したとの見解を示している。2019年通年の輸出は前年比▲3.2%、輸入は同▲5.4%となった。

(2)タイ工業連盟(FTI)が1月22日に発表した2019年の自動車生産台数は、前年比▲7.1%の201.4万台だった。年間生産台数200万台超えは2年連続。内訳は国内向けが同▲4.7%の97.7万台、輸出向けが同▲9.2%の103.7万台。また、2019年の国内販売台数は同▲3.3%の100.8万台、輸出台数は同▲7.6%の105.4万台だった。FTIは2020年通年の生産台数に関して、2019年比▲0.7%の200万台(輸出向けと国内向けともに100万台)程度になるとの見通しを発表。国内販売台数については、2019年から2.4%増加、輸出台数については3.6%減少すると予測している。

(3)FTIが1月22日に発表した2019年の自動二輪車生産台数は、前年比▲1.7%の253.3万台だった。4年ぶりに前年割れしたものの、3年連続で250万台の大台を突破した。内訳は完成車(CBU)が同▲5.6%の194.8万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+13.5%の58.5万台。また、2019年の国内販売台数は同▲3.9%の171.9万台、輸出台数は同+7.1%の94.9万台で、輸出台数は2年連続でプラスを記録した。FTIは2020年通年の完成車(CBU)生産台数について、2019年比+7.8%の210万台になるとの見通しを発表している。


2.投資動向
(1)1月13日、ソムキット副首相が2019年の投資申請統計を発表した。新規申請額は7,561億バーツで、目標額の7,500億バーツは達成したが、大型投資のあった前年からは16.2%減少となった。申請件数は1,624件。投資エリア別では東部経済回廊(EEC)地区が申請件数506件、申請額4,449億バーツで全体の59%を占めた。産業別では電気・電子が805億バーツと最も多く、自動車・自動車部品が740億バーツ、石油化学が401億バーツでそれに続いた。また、タイ投資委員会(BOI)のドゥアンジャイ長官は、国別の海外直接投資額では中国が申請額2,620億バーツで最も多く、次いで日本が731億バーツ、香港が363億バーツだったと発表した。
(2)タイ政府は1月28日の閣議において、新たな投資促進策を承認した。タイで事業を行う企業を対象に、機械導入費用の2.5倍の法人税を控除する(ただし、すでに法人税免税恩典を受け取っている企業は対象外)ほか、対象146種の機械輸入について関税を免除する。また、タイ輸出入銀行は輸出製品を製造する企業の機械購入に対し、低利融資を提供する。一社あたりの融資上限は1億バーツ。財務省は、これにより1,100億バーツ規模の民間投資を後押しできると見込んでいる。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2019年12月末時点の金融機関預金残高は20兆4,501億バーツ(前年同月比+3.9%)、貸金残高は24兆9,051億バーツ(同+3.4%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(1月の回顧)
1月のバーツ金利はリスクオフですべての年限が低下。月初、中東情勢への懸念でリスクオフとなる中、ドル金利低下にともないバーツ金利も低下。イランが在イラク米軍基地を攻撃したことで一段と緊迫化し、タイ国債10年物利回りは1.35%台まで低下。その後、米、イランの双方がそれ以上の軍事行動は取らないとの見方から過度な懸念が後退しバーツ金利も反発。米中の第一段階合意で約1年半に及ぶ米中貿易戦争が休戦となったが、依然一部追加関税は維持され、第二弾階合意も今年の米大統領選以降とリスクオンにはなりきれず。しかしその後発表された米経済指標が堅調な結果となり、米金利が上昇したことを受けてバーツ金利も上昇し、タイ国債10年物利回りは1.49%台に。下旬には新型コロナウイルス感染拡大による世界経済への影響が懸念されリスクオフとなる中、バーツ金利も低下。さらに中国政府による海外への団体旅行禁止等の措置でタイ観光業への影響も懸念され、バーツ金利は一段と低下。タイ国債10年物利回りは1.31%台、同5年物利回りは1.13%台と前月末対比それぞれ0.17%、0.12%低下となった。

(2)(2月の展望)
今月5日に開催されたタイ中銀金融政策委員会(MPC)では全会一致で0.25%の利下げが決定された。これにより、政策金利は1%と過去最低となった。新型コロナウイルス、予算執行の遅れ、干ばつが多くの企業と雇用に悪影響を及ぼし、今年のタイの経済成長率が従来予想を下回る見通しとなったことが背景。追加緩和期待はすぐにはないと思われるが、コロナウイルスの動向、タイ及び世界経済の動向を注視。

〈為替動向〉
(1)(1月の回顧)
1月のドルバーツ相場は新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響が懸念されて急騰し、昨年7月以来となる31バーツ台を回復。年末年始にかけて損失確定の売りでドルバーツは29.7台まで下落したが、タイ中央銀行の介入が入ったとみられ年明け2日には急落前の30.1台まで回復。タイ中銀の外貨準備残高は前週から57.5億ドルと急増していた。タイ中銀のウィラタイ総裁がインタビューにて、バーツ高抑制策として今後数ヵ月で資本流出規制をさらに緩和する計画があることを述べたことで下値への警戒感が出たところに、イランによる在イラク米軍基地攻撃で中東情勢が緊迫化するとドルバーツも上昇し、30.3台を回復。中東情勢への懸念が後退するとともにドルバーツも小幅下落となったが、上述の下値警戒もあり下落幅は限定的であった。15日には米中が第1段階の貿易合意に署名となったが、ドルバーツの反応は極めて限定的。その後発表された米経済指標が良好な結果となり、ドル買い優勢となっていたところに大口のバーツ売りフローが出た模様で、一時ドルバーツは30.5台を回復。しかし売り一巡後は30.3台まで下落。下旬には新型コロナウイルス感染拡大による中国経済および世界経済への影響が懸念され、ドルバーツは急騰。特にタイは中国人観光客から人気が高く、年間1,100万人訪れることからタイ経済への景況が懸念され、アジア通貨の中でも群を抜いてバーツ安となった。結果、ドルバーツは一時31.2台後半まで上昇し、31.1台後半でクローズ。

(2)(2月の展望)
今月5日に開催されたタイ中銀MPCでは、全会一致で0.25%の利下げが決定された。これにより、政策金利は1%と過去最低となった。新型コロナウイルス、予算執行の遅れ、干ばつが多くの企業と雇用に悪影響を及ぼし、今年のタイの経済成長率が従来予想を下回る見通しとなったことが背景。イベント通過後は、引き続きコロナウイルスの動向をにらみながらの展開が予想される。


5.政治動向、その他
(1)タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)が人口統計に関するデータを発表。これによれば、タイの生産年齢人口(15~59歳)は現在の4,326万人(総人口比率65%)から、2040年には3,650万人(同56%)に減少する。また、60歳以上の人口1人に対する生産年齢人口は、現在の3.6人から2040年には1.8人となる。総人口は、2028年に6,720万人でピークとなり、それ以降は毎年0.2%ずつ減少、2040年に6,540万人まで減少する見込み。

(2)2019年にタイを訪れた外国人旅行者数は前年比+4.2%の3,980万人で、観光収入は同+3.1%の1.9兆バーツだった。国・地域別にみると中国からの旅行者が同+4.4%の1,099万人と全体の27.6%を占め最多。2位以下は、マレーシア(同+3.6%、417万人)、インド(同+24.9%、200万人)、韓国(同+5.1%、189万人)、ラオス(同+10.9%、185万人)、日本(同+9.1%、181万人)と続いた。観光・スポーツ省は1月28日の会合にて、2020年にタイを訪れる中国人旅行者は新型コロナウイルスの影響等で2019年比200万人減少するとの見込みから、その他の国からの観光客誘致を強化するとの方針を示した。



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タイ国経済概況(2020年1月)


1.景気動向
(1)タイ中央銀行が12月30日に発表した11月の経済報告書によれば、タイ経済は引き続き減速傾向にある。輸出額は相手国の景気低迷、停滞する電気・電子部品市場の回復の不透明感等の影響を受けて前年同月比▲7.7%。また、民間投資指数も商用車の購入、建材の販売、資本財の輸入等すべての指数がマイナスとなり、同▲6.1%だった。一方で、民間消費指数は同+2.4%、外国人旅行者数も同+5.9%とプラスを維持。到着ビザを無料化している中国、インドおよび台湾からの旅行者のほか、ロシア経済が回復したことで同国からの旅行者が増加した。

(2)タイ工業連盟(FTI)が12月18日に発表した11月の自動車生産台数は、前年同月比▲21.8%の15.4万台で、7ヵ月連続でマイナスとなった。内訳は国内向けが同▲19.1%の8.2万台、輸出向けが同▲24.7%の7.2万台。1~11月の累計生産台数は、前年同期比▲5.9%の188.0万台となり、FTIは、10月に下方修正した年間生産台数目標の200万台には到達する可能性が高いとしている。また、11月の国内販売台数は自動車ローンの引き締めが影響し、前年同月比▲16.2%の7.9万台にとどまった。輸出台数は同▲19.2%の7.5万台。1~11月の国内累計販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲1.1%の91.8万台、同▲6.1%の98.2万台となっている。

(3)FTIが12月18日に発表した11月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲16.7%の20.3万台で、3ヵ月ぶりにマイナスに転じた。内訳は完成車(CBU)が同▲9.4%の17.2万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲42.2%の3.1万台。1~11月の累計生産台数は、前年同期比▲10.9%の211.6万台。また、11月の国内販売台数は前年同月比▲7.0%の13.5万台だった。輸出台数は同+9.1%の9.4万台で、8ヵ月連続のプラス。


2.投資動向
(1)12月11日、中央賃金委員会が決定した最低賃金(日給)の引き上げを2020年1月1日から適用することが閣議で承認された。バンコクをはじめナコンパトム、ノンタブリ、パトゥムタニ、サムットプラカーン、サムットサコン、チョンブリ、プラチンブリ、プーケットの9都県で一日あたり6バーツ、それ以外の県では5バーツの引き上げとなった。最低賃金が最も高いのはチョンブリとプーケットの336バーツで、最も低いのはナラティワート、ヤラ―、パッタニの313バーツとなる。最低賃金の引き上げは2018年4月以来。

(2)タイ投資委員会(BOI)は12月18日、EEC(Eastern Economic Corridor/東部経済回廊)への投資恩典パッケージの拡充を決定した。EECエリアに該当する3県を事業地とし、基本恩典で5年以上の法人税免除が付与されている事業に関しては、ほぼすべての業種が追加恩典の対象になった。また、科学技術人材の開発事業への投資、EECi(EECイノベーション)、EECd(EECデジタルパーク)、EECa(東部航空都市)、EECmd(メディカルハブ)に拠点を設ける投資事業にも追加恩典が付与される。同パッケージの申請期限は2021年末までだが、EECi、EECd、EECa、EECmdへの投資事業に関しては申請期限を設けない。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2019年11月末時点の金融機関預金残高は20兆3,657億バーツ(前年同月比+4.5%)、貸金残高は24兆7,452億バーツ(同+3.9%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(12月の回顧)
12月のバーツ金利はすべての年限で低下。月初、米中通商交渉の早期合意期待の剥落等からリスクオフの動きとなりバーツ金利低下。中旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)は大方の予想通り政策金利は据え置きとなった反面、先行きの見通しが想定よりもハト派的であったが、バーツ金利への影響は限定的となった。その後トランプ米大統領が米中貿易合意を承認、それに伴い対中追加関税の発動が見送られたことでリスクオンとなったが、新未来党の大規模抗議集会開催でタイSET株価指数は下落、バーツ金利上昇となった。タイ中銀金融政策委員会(MPC)では政策金利据え置きとの見方がコンセンサスではあったが、予想外の利下げへの警戒感強くバーツ金利も上値重く推移。18日のタイ中銀MPCでは、全会一致で現状維持が決定された。下旬には中国政府が関税引き下げを表明したことでリスクオンとなる中、バーツ金利は低下。ウィラタイ・タイ中銀総裁が講演にて、来年の景気は回復が見込まれるものの経済成長のペースは満足できる水準ではなく、潜在成長率を下回っていることを指摘し、一段の金融緩和を排除しない考えを示したことや、中銀のインフレ目標が従来の2.5%プラスマイナス1.5%(1~4%)から1~3%に引き下げたこと等が背景。タイ国債10年物利回りは1.48%台、同5年物利回りは1.25%台と前月末対比それぞれ0.12%、0.14%低下となった。

(2)(1月の展望)
先月のバーツ金利は、米金利との相関性が低くリスクオン局面であっても金利上昇にはつながらなかった。あたかも、マーケットが中銀に対して利下げを促している感であった。来月までタイ中銀MPCの開催は予定されていないが、その間のタイおよび世界景気動向を確認する時間帯となるであろう。

〈為替動向〉
(1)(12月の回顧)
12月のドルバーツ相場は月末に向けて徐々に下値を切り下げ、年内最終営業日となる30日の引け近くに急落し30を割った。月初、ドルバーツは30.2台前半でオープン後、米中通商交渉の早期合意期待の剥落等からアジア通貨安となった中、ドルバーツも30.3台まで上昇。さらにタイ中銀副総裁が海外投資家にとってバーツは安全資産ではなくなりつつある等、バーツ高けん制発言もありドルバーツは一時30.3台後半まで上昇し月間高値をつけた。中旬に開催された米FOMCでは大方の予想通り政策金利は据え置かれたが、先行き見通しがハト派的であったことからドルバーツは30.1台後半まで下落。その後、トランプ米大統領が貿易合意を承認したことや、それに伴い追加関税発動が見送られたことでリスクオンとなり、タイ中銀MPCを控えての警戒もあり30.2台を回復して推移。そういった中、タイ新未来党の大規模抗議集会が開催されたが、ドルバーツへの影響は限定的であった。18日に開催されたタイ中銀MPCでは、全会一致で政策金利は据え置かれた。下旬には中国が850品目以上の関税引き下げを表明したことを受けてリスクオンとなり、アジア通貨買いとなる中バーツもじり高に。月末30日、タイ祝日で流動性が薄くなっていたところ、損失確定とみられるドル売りバーツ買いのフローが出たことで、ドルバーツは急落し30を割り込んだ。タイ市場休場となった31日も海外市場ではバーツ買いが継続し一時29.7台まで下落となった。

(2)(1月の展望)
先月末は流動性が薄いところに損失確定のバーツ買いフローが発生したことで、ドルバーツは急落し30割れとなった。年明け後ドルバーツは反転して上昇し急落前の水準で推移となっている。この一連の動きに対してタイ中銀からはバーツ高への警戒感が示されており、バーツ高抑制策を打つ可能性もあることから当局者の発言にはより一層の注意が必要。米中通商協議は進展が期待される一方で中東情勢の緊迫化もあり、外部情勢への注意も引き続き必要。


5.政治動向、その他
(1)12月12日、金融財政政策委員会は、2021~2024年度の中期財政計画として公的債務をGDP比50%以下に抑えることを決定した。プラユット首相が議長を務めた。同委員会は2018年4月に施行された財政責任法に基づき設置されたもの。財務省は2019年9月時点で公的債務のGDP比が41.42%であることを発表しており、この数年は40%台前半を維持。同省が健全な財政維持の枠組みの中で定めている同比率の60%、中期計画の50%の、いずれの比率も下回っていることを強調した。

(2)1月4日、ワチラロンコン国王が、国王の諮問機関である枢密院の議長にスラユット元首相を任命したことが官報で告示された。スラユット氏はプレム前枢密院議長が2019年5月に死去した後、議長代行を務めていた。同氏は故プレム氏の首相時代の側近で、プミポン前国王により枢密院顧問官に任命された経歴があるほか、2006年の軍事クーデター後は暫定政権の首相を務めた経歴を持つ。



(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。

投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。


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タイ国経済概況(2019年12月)


1.景気動向
(1)タイ中央銀行が11月29日に発表した10月の経済報告書によれば、タイ経済は減速が続いている。輸出額は前年同月比▲5.0%で12ヵ月連続のマイナス。また民間投資指数も機械や商用車販売、資本財の輸入額等、各指数がマイナスとなり同▲3.1%となった。一方、民間消費指数は同+1.3%、前月比+1.1%と共に上昇。外国人旅行者数は前年同月比+12.5%と引き続き大幅に伸びている。国家経済社会開発委員会(NESDC)は、11月18日に2019年のタイの経済成長率予測を+2.6%へと引き下げた。今年3度目の下方修正であり、年初は+3.5~4.5%の経済成長を見込んでいた。

(2)タイ工業連盟(FTI)が11月20日に発表した10月の自動車生産台数は、前年同月比▲22.5%の15.3万台で、6ヵ月連続のマイナスとなった。内訳は国内向けが同▲30.8%の6.9万台、輸出向けが同▲14.0%の8.4万台だった。FTIは生産台数が落ち込んだ理由について、米中貿易摩擦による影響が大きいと説明。1~10月の累計生産台数は、前年同期比▲4.2%の172.5万台となっている。また、10月の国内販売台数は前年同月比▲11.3%の7.7万台と、5ヵ月連続で減少。輸出台数は同▲8.3%の8.6万台。1~10月の累計販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比+0.7%の83.9万台、同▲4.8%の90.7万台となっている。

(3)FTIが11月20日に発表した10月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+8.9%の21.9万台で、2ヵ月連続でプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同▲3.6%の16.1万台だった一方、完全組み立て部品(CKD)が同+70.5%の5.8万台分と大きく伸びた。1~10月の累計生産台数は、前年同期比▲2.4%の208.0万台。また、10月の国内販売台数は前年同月比+2.3%の14.2万台だった。輸出台数は同+36.4%の8.4万台で、3ヵ月連続で2桁のプラス成長。FTIは同日、2019年通年の生産目標台数について210万台と発表。2018年の実績は206.3万台だった。


2.投資動向
(1)タイ投資委員会(BOI)は11月1日、2019年1~9月の投資申請件数が前年同期比+11.2%の1,165件で、金額は同▲11.2%の3,141億バーツであったと発表。このうち海外直接投資(外国資本10%以上の投資案件)は、申請件数が同+1.9%の689件で、金額は同+68.5%の2,034億バーツだった。国・地域別では日本が申請件数167件、金額592億バーツでともにトップ。次いで中国が139件、454億バーツ。スイスが15件、117億バーツでそれに続いた。

(2)タイ政府は11月6日の閣議で、EEC(Eastern Economic Corridor/東部経済回廊)の新たな都市計画を承認した。輸送システムや廃棄物管理システム、防災対策といったインフラ構築に加え、同エリアを都市・商業区、工業区、環境保全区、田園地帯とその他(軍用地・水源地)の5つに分類する計画を策定。社会経済の発展と同時に、森林・水資源の保全も目指す。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2019年10月末時点の金融機関預金残高は20兆2,918億バーツ(前年同月比+4.4%)、貸金残高は24兆5,926億バーツ(同+4.0%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(11月の回顧)
11月のバーツ金利は、中短期金利は低下の一方で長期金利は上昇。6日に開催されたタイ中銀金融政策委員会(MPC)で0.25%の利下げが決定されたことを受けて、短期金利を中心に金利低下。一方、長期金利は前日に海外で発表された米経済指標が堅調であり、米長期金利が上昇したことを受けてほぼ横ばいとなった。その後も米中通商協議に関する報道でリスクオンとオフを繰り返す中、長期金利は米金利動向に連動する形で上下したが、短期金利はジリジリと低下。そういった中、米中が追加関税の段階的撤廃で合意との報道が伝わりリスクオンとなったことで、バーツ長期金利は大きく上昇し、タイ10年物国債利回りは1.72台まで上昇。その後しばらくは具体的な手掛かりに乏しく、大きな値動きが見られなかったが、下旬にトランプ米大統領が香港人権・民主主義法案に署名したことで米中通商協議への懸念が高まり、リスクオフとなったことでバーツ金利も低下。タイ国債10年物利回りは1.61%台、同5年物利回りは1.39%台と前月末対比それぞれ0.05%上昇、0.03%低下となった。

(2)(12月の展望)
今月は10、11日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、15日にタイ中銀MPCが開催されるが、いずれも現状維持が足元のコンセンサスとなっている。前回の米FOMC後の会見で、パウエル議長は現状の金融政策は適切であり、経済見通しの著しい悪化が見られない限り利下げは不要との発言をしている。しかし、リスクは依然下方にあることから、米経済データが注目される。また、先行きの金融政策にも相応に影響を与えることから、米中通商協議の行方も引き続き注目される。

〈為替動向〉
(1)(11月の回顧)
11月のドルバーツ相場は小動き。月初ドルバーツは30.1台後半でオープン。月初に発表されたタイ10月消費者物価指数(CPI)の上昇率が0.11%と事前予想を下回り、また中銀のインフレターゲットから一段と遠のいたことでタイ中銀利下げへの期待が強まった。6日に開催されたタイ中銀MPCでは0.25%の利下げが決定された。また同時にバーツ高抑制策が発表されたこともあり、ドルバーツは一時30.4手前まで上昇したが、輸出勢の売り圧力は強く上値は限定的であった。その後、米中通商問題に関して第一段階の合意署名が12月にずれ込むとの報道がドルバーツの上値を押さえたが、翌日に追加関税を段階的に撤廃するとの報道が伝わると、ドルバーツも30.4台前半まで上昇し月間高値をつけた。その後も米中通商問題に関しての報道が錯綜し、楽観と悲観が日替わりとなりドルバーツは狭いレンジ内で上下していたが、米中通商交渉が暗礁に乗り上げているとの一部報道でマーケットセンチメントが悪化するとドルバーツは30.2台まで急落。18日にタイ第3四半期GDPが発表され、+2.4%と事前予想を下回ったがドルバーツへの影響は限定的。米中通商協議をめぐる不透明感が重しとなりドルバーツも徐々に下値を切り下げ、再び30.1台後半をつけたが、米中通商問題に関して楽観、悲観が繰り返され具体的な手掛かりがない中30.2台前半を回復。その後、トランプ米大統領が香港人権・民主主義法に署名したことで中国も報復を警告したが、ドルバーツはほぼ反応せず30.2台前半で膠着を継続してクローズ。

(2)(12月の展望)
今月は10、11日に米FOMC、18日にタイ中銀MPCの開催が予定されており注目される。いずれも現状維持がコンセンサス。前回の米FOMCでは一旦の利下げ停止が示唆されたが、リスクは依然下方にあることから引き続き米経済データを確認する時間帯。また、リスクの主要な要因である米中通商問題の行方が引き続き注目される。


5.政治動向、その他
(1)タイ政府は11月26日の閣議にて、総額1,440億バーツの景気刺激策を承認した。本政策は、草の根支援(インフラ整備、低利子融資等)、中小企業事業者支援(金融機関への債務元本の支払い猶予要請等)、コメ農家支援(補助金、生産支援等)、住宅購入支援(購入資金の一部払戻し)の4分野からなり、2019年8月20日に承認された3,160億バーツの景気刺激策の追加措置にあたる。タイ政府は本政策により、今年の目標である経済成長率+2.8%の達成を志向している。

(2)タイ内務省は11月1日、住宅購入支援に関する通達を発表。2019年11月2日から2020年12月24日までの間、300万バーツ以下の物件につき、移転登記手数料を0.01%とする等、タイ人の住宅購入を促進する。また、政府貯蓄銀行は11月25日、住宅購入や既存ローンの借り換えを支援するため、12月より初年度の金利が0.01%となる住宅ローンの供与を開始すると発表した。



(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。

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タイ国経済概況(2019年11月)


1.景気動向
(1)タイ中央銀行が10月31日に発表した9月の経済報告書によれば、タイ経済は引き続き減速傾向にある。輸出額は前年同月比▲1.5%で11ヵ月連続のマイナス。また民間投資指数も機械や商用車販売、資本財の輸入額低下等を受け同▲3.9%だった一方、民間消費指数は同+1.3%、外国人旅行者数は同+10.1%と大幅に伸びた。タイ財務省は10月28日、2019年の経済成長率を中銀が9月に発表した予測値と同じ2.8%に引き下げた。なお、財務省、中銀ともに2020年の経済成長率を3.3%と予測している。


(2)タイ工業連盟(FTI)が10月18日に発表した9月の自動車生産台数は、前年同月比▲7.5%の16.9万台で、5ヵ月連続のマイナスとなった。内訳は国内向けが同▲6.6%の7.8万台、輸出向けが同▲8.2%の9.1万台。1~9月の累計生産台数は、前年同期比▲2.0%の157.3万台だった。また、9月の国内販売台数は前年同月比▲14.1%の7.6万台と、4ヵ月連続で減少。輸出台数は同▲6.4%の9.8万台で、1~9月の累計輸出台数は、前年同期比▲4.4%の82.1万台となった。FTIは同日、2019年通年の目標生産台数を215万台から200万台に下方修正。内訳は国内向け、輸出向けともに100万台。2018年の実績は216.8万台だった。


(3)FTIが10月18日に発表した9月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+2.2%の20.6万台で、5ヵ月ぶりにプラスに転じた。内訳は完成車(CBU)が同+1.8%の16.9万台、完全組み立て部品(CKD)が同+3.7%の3.8万台分。1~9月の累計生産台数は、前年同期比▲3.6%の186.1万台だった。また、9月の国内販売台数は前年同月比▲3.9%の13.5万台。輸出台数は同+19.0%の7.4万台で、8ヵ月連続の増加。なお、2020年1月1日より導入されるバイクの新物品税では、税率の算出基準が排気量ベースから二酸化炭素の排出量に変更される予定。


2.投資動向
(1)10月24日、地場大手財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループが主導するコンソーシアムとタイ国鉄が、高速鉄道建設プロジェクトの契約を締結した。本プロジェクトは、EEC(Eastern Economic Corridor/東部経済回廊)の主要インフラ整備事業のひとつで、ウタパオ、スワンナプーム、ドンムアンの3空港を連結させる高速鉄道を敷設。PPP(Public Private Partnership/官民連携)事業であり、総延長は220キロメートル、総事業費は2,245億バーツを見込んでいる。また、本プロジェクトには複数の駅の周辺開発も含まれており、中でもマッカサン駅周辺では140ライ(22.4万平方メートル)の複合施設が開発される予定。

(2)10月27日、1992年工場法が改正され、2019年(仏歴2562年)工場法が発効した。改正法では操業認可証を申請する義務のある工場の規模が引き上げられる等、中小企業にとって事業環境が改善されたかたちとなる。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2019年9月末時点の金融機関預金残高は20兆1,140億バーツ(前年同月比+4.9%)、貸金残高は18兆8,036億バーツ(同+3.9%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(10月の回顧)
10月のバーツ金利は、米金利の動きにともない小幅低下後に上昇。月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げは相当織り込まれていたが、焦点はその利下げ幅および先行きとなっていた中、米経済指標および米中通商協議の動向が注目された。月初に発表された米経済指標が悪化したことで米金利が低下、それにともないバーツ金利も低下。その後、米中閣僚級通商協議への期待が高まり米金利が反転上昇するとバーツ金利もそれにともない上昇。米中閣僚級通商協議で第一段階合意となり、翌月にも署名となる可能性があることを好感して金利上昇。しばらくそのモメンタムが継続したが、月末に向けては米FOMCへの警戒感から金利低下となる局面も。米FOMCで連続利下げの停止が示唆されたものの、依然利下げ期待が残っていたことから小幅金利低下となった。タイ国債10年物利回りは1.56%台、同5年物利回りは1.42%台と、前月末対比それぞれ0.07%、0.04%上昇。

(2)(11月の展望)
先月の米FOMCでは、先行きの金融政策について連続利下げの停止が示唆された。米中通商協議に関して第一段階の合意が見込まれることや、英国の脱欧州連合(EU)離脱に関しても合意なき離脱の可能性が低下と、リスクが低下していることからの判断と考えられる。また、11月6日に開催されたタイ中銀金融政策委員会(MPC)では利下げが決定された。バーツ高抑制のために利下げを行ったが、従来から表明している高水準にある家計債務への懸念等から連続利下げは見込まれていない。引き続き、マーケットは米金融政策動向の先行きを探る展開となるであろう。そのため、米経済指標、米中通商問題の動向等に注目が集まる。

〈為替動向〉
(1)(10月の回顧)
10月のドルバーツ相場は、下落。月初発表されたタイ9月消費者物価指数は0.32%と前回に続いて大幅に低下し、タイ中銀のインフレターゲットのレンジ下限である1%から一段と遠のいたことを受けて、ドルバーツは上昇し30.6台後半と月間高値をつけた。その後、米中閣僚級通商協議にて「第一段階」の部分合意に達したとの報道で楽観的なムードとなるも、中国が合意文書への署名前に詳細を詰めるため再度の協議を望んでいるとの報道で慎重な見方が再台頭。また、米下院で「香港人権・民主主義法案」が可決。中国政府が報復を宣言。今月発表された米経済指標に軟調なものが多かったこともあり、ドルバーツは弱含みで推移。下旬に発表されたタイ9月貿易統計で輸出が予想に反して大きく落ち込んだが、貿易黒字は確保されたことがドルバーツの重石となった。月末の米FOMCでは大方の予想通り利下げが実施された。先行きについては連続利下げの停止が示唆された一方で、当面利上げもないとの考えが示されドルバーツは一段と下落し、30.1台後半でクローズ。

(2)(11月の展望)
11月6日に開催されたタイ中銀MPCでは今年2回目となる利下げが決定され、政策金利は1.25%と過去最低金利に並んだ。同時にタイ中銀と財務省がバーツ高対策を発表。これを受けてドルバーツは反転上昇した。また、先月は米FOMCにて連続利下げの停止が示唆された。しかし、引き続きマーケットは米金融政策動向を探る展開が継続するものと考えられ、米経済指標、米中通商問題が注目される。


5.政治動向、その他
(1)米通商代表部(USTR)は10月25日、タイの漁業や海運業等における労働者の権利保護が不適切であるとして、タイに認めている一般特恵関税制度(GSP)を2020年4月25日から一部停止すると発表。水産物や農産物、衣類、セラミック製品、貴金属、鉄、機械、電気・電子製品、車両等、573品目、13億米ドル相当が対象となる。タイ商務省貿易政策・戦略事務局(TPSO)は、GSPの一部停止によって2020年の輸出額が2,880万~3,280万米ドル、率にして0.01%減少すると予測している。

(2)デジタル経済社会省国家統計局が発表した、全国2万7,927世帯を対象にした調査の結果によれば、2019年1月~6月までの1世帯あたりの平均月収は2万6,371バーツ、支出は2万1,236バーツであった。なお、2017年通年の調査では月収が2万6,946バーツ、支出が2万1,437バーツであった。2019年の支出の主な割合は、飲食およびタバコが33.7%、家賃や家電購入費等の住宅関連が20.8%、旅費および車両関連費が17.4%、衣類および靴等の生活用品が6.1%となっている。



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