豊橋⇔名古屋

豊橋と名古屋の「駅」や「百貨店」の記録など。

クリスマス・エクスプレス撮影地「牧瀬里穂」編

2012年12月05日 | クリスマス・エクスプレス

「クリスマス・エクスプレス」シリーズ最大のヒット作となった、牧瀬里穂主演の2作目(1989年)。

この2作目の大ヒットにより、「クリスマス・エクスプレス」は以後シリーズ化として定着。
また、山下達郎のテーマ曲「クリスマス・イブ」も、発売(1983年)から6年目にしてオリコン・チャート1位に上昇。
以後、クリスマスの定番曲に。


冒頭のシーンは、桜通口の「タクシーおりば」。タクシーで駅へ駆けつけた設定のようです。


奥に見える松坂屋名駅店(2010年閉店)はクリスマスの装飾をしており、
このCMが実際にクリスマスシーズンに撮影された事が分かります。


現在。松坂屋は取り壊され、JRゲートタワー(2017年4月開業)を建設中。
タクシーの看板は変わらず。


入口の扉を開け、駅ビル内に入る牧瀬里穂。駅ビルは93年に取り壊された3代目。


現在の桜通口。扉のデザインは建て替え前と同じ。


旧駅ビルの待ち合わせスポットだった「大時計の下」を駆け抜ける牧瀬里穂。
桜通口から太閤通口方面へと向かう設定ですが、このシーンでは逆走しています。

撮影時刻は21時50分過ぎ。人がはけるのを待ち、夜遅くに撮影されたようです。


現在。駅ビルの建て替えにより大時計は無くなりましたが、
代わりに「金時計」が設置され新たな待ち合わせスポットとなっています。


続けて、中央コンコースを疾走するシーン。

後ろに新幹線のものと思われる券売機があるため、太閤通口方面の北側という事は推測できたのですが、
男性とぶつかりプレゼントを落とすシーンなど、「具体的にどの場所か?」という事が不明でした。


そこで、CMが撮影された当時(1989年)の時刻表を入手。
時刻表には主要駅の構内図が載っており、駅施設の変遷を知るという意味でも貴重な資料となっています。

この当時の構内図とCMの映像を、実際のコンコースと照らし合わせる事により撮影場所を特定。
現在の名古屋駅と比較し、具体的な撮影場所を紹介していきます。

ちなみに、CMが撮影された1989年には中央コンコース直下を通る地下鉄桜通線が開通。
それに伴い中央コンコースも全面リニューアルされ、CMはその新装されたばかりのコンコースで撮影されました。


中央コンコースを疾走するシーンは「駅レンタカー」前から始まります。黄緑色の部分は券売機。


現在の中央コンコース。駅レンタカーと券売機があった場所は、現在は窓口(JR全線きっぷ売り場)に。

中央コンコースは2005~09年にかけて耐震工事を実施。
柱が四角くなり天井も新装されましたが、床は89年当時のまま。


左奥のシャッターが閉じた場所が「駅レンタカー」。
撮影が夜遅かったためか、すでに営業を終えています。


現在、同じ位置から。
駅レンタカーがあった場所は、現在は「JR全線きっぷ売り場」の14~16番窓口。
太閤通口方面から数えて5・6本目の柱の間。 ※改札口前の2本は除く


男性とぶつかりプレゼントを落としてしまうシーン。後ろに見える券売機は9~11番。


現在は「JR全線きっぷ売り場」の7・8番窓口。
太閤通口方面から数えて2・3本目の柱の間。 ※改札口前の2本は除く


落下した帽子とプレゼントを拾い、再び走り出すシーン。


現在、同じ位置から。
太閤通口方面から数えて2本目の柱の前。 ※改札口前の2本は除く

これらの位置関係を照合する事は困難を極めたのですが、
何かヒントは無いかとコンコースを何度も歩きながら気が付いたのが「柱の間隔」。
中央コンコースの柱は一見均等に並んでいるように見えますが、実はその間隔は微妙に異なり、
その柱間の「床のブロック数」に差異が生じます。
各柱間の床には赤と白のブロックが並んでいるのですが、赤のブロックは全て5個並びであるため、
差異が生じるのは「白のブロック」。


決め手となったのはこのシーン。
カメラの動きが止まるため、床のブロックの数が確認できるのですが、
柱の中央から伸びる赤いラインから数えると、白のブロック数は柱の左に3・5個、右に2個。
これに該当する柱はコンコース東西に25本並ぶ柱の内、桜通口・太閤通口側にそれぞれ1本ずつのみであるため、
太閤通口側の柱で確定。
紛らわしかったのは、柱の横にあった配水管と思われる銀色のパイプと券売機に向かって伸びる黄色の点字ブロック。
パイプは1本北側の柱(きっぷ売り場内)に、点字ブロックは2本東側の柱間へと移動しています。

ちなみに、1964年に新幹線コンコースが完成するまでは、この柱が中央コンコースの西端。
つまり、旧太閤通口の出入り扉があった場所。
プレゼントが転がったのは駅を出た野外となります。


新幹線の改札口へと到着。息を切らしながら彼の姿を探す牧瀬里穂。


改札口へとやって来た彼。当時はまだ手動改札。


彼の姿を見つけて、満面の笑み。


とっさに柱の陰に隠れ、



帽子をかぶり直し、息をととのえ彼を待ち伏せする牧瀬里穂。

走った後の息が上がった感じと期待感を出すため、
CMの監督と実際にコンコースを走ってから撮影に入ったそうです。


先ほどの券売機前を疾走するシーンがコンコースの北側だったため、
このシーンも北改札口だと思われがちですが、実は反対側の「南改札口」。


右奥の柱には「新幹線南改札」と表記されているのが確認できます。


現場の「新幹線南改札」。左の柱が「牧瀬里穂が隠れた柱」のはずですが…


どうも改札口との位置関係が合いません。どういう事でしょうか?

実は、牧瀬里穂が隠れた柱はこのCMのために仕込まれた、実際には存在しない「セットの柱」。
2人の姿を正面から捉えるためにわざわざ仕込んだもので、
おそらく正面と横・2枚のパネルを合わせただけのものだと思われます。
質感も、実際の柱に比べてややマットな感じ。


牧瀬里穂が隠れた「セットの柱」が設置されたのは、実際の柱のやや右側。



現在、同じ位置から。


右の柱が「新幹線南改札」の表示があった柱。
改札はやや手前に移動し、奥の階段にはエスカレーターが設置されています。

クリスマス・エクスプレス撮影地「深津絵里」編

2012年11月26日 | クリスマス・エクスプレス

今でも毎年クリスマスが近づくと話題にのぼる、JR東海のCM「クリスマス・エクスプレス」。

1988年から1992年にかけて放送され「クリスマス=恋人と過ごす日」という風習を定着させた、CM史上最大のヒットシリーズ。
2000年には限定復活も果たしています。

シリーズを代表する第1・2作のロケ地は「名古屋駅」。
撮影が行われたホームやコンコースなどは当時とほとんど変わらず残っているので、
当時の映像と比べながら具体的な撮影ポイントを紹介して行きたいと思います。

まずは「ホームタウン・エクスプレス」の「クリスマス編」として制作された第1作。
これが予想外に大ヒットしたため、翌年からクリスマス単独の「クリスマス・エクスプレス」がスタート。


冒頭、新幹線から客が降りてくるシーンは「岐阜羽島駅」との事ですが、真相は不明。
同年に制作された「プレイバック・エクスプレス」が岐阜羽島駅で撮影されており、
これと混同されている可能性もあります。

もし名古屋駅だとしたら、ホームが左曲がりなので奥が東京方面。
そして車体が右側にあるので15番線か17番線という事になります。


新幹線から降りてくる客の中に彼の姿を探す深津絵里。

この時若干15歳。(設定では17歳)
「これから一晩男と共に過ごすような女」という事で、
派手なメイク&ちょっとワル風のスタイリングとなったそうです。
(カバンを持っていないのがやや不自然な感じもしますが…)


新幹線が発車するシーンは、名古屋駅16番線の大阪方面。
冒頭のシーンでは左曲がりだったホーム(新幹線)が、このシーンでは右曲がりとなっています。


現在の16番線。
安全柵が設置され足元がタイル張りになっていますが、柱や屋根は変わっていません。



彼の姿を見つけられず、いじける深津絵里。

Wikipediaなどネットの情報では「大部分は16番線で撮影された」とありますが、
16番線で撮影されたのは先ほどの発車シーンのみ。
ここからは全て「14番線」での撮影となります。奥が東京方面。


現在、同じ位置から。
深津絵里が立っていたのは、奥(東京方面)から数えて7本目の柱。



柱の陰からプレゼントで顔を隠した彼がムーンウォークで登場するシーンも、
同じく14番線での撮影。


現在、同じ位置から。


彼がムーンウォークで出てきたのは、一番南側(東京方面)のホーム階段を上がってすぐ、
乗車位置12号車と13号車の間の柱。


誰もいなくなったホームで、じゃれあう2人。


このCMの撮影が行われたのは、11月中旬。
新幹線の運行終了後の深夜24時頃から始まり、翌朝の5時頃までかかったそうです。

左上に時計が見えますが、このシーンは午前2時20分に撮影された事が分かります。
また、発車案内をよく見ると次の新幹線の発車時刻は7:02、7:14となっていますが、
当時の時刻表で確認したところ、これは翌朝のものを表示しているようです。


現在、同じ位置から。
場所は、先ほどのムーンウォークのシーンと同じ14番線の12~13号車間。


ホームの東側に並ぶ看板も当時と変わらず。