私の音楽 & オーディオ遍歴

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MP3で聴くチェット・ベイカー

2013年01月24日 | オーディオ
 チェット・ベイカーは前出ジェリー・マリガンと並ぶウエスト・コースト・ジャズの中心人物の一人です。
 外見はジェームズ・ディーンばりのイケメン、持ち味はソフト&メロウなトランペット&ヴォーカルで、ジャズ界では唯一無二の才能の持ち主でした。

 これもロシア製CD。
 2枚組でしたので、通勤時間にだけでは聴き終わるのに数週間かかりましたが、彼の演奏を堪能することができました。
 サイドマンとして参加しているアルバムでは主役の色が濃く出て彼の持ち味は薄れてしまいがちですが、オリジナル・アルバムでは面目躍如。
 中性的なヴォーカルが時代を超えて不思議な別世界へ誘い、私は「夜のしじま」という魅惑的な異次元ポケットにすっぽりはまり込んでしまうのでした。

 数あるアルバムの中で、私のお気に入りは「Baby Breeze」です。

 チェット・ベイカーを聞きかじりたい人はYouTubeをどうぞ;
Chet Baker Live (Belgium 1964) : Time After Time
Polka Dots And Moonbeams - CHET BAKER
Chet Baker / My Ideal
Chet Baker - Old Devil Moon (1958)
Chet Baker- When I Fall In Love
Chet Baker "Almost Blue" (complete video)

 チェット・ベイカーは1950年代には時代の寵児として華々しく活躍しましたが、1960年代以降は麻薬におぼれて破滅的な人生を送り、最期はホテル高層階の窓からの転落死で生涯を閉じました。
 彼の音楽・人生を想うたびに私は若かりし頃に読んだヘルマン・ヘッセの「知と愛」(ナルチスとゴルトムント)を思い出します。
 日本の教育システムは知的な「ナルチス」であり続ける事を良しとし、親もそれに準じたしつけをするのが普通ですね。
 でも、チェットは真逆の、愛に生きる「ゴルトムント」そのものなのです。
 麻薬におぼれても、変死で命を落とすことがあっても、最期は「まあまあの人生だったよ」と笑って逝ったのではないか、などと想像してしまう私でした。

~ヘルマン・ヘッセ「知と愛」のAmazonの解説文~
 本来官能の子でありながら精神の人になろうとして修道院に入った美少年ゴルトムントは、若く美しい師ナルチスの存在によって、自分は精神よりもむしろ芸術に奉仕すべき人間であることを教えられ、知を断念して愛に生きるべく、愛欲と放浪の生活にはいる――。二つの最も人間的な欲求である知と愛とが、反撥し合いながら互いに引かれ合う姿を描いた多彩な恋愛変奏曲。一九三○年作。


 興味のある方は御一読を。

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