中国人理解/異文化理解

「中国人とうまくつきあう実践テクニック」(総合法令出版)著者による公式ブログ

お菓子をお土産に持って行ってはいけない?

2011-04-02 | ■中国人の価値観と仕事観

お菓子をお土産に持って行ってはいけない?
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ケーススタディ「贈り物選びには要注意」
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◆「贈る物選びには注意」というテーマです。お土産として相応しくない品物です。前回は「時計は絶対に贈ってはいけない」という点を述べました。この6つの中に贈り物としてふさわしく品物があります。「贈り物」として相応しくないと思うものには×、問題ないと思うものには○をつけてください。

① 職人が手作りで仕上げた伝統工芸品の和傘  【×】
② 日本各地の有名お菓子を集めた詰め合わせセット
③ 設立25周年を記念して作ったインテリアとしても美しい木目調の置時計  【×】
④ 秋葉原でしか買えない数量限定のキャラクターデザインの可愛い扇子  【×】
⑤ 太陽パネルで電池交換の不要なハイテク目覚まし時計  【×】
⑥ 会社のエコキャンペーンで製作し、TVでも有名になった緑の帽子

◆今回は「お菓子の詰め合わせ」について解説します。


◆贈り物として「お菓子の詰め合わせ」は絶対に贈ってはいけない品物なのでしょうか?「私は毎回手土産にお菓子を買って行く」、「チョコレートや人形焼はけっこう人気がある」(特に『白い恋人達』)という方もいらっしゃるのではないでしゅか? そうです。実は「お菓子の詰め合わせ」を贈ってはいけないのではなく、お土産を渡すときの「渡し方」の問題です。日本人同士ならよく使う言葉ですが、「つまらないものですが、どうぞみなさんで召し上げってください」という言い方をします。実は品物が悪いのではなく、渡すときにどんな言葉を添えるかが問題です。

◆最初のポイントは「つまらないものですが・・・」という言葉です。日本人なら誰でも理解できることですが、「つまらないものですが」という言葉は、自分を謙らせて相手に対する尊敬の気持ちを表すときの言葉です。本当に「つまらないもの」と思っているのではなく、謙遜の気持ちを表現した言葉です。日本人特有の謙虚さや謙譲の美徳がその背景にあります。日本人なら誰でもあたりまえによく使う言葉ではないでしょうか?

◆しかし、中国人に対しては必要以上に謙った表現は不要です。「つまらないもの・・・」ではなく、むしろ「陳さんのために一番いいものを買ってきました。」と言って手渡すほうが正解です。中国人に「贈り物」をするときには、「あなたのために一番いいものを選んできました。」、「いっしょう一所懸命選んでわざわざ買って来ました。」、「これは一番おいしいお菓子の詰め合わせです。」と言ったほうがむしろ喜ばれるでしょう。

◆「贈り物は人間関係のバロメーター」というキーワードがあります。実は「つまらいもの」は贈ってはいけないのです。贈り物はふたりの関係を象徴するいい物(りっぱなもの、価値のあるもの、それなりに金額の高いもの)を贈るべきです。本来、「つまらないもの」は贈るべきではありません。「私とあなたの関係はこの程度・・・」と思わせてしまう可能性があります。この点は中国と日本との文化の違いです。

◆もちろん「お菓子の詰め合わせ」が悪いのではなく、心を込めて贈れば「お菓子の詰め合わせ」でも大丈夫ですが、「陳さんのためにとってもおいしいお菓子を選んできました」というぐらいの言い方はしたいですね。次に中国人にお土産を渡す機会があったら、ぜひ実践してみてください。受け取る側は今まで以上にあなたのお土産に感激するはずです。


◆もうひとつポイントがあります。お土産を手渡すときに、「みなさんで召し上がってください」という言い方です。実は、これは渡す相手に対して失礼な言葉です。「贈り物」とは基本的に個人が個人にプレゼントするものです。一対一が基本です。「皆さんで召し上がってください」という心遣いはわかりますが、「どうぞ陳さん受け取ってください」と言って渡すべきです。

◆「ありがとうございます。せっかくですから、みんなでいただきましょう」と言って受け取り、みんなで食べるかどうかを判断するのは陳さんです。最初から「みなさんでめしあがってください」ということは、陳さんの面子をつぶすことにもなりかねないので注意が必要です。



To be continued