中国人理解/異文化理解

「中国人とうまくつきあう実践テクニック」(総合法令出版)著者による公式ブログ

「没有問題」(問題ない)と言う中国人の3つのタイプ  シリーズ「3つの没有に要注意」<その2>

2014-03-31 | ■異文化理解

表題にある「3つの没有」とは、「没有問題」(問題ありません)、「没有関係」(気にしないで)、「没有弁法」(仕方ない)の3つです。こんな言葉をよく口にする中国人は要注意です。

「没有問題と口ぐせのように言う中国人・・・」、「口では問題ないと言うけど本当に大丈夫なのか心配・・・」、こんなふうに思っている方、けっこうたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

■「問題ない」という中国人は「問題あり」と心得ておくべき

個人的見解から入りますが、ご了承ください。結論から言いうと、「没有問題」(メイヨウウェンティ)と口癖のように言う中国人は、どこか必ずどこかに「問題あり」と考えていたほうがよさそうです。

中国ビジネススキルアップ研修でこのテーマを取り上げるとたいていの方は「やはりそうか・・・」という感想を漏らします。駐在経験のある方や中国ビジネスに深く関わっている方からは「そんなことはあたりまえ・・・」といった感想を聞くこともあります。

「没有問題」(メイヨウウェンティ)を連発する中国人は「有問題」(ヨウウェンティ)、つまり「問題あり」と心得ておいたほうがよさそうです。「没有問題」を連発する中国人は、「本当に大丈夫?」とちょっと疑ってかかったほうがよさそうです。決して中国人の悪口を言うつもりはありませんが、結局は自分に降りかかってくる「火の粉」です。自己防衛のためにも「没有問題」には注意が必要です。

■「問題ない」はどのレベル?

「本当に問題はないのか?」

「本人が気づいていないだけなのではないか?」

「本当に問題を見つけ出そうとしているか?」

彼らの「没有問題」をそのまま受け入れないほうがよさそうです。

同じ「没有問題」でもいろいろなれベルがあります。たとえば、Aタイプ。本当に問題ないと思っているケースです。最初から意図的に問題を隠そうとしているわけではないのです。「基準の感覚差」であり、当事者の認識の違いです。本人が気づいていないというケースもあります。実際に本当に何も問題が起きないケースもあります。

たとえば、Bタイプ。もし、最初から意図的に隠そうとしているのでれば、そのような中国人とはビジネスはできません。つまり、要注意人物・・・。最初から遠ざけたほうが良いタイプです。

そして、Cタイプ。仮に問題があっても「まだまだ大丈夫」、「それほど深刻な問題ではない」と考えるケースもあります。詰めの甘さ、認識の低さが気になるところですが、本人には悪気はないのでしょう。何とか自分自身で解決していこうという努力するタイプです。

やっかいなのは、「没有問題」という中国人が、日本人の目からはAタイプか、Bタイプか、Cタイプか、見分け難いことです。皆さんがビジネスでやりとりしている相手が、頑張って努力しているCタイプかもしれないし、実は最初から問題を隠そうとしているBタイプかもしれないのです。

■ホウ・レン・ソウがない中国人

さらに彼らは「報告」「連絡」「相談」(ホウ・レン・ソウ)という習慣がありません。情報をチームで共有したり、自発的にホウ・レン・ソウを行うということが少ないのです。「連絡は結果だけでいい・・・」、「相談は必要に応じてすればいい・・・」、「報告は事後報告でいい・・・」と考える傾向があります。つまり、仮に問題があったにしても、それがこちらに伝わってきません。日本人同士であれば「あたりまえ」であることが期待できないのです。

■意図的に問題を隠そうとおもっていたわけではない

結果的に「問題ない」と言っていたはずの中国人から、ある日突然「問題」を打ち明けられて、「こんなはずじゃなかった・・・」ということになります。「問題あるのならもっと早く言って欲しかった・・・」と思っても後の祭りです。場合によってはそれを「騙された」「裏切られた」と感じてしまうこともあるでしょう。

しかし、彼らは決して意図的に問題を隠そうとしているわけでも、最初から日本人を騙そうと思っているわけでもないのです。繰り返しになりますが、「連絡は結果だけ」「相談は必要に応じて」「報告は事後報告でいい」と考えるのです。

つまり、「問題ない」と言う中国人に対しては「本当に問題はないか」、「もし、問題が起こるとすればどんな問題が考えられるのか」、少しだけ先回りして日本側から働きかけることが必要です。残念ながら待っているだけではこちらが要求する答えは期待できないことが多いことも事実です。

「問題ない」という中国人は「問題あり」と考えておいたほうが無難。長年中国ビジネスに携わってきて自分自身を戒めるためにも自分にそう言い聞かせています。

To be continued


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基準の感覚差  シリーズ「3つの没有に要注意」<その1>

2014-03-23 | ■異文化理解

■何度も何度も聞かされる「没有問題」(メイヨウウェンティ)

「没有問題」(メイヨウウェンティ)と口癖のように言う中国人がいます。中国ビジネスに携わっている方なら相手の中国人から頻繁に耳にする言葉です。これは「没有問題」とは「問題ありません」という意味ですが、私の経験から「没有問題」という中国人は必ず何か「問題ある」と考えて接していったほうがよさそうです。

そうお勧めするのはなぜか? 彼は決して嘘をついているわけでも、問題を隠そうと思っているわけでもないのです。我々が注意しなければならないポイントは「基準の感覚差」です。つまり、「これは問題だ」と感じる境界線が日本人と中国人とではだいぶ違うようです。「問題だ」と認識するときの基準が日本人と中国人とではだいぶ違うのです。

■基準の感覚差をウォーターサーバーに例えると・・・

例えば、ここでウォーターサーバーをイメージしてください。満々と水が満たされている状況を100とします。水の補充はまだまだ必要のない「問題ない」という状況です

水を使っていくとメモリが80のところまで下がります。しかし、まだまだ水はたくさんあるので補充は必要ありません。メモリが50のところまでいくと「そろそろ水を補充したほうがいいかな」と思い始めます。20まで下がると「すぐに補充しなければ」と思います。

補充を忘れてメモリが10を下回ってしまうと「たいへんだ。すぐに補充しなければ・・・」と慌てて補充用の水を注ぎ込みます。つまり、この「たいへんだ・・・」と感じるポイントが20のところなのか、10のところなのか、これが「基準の感覚差」です。

■日本人は60のところで「これは問題だ」と認識する

60のところまで水が減ると補充の検討を始めるのが日本企業です。問題を先取りして(事前予測)、早めに手を打ちます。一方、中国企業は「まだ大丈夫。あと60も残っている」と考えます。メモリが50になっても、40を下回っても、「まだ大丈夫だろう」と考えます。問題の「深刻さ」に対する感覚が違いのです。これが「基準の感覚差」です。

メモリが10を下回ると日本企業は「この問題はたいへん深刻な状況」と考えますが、中には「まだ大丈夫、大丈夫」と考える中国人もいるわけです。

この「問題ない」という感覚は、本当に「問題ない、大丈夫だ」と思っているのか・・・、「問題点は認識しているけど、何とか自分で対応できる・・・」と思っているのか・・・、「本当は大丈夫じゃない」ということを隠そうとしているのか・・・、この点はなかなか判断できません。

最初のふたつについては、中国人も決して相手をごまかそうとか、日本企業を欺こうか、担当者を騙そうと思っているわけではないのです。それが「基準の感覚差」なのです。

「問題ない」という中国人は繰り返し再チェックすべし。さらに、「仮説力チェック」を行うと相手の仕事に対する姿勢や仕事の処理能力、その人の誠実さなどが見えてきます。「信頼できる中国人と危ない中国人の見分け方」のポイントは「仮説力チェック」です。次回は「3つの没有」をもう少し掘り下げて、「仮説力チェック」についても紹介していきます。

To be continued


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