中国人理解/異文化理解

「中国人とうまくつきあう実践テクニック」(総合法令出版)著者による公式ブログ

空港で買って機内で読みました(アマゾン書評より)

2013-08-08 | ◆書評

「主張の仕方」、「反論の仕方」など、交渉のテクニックが極めて実践的だ。
中国人の交渉手法についてもあまりにもリアルな取り上げ方なので、
「この著者は中国人が嫌い(?)」なのではないかと思った。
しかし、読み進めていくと、そうではなく・・・、
いかに中国人とうまくつきかっていくかということにエネルギーを注いでいる
著者の情熱が伝わってくる。

同時に、この交渉術は「中国人」を対象とするだけでなく、
グローバルビジネス全般で広く応用できると思った。
著者は「中国人との面子」という本も出している。
この本と合わせて読んでみることをお勧めする。
テクニックだけに頼るのではなく、「交渉術」の前に、
まずは、「異文化理解」を深めることのが大切であることを思い知らされた。

交渉の実践的なテクニックと同時に・・・
中国人の「価値観」や「仕事観」などの背景理解、
つまり、「異文化理解」に目を向けている。
「中国人の面子」と2冊まとめていっしょに読んでみることを、ぜひお勧めしたい。

(アマゾン書評より/By 台湾通信)


実は「譲歩」のカードが持つ意外な有効性・・・

2013-08-06 | ■中国人との実践交渉術

実は「譲歩」のカードが持つ意外な有効性・・・

前回のコラムでは、「交渉を有利に運ぶためには『譲れるポイント』が重要なカードになる」というところまで書きました。「譲れるポイント」とは、「交渉では『妥協』、『調整』、『譲ること』が重要である」と言いたいわけではありません。「協調の姿勢が重要」ということを言いたいわけでもありません。

論点を明確にする意味でも、まずは「絶対譲れないポイント」を確認しておくべきです。つまり、「絶対に譲れないポイント」の対極にある「譲ってもよいポイント」を洗い出しておきます。そして、この「譲れるポイント」を交渉カードとしてカードを切るタイミングを考えて有効に使うということです。

交渉に臨む前に、まず「絶対に譲れないポイント」を洗い出します。同時に「譲れるポイント」を考えてみるのです。「譲れるポイント」とは、譲っても大勢にはまったく支障のないポイント、むしろ譲ってしまったほうがよいポイント、気づかずに寝かせてしるポイントがないかどうか、徹底的に洗い出します。

重要なのはこの「譲れるポイント」の使い方です。「譲れるポイント」を安売りして最初からどんどんカードを切ることは不可です。むしろ、相手に譲って欲しいポイントを要求して、その交換条件として日本側の譲れるポイントを提示する。または、譲ってしまってもよいポイントをまず絶対に譲れないポイントのように提示して、そのポイントを譲歩する代わりに相手に対して別の要求を突きつける。例えばこのようにさまざまな使い方ができます。「譲れるポイント」を「見せ札」や「捨て札」として使うこと。「譲れるポイント」を「切り札」のように見せかけて使うこと。これが「譲れるポイント」の効果的な使い方です。「譲れるポイント」を先に徹底的に洗い出しておきましょうという理由です。

 

持論ですが、交渉はひとつでも「譲れるポイント」を準備しておいたほうが有利です。「譲れるポイント」をたくさん準備しておくことはビジネス折衝や交渉を有利に進める「鍵」になります。日本企業がビジネス折衝や交渉に臨む際にまずアドバイスするのは、交渉に臨む前に「譲れること」(譲ってしまってもいいこと)を徹底的に洗い出してみることです。考え得るすべての「譲歩のカード」を準備しておきます。

日本側にとって譲歩してしまっても損にならないものは何か、相手が期待している譲歩は何か、どのタイミングで譲歩のカードを切るべきか、それに見合う反対給付が受けられるかどうか、あらゆる角度から譲れるポイントを徹底的に探し出します。

実は、「譲歩のカード」はどんなつまらないものでもよいのです。譲ってしまっても大勢には何の影響もないこと、むしろ譲ってしまったほうが好都合なこと、中国側が「譲ってほしい」と考えていることなど、そして、これらを交渉カードとして有効に活用します。つまり、「譲歩のカード」がどれだけ準備できるかが、交渉を有利に進めるための重要な「交渉カード」となります。

ただし、「譲れるポイント」を必要以上に安売りすることは厳禁です。 そしてこの「交渉カード」をどのタイミングで出していくかが大切なのです。効果的なタイミングで、相手からの譲歩を引き出すための交換条件としてうまく利用していくのです。

 できるだけもめないように、と担当者が気を配って交渉を進めるケースでは、この「交渉カード」の安売りが目立ちます。「交渉カード」は然るべきタイミングで最も有効に出していくべきです。「交渉カード」の安売りは禁物であり、ぎりぎりまで粘って、相手の出方を見ながら、「交渉カード」の切り方を考えるべきです。

 もちろん、譲歩することや妥協することが悪いと言っているわけではありません。必要以上に交渉を長引かせたり、焦らしたり、時間稼ぎをしたり、わざとゴネて相手との関係に波風を立てることが目的ではありません。「譲歩」という切り札を交渉のカードのひとつとして最大限有効に活用すべきだということが言いたいわけです。

そのためには、何を譲ればよいか、どのタイミングで譲るべきか、などをしっかり考えたうえで交渉に臨むべきなのです。まずは担当者がこれらの点を明確に意識してください。大切なカードを有効に使うためには相手側に何を主張(要求)するべきか、事前の作戦会議で十分に検討してみてください。

 


交渉を有利に進めるポイントは「交渉カード」の準備

2013-08-02 | ■中国人との実践交渉術

交渉を有利に進めるポイントは「交渉カード」の準備

「まとめるための交渉」に意識が向くのが日本人。一方、「結果を勝ち取るための交渉」を目標にして粘り強く、したたかに交渉を進めるのが中国人。前回はそんな点を取り上げました。

しかし、「落としどころ」は必ずあります。「今回はまとまらないか、交渉決裂か」と考えると、ぎりぎりまで粘ったあとで、必ず妥協点を提示してくるのが中国人です。最後の最後で「落としどころ」へ結果を導いて決着させるのです。つまり、最終的には「落としどころ」を準備していながらも、それまでは自分たちにとって有利な結果を勝ち取るために、徹底的に粘るのが中国流なのです。「早くまとめること」がよい交渉というわけではないのです。

日本人の交渉の進め方は、果たして譲りすぎてはいないでしょうか?必要以上に譲歩してしまっていないでしょうか。交渉の現場に立ち会っていると、つくづくそう感じることがあります。もっと有利な結果を導き出す方法はないか、主張すべきポイントはしっかり主張しているか、他にも主張すべきポイントはないか、最終的に交渉を終わらせる前にもう一度考えてみてはどうでしょうか。

つまり、早くまとめることがよい交渉なのではなく、最後の最後まで粘り、最終的に自分たちとってより多くの有利な結果を勝ち取ることが交渉なのです。この点が中国的交渉と日本的交渉の大きな違いであると思います。


「譲歩のカード」をできるだけ見つけ出す

「譲れるポイント」は交渉の重要なカードになります。これは持論ですが、いかにたくさんの「譲れるポイント」を準備しておくかがビジネス折衝や交渉を有利に進める「鍵」になります。日本企業がビジネス折衝や交渉に臨む際にまずアドバイスするのは、交渉に臨む前に「譲れること」(譲ってしまってもいいこと)を徹底的に洗い出してみることです。考え得るすべての「譲歩のカード」を準備しておきます。

実は、「譲歩のカード」はどんなつまらないものでもよいのです。譲ってしまっても大勢には何の影響もないこと、むしろ譲ってしまったほうが好都合なこと、中国側が「譲ってほしい」と考えていることなど、あらゆる角度から譲れるポイントを徹底的に探し出します。そして、これらを交渉カードとして有効に活用します。つまり、「譲歩のカード」がどれだけ準備できるかが、交渉を有利に進めるための重要な「交渉カード」となります。