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「アベノミクスが韓国を打ち破る」は本当なのか? 円安・ウォン高でも日本が浮かれていられない理由

2013-02-05 12:37:25 | コラム

アベノミクスで顕著な円安・ウォン高に
為替変動は韓国に打撃を与えるのか?

 アベノミクスによる金融緩和策の積極的な促進の効果もあり、足もとの為替市場で円安傾向が進んでいる。今まで円高傾向に悩まされてきたわが国の輸出企業にとって、円安の進展は大きなメリットだ。

 それに伴い、主力輸出企業の収益状況の改善期待を背景に、株価も堅調な展開を続けている。昨年の12月以降、わが国の株式市場は世界最強の様相を呈している。

 ドル・円の為替レートにどうしても目が行きがちなのだが、もう1つ忘れてはならないことがある。それは、韓国のウォンが対円で強含みになっていることだ。ウォンの為替レートを見ると、まだリーマンショック以前の水準には戻していないものの、直近のウォンの安値であった2011年の秋口と比べると、15%以上ウォン高・円安になっている。 

 こうしたウォンの強含みにより、韓国の自動車や造船、鉄鋼などの産業分野で収益力の低下が顕著になっている。通貨安を背景に快進撃を続けてきた韓国企業は、重要な転換点を迎えつつあると言える。

 最近、韓国のメディアなどでは、「円安・ウォン高を招いているアベノミクスが、韓国企業に打撃を与える」との批判記事が出ている。

 収益力が低下する企業の中で、強力な競争力を持つサムスンは、今や米アップルに代わって世界を代表するIT企業にのし上がっている。同社は、依然として強力な競争力を背景に圧倒的な収益力を誇っており、わが国の電機メーカーとの差はさらに拡大している。

 日韓の貿易関係を見ると、わが国の貿易黒字と韓国の貿易赤字の体制が続いている。韓国は、わが国の機械などの資本財・主要部品の主な輸出先である。そうした状況を考えると、ウォン高による韓国経済の後退を単純に喜ぶわけにはいかない。わが国の産業界にとっても、マイナスの影響が顕在化することが懸念されるからだ。

国際市場を睨んでウォン安政策を持続
露呈し始めた韓国ビジネスモデルの限界

 韓国の人口は約5000万人で、国内市場は主要先進国と比較して大きくない。そのため、韓国企業が大規模な市場を求めると、どうしても海外へと販路を拡大することになる。それが、韓国企業の積極的な海外市場志向の大本にある。

 そうした積極的な海外展開を狙う韓国企業の姿勢を後押しするためにも、韓国政府はウォン安政策を採ることが多かった。特に、1990年代後半のアジア通貨危機以降、市場介入を行って、ウォン安傾向を安定化してきたと言われている。

 しかし最近、そのウォン安政策に限界が見え始めている。その背景には、リーマンショック以降の世界的な景気低迷によって、主要国がいずれも金融緩和策をとっているため、それぞれの通貨が弱含みの展開になっていることがある。主要通貨が弱含むため、どうしてもウォンが相対的に強くなる可能性が高まる。

 それに加えて、ウォンの価値を政策的に減価させると、輸入物価の上昇を招くことになる。輸入物価が上昇すると、その弊害は一般庶民に及ぶことになる。物価上昇が、庶民の暮らしを苦しくする。そうなると、政府は安易にウォン安政策を継続することが難しくなる。

 その結果、韓国政府のウォン安政策は限界に近づいているのである。政策的にウォン安を維持できないと、今まで通貨安の恩恵で競争力を高めてきた企業には、ウォン高という逆風が吹くことになる。

 たとえば、わが国の自動車メーカーは、韓国とFTA(自由貿易協定)を締結している米国でつくった車を、ウォン高に乗じて米国から韓国に輸出することもできる。それは、韓国の自動車メーカーにとっては大きな脅威になるはずだ。そうした傾向は、鉄鋼や造船などの分野でも見られる。わが国企業にとって、追い風であることは間違いない。

強い企業はより強くなり
弱い企業はただ消えゆくのみ

 しかし、韓国企業の全てがウォン高によって元気がなくなっているわけではない。中には、ウォン高にもかかわらず圧倒的な実力を示す企業もある。その代表格がサムスンだ。

 サムスンは、スマートフォンやタブレットPCなど、IT関連の売れ筋商品で圧倒的なシェアを握り、今やアップルに代わって世界を代表するIT企業の地位を確固たるものにしている。カリスマ経営者のスティーブ・ジョブズ亡き後、アップルは消費者を驚かすような新製品の開発をできず、株価が高値からすでに30%以上下落しているのを尻目に、サムスンは拡大を続けている。

 現在のサムスンを支えるのは、高い技術力と常にイノベーションを求める経営力だろう。サムスン・グループの総統である李健煕氏の強烈なリーダーシップが、拡大を続けるサムスンの原動力になっている。

 同氏の飽くなき成長主義が健在な間、おそらく同グループの成長は止まらないだろう。たとえウォン高の逆風が吹いても、克服することはできるはずだ。

 一方、今までウォン安を最大の成長要因としてきた企業は、これから厳しい状況になる。すでに、自動車や鉄鋼などの企業の収益力低下は顕著になっている。わが国の鉄鉱メーカーにヒアリングすると、「ウォン高による韓国ポスコの競争力が低下していることもあり、日本のメーカーに対する引き合いが増えつつある」という。

 ウォン安という追い風が吹いているときは、いずれの企業も競争力が高まり収益が拡大するが、一旦追い風が止むと、実力のある企業とそうでない企業の業績は明確に違ってくる。為替の動きの影響があっても、強い企業はさらに強くなり、実力のない企業が消えてゆくことになる。

韓国経済減速の影響は日本に跳ね返る
巷説のような「単純な図式」にはならず

 今後もウォン高傾向が続くと、わが国企業にプラスに作用する部分は大きい。しかし韓国政府が、このままウォン高傾向を放置するかは疑問だ。韓国経済にとって輸出が生命線である以上、どこかで市場介入などによってウォン高に歯止めをかけるはずだ。

 それに、アベノミクスによってどこまでも円安傾向が続く、という見方もできまい。とりあえず米国政府は、95円程度までの円安を容認するだろうが、そこからさらに青天井で円安になることは考えにくい。

 わが国の輸出企業は、「円安だ!」と言って浮かれている場合ではない。むしろ円高が止まったことで、相応の時間的余裕が与えられたと認識すべきだ。つまり、円高が進まない間に、企業自身が本当の意味での実力を身に付けることが必要になる。今は、そのために時間を借りていると考えた方が良い。

 韓国企業のケースでも、本来の実力がない企業は、ウォン高の影響で収益力の低下が顕著になる一方、サムスンのような実力企業は、ウォン高になっても特段の問題が出てくるわけではない。わが国企業も、サムスンのように強い企業を目指さなければならない。それができないと、いつか外部環境の変化に耐えられず、淘汰を受けることになるからだ。

 もう1つ頭に入れて置くべきポイントは、韓国経済が大きく減速すると、マイナス効果がわが国経済にも波及することだ。日本にとって韓国は第3位、韓国にとって日本は第2位の貿易相手国であり、二国間の貿易総額は約8兆4400億円に上っている。

 しかも、日本の大幅貿易黒字と韓国の赤字という構図になっている。わが国からは多額の機械などの資本財や、IT関連の部品などの中間品が韓国に主に輸出されている。韓国経済が減速すると、わが国から韓国への輸出が減少する懸念もある。ということは、アベノミクスによって、わが国経済が回復し、韓国経済が大きく減速するという単純な図式にはならないだろう。

 「アベノミクスが韓国を打ち破る」は本当なのか? 円安・ウォン高でも日本が浮かれていられない理由 より

 



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