こたつむり本舗

りうまちゃーなナマケモノのブルーな戯言の綴れ書き

氷艶2017ー破沙羅ー 5/20 マチネ 感想その一

2017-06-04 16:49:25 | ハコの覚書
 時間が経って記憶が薄れても、なんかなんか…トンデモナイモノ観た!の衝撃が薄れない…とにかく今まで観たことのないもの、全く新しいエンターテイメントステージ、類似系はない!
 「氷艶2017ー破沙羅ー」はそんな舞台だった。

 物語は日本神話の瓊瓊杵尊の降臨とそれに伴う岩長姫・木花開耶姫の姉妹の輿入れの物語がベース。姉妹二人が妻となるはずが、瓊瓊杵尊は妹・木花開耶姫とだけ駆落ちし、一人残された姉の岩長姫は憎しみと嫉妬に狂い…あとは、「それがとうした!細けえことはいいんだよ!」ちゃぶ台ひっくり返して座布団が乱れ飛ぶ!善と悪との戦いに!
 あらすじがあるようで「それがとうした!細けえことはいいんだよ!」、物語が進むようで「それがとうした!細けえことはいいんだよ!」善役と悪役がいる、それだけ踏まえていれば、あとは「細けえことはいいんだよ!」
 歌舞伎役者だけは台詞を喋るがスケートも滑る、スケーターに至っては最も弱点になるだろう台詞もないけど、最も華になるジャンプもほぼない。その分、登場人物同士の距離感や主従関係、役の位取りはとても大事にしている感じ。台詞やストーリーではなく演者の存在感で舞台を進める作りで、役者・スケーターの存在感・華が全てという恐ろしい作りのステージだった。

 まず登場するのは物語の導入役の女神稲生の荒川静香、それもステージになる幕の上から宙乗りで空飛んで登場。そうか劇場じゃなくて体育館だから宙乗りも双方向で使えるのか、劇場の常識が揺さぶられた瞬間だった。
 荒川さんの女神役は「破沙羅」の外に広がる「氷艶」の世界を統べる神の役どころで、登場人物の力関係では最上位の役、善でも悪でもなく"力"な存在。だけどスケート好きなら彼女の演技は予想は付く範囲、いつもの通常運転の荒川静香で予想外の出来ではないのだが、プロの役者でもないのに最高位の神の位取りが出来るのってなかなか凄いことじゃないのかと物語が進むにつれ思った次第。
 荒川さんはもう一役一幕最後に登場する岩長姫の部下の蛇長姫を兼ねている。もうこれは舌なめずりしながら殺戮を楽しむ邪悪な姫wこれが女神稲生以上にはまり役wシームレスな高速スケーティングで縦横無尽にぶっ殺していく様はまさに毒蛇の化身。

 女神稲生の導きで語られる「破沙羅」の最初の登場人物は国津神の猿田彦(中村亀鶴)。堂々な押し出しに朗々とした声、瞬時でTHE歌舞伎な雰囲気がアリーナに広がる。善側のストーリーテラーな役割でこの人が黙っちゃうと善側には喋る人が居なくなってしまう重要な役どころ。まあ、レクレーションレベルでしかスケート経験のないとかであんまり滑らなくてスパイクシューズで登場することが多かったんだけど。
 私、しばらく歌舞伎はご無沙汰で亀鶴さんの演技を見るのも久しぶりなわけだが、若き日の並び侍な日々の亀鶴さんも思えばなかなかに目立つ存在ではあった。なにしろ無駄に熱い!横向く仕草だけでも力一杯!中の人は松岡修造内!と思うほどw、そうかと思うとリバーシブルで高橋一生的な霙時雨になったり、器用で上手いんだけど石原良純召還して気温・湿度・気圧の調整して欲しいなと思ったこともw
 久しぶりの亀鶴さんはほどよい松岡修造感で正しく正義の味方!男の中の漢!コイツが居る方が正義の善の方!途中ソレってどーよ?になっても「それがどうした!細けえことはいいんだよ!」ちゃぶ台座布団乱れ打ちで矯正してくるw話の流れで何故か弁慶にもなるけど「それがどうした!細けえことはいいんだよ!」な押し出しの強さが立派、弁慶の立ち往生の件もあり、荒事の立役ぽくて大変良かったです。
 ただ、岩長姫登場まで一人語りで場を持たせるのしんどそうでもあった。


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