著作権法

著作権法についてしっかり考えてみませんか。

著作権問題は経済問題ではない?

2006-08-04 02:23:46 | Weblog
 ■「権利者」側の声を聴いて、気持ちを察してみました

 「権利が与えられているのに、なんでこう易々と無視されるんだろうか?」というのが、著作権なり著作隣接権を持っている人の偽らざる気持ちでしょう。WinnyにしろYouTubeにしろ、それで市販のCDやTV番組をアップロードすることは違法だということは多くの人がわかっているはずなのに、なんでこうしたことが平然と行われているのだろう・・・と考えるのではないでしょうか。

 「コンテンツ」という言葉もそうです。創作する人たちは、コンテンツという言葉を嫌う人も少なくないようです。明らかにメディア側から見た表現ですし、創作物はあきらかにメディアに従属しているような印象を与える表現だと考えるのは無理もないような気がします。

 私的録音録画補償金も、金銭的な面より「気持ち」の問題が大きいような気がします。創作者側からすれば、自分たちが努力して作ったものをコピーする機械が売られて、メーカーは利益を得ているではないか、CDの売り上げに影響もあるのに、勝手にそうした機器が製造販売されているという気持ちでしょう。
 たかが総計年間40億円程度の話です。JASRACだけみてみても、年間1,100億円の収入があるわけですし、大手電機メーカーの年間の研究開発経費は数千億円というではありませんか。

 「権利処理」という表現も、権利者側の気持ちを害するものなのでしょうね。「処理」というと、「ゴミ処理」、「むだ毛処理」などということばもありますが、とにかく、「厄介なもの」で、「さっさと片付けたいもの」というイメージがあります。

 ネット上にコンテンツを出すことを拒む権利者も、その本質的な理由は「経済」ではなく、「感情」です。役務放送事業者は、「通信回線を利用するのにこのくらいの費用がかかるので、権利者にはこのくらいの額しか出せないのだ」という説明をかつてしたことがあるのだそうです。権利者からすれば、なんで自分たちの方が値引きを甘んじて受けなければいけないのか、と思うようです。
 また、額が非常に安くなると、「自分たちの芸はこんな価値しかないのか」という気持ちにもなるようです。

 保護期間の延長問題も、経済的にたちまち大きな負担がどこかにかかるというものではありません。

 創作をする者に「敬意」や「配慮」が欲しいということを、創作をする人たちが言っているのを耳にしたことがあります。「自分たちは大切に思われていない」という認識でいるのでしょう。だからこそ、著作権の問題は文化の問題だという言い方がされるのだと思います。

 ■著作権の問題は「経済問題」ではない?

 著作物は「経済財」としての意味は大きいのですが、権利者の行動は、経済学が想定している合理的なものではないと思います。「感情」がどんな行動を取るかの決定に与える影響は非常に大きいのではないかと思います。
 その意味で、私は著作権をめぐる様々な問題の多くは経済問題ではないと考えずにはいられないのです。

 学校等における著作権教育も、著作権制度のルールを教えるのではなく、著作者等に対する敬意の念を持つようにする教育であるべきではないでしょうか。人々がそうした気持ちを持てば、多くの著作権上の問題は解決の道が開けるのではないかと思います。  


1 コメント

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はじめまして (じゃむ)
2006-08-12 03:31:51
 Google検索の末、ここに辿りつきました。同じgooブログにて、ブログを書いている、じゃむと申します。はじめまして。



 僕のところでも、現在、著作権のことで、いろいろとありまして。その記事をトラックバックをいたします。



 それから、gooブログの利用規程、第10条、2項の、「会員は、当社に対して、自己が投稿した記事及びコメントに関する著作者人格権を一切行使してはならないものとします。」については、どうお感じになられますか。著作財産権についての規定は見あたらないので、ある種、意味のない規定のように思われますが。ちょっとよく分からない規定ですね。



 これからも、ちょくちょく寄らさせていただきます。よろしくお願いいたします。

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