著作権法

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TV番組の録画と送信のサービス

2006-08-07 01:50:52 | Weblog
 ■ 録画サービス訴訟「合法」判断

 新聞報道によると、TV番組を録音して送信するサービスを実施している会社が放送事業者から訴えられたようですが、裁判官は、ひとつの機器からは1箇所にしか送信できないのだから、「不特定」への送信ではないので、放送事業者の著作隣接権(=送信可能化権)を侵害していないと判断したようです。

 事実関係がはっきりしていませんが、この会社はどうも、SONY製の送信する機器を顧客が提供して、そのおもりをしていたようです。会社自身が機器を操作したのなら、会社が複製・送信したことになるので、権利侵害が問題となりますが、そもそも顧客がセットしておいて、会社はそれがうまくいくかどうか見守るだけなら、著作権法上の問題は生じないように思われます。

 しかし、今回の裁判所の判断は、新聞情報によればそのような判断ではなく、送信行為が「不特定への送信」ではないとすることによって、放送事業者の権利を侵害していないとするものでした。
 たしかに、1台の機器が送信するのはその顧客が指定する場所に限られます。しかし、その会社が送信主体であると考えますと、どんな顧客が来てもそのようなサービスを提供するわけですから、「不特定」ではないでしょうか。ひとつの機器が1箇所にしか送信しないとしても、着目すべきは、個々の機器ではなく、その業者が何をしているかでしょう。

 ■判断したのは・・・・

 新聞記事を見て、判断を下した裁判官は、著作物の流通を権利保護より大切にする価値観を持っている人だということに気がつきました。この「不特定」の解釈も、「公定解釈」とは異なる解釈ではないでしょうか。「公定解釈」を信じていた人が多いだけに、皆びっくりしているでしょうね。知財高裁では、どのような判断が下されるのか、注目されるところです。