著作権法

著作権法についてしっかり考えてみませんか。

ファイル交換

2006-06-21 23:43:15 | Weblog
 Winnyによる情報流出は、警察の捜査資料、自衛隊のの機密資料など、大きな問題となっていますが、そもそも情報流出の問題以前に、Winnyの利用者はほとんどが音楽や映画などの情報をやり取りしていることから著作権侵害の問題があるという指摘もなされています。
 確かに、著作権法は、インターネット上のどこかのサイトからダウンロードする行為は、それが違法サイトであったとしても違法にはなりませんが、アップロードする行為は、「送信可能化」という著作者等の権利の及ぶ行為であって、無断でこれを行うことはできないこととなっています。音楽にしろ映画にしろ、通常アップロードは認めていませんから、そうした行為は違法になります。
 Winnyを用いたファイル交換は、ダウンロードする限りにおいては著作権法上違法にはなりませんが、どうもWinnyでダウンロードした者はシステム上自動的にそのファイルをアップロードすることとなるようです。したがって、アップロードされていることを知らない人は「故意」がないので「著作権侵害の罪」には問われることはないかもしれませんが、差止請求などが提起されれば、裁判所はそれを認めて差し止め命令(具体的にはPCが使えなくなるかWinnyを削除する)を出すことになります。
 Winny自体はもちろん悪いものではなく、こうしたファイル交換の技術は利用の仕方如何では適法かつ便利なツールとなりうるものです。問題はそれを音楽や映画といったファイルの交換に利用する行為であります。たとえて言うなら、料理用の包丁は別に「邪悪」なものではなく、人を傷つけることにこれが用いられた場合には、そうした使い方をした者が悪いということと同様でしょうか。
 しかし、例えばケシの花は、鎮痛作用があるクスリとして利用できるものであり、そうした利用をする限りにおいては何の問題はありませんが、乱用の危険があり、その栽培や所持その他の行為は法律で厳しく制限を受けています。Winnyは料理用の包丁というよりも、けしの花にたとえられるべきもののように思います。多くの人が違法な使い方をしていますし、それを誘うような「魅力」があるのですから・・・
 「情報漏えいを防ぐにはWinnyを使わないこと」と官房長官は明確に述べましたが、「Winnyは悪くなく使い方が悪いのだ」という論調もあるようです。確かにおっしゃるとおりですが、違法行為を誘引する力が強いことも事実です。そして、おそらく膨大な被害が世界中の音楽産業等にでているのではないでしょうか。
 私は、はっきりと「使うなっ!」といって、何らかの形で規制の対象にしたほうが良いように思えます。