著作権法

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コピーワンス

2006-08-03 00:57:15 | Weblog
 ■「コピーワンス」緩和の方向へ

 情報通信審議会の中間答申が8月1日出されましたが、地上デジタル放送のコピー制限については、現在のコピーワンスを緩和するとの方向性が示されたようです。

 ■「コピーワンス」のどこが不都合なのか

 コピーワンスの不便さとしてしばしば紹介されるのは、「ムーブがなされている最中にしばしば機器に不都合が起こる」というものでした。しかし、それって「コピーワンス」という方式が悪いのではなく、機器の性能が悪いというべきではないでしょうか。そもそも「コピーワンス」は、機器のメーカーから提案され採用された方式だといいます。そのメーカーが性能の悪い機器を販売し消費者から不評を買っているわけですが、本来ならまずは、その機器の性能を向上させるのが筋というものでしょう。

 ■コピーワンス緩和で「儲かる人」、「損する人」

 コピーワンスを緩和して基本的にコピーは自由にする(しかしインターネットに出すことは禁止する)という措置をとることは、、メーカーが機器の性能向上のための開発経費を今後負担しなくてもよいし、消費者にとっては使い勝手がよくなるので商品力を高めるという効果を招来させるものです。メーカーにとってはこんなにいいことはありません。
 しかしながらコピーが自由になるということは、テレビ番組がいったん録画されるとデジタルの孫コピーなどが自由に作られるということを意味します。劇場用映画もテレビ放映されれば、DVDであればコピーが不可能なのにデジタルのコピーが可能となってしまいます。放送番組を制作する放送事業者や映画制作者にとっては不利になりますので、新聞などで報道されているように、こうした立場の者は強く反対することになるのでしょう。

 ■利害調整が必要では?

 コピーワンス緩和のように消費者にとって使い勝手がよくなる方向に持っていくのは、世の中の流れだと思います。しかし、それを行うことによって得する者と存する者が現れるのであれば、その間の利害の調整が必要になるのではないでしょうか。
 どんなDRMをつけるかは、番組を放送する放送事業者と、受像機を市場にだすメーカーの意見の一致が不可欠です。いわば民・民の合意事項であるはずのものですが、今回国の審議会はそれに「介入」するように一定の方向を示しました。こうした「介入」で一方的に損をする者がでるのであれば、極論かもしれませんが、その損害を補填しなければいけないのではないでしょうか。
 私は、ユーザーがコピーを自由にできるのであれば、ユーザー自身も便利さを享受できるわけですから、ユーザー及びメーカーが放送事業者などに対して一定の金銭の支払いをしなければいけないのではないかと思います。現在議論されている「私的録音録画補償金制度」による補償金支払いでもいいですし、別の方策でもかまいません。そうした手段が講じられることにより、すべての関係者が大きな不満を持つことがないように制度が構築されるべきだと思っています。