「チューリップ賞・G3」(6日、阪神)
新たな風が吹く。デビューから無傷2連勝のオメガブルーハワイだ。高い身体能力で、血統的な背景も備えている。さらに、叩き2走目で気配も上向き。2歳女王の始動で、一気に春本番を迎えた3歳牝馬戦線。数々の名牝が通ってきた伝統の一戦を制し、ヒロイン争いに名乗りを上げる。
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桜の舞台を目指し、さらなるステップアップを遂げる。鮮やかな差し切りで無傷の2連勝。オメガブルーハワイは、ここまで非凡なセンスを発揮してきた。笹田師も重賞挑戦を楽しみにする。
開業2年目になるが、義父である伊藤雄二元調教師の右腕として、調教助手時代に歴史的な名馬に携わってきた。「こんな経験は何度もしてきている。私自身がイレ込むようなことはないですよ」と自然体だ。助手時代にかかわったG1馬7頭のうち、牝馬が6頭。このレースの96年の覇者で、97年の年度代表馬エアグルーヴにもまたがった。「牝馬は相性がいいね」と笑う指揮官は「この馬も可能性を秘めている」と先輩にも負けない素質の高さを口にした。
前走は休み明けの戦いを制した。「攻め量は積んでいたが、ほとんど馬なりでの調整。その状態でここまで走るんだからね。すごい優等生です。体は締まってきたが、脂肪がつきにくいタイプ。もう少し腹回りがふっくらしてくれればいいんだけどね」と馬体面には注文をつけたが、叩いた上積みは確実に見込める。
桜花賞と同じ阪神の1600メートルが舞台だ。「新馬戦のあとに、ユタカ(武豊)が“距離が延びた方がいい”と言ってくれた。直線に坂があるが、折り合いには苦労しないし、癖もないので、どこの競馬場でもいいレースはできると思う」と設定に動じることはない。
母の半兄はG1・2勝(05年有馬記念、06年ドバイ・シーマクラシック)のハーツクライ。血統的な裏付けも十分だ。「桜花賞に出しても、恥ずかしくない形でレースをしたい」。桜戦線に新たなヒロインが誕生する。