「日本ダービー・G1」(30日、東京)
史上初のダービー騎乗機会3連続Vへ、四位洋文騎手(37)=栗東・フリー=がルーラーシップで快挙に挑む。昨年こそ騎乗馬がなく不参戦だったが、07年ウオッカ、08年ディープスカイで史上2人目の連覇を果たした。自身の記録以上に、パートナーにとっての一世一代の晴れ舞台を意識。3度目の勝利へのエスコート役になるべく、静かに闘志を燃やしている。
◇ ◇
あくまで馬が主役。前人未到の記録にも、四位は自然体を貫く。「人はともかく、馬にとっては1回しかないからね。1頭の馬に多くの人が携わっているし、みんなの気持ちを背負って頑張りたい」。昨年こそ騎乗馬がなかったが、07、08年とダービーを連覇。騎乗機会3連覇がかかる一戦を前に、口にしたのは1度しかない勝負の重みだ。
パートナーのルーラーシップは、父が変則2冠馬キングカメハメハ、母が女傑エアグルーヴの超良血馬。デビューから期待されてきた逸材は少し遠回りを強いられたが、念願の舞台にたどりついた。周囲の熱い思いはヒシヒシと感じている。
プリシンパルSで出走切符が獲れれば、という前提で騎乗依頼を受けていた。レース当日は京都競馬場で、テレビ画面を通して応援した。「最後に勝って、出走権を得るのは運がある馬だね」。追い切りでコンタクトを取り、手応えをつかんで本番へ。「思った通りにいい馬。パワフルで重量感がある。本当にいい感じ。跳びが大きい馬なので、ごちゃつくのは良くない。スムーズな競馬ができれば。東京はいいんじゃないかな」と話す。
競馬サークルの誰もが特別な思いを持つ祭典。「ダービーが終わって区切りがつくというか、一番盛り上がるレースだからね。緊張するのはいつものこと。グッと気も引き締まるね。強い馬もいっぱいいるから」。過去に例がないほどの豪華キャスト。大舞台に参加できる喜びをかみしめた。
07年にウオッカ、08年にはディープスカイで至福の瞬間を味わった。大歓声の府中で、ダービージョッキーが素質馬を主役の座に押し上げる。
【ダービー】3番ルーラー、ゲートもOK /SAN