猛暑が続いているが、夏のローカル開催は今週で終了。新潟ラストを締めくくるのは、出世馬を多数輩出している「第30回新潟2歳S」。2歳馬には過酷な外回りマイル戦に、今年も素質馬が集結する。中でも注目なのが、ディープインパクト産駒の勝ち上がり第1号となったサイレントソニック。父譲りのスピードと瞬発力を武器に、同産駒の重賞初Vへ全力疾走だ。
ディープ産駒の一番星が、重賞一番乗りも狙う。6月26日の福島新馬戦を2馬身差で逃げ切り、父に種牡馬初勝利をプレゼントしたサイレントソニック。続いて出走した新潟のダリア賞は、エーシンブランの決め手に屈し2着に敗れたが、陣営の評価が下がったわけではない。「前走は口向きが悪く、終始、掛かり気味だった。それでも直線は伸びていた」と国枝師。「勝った馬にうまく乗られた感じもあるし、初めての左回りで、きっちりと走れた点を評価したい」と、冷静かつ前向きに振り返る。
中間の調整もすこぶる順調だ。25日の1週前は、春に桜花賞、オークスを制したアパパネの胸を借りて坂路で併せ馬。前半から飛ばして大きく先行する形だったが、ラスト1Fも11秒9と脚色は衰えず、全体時計も4F50秒5。アパパネが同49秒2の猛時計で迫ったが、並ばれてから抜かさせず、2冠牝馬相手に一歩も引かない動きを披露した。「思っていた以上の時計だったが、体調がいい証拠。この時期の2歳馬は余裕がなくなってしまいがちだが、この馬は心配がない。前走で控える競馬も経験し、すべてがいい方向」。数々の名馬を育て上げてきた国枝師も、確かな手応えをつかんでレースに臨む。
デビュー間もない若駒の争いだけに、コース経験は大きなアドバンテージ。昨年Vのシンメイフジも、同じダリア賞2着からの巻き返しだった。父に初タイトルを贈り、先輩アパパネの軌跡をたどることが使命だ。 [ 2010年08月31日 ]