以下は番組HPに基づく情報です。
熱帯の海に広がる美しいサンゴ礁には色とりどりの魚が群れ泳ぎ、たくさんの生き物たちの命の拠り所になっている。サンゴ礁は「海の熱帯雨林」とも言われ、最近の研究から、熱帯雨林と同じように二酸化炭素を吸収し、地球全体の気候の調節に大きな役割を果たしていることが分かってきた。
サンゴ礁の総面積は62万平方キロ、日本の17倍にも及ぶ。しかしそのサンゴが、近年次々とその姿を消している。この50年間でサンゴ礁のおよそ20%が消滅し、50%が危機に直面しているという予測もある。その原因としては、異常な海水温度の上昇によって変色し、やがて死に至る白化現象、天敵オニヒトデの大量発生、さらに開発による土砂の海への流出や海の汚染などによる影響が考えられている。
「国際サンゴ礁年」に当たる2008年、3回にわたって地球上の代表的なサンゴ礁を取り上げ、サンゴ礁を取り巻く現状と保護育成に立ち上がった人々の取り組みを描く。
第1回「インド洋」
環礁と千余の島々が連なるインド洋の島嶼国、モルディブ。1998年に世界を襲った大規模なサンゴの白化現象によってモルディブでも9割のサンゴ礁で白化が確認された。そのうえ温暖化による海面上昇は、平均海抜わずか2メートルのモルディブにとって、国土消滅につながる危機なのだ。国は海の中のサンゴ・ガーデン造りや人工のサンゴ礁造りに乗り出しているが、リゾート客の人気が高まりで国が豊かになったことで、増え続けるゴミの処理問題は打つ手がない難題だ。
第2回「カリブ海・豊かな自然を守れ~ベリーズ~」
カリブ海に面する中央アメリカの国、ベリーズは面積2万3千平方キロ、四国ほどの小さな国で人口わずか27万、中央アメリカで最も豊かな自然が残っている。ベリーズのサンゴ礁は全長300キロ、オーストラリアのグレートバリアリーフに次いで世界第2位の長さを誇る。澄み切ったサンゴ礁ではこの海でしか見ることの出来ない特有の生き物たちが暮らしている。この豊かなサンゴの海を求めて年間90万人近い観光客が訪れるが、その影響がサンゴに出始めている。人間が頻繁におしかける場所とそうでない場所とではサンゴはどのように違うのか、研究を始めた海洋生物学者がいる。また海水温度上昇による白化現象などによってこの20年間に98%ものエルクホーンコーラルが死滅した事態に危機感を持ち、生き残ったサンゴを移植することによってサンゴを復活させようと情熱を燃やすアメリカ人研究者の活動も紹介する。
第3回「グレートバリアリーフ・サンゴ研究最前線~オーストラリア~」
オーストラリア大陸の北東部沿岸に広がるグレートバリアリーフは、全長2000キロ、総面積36万平方キロ、日本の面積にほぼ匹敵する世界最大のサンゴ礁だ。そのスケールと生き物の多様性から1981年、世界自然遺産に登録された。しかしそのグレートバリアリーフに次々と危機が襲いかかっている。
1999年から2002年にかけて南部の島周辺で80%のサンゴが死に直面した白化現象、サンゴを根こそぎ食べる天敵、オニヒトデの大発生、過剰な栄養や土砂の流出がもたらすサンゴへの悪影響などである。
これらの問題に対し、水温上昇や温度の分布の分析を通してサンゴの白化現象と地球温暖化との関係調査、オーストラリアを襲った大洪水とオニヒトデ大発生のメカニズム解明、太古の森とサンゴの海の壮大な命の循環など様々な研究と対策が進められている。世界のサンゴ研究の最前線に位置するオーストラリアの取り組みを紹介する。
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