昨年11月、スペインのバレンシアで開催された第27回IPCC全体会合で作成された第4次統合報告書には、世界の水不足の問題も盛り込まれました。図は報告書からの引用ですが、コンピューターの気候モデルで予測される2090~2099年の平均降雨量を、1980~1999年の実測平均降雨量と比較したものです。冬季(12~2月)と夏季(6~8月)で違いはありますが、概して高緯度地方で降雨量が増加し、中、低緯度地方で減少の予測です。しかし、東南アジアの海抜の低い地域では、夏季の降雨量増加で水没のおそれがあります。実際に利用できる水の量は、氷床の融解、河川の流量、人口の増減などが影響しますが、IPCCは2075年には、世界の40億人が水不足に直面すると警告を発しています。折しも、クローズアップ現代で水の危機の2回シリーズで放送になります。2回とも、これまでに食糧生産に要する水の番組に出演した、東京大学生産技術研究所の沖 大幹先生が出演します。以下は番組HPからの引用です。
26日(月)19:30-20:00 NHK総合「乾く大地 沈む村」
未曾有の水危機を引き起こす原因の一つと見られているのが地球温暖化。アメリカ南部では、ここ数年で干ばつが激化。山火事がひんぱつし、水不足が深刻な地域が拡大。川の水の利用権を巡って州同士が法廷闘争を繰り広げる。バングラデシュでは、温暖化による海面上昇で井戸に海水が入り込む村が続出。人々は飲み水の確保に困窮している。地球温暖化が水不足もたらすメカニズムに迫るとともに、世界を覆う"水危機"の現実を見つめる。
27日(火)19:30-20:00 NHK総合「地球の水は人を養えるか(仮題)」
地球規模の課題となっている食糧危機、主な原因の一つが水危機だ。シリーズ2回目は、農業用水をどう確保するのか、世界の取り組みを追う。世界有数の農業国・オーストラリア政府は、4年前の干ばつを契機に限られた水を効率的に再配分するため、農家同士で川の水利権を取引する「水市場」を促進した。その結果、大規模農家が高額な水利権を購入し高価な農産物を生産する一方で、小規模農家の離農が相次いでいる。スペインでは、逆浸透膜という日本の企業が開発した最新技術で海水の淡水化プラントを造り灌漑用水を確保してきた。しかし、プラントの稼動には大量の電気を使うため、地元の石炭火力発電所のCO2排出量が増加するという皮肉な事態を招いている。食糧生産に欠かせない水をどう確保するか、最前線を追う。
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