別れと出会い

日曜日

休日なのに早くから目が覚める
休日の朝はホットケーキとコーヒーになっている
ホットプレートの熱を感じながらゆっくりと朝食をとる
最近、マーガリンの塩っ気が少なくなったんじゃないか、とかみさんが文句を言っていた



９時を過ぎた頃
さて、と腰を上げる

軍手をはく
ロッカールームへ行く
ビニール袋に包まれた夏の物を取り出す
車に積み込む

忘れ物がないかを確認
アレとアレとアレ
そうそう、あれは外しておかなきゃ
まだ使うぞ

よし、準備は大丈夫だ、と小さく呟く


エンジンをかける

ガソリンの残量はあとわずかだ
ハンドルをポンポンとたたく


がんばったな
世話になったな

何十回と超えた峠
冬のホワイトアウト
春の草原
夏のクルージング
秋の落葉道

9割以上はお前と二人っきりだったもんな



店に着く

笑顔での出迎え
でも、こっちはちょっと切ない

カミさんにツーショット写真を撮ってもらう

笑顔を作り直して、もう一枚



キーを渡す
最期の判を押す
これでお別れ





新しいキーをもらう

外に出る

前の相棒のボンネットを軽くたたく

１１万キロ・・・・ご苦労さん




今日から・・・よろしく・・・相棒

座席を自分に合わせる
ミラーを自分に合わせる
ハンドルを自分に合わせる

キーをひねる

新しい音が耳に飛び込んでくる

ブレーキペダルの踏み心地を確認

軽く会釈をしてスタート



これからどんな旅が始まるんだろうか

よろしくな

新しい相棒