法則化中学・兵庫太子サークル

子どもにとって価値のある教育をしたい。兵庫県たつの市・太子町で活動している中学教師のサークルの活動記録です。

技術/授業公開/全員参加の授業

2015年05月22日 | Weblog
1年生の授業・最初の15分公開しました。
その後の反省を研修通信に書いた内容です。
ご批正ください。

公開授業(1年生技術・冒頭15分・6クラス)
自己分析

◆「全員参加」「全員成功体験」を目標に、
  授業技術の向上を目指している。
  今回、1年生の授業の冒頭15分を公開授業とした。
◆公式戦を経験すると、部活動の選手は伸びる。
 同じように緊張場面(=研究授業)を行わない限り、
 授業の腕は上がらないと考えている。
◆授業後のワークシートを分析したが、全員の生徒が授業に
 参加できています。どんなことに留意しているのか、
 自己分析してみます。


1.教師の言葉を削る
 「こういうように切ったのとこんなのでは、
 どっちが強いと思う…(ごにょごにょ)」
 語尾が不明瞭にならないように気をつけている。

 発問として「思いますか?」という言葉は適切であろうか?
 日本では思想信条の自由が保証されている。
 何を思うことも自由である。
 つまり生徒は何を言ってもいいということになる。
 思考を集約していく授業では「思いますか?」と聞くべきでは
 ないと考える。
 もっと答えが「限定される」聞き方をすべきである。

 また「どんな感じですか?」という質問にも、
 発達障害の生徒は答えにくい。

 「東京タワーの上の方」と言ったら、
 どこを示すのか?
 
 ここで混乱する生徒もいる。

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教師の発する言葉には厳密になる。 │
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2.発問と作業指示をセットにする。
 【発問】AとBどちらが強いでしょうか
 これで終わってはいけない。
 生徒に作業をさせなければならない。
  《指示》ノートに書きなさい
  《指示》挙手しなさい

3.「指示」したことを詰めるために
 指示した後には、生徒の中に入っていく。
 教室の後ろまで行っている。
 指示したことをやっているか確認する。
持ってこさせて、○つける。ハンコを押す。
 こうやって詰めていく。

全員参加の授業づくり/研究授業/技術家庭科

2015年05月18日 | Weblog
1年生の授業・最初の15分を公開しました。

研修通信に書いた内容です。
ご批正ください。

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1年生の2時間目の授業を研究授業にします。
最初の15分を見ていただきたいと思います。
どんな部分に配慮しているかを書いておきますので、
ご意見いただければ幸いです。

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1.最初の作業指示、全員やらせる
 「プリントに日付・名前を書いたら起立」。
 全員起立は確認のために有効な方法である。
 ただしあまり多用しない方がよい。
 (生徒に負荷がかかる方法なので)
 最初に授業規律を習慣づけたいので、
 ここでは書けた者から起立させた。
 指示を聞いていない(名前を書いていない)
 生徒がいる。ADHD(注意欠陥)の可能性も
 あるので席と名前を記憶しておく。
 名前を書けた生徒が起立していく。
 全員書けた班から「ハンコ」を押す。
 先生には反抗しても、周囲の友だちには
 嫌われたくないと思うのが中学生である。
 集団の教育力を使って、やっていなかった生徒に
 プレッシャーがかけていく。
 直接対決はしない。こうやって指示を通していく。

 ハンコを押すことが「評価」である。
 言葉でもほめる。
 よい行動はほめて「強化」する。
 スタートをそろえること、助走をつけることで
 落ちこぼしを作らない工夫である。


2.視聴覚教材をどう活用するか
 視覚に訴える教材を準備した。
 最初にアニメ-ションがついているのは
 「フラッシュ」というソフトで作りました。
 動く部分を見せると「一目で理解できる」と思います。
 後半で使用するのは「スマートボード・ノートブック」と
 いうソフトで作りました。
 電子黒板(スマートボード)があれば、本領を発揮するソフトです。
 (また、研修会をしたいと思います)


3.机間巡視をする
 指示をしたら必ずやらせきる。
 一年生のこの時期なら可能であろう。
 記入していない生徒がいれば、近づいていき、
 その場所を指さす。ここで目立たせるのは子どもの
 「自尊心」を傷つけることになる。
 あくまで「低刺激」の指導を心がける。
 できない生徒にべったりつくことも控えたい。
 みんなの目の中で「この子はできない子」だと
 言っていることになる。
 「短い指導を何回も」するほうが効果が高い。
 個人指導をする場合は、全員が作業に熱中している状態を
 作ってから行う。
 子どもたちの自尊感情を高く保ってやることが優先される。

4.机間巡視をする
 特別な支援を要する生徒には「衝動性」の強い生徒が多い。
 面白そうな「テストピース」を渡したら、さわりたくなるのは
 当然である。さわってしまってから注意するのは避けたい。
 配布する前に「ルール」を確認しておく。
 以前「発達障害児の子役」を置いた「模擬授業」をしたことがある。
 ここの順番を間違ったので授業がクラッシュした。
 頭が真っ白になったがいい経験である。
 ぜひ取り入れたい研修である。

実技教科・授業の安定・最初の指導 その2

2015年05月16日 | Weblog
研修通信に書いた内容です。
前回の続きです。
ご批正ください。


1年生の最初の授業で配慮したこと(2)

8.教科書のページを板書する。
 「教科書29ページを開きなさい」と指示をする。
 LD(学習障害)が疑われる生徒には、
 聴覚優位の生徒と視覚優位の生徒がいる。
 教科書のページ数を板書することで、
 視覚と聴覚両方から情報をインプットする。
 (今回はワークシートにも教科書のページ数を
  記載しておいた)

9.机間巡視をする
 指示をしたら必ずやらせきる。
 一年生のこの時期なら可能であろう。
 教科書を開けていない生徒の方に近づいていく。
 小さな声で「29ページ」と言って開かせる。
 ここで目立たせるのは子どもの自尊心を傷つけることになる。
 あくまで「低刺激」の指導を心がける。
 できない生徒にべったりつくことも控えたい。
 みんなの目の中で「この子はできない子」だと言って
 いることになる。
 プリントに書けていない生徒は、その部分を指で
 トンと指で押さえる。
 「短い指導を何回も」するほうが効果が高い。
 個人指導をする場合は、全員が作業に熱中している
 状態を作ってから行う。
 子どもたちの自尊感情を高く保ってやることが優先される。

10.一問目は例示する
 教科書を読みとり、プリントへ記入する問題である。
 教科書を全員開いたが、どこを見たらいいのかわからない生徒がいる。
 LD(学習障害)が疑われる生徒たちである。
 一問目の答えは薄く書いておく。
 文字をなぞらせ、教科書のどこに書いてあるのか確認してから
 残りの問題をやらせた。
 スタートをそろえること、助走をつけることで落ちこぼしを
 作らない工夫である。

11.持ってこさせて丸をつける
 書けた人から持ってこさせる。
 ○をつけるのは次のような意味がある。
 ・書けたかどうかの確認  【確認の法則】
 ・行動したことへのプラスの評価 【個別評定の法則】【激励の法則】
 生徒の席で○をつけるより、持ってこさせた方がよい。
 ・他動気味の生徒は体を動かすことで気分転換でき、
 その後の学習に落ち着いて取り組むことができる。
 ・みんなが先生のところへ持っていくことにより、
 まだやっていない生徒があせる。
 授業に「緊張感」が生まれる。

12.早い生徒は板書させる
 ○をつけた生徒は黒板に答えを書く。
 早い生徒が退屈してしまうことを防ぐためである。
 「空白禁止の原則」はここでも大事である。
 また、少し遅れた生徒も、黒板の答えを参考にすることができる。
 「全員が出来ること」で授業をスタートさせる。
 「成功体験」を与えることが「意欲」を高める。

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これらのことをすべて授業開始5分以内に行っている。
これらの「教育技術」をマシンガンのように繰り出すことが、
全員を参加させる授業づくりのためには必要なのだと考えている。

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実技教科・授業の安定・最初の指導

2015年05月14日 | Weblog
研修通信に書いた内容です。

1年生の最初の授業で配慮したこと(1)

1.いきなり授業をする
 一番素直に指示が聞ける時期です。
 授業のシステムをインプットすることを重視しました。
 教師の自己紹介は名前だけ、生徒の自己紹介などは
(生徒はもう何回もやっていて飽きていると思われるので)
 行いませんでした。

2.教科書を準備できたら起立
 まず指示をして行動させる。
 ほとんどが持ってきている。当然ほめる。よい行動はほめて「強化」する。
 忘れた生徒には予備の教科書を貸す。
 技術では友人に借りにいかないように注意する。
 (貸し借りはトラブルの原因となる。)
 ここでもルールを確認する。
 授業前に借りに来ることと返すときに
 「ありがとうございました」と言うことである。
 忘れた生徒も「ありがとうございました」と言うことで
 ほめられる。大事なのは「教えて、ほめる」ことである。

3.プリントに日付・名前を書いたら起立
 指示したことをやらせきることが大切である。
 全員起立は確認のために有効な方法である。
 ただしあまり多用しない方がよい。
 (生徒に負荷がかかる方法なので)
 最初は肝心なのでここでは書けた者から起立させた。
 指示を聞いていない(名前を書いていない)生徒がいる。
 ADHD(注意欠陥)の可能性もあるので席と名前を記憶しておく。

4.空白の時間を作らない
 名前を書けた生徒が起立していく。
 やっていなかった生徒にプレッシャーがかかる。
 こうやって指示を通していく。書けていなかった生徒を
 待つことになるが、何もする事がない時間は作ってはいけない。
 「空白禁止の原則」である。
 今回は立っている生徒に対して、名前を書かなくてはならない理由を
 説明した。

5.指示の意味を説明する
 授業で使ったワークシートは回収して、成績に入れることを説明する。
 だから名前が書かれていないと損することを説明した。
 言われたことをするだけでは「命令」「服従」の関係である。
 「なぜこれをするのか」理由を納得して行動することが、
 子どもは精神的に安定する。「趣意説明の原則」である。

6.説明はしない。
 生徒は説明をすればするほど聞いていないものである。
 大事なことは生徒に答えさせるとよい。先ほどの説明の場面では
 このようにした。

 出席番号が書いていないプリントがあります。
 先生はどうすると思いますか?
 先生は親切そうだから名簿で出席番号を調べてくれると思う人?
 (挙手を求める)
 調べないと思う人?(挙手する生徒がいる)
 その通り。一番後ろに回して減点します。

 長々と説明はしない。
 一方通行ではなく、双方向の授業を心がけることで、
 生徒に「当事者意識」を持たせる。

7.笑顔で授業をする
 先ほどの趣意説明の言葉であるが、
 文面で見るときつく感じる。
 実際は笑顔でしゃべっている。
 同じ注意をするにも、できるだけ「低刺激(ローインパクト)」に
 なるように心がけている。