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君死にたもうことなかれ

(アメリカ)最大の大気汚染源は農場だった~家畜、農機具から出るガスで

2005年11月04日 | 農業サポートセンター
 カリフォルニア州を筆頭に、大気汚染源と考えられる農場に規制を設ける動きが全米各地で見られるが、効果は上がっていない。農家の反発や、政府の規制が不十分なことが原因だ。

 ワシントン・ポストによると、シエラネバダ山脈と沿岸丘陵に挟まれた広大な農業地帯、同州サンホアキン盆地は、2つの主要ハイウェイが縦断していることもあって大気汚染が深刻で、子供の15%がぜんそくにかかっており、その発症率は全米平均の3倍。専門家は、この汚染の原因のほぼ半分は農場にあると見ている。

 同州の農業はこれまで、全米で最も厳しい大気汚染に関する州規制の適用を免除されてきた。しかし、農場では家畜とそのふんから揮発性の有機化合物やアンモニアが、老朽化したディーゼル機器から有害物質を含むガスが排出される。州議会では、ディーン・フロレス上院議員(民主)らが工場や発電所と同様に農業も規制対象にすべきだと訴えている。

 有機化合物が窒素化合物と結合するとスモッグとなり、アンモニアはスモッグと反応して微粒子汚染を引き起こす。そのためカリフォルニア大気資源局(CARB)は今夏、1000頭以上の乳牛を所有する既存農場に対し、営業許可を申請するよう義務付けた。

 家畜から出るメタンガスなどの除去設備の導入を義務付ける法案も出されたが、酪農業業界の反対で成立しなかった。同地域では1900業者が酪農を営み、牛乳の生産量は全米の5分の1を占める。業者の半数以上を代表するマイケル・マーシュさんは、義務付けが実行されれば、業界の経費負担は10億ドルになると見積もる。

 一方、農場を工場と同じ汚染源と見なす地域住民らが、団体「怒る住民連合」(Association of Irritated Residents)を組織し、大規模な酪農家の規制を求めて活動を始めている。

 ノースカロライナ、アイオワ、ワシントン、メリーランド、バージニア、ペンシルバニアの各州も養豚場や養鶏場、酪農場を対象に規制を設けているが、あまり効果は見られない。環境保護の専門家は、大規模農場への規制だけでは不十分だと批判している。

■ワイナリーも規制対象に
 サンホアキン盆地はワインの大生産地でもあり、生産量は全米の約3分の2を占めるが、同地区のワイナリーも大気汚染ガスの発生源だ。

 USAトゥデイによると、ワイン製造で発生する大気汚染ガスの規制法が、サンホアキン盆地で年末までに施行される見通しとなっている。同種の州法成立は全米初。
 ワイン製造では、ブドウの品種にかかわらず発酵過程でエタノールが発生する。この気体がほかの物質と交じり合ってスモッグとなる。通常ならワイナリーのスモッグはさほど問題にはならないが、盆地という一帯の地形がスモッグを閉じこめてしまうのだという。

 ただし、州内の他地域、他州のワイナリーでのスモッグはほとんど問題視されておらず、規制が各地で成立する可能性は低い。またサンホアキンの規制には、赤ワインよりもスモッグ発生量が少ない白ワインは含まれていない。しかも年間2500万本以上を生産するワイナリーのみで、該当するのは大手18カ所になる。

US FRONTLINE
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