中村成志さんの「はいほー通信 短歌編」で開催されている5首選会に参加させていただきます。
参加されるみなさま、よたよたのワンコの歌ですがよろしくお願いします。
《自選5首》
『血の匂いのする歌』
026:地図
冒険のひざからにじむ血を吸って秘密の地図が浮かぶハンカチ
056:タオル
炎天下うつくしすぎる傷口を覆うタオルはプールのにおい
080:富士
にじむ血の色鮮やかに膝震う海の匂いの富士壺の罪
087:テープ
かさぶたを覆う救急傷テープ剥がせば二度目の羽化がはじまる
096:模様
願わくはアンモナイトに似た模様かさぶたの下の新しい皮膚
「懐かしい遊び、子どもの居る風景」を100首に詠みこんでみようと
挑んだ2007年の題詠100首でしたが
ゴールしてみて「血」や「かさぶた」って言葉をたくさん使っていることに気づきました。
実は…子どものことを歌っているフリをして、せつない恋をしのばせていたので…
あちこちで血が噴出し傷だらけになっているのです。
そのなかでも強く血が匂う5首を選びました。
本来はシーズンオフの「詠み逃げ大賞」に備えて「詠み逃げ5首」を
選ぶ予定でしたが…
詠み逃げした歌が5首きっちりしか無くて断念しました~
あちこちに血のにじむ100首(かなりよれよれ)は下の記事に
参加されるみなさま、よたよたのワンコの歌ですがよろしくお願いします。
《自選5首》
『血の匂いのする歌』
026:地図
冒険のひざからにじむ血を吸って秘密の地図が浮かぶハンカチ
056:タオル
炎天下うつくしすぎる傷口を覆うタオルはプールのにおい
080:富士
にじむ血の色鮮やかに膝震う海の匂いの富士壺の罪
087:テープ
かさぶたを覆う救急傷テープ剥がせば二度目の羽化がはじまる
096:模様
願わくはアンモナイトに似た模様かさぶたの下の新しい皮膚
「懐かしい遊び、子どもの居る風景」を100首に詠みこんでみようと
挑んだ2007年の題詠100首でしたが
ゴールしてみて「血」や「かさぶた」って言葉をたくさん使っていることに気づきました。
実は…子どものことを歌っているフリをして、せつない恋をしのばせていたので…
あちこちで血が噴出し傷だらけになっているのです。
そのなかでも強く血が匂う5首を選びました。
本来はシーズンオフの「詠み逃げ大賞」に備えて「詠み逃げ5首」を
選ぶ予定でしたが…
詠み逃げした歌が5首きっちりしか無くて断念しました~
あちこちに血のにじむ100首(かなりよれよれ)は下の記事に
必ずだれか怪我します 誘惑が危険に光る階段すべり(046:階段)
かさぶたを覆う救急傷テープ剥がせば二度目の羽化がはじまる(087:テープ)
血に染まる記事に挿まれ押しばなの花の命はいつまででしょう(091:命)
視界から消えて祝福されていて紙ひこうきは帰れないまま(093:祝)
ワンコワールド改めて堪能させていただきましたフロム露天風呂
紙ひこうきのおうたがかなしくて特にすきです
ひこうきよ。
夕晴れにすっと伸びてく影を追い「けんけんぱ」って開きたい足
015:一緒
居残りが長引く窓に竹とんぼ一緒に帰る約束だから
059:ひらがな
手のひらがなみだを全部散らすまで「まあだだよ」って何度も何度も
067:夕立
夕立が地面を叩き逃げ帰る僕のらくがき消して流して
087:テープ
かさぶたを覆う救急傷テープ剥がせば二度目の羽化がはじまる
素直に自分が「ああ、いいなあ」思ったものの中から、さらに五首を選びました。
100首を読み、選んだ五首を読み返してみると、
「待って」
という声が、なんだか聞こえてくるような気がします。
誰が、何を、誰に、「待って」って言ってるんだろう。
子供の頃の自分?それとももっと他にも…
夕焼けに一人さよならした誰も探しに来ない玉ねぎ小屋で
026:地図
冒険のひざからにじむ血を吸って秘密の地図が浮かぶハンカチ
030:いたずら
小さな手「川・網・鼓」に迷い込む赤い毛糸のいたずらじゃないか
050:仮面
赤がいい 仮面の下の涼やかに疼く美意識おんな色でも
055:労
うさぎの目・耳の赤さが冬の日のいきものがかりの冷えを労う
自分が「歌のどこかに色、模様を入れる。またはそれを連想させる歌作りをする」ことを縛りとしていたので、その視点から(ウラ五選)として選んでみました。
なぜか赤ばかりです。狙ったわけじゃありません。赤しか無かったわけでもないのに。
なぜだろう?でも、好きな五首です。
風上に立ってひと息吹き続け虹をたくさんたくさん君に
017:玉ねぎ
夕焼けに一人さよならした誰も探しに来ない玉ねぎ小屋で
022:記号
ト音記号書けない僕らにオルガンは猫踏んじゃったを連弾されて
044:寺
めくるめくかごめかごめは早口でお寺の庭の落ち葉うずまく
047:没
日没の三角ベースは二人きり静かな満塁透明ランナー
ゆうやけはさみしい。
きょうもとてもたのしかったのにね。
やくそくなんかしなくたって、きっとあしたもあそべるのにね。
「思い出」でなくまっただなかの気持ちで、わたしもそこにいました。
かさぶたが守っていたつるつるにさわりたい。
じゃんけんを占う形に握った手 覗けば雲が教えてくれる
022:記号
ト音記号書けない僕らにオルガンは猫踏んじゃったを連弾されて
051:宙
どちらにも欲しがられないずっと手が宙ぶらりんの花いちもんめ
087:テープ
かさぶたを覆う救急傷テープ剥がせば二度目の羽化がはじまる
099:茶
君の手が「だあれ?」で止まる私の手たしかにお茶碗欠いてばかりの
こどもの不安定な感じが表現されている歌たちだなあと思いました。
わくわくしながらも不安で、地に足ついてない感じ。
そして、生きる力がもわもわ動いて「私」のかたちをもわもわさせている感じ。
じゃんけんを占う形に握った手 覗けば雲が教えてくれる
誰一人帰り支度を始めない「遠き山に日は落ちて」も夏
伸びた背で残りの夏を押して蹴る一番高い鉄棒はしなって
かさぶたを覆う救急傷テープ剥がせば二度目の羽化がはじまる
5時のサイレンを気にして遊んでいた、
膝小僧むきだしで駆けていた時期のことが次々と浮かびました。
あの頃は、時間がすごく長いようで、
でも「その瞬間」のなかに身を委ねていた気がします。
(ちりん)(ちゃぽん)と、ばっこんぎったんで迷ったり、
ざららとふわわに気を取られたり、
いろいろな音が混ざっていて面白かったです。
今年のお題は割りと逃げ道がないものが多く、
詠み逃げが難しかったかもしれませんね。
投げ上げたボールはきみに落ちてこい何度も屋根に叫んで逃げる
012:赤
一組の名札をきゅっとつまんでた鬼が赤って言った途端に
016:吹
風上に立ってひと息吹き続け虹をたくさんたくさん君に
051:宙
どちらにも欲しがられないずっと手が宙ぶらりんの花いちもんめ
083:筒
もう100歩電信柱遠くなれ初めて触れた君の水筒
読んだ瞬間きゅんっという音が聞こえた歌を選びました(笑)
忘れかけていたものを呼び起こしてもらった気分です。
それは時に心地よく、時にすこし痛かったりします。
もう手の届かない世界をこんなにも描き出せるワンコさんはやっぱりすごいです。
特に赤と筒のお歌にきゅんきゅんしっぱなしです。
きみがあるくのはそっちだから
きみがつかむのはそっちだから
こっちむかなくていいよ
そっちむいてていいんだよ
だってここからはきみのせなかが
とってもよくみえるんだ
036:湯 向日葵を浴びて湯になれひなた水ビニールプールは乱反射して
071:鉄 伸びた背で残りの夏を押して蹴る一番高い鉄棒はしなって
072:リモコン 鉄人を制御できずに捨てられたリモコンに枯れ枝のアンテナ
074:英語 サマンサは英語をしゃべる魔女だって知らずに顔じゅう動かしてみて
ご自身が「あちこちで血が噴出し傷だらけになっているのです。」とお書きですが、
ごめんなさい、歌のよしあしとは別に、痛そうな歌は避けて通ってしまいました。
字余りが若干気になりましたが、「032:ニュース」の歌がいちばん好きでした。主体を物にしたところが面白いです。
「036:湯」は上の句の発想に惹かれました。自分ではちょっと思いつきそうもない発想でした。
そのほかに、「きざし」「ホテル」などの題の詠み込み方も面白かったです。
021:競
おんなの香競う小5の紙せっけんずっと濡らしちゃいけないものと
026:地図
冒険のひざからにじむ血を吸って秘密の地図が浮かぶハンカチ
067:夕立
夕立が地面を叩き逃げ帰る僕のらくがき消して流して
090:質問
回るたび繰り返される質問のうしろの正面 君はもう居ない
100:終
「ご飯よ」の声 渋々の顔たちが「またね」と終わりの魔法をかける
幼い子供の頃を思い出させる歌を選んでみました。
と思ったらそういうコンセプトで詠んでらしたのですね(^_^;)。
拙ブログにて感想などを書いています。よろしかったらご覧ください。