ふりだしは劇的な言葉Tシャツの乾いた胸に真っすぐ届く
そっくりな形の指が駆けてきて君の秘密の手と繋がって
世に希な巡り合わせがうち寄せる波でこすれた砂粒のふたつ
痛いほど髪を縛って 従来の結わえ方では嘘がつけない
筆圧を知らない左右の握力も私は何も知らずにいたい
泣きながら君と会えない図書館の迷路を駆ける 夢が醒めない
「泣かないで偉い」と言ってそれでなきゃ甘やかされて 甘やかされて
新緑の頃を過ぎてもやりとりを逆行させて見る春の夢
誰だって眉をひそめる関係になる前に問う 救いはあるの
くりかえす「鎖骨あたりに揃えて」と誰の好みかごまかしながら