Yとチエは、その後卒業し、大阪へ出てきた。
親の公認のもと、また2人で部屋を借りて、一緒に暮らし始めた。
社会に出て、初めての土地、初めての会社で、
戸惑いつつも、お互いの存在を支えに、苦難を一緒に乗り越えた。
専門職の世界というのは、本当に厳しくて、
激しい上下関係。ハードな労働内容、安い賃金の中で、唯一癒されるのは、
本当にお互いの側だけだった。
チエとYは、大阪へ出てきてからのほうが、絆はずっと深く繋がってきたと思う。
貯金は出来ないながらも、一生懸命働いて、一人前になっていって、
いつか結婚に近づいていくだろうという、かすかに見え始めた未来に、
お互い、希望と期待を膨らませていたが、
ただひとつ、不安な要素が、ずっとくっついていた。
・・・・・・・そぅ。
「Yの暴力癖」だった。
初めてYに殴られた日から、すでに3年の月日がたっていたが、
Yの「キレたら手が出るクセ」は、3年間、一向に治らないままだった。
それどころか、年を追うごとに、その加減さはひどくなっていっていた。
初めてYに殴られたのが2001年8月
次に殴られたのが、半年後の2002年1月
3度目はその1月のわずか1週間後。
そして、それからはケンカの度に殴られた。
私が悪い時もあった。
でも、確実にYが悪いと明らかなケンカの時も、
Yは言い返せなくなると、容赦なく私を殴った。
これに関してはもぅ、3年間さんざん揉めたが、解決策は見つからず、
半ば「あきらめ」に近いものが、2人の間には生まれていた。
大阪に出てきて、1年目の夏。
とある休日に、また些細なケンカが起きた。
理由は実にちっぽけ。
「新しい家具を買う」ことについて。
意見が別れて、決まらなかった。
「チエはこのテーブルがほしいねん!」
「そんなもんは必要ないから買わんでいい!」
昼下がり、家で2人で通販のカタログを見ながら話していただけだったのに・・・
ケンカはだんだんエスカレートした。
「家のことはあたしがやってんねんから、必要かどうかはあたしが決めるわ!!」
「ほんなら勝手にせぇや!!最初から相談してくんな!!」
「なんでそんな両極端なんよ!?興味無くても「いいで」って言ってくれればいいやんか!!
どうせチエは自分のお金で買うんやから!」
埒の明かない言い合いになってきた時、
Yの平手打ちが、チエの右ほほに飛んできた。
しかも、手のひらではなく、手の甲。
その一瞬にチエはビックリして、空気がとまった。
・・・・でも、止まったのはチエだけだったみたいで。
Yの怒りは、すでに止まらなくなっていた。
「・・・・・・は・・・・アンタ、手の甲で殴った?」
チエは信じられない顔をして、ジンジンする頬を押さえ、涙目でYを睨みつけた。
「・・・・あ?殴ったなぁ?それがなんやねん」
Yは目を剥き、チエが何か言おうものなら2発目を出す準備をしているかに見えた。
「なんや、言いたいことあるんか」
威嚇するような凄んだ顔で、あごを上げながらチエを見下ろすその顔は、
やくざが獲物を見るような尋常ではない顔つきだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・いや・・・・・・・・」
その顔に恐怖でおびえ、チエはそれ以上言い返すことが出来なくなり、
目をそらしてうつむいた。
・・・いつもこうなった。
この一発が出た瞬間から、対等だったはずのケンカが、まったく違うものになってしまう。
チエは、発言権を失わざるをえなくなってしまうのだ。
これに関しては、本当に散々揉めたが、答えが出ず、1度や2度は本気で別れ話になった。
でも、答えは出ないが、こうなる原因は2人とももぅよく分かっていたのだ。
「人よりキレやすい、Yの性格」
「言葉で打ち負かそうとする、チエの意地」
「言い出したら、引くに引けないA型同士の言い争い」
この3つがそろったケンカは、毎回かならず、Yの平手打ちが出た。
原因がわかっているのに、けんかの最中でそこまで冷静になりきれず、
この時も、チエはYをキレさせる物言いをしてしまったらしかった。
・・・でも、考えれば、Yだって同じくらい酷い事をチエに怒鳴っているのに、
なぜチエだけが、Yに気を使って引かなければならないのか。
チエには、それが納得できなかった。
一度、我慢しきれず、やり返したことがあった。
Yが酔っ払って、チエを殴ったときだった。
「もー我慢できん!!殴れば黙ると思ってたら大間違いや!!」
チエは酔って手加減なしに殴り続けるYに、何かが切れたのを感じ、
何かめちゃくちゃなことを叫んで、殴りかかった。
そんな抵抗は、初めてのことだった。
しかし、チエに初めて頬をしばかれたYは、有り得ないほど切れた。
それはもぅ、思い出すのも怖いほど、鬼の形相だった・・・
「てめぇ、何しよんじゃコラァ!!!」
ものすごい巻き舌で、やくざのように怒鳴り、
チエの首をわしづかみにして両手で頭を壁に叩きつけた。
ガンッッ!!!
壁の薄いマンションは、その衝撃で揺れ響き、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・いっ・・・・・・!!」
言葉にならない痛みが、チエを襲った。
となりのカップルが驚いてチャイムを鳴らしにきた。
しかし、Yは無視してチエを殴り続けた。
床に倒れたチエの胸を蹴っ飛ばし、ゴロンとチエが転がると、
その背中を蹴り、踏みつけた。
「がほっ!!・・・・・・・・・・げほっ!!・・・・・・」
もぅ、息が出来なくて苦しくて、
どこをどれだけ殴られたのか分からないほどで、
とにかくYの気が済むのを、胸を押さえ込んで待った。
だんだん痛みの感覚がなくなって、
殴られ続けているのに、もぅどこを殴られているのか分からない。
それでも本能で、心臓と、頭を抱えてうずくまり、守ることを覚えた。
体の痛みと、胸の痛みでチエはボロボロと泣き続けたが、Yはおかまいなしだった。
むしろ、泣くチエに余計に腹が立つようだった。
「殺してやりたい・・・殺してやりたい!!!」
抵抗も出来ず殴られるたびに、チエの痛みはそんな感情に変わっていった。
翌朝、チエのまぶたは内出血で真っ赤に腫れて垂れ下がり、
右目が2週間見えなかった。
「転んだ」ではとても通用しないその姿に、仕事も休まざるを得なかった。
泣きながら、腫れが引くのを待った。
・・・・・・・・・・・・・・・というように、
「やり返すと、3倍どころか10倍返しがかえってくる」のがわかったので、
その日以来、やり返すという選択肢はなくなった。
なので、Yの手が出始めると、チエはずっと「人形」になった。
Yは、チエを殴るだけ殴り、怒鳴るだけ怒鳴ると、気が済んで、隣の部屋に出て行った。
そして、2人離れると、Yはまずタバコに火をつけ、思い切り吸って、しばらく静かになる。
10分、20分、1人で何かを考える。
そして、落ち着いたら戻ってきて、チエを抱きしめ、ケンカの原因と、解決策を、
必ず出してきてくれた。
そして、暴力を謝って、無理やり仲直りをした。
もぅそれが、2人のいつものケンカの結末になっていた。
チエは、殴られ続けた後に1人ほったらかしにされ、
いつもYが戻ってくるまでガタガタと震えていた。
でも、落ち着いたYが戻ってくる頃には、優しいYに戻っていることを
知っていたので、怒りや痛みは残っていても、抱きしめてくれるのを待っていた。
自分から隣の部屋に行き、「ごめんね」と言える余裕はとてもなかったからだ。
これで、いいの??何か、間違ってるんじゃないの??
そんな陰りを持ちつつも、元に戻って優しく抱きしめてくれるYに、安堵していた。
しかし、いつからか、仲直りをするときに必ず出ていた
「もぅ二度と殴らへん」というセリフは、
出なくなっていることを、チエは気付いていた。
そして、そんな陰りを持ったまま、大きな問題を残したまま、
2人の人生は、「結婚」へと少しづつ
進んでいくのであった・・・・。
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なんでいっしょになるんだろうと
思ってしまうよ…
やくざのように怒る気質は幼児の頃に
出来上がっているから、かなり努力しないと
直らないんだよね…
地元の連れが差別という村単位の暴力に耐えかねて自殺して以来、暴力全般サイテーという思考です。そこに愛はあるんですか?。。。いち意見。
今幸せに暮らされてるんですか??
と言いつつも続きを楽しみにしてます☆
まだそこにエピソードがあるんだろうね。
???と思いつつ、次回の展開が気になる。
子供の頃に虐待を受けると、大人になったとき
やっぱり虐待を行うようになる
ってゆうようなことをTVで見たことがあるけど
そんな境遇だったんだろうか・・・・
と思ってしまう。
今は大丈夫なんですか?
コンサルタント(っでいいのかな?)にかかったの?
見た瞬間、一瞬ウソかと思いましたねw
グロすぎやろ?
もう、ココまでくると、二人だけの解決は
難しいと思う。第三者が必要なるんちゃうかな?
チィちゃんは・・Yのことは好きやろ?
んで、あっちもチィちゃんこと好きやねんやったら
きっと、解決できると思う。
オレもキレたら、母親は殴らんかったけど、
父親はおもっくそボコりましたwww
それで、痛感してんけど、そういう癖は
自分の努力以外じゃ、直らんことが・・・
本文にも書いとったけど、二人とも
A型って?Aは血の気の多い奴多いって聞くしww
(ちなみにオレもAですww)
残念やけど、解決策は難しいな。
見て俺も考えてんけど・・・・・。
ごめんな、力になれんでww
それじゃ、しつれーします。
基本的にトロはみんなと同じ考えで「そこまでされて何でいっしよにおるん?」です
女相手に手加減無しでやっといて後で謝って優しくする?
昔「恋のから騒ぎ」に出てた「宝満円」って子を思い出しました(みんな知らないだろうなぁ)
男と女ってホント不思議やなぁ
ところで女の暴力ってどう思います?
男が手を出さないのを見越したうえでの執拗な暴力
女のパンチやからチエさんみたいにボコボコにされたりはせんやったけど
やっぱ相手のことをまるで考えてない喧嘩は心に暗い陰を落とすだけだよね
って暗くなりそうやからやめとこ( ̄▽ ̄;)
人の性格ってそうそう変えれるもんじゃないからチエさん達がどうやって解決したのか興味深々!!
僕もhideさんと同じで、男が女に暴力を振るうのはダメだと思いますね。
軽い平手打ちならまだしも、そこまでボコボコにするのは信じられません・・・
まぁ、これがどのように解決していくのかたのしみですけど。
こないだ地震のあった日に逢いに行ったオキニが、つい3週間程前に、彼氏にボッコボコにされ病院にCTスキャン撮りに行ったと言ってました・・・。
うちやって、ダーリンと知り合うまでは「暴力振るう人問題外」やったけど。。。理屈じゃ、ないねんな。
第三者から見たら、耐えてるチエちゃんは間違ってるって、馬鹿やって、思われるんかもわからんけど、そう思えたら、逃げられたら、どんなに楽かわからへん。どんな酷い目に遭っても、そう思えんから、苦しい。うちも、ほんま辛かったから、チエちゃんが殴られても、じっと彼氏が落ち着いてくれるの待ってる気持ちがすごいわかる。
きっと、許す事は、間違いやねん。。。でも、信じたいねんな。チエちゃんが知ってる彼は、それだけじゃないもんな。
DVは、治らへん。うちは、そう思う。でも、うちは、諦めずに乗り越えて、ダーリンと幸せになった。悲しい思いしてるチエちゃん見るの、うちも辛いけど、チエちゃんにも、きっと幸せになれる日が来るんやと思って、ずっと読んで行くからね!