劇団青年座「DNA」
脚本の中村ノブアキという人は企業ものの演劇で名を挙げた人とのこと。青年座でやるとなると、企業の話に加えて現代に生きる女性たちの葛藤が描かれることになる。
舞台セットは四分割、キャリアウーマンの女性と夫の住まい、その女性のインテリアデザイン会社、夫のPC関連の企業の休憩室、そして会議室。
小型ロボットを売り出している先端企業、粉飾決算まがいの売上高操作が問題になる。異議を唱える若手女性社員、部長と部下の板挟みの課長、サラリーマンであれば会社の方針に従ってなんぼ、と血気盛んな女性社員を諫める男性、この男性がそのキャリアウーマンの夫だ。会社の方針が間違っているからと言ってすぐ辞めるなどと考えないで、徐々に変えていくように自分が努力するしかないのだ、と言う。
男性は会社でごたごたして疲れて帰っても休まらない、奥さんも疲れてイライラしている。やっとインテリア会社を立ち上げたのだから、子供は産みたくないと言うし。実は前は同じ会社の同僚であったが、結婚を機に辞めたのだ。結婚したら同じ部署で働けない、という暗黙のルールがあり、女性は会社に留まれば総務に異動になることになった。その後インテリアの会社を友人と二人で興した。やっと軌道に乗り始めたというのに、その友人が、妊娠したので、会社を離れるという。二人で頑張ると約束したのに、裏切られたと怒る。 夫も結婚前は「子供は要らない働いている君が好きだ」と言っていたのに、欲しいと言い出した。いろいろなことで怒り狂う女性の前に、お姑さんがやってくる。
そんなに肩ひじ張らないでも、昔から誰でも自然に子供を産み、育ってきたのよ、会社はサポートするし、みんなで助け合いましょう、などと言われ気持ちが落ち着いていくという。
サラリーマンという中産階級、自立を目指すその妻の葛藤を語るホームドラマ。
メッセージは?
姑さんに会ったとき、体は大丈夫と聞かれた、それは子供はまだかというメッセージ?結婚したら、子供はまだかと皆思っている?
同じ部署内で結婚した場合、女性のほうが異動になる、その理由が女性は結婚すれば子供が産まれ仕事に専念できなくなるという常識がある?
子供を産めば、保育園探しで大変?
子供に淋しい思いをさせるとか虐待とかしない自信あるの?
子供の産むのに、タイムリミットがある?
しっかりとこういうことを見る側に考えさせる強い演出の力、俳優の力を感じる。
しっかりとこういうことを見る側に考えさせる強い演出の力、俳優の力を感じる。