池上優游涵泳

「料理と散歩と仕事で海外」「ベトナム生活あらかると」改め、「池上優游涵泳」として日々を綴っています。

「元気に暮らす食事術〜現代栄養学と薬膳から〜」③ おおた区民大学「地域でいきいきと暮らしていくための知恵」第3回

2019-06-30 16:40:39 | 地域情報

天気予報では終日雨でしたが、今朝、起きて、外を見ると降っていなそう。

iPhoneの天気アプリでも大田区は雨予報ではなくなっていたので、散歩に出かけたところ、、、

急に強く降り出して、あえなく、途中で引き返すことに。。。

 

でも、昼過ぎには空模様は怪しいものの、雨が上がっていたので、目標歩数は達成してきました。

毎度の呑川沿いですが、随分と葉っぱの大きな緑のカーテンが。

黄色い花が咲いていますが、ゴーヤとは葉の形が違います。

それになんとも、花と葉っぱの大きさがアンバランスですね。

これが、上に伸びているのか、とも思ったのですが、

こっちは、(裏から見ると)幹化している植物なので、違いますね。

一体、何の植物なんでしょうかね。

花をもっと大きく撮影してくればよかった。次の機会は是非とも。

 

さて、おおた区民大学地域でいきいきと暮らしていくための知恵」の第3回、「元気に暮らす食事術〜現代栄養学と薬膳から〜」の後半です。

前半は、現代栄養学から見た健康な食事でしたが、後半は、東洋医学の知恵を利用した健康な食事についてです。

キーポイントは「体質」と「個別性」とのことです。

中国の伝統医学(中医学)とは?

  • 中国に古くからある伝統医学で、体全体のバランスを整えることで、病気を治すことや健康回復、病気予防を行うことが基本。漢方医学とは、中医学を日本で発展させたもの。

基本は、第1回(前半)で学んだ未病の状態で、陰陽、虚実、寒熱のバランスを診て、バランスを調整する未病治ですね。

  • 中医学の治療法
    • 生薬を使った薬物療法
    • 鍼・灸、マッサージ、気功などによる治療

こちらは、第1回(後半)で学んだツボや経絡ですね。

ちなみに、とあるポッドキャストの番組で、セラピストの卵が「マッサージをして・・・」と言うのを、先輩に「あはき法で定められているから、医療行為はやってはいけない」と窘められているのを聞きました。

按摩マッサージ(あ)、鍼(は)、灸(き)は医療行為なので、東京衛生学園専門学校で学んで、国家資格として取得するんですよね。

    • 飲食による治療や治療補助、病気の予防。-> これを薬膳と呼ぶ(中医栄養学)

中医学の考え方

  • 病気や体質をタイプ別に考える
    • 陰陽:陰は体を潤し、余分な熱を冷ます。陽は体を温める。
    • 寒熱:体温ではなく。自分が体に感じる熱感と冷感
  • 扶正去邪(ふせいきょじゃ):邪を取り除くことが治療方針
    • 扶正:体の治癒力、抵抗力、体力、免疫
    • 去邪:病気の原因になるもの。微生物など。

第2回(前半)でも、体内で正と邪が戦うので発熱する、後半でも、歯肉炎の炎症はこの戦いであると説明がありました。

タイプ分けの実際

  • 風邪の弁証(弁証とはタイプ分けのこと)
  • 風邪には葛根湯、というのは西洋医学的(症状で薬を処方)。
  • 中医学では、風邪にもタイプがある。
    • 「熱」のタイプ:風熱感冒証、熱邪が強い(熱が高い、黄色い鼻水、喉が腫れる、舌が赤い)
    • 「寒」のタイプ:風寒感冒証、寒邪が強い(寒気がする、白い鼻水、喉が痒い)
  • こういうものを伴う、「邪」悪いものが体に入ってきたと考える。
  • 証(しょう)が違えば治療方針が違う。
    • 「熱」のタイプ:冷まして邪気を追い出す(銀翹散(ぎんぎょうさん)、薄荷、菊花、桑葉。ペパーミントのお茶なども)
    • 「寒」のタイプ:温めて邪気を追い出す(葛根湯、桂枝湯、生姜、紫蘇。シナモンなども)
      • 温めて飲むタイプ。常温以上でないと効果はない。カコナールを冷蔵庫で保存してはいけない。
      • じわじわ汗をかいて風邪を引きづらくする。生姜をお湯に溶いて飲んで布団に包まる。
中医薬膳の基本的な考え方
  • 全体理論に基づく栄養観:体全体のバランスを取るために、何をどう食べるか
  • 体内の陰陽バランスを調節する
    • 治療原則:冷え体質(陽の不足)は、体を温める陽の食べ物を、ほてり体質(陰の不足)は、余分な熱を冷まし、潤い成分を増やす陰の食べ物を摂る
  • 薬食同源:必ずしも生薬を使うものではない
  • 食物の陰陽(寒熱)
    • 温熱性の食物
      • にら、にんにく、ねぎ、生姜、唐辛子、みかん、桃、さくらんぼ、栗、松の実、
      • 鶏肉、羊肉、なまこ、えび、アワビ
    • 寒性の食物:野菜に多い。夏バテに効果的。
      • もやし、たけのこ、じゅん菜、苦瓜、トマト、バナナ、柿、西瓜、梨、セロリ、ほうれん草、レタス、大根、冬瓜、茄子など
      • 兎肉、蟹
    • 牛肉、豚肉は、平性(へいせい)と言って、寒熱に偏らない
  • バランスのとれた食事と審因用膳
    • 「五穀は養と為し、五果は助と為し、五畜は益と為し、五菜は充と為す、気味合わせて之を而た服し、以って精を補い気を益する」(黄帝内経
4000年前の一番古い医学書で、薬膳の起源とのこと。
    • 審因用膳(しんいんようぜん):自分の身体の状態を見極めて、食事を摂る。一人一人の体質や環境、習慣などにあった食事を考えること。
次は、食事指導の実際として、7つの体質別に、その体質の特徴、食事の原則、適する食材、食べてはいけないもの(禁忌)、メニュー例の紹介がありました。

かなり、細かいのですが、タイプするのも大変なので、ここでは講師のコメント中心に、ざっくりと紹介します。

詳細には、クラシエのサイトを見ていただくのがいいかと思います。(講座のスライドの絵が、このサイトの絵と一緒なので、多分、ここを参照していると思われます)

セルフチェックもできます。ちなみに、私は”血虚体質”でした。まあ、そうでしょうね(納得)。

  • 陽虚体質(冷え体質)
    • 体を温める「陽」のエネルギーが足りないため、体が冷えやすく、温まりにくい(下痢しやすい、寒がり、手足が冷える、疲れやすいなど)
    • 熱を冷ます性質の食物を控えて、体を温める、温熱性の食物、気を補う作用のある食物を多く摂る(ニラ、生姜、ニンニク、エビ、羊肉、鶏肉など)
    • 禁忌は、生物、冷たい飲食物。胃腸が弱めなので、余計胃腸を悪くする
    • メニュー例として、ニラとエビのスープ、鶏肉とくるみの炒め物など。羊肉はカレーにすると食べやすい。杜仲茶は腰痛にも効く。
  • 陰虚体質(ほてり体質)
    • 体を潤したり、余分な熱を冷ます陰のエネルギーが不足するので、ほてりや乾燥が起こる。男性に多い。(口や喉が乾く、イライラする、寝汗をかく、手足のほてりなど)
    • 温熱性の食物を控えて、寒涼性の食べ物、清熱作用、滋陰潤燥の作用のある食べ物を多く摂る(梨、白菜、百合根、蟹、イカ、クラゲなど)
    • 禁忌は、温燥作用の強い食物(唐辛子、香辛料、ニンニクなど)、温熱性の強い食物(羊肉、エビなど)

栄養ドリンク、酒、タバコも良くないようですが、酒でも日本酒、焼酎、ウイスキーは体が温まって良くないが、ビールは冷えていいんじゃないかな(苦)

    • メニュー例として、百合根入り茶碗蒸し、クラゲときゅうりの和え物など。酢の物はいいが、お酢の飲み物はよくない。
  • 気虚体質(疲労体質)
    • 陽のエネルギーの一つ「気」、体の表面を覆う抵抗力や元気の素、が不足した状態。(疲れやすい、根気が弱い、食欲がない、胃腸が弱いなど)
    • 補気作用のある食物を多く摂る(うるち米、もち米、山芋、椎茸(きのこ全般)、なつめ、人参(朝鮮人参も)、鶏肉、豚肉、牛肉など)
    • 禁忌は、生もの、冷たい飲食物、硬くて消化の悪いもの、揚げ物など脂っこいもの
    • メニュー例としては、牛肉粥、参鶏湯、筑前煮など。消化に良い調理法(スープ、煮物、蒸し物)。
  • 血虚体質(貧血体質)
    • 「血」が不足した状態。中医学では、貧血だけでなく、精神の不安や不眠の原因になる(貧血、不安・不眠、心臓がどきどきする、便秘ぎみ、生理不順など)
    • 補血、補気作用のある食物を多く摂る(ほうれん草、人参、ライチ、なつめ、落花生、レバーなど。ピーナッツの外側の皮は貧血に効く)
    • 禁忌は、生もの、冷たい飲食物、脂っこいもの、味の濃いもの、血の消耗を助長する食物(唐辛子など辛いものは血を失う)
    • メニュー例としては、ほうれん草の胡麻和え、レバーの甘辛煮など。
  • 気滞血瘀体質(つまり体質)
    • 気滞とは、体をめぐることで健康を保つ「気」がストレスや病気によって滞っている状態(げっぷやため息、イライラ・怒りやすい、のぼせるが手足は冷たい、憂鬱(うつ状態)など)
    • 血滞とは、「血」が滞っている状態。気の不足や気の滞りがあると、血瘀が起きやすく、気滞と瘀血は同時に起こることが多い(腰や肩こり、顔にくすみ、しみ・そばかす、目の下にクマなど)
    • 気血の流れを良くする食物
      • 行気:そば、大根、みかん(陳皮も)、ジャスミン、ライチの種(干して、砕いてお茶にすると、イライラ、顔のむくみに効く)
      • 活血:油菜、にんにく、ニラ、紅花、酒、酢など
      • 補気:疲労、貧血タイプの食物
    • 禁忌は、気血の流れを乱す恐れのある唐辛子や香辛料の強いもの。カレーも辛すぎないように。
    • メニュー例としては、大根おろしそば、合鴨のオレンジソース煮(鶏肉で良い。マーマレードを使えば簡単に作れる)など。
  • 湿熱体質(暑がり・メタボ体質)
    • 食べ過ぎ、飲み過ぎなどで体に余分な水が溜まっており、熱が体の中にこもっている状態(胃のあたりのつかえ感、暑がり、体が重くてだるい、喉は乾くがあまり飲まない、残便感など)
    • 熱を冷ます性質または平性の食物で、身体の余分な湿気と熱を取り除く食物(ハトムギ、小豆、緑豆、スイカ、冬瓜、大豆もやし、鯉、どじょうなど)。東岸は、痩せたくない人は食べるな、と中国で言われる。
    • 禁忌は、甘いもの、脂っこいもの
    • メニュー例としては、小豆粥、冬瓜のそぼろ煮(ちょっと冷えるので、鶏のそぼろで温める)、どじょう汁(メタボ系によい)など。
  • 脾虚湿困体質(むくみ体質)
    • 脾虚湿困(ひきょしつこん)とは、胃腸が弱く、身体の水分代謝が悪いことから、身体に余分な水分が溜まっている状態(顔色が悪く浮腫む、お腹が張って食欲がない、喉が乾かずあまり飲まない、舌の苔が白くべったりなど)
第2回の前半のQAで、胃腸が悪いと舌に苔が溜まるのは?という質問に、津液の調節がうまく出来ていないからでは、という回答がありましたが、この状態・体質かもしれませんね。
    • 気を増やす食物に加え、身体の余分な水を取り除く食物。消化の良い調理法。
      • 気を増やす:うるち米、もち米、山芋、人参、なつめなど
      • 水を取り除く:ハトムギ、小豆、緑豆、えんどう豆、そら豆、インゲン豆、もやし。あんこは身体の中に湿を呼ぶので、あまり甘くしない。小豆粥は良い。
    • 禁忌は、生もの、消化しにくいもの、冷たい飲食物、脂っこいもの、味の濃いもの
    • メニュー例としては、山芋のポタージュ(陰陽どちらも補う。すり下ろし汁で)、冬瓜の豚そぼろあんかけ(豚は冷やしも温めもしないので、ほてる場合に。冷える場合は、鶏を)
が、7体質の概要です。

なお、適したものだけを食べるのではなく、ちょっと多めに食べることを心がければいいとのことです。

冷えとほてりの両方という場合、どちらの適した食物もバランスよく、温めすぎず、冷やしすぎず、その日の体調に合わせて身体の状態を立て直す。

どれにも当てはまらない(と、わざわざ発言する受講者がいて)、バランスのいい人(平和体質)は、これまで通り、バランスの良いものを食べれば良い。

それから、季節による飲食の違いもあり、予防医学的には、四季の変化に身体を適応させやすくするもの。その季節(旬)の食物は、その季節にすくすく育っているものなので(身体にも良い)

ちなみに、これからの夏場は、きゅうり、冬瓜、苦瓜など熱を冷ますもの、夏バテに効果的。湿気、水分を取り除くには、緑豆、小豆などの豆類、豆腐などの大豆食品を。

そして、いくつか具体的な料理メニューの説明があり、

最後に、薬膳は、生薬を使わなくても、身近なもので、自分に合ったものでよい。と言う締めの言葉で講義は終わりました。

QAもいくつかありましたので、紹介します。

  • 夫婦で体質が異なる場合は?平性の食材を多めに使うとか、冷やす食材を、シナモン、丁子など温めるスパイスで調味するとか。
  • 骨密度に良いのは?骨を作るのはカルシウムだが、食べるだけなく、足踏みで踵に力がかかると、脳に骨を作れと信号が送られる。階段を降りるのが効果的。顔がたるむと、骨粗しょう症になりやすい。
  • 血圧が高いが、何を食べれば?トマトを毎朝1個食べる、と古い本によく書かれている。ナトリウムの排泄促すので良い。

佐伯の山崎校長も、トマトを1個食べると言っていましたっけね。

  • 血糖値を上げないためには?繊維質の多い野菜を食べる。根菜、海藻、納豆もOK。腸内に繊維があると、糖の吸収を邪魔する。味噌汁にワカメ多めで良い。
  • フリーズドドライの味噌汁は?繊維質は変わらないが、製造過程でビタミンは落ちていると思う。CMではビタミン豊富と言うが、、、
  • 梨は消化の悪い食べ物の代表のように言われるが?火を通すと大丈夫、その後冷蔵保存も可。すり下ろした汁だけでも良い。
  • 甘い梅干しって?塩分を減らしているが、保存のため甘くしている。(だから何だったけ?)
  • おかずから食べるようにしたら体重が減り続けて。。。血糖値が低くて、栄養吸収ができていない恐れがあるので、食後2時間の血糖値を病院で測ってもらってはどうか。

長くなりましたが、

おおた区民大学地域でいきいきと暮らしていくための知恵」の第3回、「元気に暮らす食事術〜現代栄養学と薬膳から〜」は以上です。

 

東洋医学(中医学)のところを、ざっくりまとめると、

  • 身体の陰陽・寒熱を診て、食物の陰陽・寒熱でバランスを調節する。
  • 体調もみつつ、体質に応じて、食物で改善を図る。
  • 気血の流れをよくする食物、脾(胃腸)に優しい食物が基本(身体を温めるにしても辛いもの、身体を冷やすにしても冷たいものはNG)
  • それと、水分調節(豆類がいい)
と言う感じ。

西洋医学の、この症状にはこの薬というものではなく、この症状にはこの食材と、単純明快にはいかないものですが、まあ、最初に光畑さんが説明された、東洋医学は哲学、ですからね。

私的には、現代栄養学だけでなく、東洋医学(中医学、薬膳)のこういう事を気にかけながら、バランスの良い食事をとるという〆かな。

ではでは



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