かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

生きる本能

2007年10月02日 | 昼下がりの外来で
「どこ行ってもタバコが目に付いちゃう。学校のまん前に自販機あるし・・・コンビニのレジにもずらーっとタバコが並んでるし、入り口じゃオヤジがタバコ吸ってるし・・・」

高校1年のRちゃんの話。
学校帰りの制服姿。
まだ上手に塗れていないマスカラが少しにじんでる。

「(タバコがやめられてないから)友達にあきれられちゃった」

『その子も吸うの?』

「ううん、吸わない。その子には私が吸ってるのを見られたことがあって、一言クサイ!って言われた。アタシはぜんぜんクサイと思わないのに」

『タバコはクサイのが普通なのよ。あたし達は普段「人間様よ」って偉そうな顔してるけど、結局は犬やネコと一緒。動物なの』

「???」

『で、動物は生きるっていう本能を持っていて、自分の命を脅かすものを察知することができるの。だから、毒ガスの塊であるタバコは、危険だ、クサイ、離れろっ!て感じるわけ』

『だけど、依存症っていうのは、その動物的本能も鈍らせてしまう怖い病気なのよ。タバコはからだも勿論傷つけるけど、もっと奥にある、あたし達が生きようとする本能さえも脅かそうとするのよ。わかる?』

「そうなんだ・・・」

『がんばって治療しようね』




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